二章・第二十三箱「劇中で高威力のビームを撃つと砲身が溶けるのを見るたびもったいないと思ってしまう」
おはこんばんにちは海人藤カロでーす。
今回からサラマンダー編の始まりでーす。話的にはそこまで長い話ではないですが色々と重要な部分が出てきますのでご期待ください!
ではいつも通り面白いと思ったらブックマーク!
感想!評価などもろもろお待ちしておりますのでよろしくお願いいたします。
クォンタム一行はテルヒコの罪を帳消しする術の実行のため命のアニマの使い手であるゴーレム族の起源神様を訪ねた。
だが、ゴーレム族の里にいた起源神様は数年前から沈黙を保ったまま反応を示さなくなったという。
その原因が起源神様のご神体のデザインだということに気づいたクォンタムは起源神様の気に入りそうな新たな御神体を仲間とともに作成し献上した。
新たな御神体『エンジェルハート』に入った起源神は自身を『エンジン』と名付けてクォンタムへの協力を約束してくれた。
だが、クォンタムに同行する前に今まで放置していたゴーレム族たちへの仕事を片付けなければならずクォンタムたちは先にサラマンダー族の里へ魔族最強の炎と弓の使い手『カエン』に会いに行くことに。
だが、カエンには妹を人族にさらわれたという過去が。
クォンタムは無事にカエンの協力を受けることができるのだろうか?
〇
エンジンのことは後回しにしてクォンタムたちは火山の火口付近にあるというサラマンダー族の里を目指して歩いていた。
ここら一帯は気温が高すぎてメッシーも登ってこれないのだ。
向かっているメンバーはクォンタム、トラマル、テルヒコ、ディーナ、コデ、シルクの六名である。
皆が歩を進めている最中、クォンタムは一度朱雀へと姿を変えて手から発している炎に何やら話しかけていた。仲間の温度調節はシルクに任せてある。
「あーやっぱりそうかー。ってことはさーこっちに来てくれれば全部解決するんだけど。・・・・そうだよな。いきなりは無理か。じゃあさーーーーー」
「さっきからクォンタムは何を話しているんだ?」
「さあ?あの炎どこかとつながっているようだが・・・」
「師匠!ちょっとよろしいですか!」
「なに?」
「あ、お電話のほうは?」
「もういいよ。おわったから」
やはり誰かと連絡を取っていたようだ。
「なぜに坊ちゃんも一緒なんですか?」
「人間連れてったらどれだけ怒ってるかわかると思って。話し合いだけじゃ腹の内まではわからんからな。憎しみの対象を目の前にした時どういう対応をとるかが見たいんだよ。あまりに憎悪が強すぎるってんなら話し合いすら出来ないと思うし協力もしてくれないだろうしな」
「そうね。いきなり襲い掛かってくるかも」
「ぼ、僕は無事に帰れるんでしょうか?」
「大丈夫だ坊ちゃん。師匠も俺もいる」
トラマルがコデにぐっと親指を立てる。それを見てコデの表情から緊張が少し取れた。
そして一行の前に巨大な火山岩で作られた石の門が現れた。
「ここがサラマンダー族の里への入り口か」
「ン?門の前に石で看板が・・・」
石造りの看板には『汝の思いの熱さを示せ。さすれば門は開かれる』と書かれていた。
「思いの熱さ?」
「どういう意味だろう?」
「わかんない時は調べるのが一番」
と言ってクォンタムは門に手を当ててみるとピタッと動きを止めた。そしてゆっくりと振り返ると。
クォンタムの右腕が融解してぼたぼたと滴っていた。
「溶けた」
「し、師匠の腕を溶かすだとぉ!?」
「大丈夫なのですか?!」
「ああ、また作り直せばいいから」
そう言ってクォンタムは新しい朱雀を出現させて機体を乗り換えた。
「朱雀でも溶けるって相当だな。門自体はそんなに重くない。トラマルやテルヒコなら一人でも開けられるけど・・」
「この熱が問題ですね」
「この熱、多分炎のアニマが関係してると思います。クォンタム様の腕が溶けるなんてこの門だけ以上に高温すぎる。しかも門が発している熱気が周囲に乱気流を生み出してます。上を飛び越えるのも危ないですね」
「えーと、サラマンダー族は炎のアニマしか持たない種族で種族の特性によってアニマの力を物に宿すことができるのだとか。しかも熱への耐性はアニマ抜きにして全魔族一だそうです」
ここでもコデの魔物知識が役に立った。
「てことはこの門はサラマンダー族が総出で作ったサラマンダー族専用の門ってことか」
「この程度の熱に耐えられなきゃ入る資格すらないんだろ」
「サラマンダー族と同等の熱耐性がなければ無理か。どうする?」
『埋めるか』
「「「なるほど」」」
クォンタムはおもむろに白虎へ乗り換えると地面に手を当てた。同時に門が立っている地面が緩み、門がズブズブと地面の中へと埋まっていった。
「うっし」
クォンタムたちが門の上を通り過ぎるとクォンタムは振り向いて再び手を地面につき門を元に戻した。
「あれ?戻すんですか」
「うん。『変な奴』が入ってきても困るだろ」
そういうと踵を返して里のほうへ進もうとした時であった。
ヒューン・・・。
「・・・やばっ」
クォンタムはとっさに地面をたたいて巨大な土のドームで仲間を包み込んだ。
「クォンタム様!?」
「師匠!?」
「伏せろ!!」
次の瞬間、ドームが爆散した。
全員が地面に伏せっていたおかげで負傷者はいなかったが・・・。
「テメェら、何者だ!?なんで人間がここにいやがる!!」
近くの岩場の上から声がする。目を向けるとそこにはボウガンを背負ったサラマンダー族の女性の姿が。
人間のような顔立ちに全身に廻った赤い鱗。背負ったボウガン、そして人間への激しい憎悪の表情。
「(特徴一致、彼女が・・・)えーとですね。私らちょっとあなたにご助力をお頼み申し上げに来たのですが」
「人間連れてるやつに話すことなんざねぇ!!」
そう言ってカエンは背に負っていたボウガンを引き抜くとクォンタムたちへ向かって引き金を引いた。
「問答無用か!」
ヒューン、ドカアアアアン!!
クォンタムたちがさっき立っていた場所が木端微塵に吹き飛んだ。
「うおおおお!?」
クォンタムは青龍へ乗り換え、仲間たちを風の防壁で守ったがまとめて吹き飛ばされてしまった。
「皆ケガは?」
「問題ない!」
「だ。だいじょうぶです・・・げほ・・・」
「もう。着物の裾が焦げました」
「なんという火力。ボウガンというよりロケットランチャーだ!」
「弓に矢をつがえている様子はなかった。おそらく炎のアニマを矢の代わりに飛ばしているのだろうが・・・」
「弓の型と強力な炎のアニマ。相乗効果で青龍クォンタムの力でも防ぐのがやっとなほどの火力を有してやがる」
「これは『説得』に骨が折れそうですな」
「説得(物理)ってあんまり気乗りしないんだけど仕方ないか・・・来るぞ!!」
クォンタムが声を上げると同時にまだ立ち上る煙と粉塵の中からいくつもの炎の矢が飛来する!
「連射できるのかよあれ!?」
「トラマル!コデを連れて離れてろ!」
「御意!」
「ディーナさんとシルクは下がって援護頼む!俺とテルヒコで直接ふんじばってやる!!!」
クォンタムは両腕から竜巻を発生させて炎の矢を巻き込ませる。すると矢同士が互いにぶつかり合って空中で爆散した。
「風力操作・・それがてめぇの能力か」
煙の中からカエンがやっと顔を出した。
「俺には炎も矢も通用しないよ」
「ほぉ。だったらこれはどうだ?カアアアアアアァっ!!」
カエンの全身からすさまじいほどの熱気が吹き上がる。
(何がしたいのかは知らないけどまずは風で包んで動きを止める!)
「風壁牢!!」
クォンタムから発せられた竜巻が球体を描くようにカエンを取り囲む。
「一歩でも動けば全身が細切れになるぞ!動くなよ!最初に行ったけど俺たちはアンタに頼みごとがあるだけだ。サラマンダーの里を襲いに来たわけでもあんたと闘いたいわけでもない!頼むから剣をおさめてくれ!」
「黙れ!!聞く耳もたん!」
さらに上昇していく彼女の熱気。その熱気がある変化を生んだ。
彼女の周囲を覆っていた竜巻が歪み始めたのである。
(た、竜巻が維持できねぇ!)
「クアアアアアアッ!!」
ボヒュウウウウウウ!!
彼女の熱気はすさまじい風を呼び、周りの竜巻を空高く押し上げた。
「これは・・・上昇気流ってやつか!」
「そうです!彼女のすさまじい熱気が上昇気流を生みだして風の牢獄を引っぺがしたんだ!」
「これじゃ青龍の強みが全く・・・」
「まずいぞクォンタム!我々の体を守ってきた風の鎧もはがされてきてる!火口付近の上にこんな熱気にさらされたら物の数分で丸焼きだぞ!?」
「えーと・・・」
クォンタムはどうすべきか考えあぐねていた。今この状況で青龍以外の力を使おうとすれば風の操作が途切れて皆丸焼きだ。でもそれはこのままじり貧状態でも変わらない。
こうなってしまってはカエンを力づくで止めるしかないのだが(まぁ元からふんじばる予定だったけれども)彼女を傷つけることはしない方針だ。だがこれではそうもいっていられない。
「・・・」
クォンタムは黙って真・青龍刀を取り出して構えた。
その構えは半身になって両手に持った青龍刀の刃を後ろへを反らす。
「テメェの風はもうアタシにゃ届かねぇぞ!!火だるまになって死にやがれ!!」
彼女は上昇気流ので発生させた風に炎を加えてそれを矢の形に圧縮するとボウガンでそれを撃ち出した!
放たれた高密度の炎の矢はすさまじい気流を生み出しながら突っ込んでくる。しかも矢は発生している乱気流の影響を受けずにまっすぐこちらへ飛んでくるではないか!
「テルヒコ、後ろの二人頼むわ」
「心得た」
テルヒコはこの場はクォンタムに任せるしかないことを瞬時に判断して後ろにいたディーナとシルクを抱えると一目散にその場から逃げだした。
「燃え尽きろ!!『大熱波爆撃弾』」
超中二臭いネーミングの必殺技が着弾する瞬間、クォンタムの青龍刀の一太刀が・・・。
『裂雲』
放たれた一閃は敵の大熱波爆撃弾を真っ二つに切り裂いた。そして斬撃は気流の流れすら無視して切り裂き、最後にはカエンの肩から胸にかけてを斜めに大きく切り裂いた・・・。
「ば、ばかな・・・」
「青龍の能力の神髄は風を操ることじゃない。本来は圧倒的攻撃性能に風の鋭さを加えた防御無視の圧倒的な切れ味なのさ。相手のどんな攻撃をも切り伏せ、どんな防御すらも突破する。一撃必殺の切れ味。まぁ今まであんたには防御しか見せてなかったからわからないのも無理はない」
「く、そ、その気になればいつでもやれたってのか」
「うん。まぁちょっと寝ててよ。起きたらまた話そう。サプライズもあるしね」
カエンはクォンタムのその言葉を聞きながら意識を失った。
クォンタムの言うサプライズとは一体?
つづく




