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転生して1/10プラモになったら村の守り神に間違われた話。  作者: 海人藤カロ
第一章 転生して1/10プラモになったら村の守り神と間違われた話。
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第六箱 ブースターを追加でつける時は重心を考えろ。

はい!おはこんばんわ!カロでーす!

今日も休むことなく投稿することができました!

筆が乗ってる時ってもうタイピングに隙が無いから時間が早い!

これからもこのペースが続けられるよう努力します!ではお楽しみください!


 シアルとクォンタムがGOPの本部がある王都へ向かう途中、夜中に自称女傭兵で盗賊団サルトゥアクラーヌの頭であるのドナウ・シークに出会う。

 彼女とその部下たちは違法奴隷商人を探しているらしくそれと間違えられてしまったらしい。

 クォンタムは仕方なく彼女にテントの中を確認させ誤解を解いた。

 そして彼女が立ち去ろうとした時、シアルが自分たちも違法奴隷商の討伐を手伝うと言い出した。

 そんなわけで二人はドナウ達と共に盗賊を狩ることとなった。



 ドナウ達は森の中の木々の上をピョンピョンと跳ねて移動していた。

 その動きは盗賊というよりは忍者、暗殺者に近いものがあった。

 シアルはそれに付いて行けないのでクォンタムに抱えてもらっていた。


「ほぉ。あたしらの動きについてこれるとはアンタやるじゃないか」


「いや、それほどでも」


 が、ドナウは褒めたと思ったら足を止めた。


「でも如何せん足音がデカいな!そのマントの中鎧でも着こんでるのかい?」


「あー、そんな感じです。どうしたらいいですか?」


「うーん、風のスキルが使えれば音を消したりできるんだが」


「なら先に向かってください。俺たちは音を立てないように歩いて向かいます!」


「おいおい、お前そんなちんたらやってたらついたころには終わってるぜ」


「でも、だからと言って俺が騒音立てて近づいたら敵が逃げます。出来るだけ早く追いつきますから」


「…。わかった。じゃあアタシらは先に行ってるよ」


 クォンタムとシアルを残してドナウ達は先へ進む。


「けっ、どうせ怖気づいたんだろ。このまま逃げるつもりだぜ」


「あのお嬢さんはまだしもクォンタムは違うさ」


「お頭、あいつと会ったばっかなんでそんなに…」


「勘だよ、勘」




 三人を見送ったクォンタムとシアル。

 シアルの方はすこし不安そうな顔をしていた。

 協力を自分が言い出したにも関わらず役に立てていないからである。


「どうしましょう…。歩いて行っては恐らく間に合わないし。ただの口だけの女になってしまう」


「大丈夫ですよ。確かに私たちは彼らと一緒に戦いを始めることは出来ませんが窮地に颯爽と登場することは出来ます。スキル発動」


 クォンタムは金型の王を開くと三つのキットを生成した。


「これは!」


「今が使い時です」



 ドナウ達は敵の野営地の様子を近くの木の上から観察していた。

 巨大な檻はを囲むようにいくつものテントが張られている。

 檻には巨大な布がかけられており中の様子がうかがえない。


「灯は檻の周りだけだな」


「テントに明かりがないってことは寝てますね」


「檻の見張りは二人、とっととヤッて檻を開けて奴隷たちを解放しよう」


 三人はアイコンタクトをしすると同じタイミングで音もなく跳んだ。

 一瞬で敵の背後に回り込み取り出したナイフで喉を掻き切る。

 音が出ないように敵の体をゆっくり地面に寝かせた。

 檻の出入り口には錠が施されていた。


「ハン!」


「おう、任せとけ。鍵開けのスキルはフェイデラ国一さ!」


 ドナウの手下の一人、ハン。その他スキル「鍵開け」の所有者である。

 レアというほどではないが中々いないらしい。

 その理由とはそのスキルを発現した者の殆どが泥棒になってスキル使用不能の監獄にぶち込まれているからだとか。


「開いたぜお頭!」


「おし、お前らは檻の前で見張りだ」


「あいよ!」


 檻の中には十人ほどの奴隷たち。全員が頭巾を深くかぶっていた。


「助けに来たぞ。もう大丈夫だ」


 ドナウが奴隷に手を差し伸べる。奴隷の一人がその手を取ろうとする。

 その時、ドナウはこの奴隷たちに違和感を覚えた。

 足に逃亡防止用とスキル封印の鉄球がされていない。

 まさかこれは!

 

「っ!」


 ドナウは咄嗟に後ろに飛退く。

 次の瞬間、檻が爆発した!


「ぐあああっ!?」


 ドナウは檻から吹き飛ばされて地面に転がる。

 何とかマントを盾にして直撃は避けたがこれは爆発のスキルだ。

 やはりこれは罠。敵が奴隷のふりをして待ち構えていた。


「ハン!チョウ!生きてるか!」


「大変だお頭!チョウが背中に大やけどを!」


「なに!?」


 チョウの背中は赤く焼けただれていた。


「クソっ…」


 そんな彼らを囲うようにニヤついた顔の男たちがわらわらと出てきた。


「はっはっはー!イイ様だな!盗賊団サルトゥアクラーヌのお頭さんよ!」


 男たちは倒れたドナウ達からマントや武装を剥いで壊して羽交い絞めにし、地面に押し付けた。


「なんであたしらの情報が…!」


「へっ簡単さこの依頼自体が俺らが頼んだものだからだよ!傭兵ギルドのクエスト掲示板から他の違法奴隷商に関するクエストを張らないようにギルドの従業員に根回ししてお前らがこのクエストを受けやすいように仕向けた。いやー、思いのほか金がかかったぜ。お前ら以外が受けちまったら元も子もなかったし、直々におめぇらを指名すれば怪しまれる可能性もあったしな。おめぇらのせいで俺達奴隷商会が今まあ出どれほど被害を被ったことか!」


「はっ!なにが商会だよ!テメェら只の人さらい集団じゃねぇか!!自分でした借金やら、お家の事情やらで契約の下に奴隷になった奴らはしょうがねぇ。でもテメェらは!無関係の人間の幸せを金の為に踏みにじる!だからアタシはアンタたちから全部奪い返す悪人専門の盗賊になったのさ!!」


「おうおう、元奴隷のいう事は説得力があるねぇ。まぁそれもこれで終わりよ。俺様の洗脳スキルで脳みそこねくり回して従順なワンちゃんにしてやろう。まぁキズモノだがお前みたいなやつを好むもの好きは何人か知ってるんでな!」

 

 

 リーダー格の男の手がドナウの頭へ伸びる。


(くそっ、こんな!こんな所でっ…)


 その時、まるで耳鳴りの様な妙な音が聞こえた。

 そしてその音はだんだんとこちらに近づいてくる…!


「な、何だこの音は!?誰だ!誰が出してやがる!」


 リーダーの問いかけには誰も答えない。ただおどおどするだけだ。

 次の瞬間、耳鳴りの音は爆音へと変わり、その発生源が奴隷商人たちに衝突!

 巨大な砂塵の竜巻が敵を巻き込み、吹き飛ばす!その風は周囲の灯も消し飛ばした。

 ドナウが悔しさに閉じていた目を開いた時、目の前には。


 月明かりで照らされた『無骨で不格好な羽をはやした白き機神』がたたずんででいた。


 クォンタム・フルブースター。

 アメリカのNASAが開発した地球からの大気圏突破も可能とされている超長距離ブースターを満載したクォンタムである。

 あまりの出来事に呆然とするドナウ。 


「無事ですか?」


「そ、その声。クォンタム!」


「はい。お待たせしました」


「おま、マントの中、そんなんなってたのか!」


「さっきとはちょっとフォルム変えてますが。後の二人は?」


「そうだ!チョウの奴が火傷を」


 クォンタムはすぐにチョウの下へ駆け寄るとケガの具合を見る。


『火傷、深度2、現段階デハ生命活動ニ支障ハアリマセンガ早期治療ヲオススメシマス』


「ハンさん、チョウさんを担いで動けますか?」


「ああ!どうすればいい!」


「あっちの茂みにシアルさんが治療の準備をして待ってます」


「わかった!」


「ドナウさん!あんたも!」


「はっ!馬鹿言うなよ。素人にここまで出張られてプロのアタシが引っ込んでどうすんだ!ハン!チョウの事頼んだぞ!」


「はいお頭!」


 ハンを見送った後、振り返るとクォンタムがこっちを見ていた。


「な、なんだよ!」


「ごめんなさい。さっきまで悪人じゃないかと疑ってました」


「いいよ、アタシら盗賊だって名乗ってるし。慣れてるからよ」


「ちゃんと見て、聞いて、アンタは信用するに足る人物だとわかった。だからこっからは本気で協力するよ」


「見て、聞いてた?どうやって」


「アレで」


 上空を指さすと球体にプロペラが生えたような物が飛んでいた。


「あれは?」


「偵察用ドローン。簡単に言うとあの玉には目と耳がついてて玉が見聞きしたものを俺も知ることができるんだ」


「えー!なんだよそれ!偵察いらずじゃねぇか!」


「有用性がすぐわかるあたり流石だな」


「って、こんな風に話してる場合じゃねぇ!奴らは!」


「いや、ほとんど終わってるみたいですが」


 爆風で吹き飛ばされていた商人たちだが…。


「いてぇ…足が、手が、折れたぁあ」


「こいつ頭から落ちて首が・・・」


「リーダー!助けてくれぇ!爆風で飛ばされてた仲間が木に突き刺さっちまったぁー!?俺も足がー!」


 リーダーはなんとか無傷だったようだが周りの子分たちの体たらくを見てわなわなと震えていた。


「こんの役立たず共がぁ!!先生方!先生方お願いします!」


「やれやれ、仲間はもっと厳選するべきだぞ。にしてもあの白い鎧はヤバいな。テントも何もかも吹き飛ばすとは」


「あいつは俺がやろう。なかなかいい生命力を持ってそうだ」


 先ほど檻の中で待ち伏せしていた爆発のスキルの使い手だ。彼も無傷だったのか。

 そしてもう一人、さっきはいなかったがテントの中にでも隠れていたのだろうか。

 わかめの様な顔まで隠れた長髪にデカい鎌。


「あの爆発使いは知らないが。あの鎌を持ってる奴は知ってる。『死神』の異名を持った賞金首だ。こいつらの用心棒をしてたのか」


「なるほど…」


 クォンタムが死神を見た時、内部コンピュータが反応する。


『死神ヲ仮名称ニ登録。

 保有スキル『ストーカー』自身ノ視界内ニイル人物ノ背後ニ瞬間移動スルコトガデキル。

 脅威判定:B

 

 魔鎌『ソウルテイカー』:刃ノ部分ニ触レタ生命体ノ生命力を吸イ取リ使用者ノ身体能力ヲ向上。

 脅威判定:E』           


 さて、スキルもわかったしどっちと闘うかと考えていると。


「爆発野郎はアタシがやる。チョウの敵討ちだ!」


「なら任せます。俺は死神の方を」


「今度はその体吹き飛ばしてやるぜ!」


「ふふふ、次の獲物は私をどれだけ強くしてくれるのかなぁ?」


 全員が同時に動く!

 早かったのは死神だ!瞬時にスキルでドナウの背後に回り込んでいた!


(死神の奴、何が白い奴は俺がやるだよ。お前が女を殺すのが好きなのは知ってるっつーの!)


 爆発男は死神の邪魔をさせないようにクォンタムへ爆発を叩き込もうとした時。

 クォンタムのブースターが再び爆風を巻き起こした!

 だが今回は人間を飛ばすほどではない。ただ砂塵を巻き上げただけだ。


「くそっ!?」


 爆発男は咄嗟に手で目を覆う。

 目の前の砂塵が晴れるとそこに三人の姿はなかった。


「あいつらどこ行きやがった!?死神の奴もいねぇ!」


 焦ってあたりを見渡す!

 その隙を付いて背後からフックのついた鎖が飛んできた!

 フックは男の首を正確にとらえ、鎖が巻き付いた。

 

「おぐっ!?」

 

「捕まえた!」


(何故だっ・・。こいつの武装は全部剥がしたはず!?)


 男は首を絞められたまま手のひらをドナウの方へ向けた。

 ドナウはそれを見て鎖を左右に揺さぶる。

 それにより体勢を崩され、男の発動した爆発はあらぬ方向へ。


「爆発のスキルは確かに強力だ。だが欠点が二つある。一つ、手のひらを向けた方向にしか爆発を起こせないこと。二つ、爆発スキルの威力が大きければ大きいほど調整が難しくなること!」


(!!)


「アンタが爆破で首の鎖を破壊しないのがその証明さ。やっちまったら自分の頭まで吹き飛んじまうんだからね」


(ぐ、くそ、この女、戦い慣れていやがる!)


 ドナウは今の状態を維持したまま空いた左手を上へと伸ばす。

 すると小さな黒いもやもやが彼女が手を伸ばす先に現れた。

 彼女がそこへ手を突っ込み、引き抜くとその手にはボウガンが握られていた!


(あれはユニークスキル!?)


「回転式五連装ボウガン。なかなかの威力だぜ!」


 まさに万事休す。このままでは頭をあのボウガンで打ち抜かれてしまう。

 ならば、殺されるくらいならば!


(イメージしろ、小さく、小さくっ!)


 なんと彼は首の鎖を掴んで爆発を起こした!


「あああああっ!」


「くっ!やりやがったな!」


 鎖が外され、それと同時に爆発が飛んできた。

 が、それはドナウがいる場所とは全く別の方向だった。


「どこだ!ここかぁ!!そこかああああ!!」


「あの野郎、目まで焼いちまってアタシが見えてないんだ。無差別に攻撃してやがる!」


 四方八方放たれる爆炎、それは周りの奴隷商人たちも巻き込んでいた。


「ちょっ!お前用心棒だろ!なにやって、ぐあああああっ!?」


 リーダーも炎に包まれていた。

 もはや爆発と炎、阿鼻叫喚の地獄絵図だ。


「くっそ、あの爆風の中じゃボウガンはそれちまう。なら」


 近づいてトドメを刺すしかない。

 ドナウは黒い空間から剣を取り出して爆発男へと走る!

 あともう二、三歩というところで男がこちらを向いた。

 ドナウは偶然こちらを向いたのだろうと気にも留めない。

 だが、男の片目がクワッと見開かれたのである!


「こいつ!片目が!」


「しねぇっ!!」

 

 ドナウは咄嗟に左へ飛んだ。

 コンマ数秒後の爆発で直撃は避けたがそのまま吹き飛ばされる。

 しかし彼女は吹き飛ばされながらももう一本の鎖を取り出して男の首へと投げつけた。

 男はそれを紙一重でかわす!


「二度同じ手が通用するかぁ!」


 男は両掌をドナウの方へ向け、ただれた顔で勝ち誇った笑みを浮かべていた。


「なんとぉおおお!!」


 ドナウは必死に鎖を引き戻す!


「間に合うわきゃねぇだろ!!」


 次の瞬間、音がした。

 それは爆音ではなく水音。

 爆発男の首から大量の血が噴き出す音であった。


「へぇ?」

 

 男の体が力を失って倒れていく。

 ドナウを見るとその手には『フックの先に剣が引っかかった鎖』が掴まれていた。

 そして倒れながら自身の背後が見えた。

 そこには先ほどからドナウが出していた小さな黒いモヤがフワフワと浮かんでいたのだ。

 彼女が鎖で狙ったのは黒いモヤ。そこからフックで剣を掴み、引き戻すときに彼の首を切り裂いたのだ。


「アタシのスキル『次元倉庫』は一定範囲ならどこにでも出入り口を出せるのさ。覚えときな」


「ず、ずりぃぞ・・・てめぇ・・・」


「そんな言葉をはいてる時点でアンタ悪党としては三流以下だよ」


 あおむけに倒れながらもぞもぞと動く爆発男。


「死にたくねぇよぉ・・・。死神ぃ、たす・・けて・・。お前の魔装具なら・・俺に生命力を・・わけれる」


「しぶといわねコイツ」


 もうトドメを刺してやろうと近づいた時だった。


「ああ!死神だぁ!来てくれたんだな!」


「っ!?どこに!」


「こっちだ!早く来て・・・へっ?」


 次の瞬間、死神はすごい勢いで戻ってきた。『空から』

 ゴシャっという鈍い音を立てて倒れていた爆発男と戻ってきた死神の頭が衝突してはじけ飛んだ。

 その場面を近くで見せられたドナウは絶句していた。 


「な、な、なに?」


「オーイ、ドナウさーん」


「クォンタム!戻ってきたのか!」


 空からゆっくりとクォンタムが降りてきた。


「お前どうやったんだよこれ!」


「あー、それはー」



 四人が同時に動いた時に起こした爆風の中で彼は死神を抱えて空に飛び立っていたのだ。


「貴様ぁ!私をとアイツを遠ざけるつもりか!いい判断だが甘いな。まずはお前の首を落として!」


「別に落としてくれてもいいですけど。私がいなくなったら貴方どうやって下に降りるんです?」


「はっ!?」


 そう、すでに彼の体は下の森が小さく見えるほどの高度まで達していたのだ。

 そしてなおも上昇中であった。


「な、な、なっ!?」

 

 そしていくつか雲を超えたところで止まった。

 そして腕をつかんで死神をぶら下げる。


(ハァ、ハァ、なんだ?息がしづらい!?凍えるほど寒い!?)


「さてと、じゃあ選んでください。さらに上昇して凍って死ぬか。落ちて死ぬか。持ってる武器と情報全部吐いて助かるか」


「じょ、情報?」


「アンタの雇い主。奴隷商会のボスの事ですよ」


「!!」


「どう考えてもあの小物っぽいリーダーがあなたみたいな賞金首を雇いきれると思わなかったので。雇ったのは別の人間でなおかつあの小物より上の人間。誰でもこれくらい予想付きますよ」


「は、話せば俺は・・・」


「そうですか」


 ゆっくりとマニュピレーターの出力を落としていく。


「待て待て待て!!話す!話すから放すな!」


 死神は王都に近くにある隠し村に奴隷商会の本拠地があることを漏らした。

 場所もちゃんと聞きだし、電子マップのデータにもマーカーを打ち込んだ。


「よし。居場所さえわかればもういいかな」


「じゃあ早く助けてくれ!!」


「まだ武器もらってないです」


「や、こ、これは俺のアイデンティティというか。なかったら俺ただの相手の後ろに回る気持ち悪い奴になっちゃうし」


 無言でさらにマニュピレーターの出力を下げる。


「わかった!わかったから!!」


 死神は泣く泣く『ソウルテイカー』を渡した。


「新しい魔装具。一体次はどんな機体が手に入るかな」


 クォンタムはそれを両手で持ってじっくりと眺めてみた。

 両手で持って・・・・両手?


「あ・・・」


 死神の姿はすでに無かった。


「あー。やっちゃったな」



「おまえ…」


「いや本当に反省してます」


「まぁ何十人と殺してきた奴だし同情は出来ねぇな。しっかし、奴隷商会の本拠地が分かったってのはお手柄だな!これでやっと連中を叩き潰せる!気合い入れていこ・・・あ!」


「どうかしたか?」


「お前は…王都に行くんだったよな。じゃあ、ここまでか。ありがとな。お前がいなかったらアタシ達全滅してた。よし!チョウの様子見に行くか!アイツが回復しないと動けないからな」


 チョウたちのところに走るドナウ。

 その後ろ姿はどこか寂しげだ。そんな彼女の背中にクォンタムは。


「一緒に行きますよ」


「えっ」


「シアルさんが聞けば絶対一緒に行くって言うし。GOPに入るための手土産にはなるだろ」


 その言葉にドナウは満面の笑みを浮かべていた。


「なんだよー!そうならそうと早く言えよ!よし!お前らがいるならチョウなしでも行けそうだぜ!」


 チョウの扱いが・・・。


「あ、そうだ!付いてきてくれるんならさ!お願いがあんだけど!」


「お願い?何を?」


「お前のその武装とか体とか。いじらせてくれない?」


 可愛くウィンクしながらそうお願いするドナウ。

 

「だーめっ!」


「えー!いいじゃんかー!」


 ぎゃいぎゃいと言い合いしながら仲間たちの下へ戻る二人。

 こうして盗賊団サルトゥアクラーヌの三人が旅の新たな道連れとなることとなった。



つづく

 


 










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