二章・第二十四箱「ロボットって兄弟機はいるけど親機って聞かない」
おはこんばんにちは海人藤カロでーす。
サラマンダー編、二話メデース。このお話で驚愕の真実が明らかに!!どうぞお楽しみに!
では面白いと思ったらブックマーク、感想、評価などどしどしお願いします!
でではどうぞ!
サラマンダーの里へとやってきたクォンタム一行は里の入り口でいきなりカエンと遭遇した。
協力を申し出たのだが人族を売れているクォンタムたちに憎悪むき出しのカエンは聞く耳を持ってくれずカエンと戦闘となる。
カエンが強いこともあり簡単に無力化できないと判断したクォンタムは青龍クォンタムの本気を開放。青龍刀による一閃『雲裂』によってカエンを撃破、気絶させた。
ここからカエンとちゃんと話ができればよいのだが・・・。
〇
クォンタムたちはカエンの傷の治療を済ませると彼女を抱えて里へと入った。入った途端にサラマンダー族の兵士たちに囲まれたのだが事情を説明したら矛を収めてくれた。
やはりというか純粋なサラマンダー族は二足歩行の爬虫類という見た目だ。カエンと似てるのは鱗があるところくらいだな。
そしてサラマンダー族の里長がカエンの療養のために彼の家へとクォンタムたちを招待してくれたのだった。
「さて、アンタらがここに来た理由はカエンの力を借りたいってことだったか?」
「ええ、彼女の弓と炎の力を貸してほしいんです。この里の中ででもできることなんで安心してください。戦いとかに引っ張り出したりしないんで。終わったるすぐ私たちはお暇するので」
「なんだ、そうなのか。てっきりまたカエンを戦争に引っ張り出しに来たものかと」
「『また』ってこは前にもカエンを戦場に連れ出そうとした連中がいたと?」
「魔王軍か?いや、あの魔王様に限ってそれはないと思うんだが」
「魔族の主戦派の貴族連中さ。カエンの実力は魔族領でも有名だからな。でも最近はめっきり来なくなったんだ。魔王様が人族との和平のために主戦派を黙らせてってるからな。サラマンダー族は和平には賛成なんだ。我々はほかの魔族と違って住むのに適した場所が限られているから個体数もそう多くない」
「平地で暮らしてるサラマンダー族っていないのか?」
「多少はいる。でも平地で暮らすってのは俺たちにとっちゃ苦難が多い。元から高温のこの体は木の椅子に座るだけで燃えちまう、森の中を歩くだけで火事になる、宿屋で寝ることもできねぇ。相当に己のアニマをコントロール出来る奴でなきゃ平地で日常を過ごすことすら難しいのさ」
「えー。でもカエンの奴は普通にテルヒコが担いでこれたけど?」
「こいつは人族の血が混じってるおかげで体のつくりが純粋なサラマンダーとは違ってるんだ。高熱を発するのは戦う時だけで通常の体温は人間と同じなんだ。しかもサラマンダーと同じ熱耐性を持っているんだ。その上、人族の『型』まで使えるってんだ強くないわけがない。里の若い奴らはカエンのことを羨ましいと思ってる連中も多い。この里は刺激が少ないからな。里の外へ出たがる奴は多いんだ。俺もこの前下の息子に『なんで人族の女性と結婚しなかったんだ』って言われてなぁ。母さんの前でそんなこと言うからぶん殴っちゃって今喧嘩中なんだよ」
「アンタの家庭事情はどうでもいいわ」
『ああ、どうでもいいな。里長の家庭事情もアンタらのアタシへのお願いもな!』
寝かせていたカエンが飛び起きた。
「カエン!?」
カエンはそのままクォンタムへ飛び掛かろうとしたのだが。
ビタアアアン!
何かに足を引っ張られて顔面から転んでしまった。
「おぼぁ!?」
「元気だなー」
「てめっ!?何しやがった?」
「やったのはワタクシです。今あなたの体中に私の糸がゆるーく絡ませてあるので。いきなり動こうとすれば縛り上げられますからお気をつけて」
シルクの手のひらから何本もの糸が放たれていた。
カエンの全身は操り人形のように糸に絡めとられている。
「テんメェエエエ!!!」
「いい加減にせんかカエン!!」
「うるせぇ!アタシと母さんを捨てた親父と同じ人族、アタシの妹を連れ去った人族!そんな奴らを連れてるだけでこいつらと話すことなんてねぇんだよ!!」
うーうー言いながらジタバタと暴れようとするが動こうともがけばもがくほど糸が集まり、数分と立たずに毛糸玉と化した。
「くっそっ!なんで炎が出ねぇんだ!?」
「あー、さっき治療するときにキリンで魂いじったから」
「・・・はぁ!?
「まぁ、一時的にアニマを封じたと思ってくれればいいよ。時間が経てば元に戻るからさ」
「お前の仕業か!?」
ムキーっと癇癪を起こしながら転がってくる毛糸玉をクォンタムは持ち上げてポンポンとお手玉を始めた。
「やめっ、やめろこらああああ!?」
クォンタムはそのままバスケットボールの様にカエンを回転させた。
「てめめめめえええええええ!?」
「そういや、サプライズがまだだったな」
クォンタムはカエンを持ったまま朱雀に換装すると床にもう片方の手をついた。すると炎が燃え上がり始めた。
その炎は燃え広がることはなくその場で揺蕩っている。そしてその炎の上に陽炎が経ち、その陽炎の中に何やら人影が映し出された。
『お、連絡来たな』
「リヒトー。聞こえるかー?」
『ん-?おう、大丈夫だ』
「ヒノコは?」
『ここにいるぞ!もう里についたんだな!』
「久しぶりだな。ヒノコも」
「・・・『ヒノコ』?」
クォンタムは毛糸玉の回転を止めてカエンの頭を陽炎のほうへ向けてやった。
『ねーちゃん!久しぶり!!』
「ひ、ヒノコォ!!」
そう、転移者の元奴隷商人リヒトの秘書だったサラマンダー族のヒノコはカエンの妹だったのだ。
『んー、おまえもげんきそうだな~カエン』
「お、お前っ!生きてやがったのか『くそ親父』!!」
「「「はぁっ!?!?」」」
場の空気が一瞬凍り付いた。
『はっはっは、んー、さすがは俺の娘だな。口が悪い悪い』
「テメェ!今どの面下げてヒノコと一緒にいやがんだ!アンタが出てった後、アタシらは散々だった!転移者とはいえ人の血が混じってるってだけで肩身の狭い思いをした!母さんはアンタがいなくなって今も家に引きこもってる!厄介払いのために里の代表って名目で何度も危険な戦地へ行かされた!ヒノコは戦場で人族に捕まって奴隷にされたって聞いてた・・・。それが何でアンタなんかと・・・」
『姉ちゃん!もういいんだよ。アタシを奴隷になる前に救ってくれたのはリヒトなんだ!』
『そうだぞー。ん~、父ちゃんに感謝しろカエン』
「黙れ!!」
「つーか、リヒトさん。アンタいくつだっけ?結構若いように見えたんだけど?」
「え?俺今33歳だけど?」
「おっさんじゃん。というかヒノコさん娘だったのか。恋人だと思ってた」
『ん~まぁヒノコが俺が父親だって打ち明けたのはお前らと会った後だからな」
「めっちゃ最近だな」
『そうだよ。ホントにびっくりした・・・(まさかこの歳になって初恋の相手が父親なんて恥ずかしすぎるわ!)』
「くそ親父が出てったのはヒノコが物心つく前だったからな!」
「まぁ、いろいろあると思うけど妹さんが無事でよかったじゃない。だから恨みなんか忘れて協力して?」
「するわけねぇだろ!!」
「やっぱりね」
『お父さんからも頼むわ協力してやってくれ』
「余計ヤダね!!」
毛糸玉カエンは首をひねってそっぽを向いてしまう。
「あのー、口をはさんで申し訳ないんですがリヒトは何でご家族を捨ててまで奴隷商人に?」
『おお、コデ坊ちゃん。お久しぶりです。今は『職業案内人』ですのでお間違いなきように。変な誤解が生まれてしまいます』
「え、ああ、はい」
誤解も何ももう手遅れだろと思うコデであった。
「奴隷商人!?よりによってそんな仕事してやがったのかくそ親父!!」
『そうだよ。ん~、だからこそヒノコを見つけられたってのもあるけどね。蛇の道は蛇ってな。まぁそれより今はコデ坊ちゃんの質問に答えようか・・・。俺がこの世界に来たのは13歳の頃だった』
リヒトは中学生の頃にこの世界にやってきた。そして女神に力を与えられ、この世界で好きに生きてみなさいと言われたのである。
彼が転移させられた場所は人間領のある鉱山だった。そこでは犯罪者や奴隷たちが働かされていたそうだ。働かないものには鞭がお見舞いされていた。
『俺は好奇心旺盛なガキだった。まずはこの世界を知りたいから旅をしようと考えたんだ。でもその時の俺は一文無しだったからその鉱山で働かせてもらえるよう頼み込んだ。そしてそこを管理者してた貴族と仲良くなって奴隷たちに鞭を撃っていた監督官のおっさんに鞭の使い方を習ったんだ。そして半年後には俺が鉱山の監督官になってた』
そしてある程度お金がたまると鉱山の監督官を辞めて世界を巡る旅を始めたのだ。
『旅をしてた頃はテルヒコもいなかったからな。魔族と人族はん~~~っとバチバチにやりあってた。どこもかしこも戦いだらけ。俺は転移者で力があったから戦争に巻き込まれてもまぁ平気だったけどな』
そして、戦いが広がるそんな世界でリヒトはサラマンダー族の女性『アカリ』と出会った。
彼女はサラマンダー族の戦士として戦場に出ていたのだが負傷し傷ついていたところへリヒトが通りかかったのだ。
『その時彼女は手練れの人族の部隊に追い回されててな。ほっときゃいいのに助けちまったのさ。俺も若かった。そっからは、ん~まぁ、よくある話だよ。助けちまったなら最後まで責任持たねぇと気持ち悪いのが日本人ってやつさ。彼女の傷を治療して故郷まで送り届けてやった。そういう関係になったのはその道中さ。彼女はサラマンダー族の中でも相当デキたから体の温度調節もうまかったので『そういうこと』も難なくこなせたな~。ん~人間とはまた違う感触だった』
「そ、そういうのはいいです」
『ああ、そうだな。俺は里に彼女を返した後すぐ旅を再開するつもりだったんだよ。サラマンダー族の里って超暑くて長居できそうになかったし。んー、でもアカリの奴とやることやっちゃってたからさー。どうしようかと思案してたら。里長が俺にサラマンダーの熱耐性を与える秘薬をくれたんだよ』
「え?そんなもんあんの?」
「ああ、俺らサラマンダー族の幼少期に抜け落ちた鱗を干物にして煎じて飲めばいい」
「結構簡単だな」
「でも幼少期のものしか使えんから少量しか作れん上に耐性を得るにはそこそこ量がいる。数十年に一人分くらいしか作れんのだ。秘薬は魔王軍に超高額で引き取ってもらえたから人間にやるなんぞ前代未聞だったがアカリは里最強の戦士だったからな。特別だ」
『そのあと彼女と結婚してヒノコとカエンが生まれたんだ。そんでヒノコが生まれてすぐの頃だったなぁ。魔族の政治が主戦派の貴族主体になってったのは』
「そ、それって・・・」
『ああ、俺は里の連中に頼まれて出てったのさ。人が里にいることがバレれば罰を受けるからってよ。なぁ、里長?』
「・・・あぁ」
里長は苦虫を嚙み潰したような表情で頷いた。
その事実に一番驚いていたのはカエンとヒノコであった。
「ちょっと待てよ・・・。そんなの聞いてねぇぞ!!!どういうことだジジイ!!」
カエンが里長に食って掛かろうとしたが・・・。
『黙れカエン!!』
「ひっ!?」
リヒトの真剣な怒鳴り声にカエンがたじろいだ。
『里長には里を守る責任がある。お前でもそれぐらい分かるだろ!!』
「あ、う・・」
「いいんだよリヒト。そう、リヒトには里を守るために出て行ったもらった。だが、リヒトが出て行ったとしても魔族と人間が愛し合って生まれたヒノコとカエンを主戦派連中が許すはずはない。だから主戦派にはお前たちはアカリが戦場で敵兵に捕まって孕まされた子だと言い、それをアカリ『生まれてくる子に罪はないと言って一人で育てている』と言い訳をしたのだ。奴らも渋々納得してくれた。だが、それ以降、主戦派の監視の目がお前たちにつくことになった。事の真偽を見定めるためにな。その為、私たちお前たちに辛く当たり、厳しく鍛え続け、魔王軍のただの戦力として扱い続けた。アカリが家に引きこもったのはお前らにやさしく接する姿を外では見せないようにするためだ」
「そう、だったのか・・・」
『でも、そのおかげでアタシはお父さんと再会できたんだよ。お姉ちゃん』
「・・・でもよぉ。そう簡単に割り切れるかよ。おいて行かれた時、アタシがどんなに悲しかったか!母さんなんて三日三晩泣き続けてたんだぞ!」
『んー・・・そうか。でもな。お前がそこのちんちくりんゴーレムとテルヒコの問題解決に協力してくれりゃ、魔族と人族の手を取り合える未来がやってくるんだ。そうなりゃ大手を振ってお前らにまた会いに行ける。その時、今までため込んだモン全部俺にぶつけりゃいいさ』
「そうなのか!?」
カエンがクォンタムに尋ねるとクォンタムはすこーし頭をひねって考える。
「あー、そういえばそうなるのか。現状の打破しか考えてなかったからな。先のこと考えたらそうなるわ」
「・・・そ、そっか」
『姉ちゃん・・・』
「わかった!協力してやるよ!首洗って待ってろ『お父さん』」
『ああ!』
お互いに晴れやかな顔で見つめあう二人。その眼には曇りは一つもなかった。
「・・・。でもなんで奴隷商人になったんですか?フツーにひどいこともやってましたよね?」
『え、んーあー。一番稼ぎがよかったからかな?』
「・・・やっぱくそ親父じゃねぇか!!」
『うるせー!色々あったんだよ!アカリと離れ離れになってちょっと荒んでたの!!」
「あーはいはい、もういいよね」
『え!?んー・・・ちょっ(ブツン)』
クォンタムは炎を消すとカエンの毛糸玉を解いてやった。
「さてと、じゃあさっそくいいかい?」
「おう、やってやろうじゃねぇか」
「テルヒコ」
「ああ・・・こいつを破壊して・・・あれ!?」
「どうした?」
「・・・ない」
「は!?」
「拘束してたはずのサンマが・・・ない!!」
「・・・えぇ」
つづく




