二章・第二十二箱「推しのロボットの後継機が全然違う形だったとしても嫌いにならないのが真のファン」
おはこんばんにちは海人藤カロでーす。
はい、ここ数か月更新をしていなかったのは・・・まぁ、今はやりのあれでベッドインしてました。
(そしてそのお見舞いでswichが送られてきたのでずっと遊んでました)
今日から毎週日曜日更新再会しますので待たせてしまったファンの皆様申し訳ございません!!
では、面白いと思ったらブックマーク!評価、感想!ツイッター等で拡散などなどよろしくお願いいたします。
クォンタムたちは生命のアニマの使い手を探しに火山地帯にあるゴーレムの里へとやって来た。そこで彼らはゴーレムを生み出したとされる起源神を見つけることができたのだが。
「起源神様はここ数年我らと口もきいて下さらぬ」
と、ゴーレム族の里長から話されその原因を探ってみることにしたが直ぐにそれが発覚したのだ。
「どう考えても貴様らの作った土偶が木に喰わなかったんだろ」
そう。起源神の魂を宿す土偶があるのだがここ数年間は起源神の土偶を現里長の一族がデザインしてきたらしい。そしてそのデザインは・・・まぁ・・・アレだったので起源神はご機嫌斜めになりゴーレムたちにそっぽを向いてしまったそうだ。
そして上記のトラマルの一言を受けてゴーレム里長はショックで塵と化した。(気絶しただけで目を覚ませば元もの形に戻るらしい)
「だったらロボ娘々シリーズでいこう!!」
なのでクォンタムは起源神(女性)のためにロボ娘々シリーズをモデルとした土偶を作ることに。
〇
ロボ娘々シリーズ。それはクォンタムシリーズ以外で朱火が好んで見ていたロボ娘が活躍するほのぼのアニメ。そのディティールは簡単に言えば「●ダロット」とかに通じている。人型、特に少女の形をしたロボットが売りのアニメであった。その種類150以上。
その中からクォンタムが選び出したのは・・・。
〇
クォンタムは白虎で地面から土を引っ張り出すとその中から鉱物のみを引っ張り出して固めるを繰り返していた。それを数十回繰り返して様々な鉱物が混ざった合成金属が完成。
「よし。素材は出来たな」
クォンタムは両腕を朱雀へと換装し、熱を加えながらその合金の塊をこねまわして白虎の尻尾で叩いていく。
すると金属から不純物が叩きだされて丈夫な鋼へと変貌を遂げていく。これは只の鋼ではなくクォンタムが神の力を加えて鍛え上げた超合金だ。
「うっし、そっちはー?」
クォンタムは青龍へと換装して風で溶けた合金を持ち上げると皆に呼びかける。
彼の背後では他のメンバーが地面にいくつもの図形を描いていた。
「こんな感じでいいのか?」
「こちらも終わりました!」
「ていうか何だコレ?」
「あー、鋳型の代わりだよ」
「イガタ?」
「つまり組み立て式おもちゃの設計図のことですな!コレに溶かした金属を流しいれて(うんぬんかんぬん)」
「あーそうそう、そう言う事。外装は彫って作るけど内部骨格はこの方が早いから。ギン、もう入れていいか?」
「ああ、周囲の地面は俺の重力でがっちり固めてあっからよ!高熱の鉄を流し込まれようが型が崩れることはねぇさ」
「よし!」
クォンタムは地面に掘らせた鋳型に溶けた超合金を流し込んでいく。
全体にいきわたったことを確認すると次は玄武に換装して水をかけて熱を冷ましていく。
完全に冷めたら型に入れた超合金パーツを引き抜いて、洗浄して、乾かして、組み立てていく。
「おおー、ホントに人の骨みたいになった!」
「よし!ここからが本番だ!」
「クォンタム、なんか楽しそうね」
クォンタムは残った超合金を各体の部位ごとに纏わりつかせて固めると彫刻を開始した。
四聖獣の中で最も鋭い白虎の爪を使ってゆっくりゆっくり形を整えていく。
数時間後・・・。
「できた!ロボ娘々シリーズ!エンジェルハートちゃんの完成だ!!」
「「「・・・」」」
クォンタムが作り上げた「エンジェルハート」は天使をモデルに作られたメカ娘々なのだが・・。
「顔が歪んでますね」
「うっ・・・」
「両羽のバランスが悪いし、形が悪魔族の羽みたいだわ」
「グッ・・・」
「下手糞ですね師匠!!」
「グバァっ!?」
クォンタムは口から何か吐くフリをして地面に倒れ伏した。
「トラマル、またお前は・・・」
「すまぬ、すまぬ師匠」
「いや、いいんだ。どうせ俺なんて戦闘力だけしか取り柄のない無能なんだ・・・」
皆でクォンタムを慰めつつどんなのを作りたかったのか聞くことに。
「えっとね・・・」
クォンタムは白虎の姿で掌の上に土を乗っけるとその土を操作してミニチュアサイズのエンジェルハートを作り出した。
「こんな感じです」
それを見たみんなは。
「あのさ、作りたいものは分かったんだけど・・・」
「師匠、その能力で作ったらよいのでは?」
「違うんだよおおおお!!」
クォンタムは力強く地面を両こぶしで叩いた。
「それじゃあ『魂』が入らないんだよォ!!!チートで作った空っぽの器じゃ心は動かせねぇんだよォ!!」
(うわ、めんどくせぇコイツ)
(なんとクォンタムさんにこんな一面があったとは)
(わたしの鎧もあんな感じにしたらクォンタムは気に入ってくれるのかしら?)
頑なに白虎の力を使いたくないというのでクォンタムが作ったミニチュアを元にみんなでエンジェルハートを彫ることになった。
コデがミニチュアを見て全体を確認しながら指示を出す係、そのほかのメンバー(クォンタム以外)が彫る係である。
「ギンさん、目の丸みをもう少し強くしてください」
「おう、こんな感じか?」
「はい!ディーナさん、関節部にある線深く掘りすぎないように!」
「わ、わかった。あんがい難しいわね」
「ちょっ!?トラマルさん!?羽が猛禽類の羽みたいになってますよ!?」
「この方が飛べそうだ」
「これは可愛さが売りのゴーレムなんですよ!羽は可愛さを表すための飾りなんです!」
「なにぃ!飛べぬ翼に何の意味が!?」
「だから可愛さを・・・」
「ならばこんな羽は不要」
ベキィ!!
トラマルは勢いよく根元から羽の部分をへし折った。
「何してるんですかああああ!?」
「このアホ弟子があああ!!」
「飾りというならこんなにデカい翼と羽は邪魔なだけでは?」
「でもそうすると可愛さが・・・」
「かわいい羽根が必要ならば・・・師匠、ちょっと」
トラマルはちぎった両羽をクォンタムの所へ持っていくとある提案をした。
それを聞いたクォンタムは。
「んー。一行の余地ありだな」
「ではお願いします」
クォンタムは羽根を再びドロドロに溶かすといくつもの天使の羽をあしらったアクセサリーを作っていく。
それをトラマルがエンジェルハートの体の各所に取り付けていく(溶接)。背中の羽は原案の10分の1程度の大きさまで縮んだが小さくてかわいくなった。
「おお、これはこれで」
「この方が機能的ですな」
「飛べはしないけど跳べそう」
エンジェルハート自体の飾り気が天使の輪と羽、スカートっぽい腰部のアーマーくらいしかなかったので多少のアクセサリの増加は違和感を生まなかった。
(うーむ、素人の意見を参考にしてみるのも一興。「推し」を自身の価値観で縛り付けるのはファンとしてやってはいけない行為だというのに俺としたことが。やはり何事も柔軟にだな。記憶しておこう)
こうして新たなるご神体が完成した。
〇
クォンタムが新たな御神体を現御神体の前まで運ぶと復活した里長が待っていた。
「いやはや、先ほどは見苦しい姿を見せてしまってすみません。おお、これが新たな御神体ですか!今までのゴーレム族にはない更に人間へと近づけた造形、それでいてゴーレム族のように無機物に近いモノも感じるとは・・・生物となんというバランス!」
それに関しては最初にロボっ娘を考えた人を称賛したい。
「では早速ご神体の前に置きましょう」
クォンタムたちは御神体エンジェルハートを旧御神体の前へ置く。
すると旧御神体が輝きだし・・・。
ポンッ。
中から人魂のような者が飛び出してきた。
「うおお。人魂だ」
その人魂はエンジェルハートの周りをまとわりつくようにくるくると飛び回る。どうやら品定めをしているようだ。
そして全体を観察し終えると人魂はエンジェルハートに頭から突っ込んだ。エンジェルハートの体全体が発光したと思えば全身が着色されていく。
全身白ベースの体に真っ赤な瞳、何故か頭上に出現する天使の光輪、その姿は多少原作とは違うがクォンタムが思い描いたエンジェルハートの姿ほぼそのままであった。
「・・・」
発光が収まるとエンジェルハートの体が動き出した。駆動を確認しているのだろう、両手両足、首、等の関節の可動範囲を確認していく。
「あ、あの」
コデが話しかけるが応答はしない。夢中で自分の体を動かしている。
そしてある程度動かし終わると・・・。
ドガン!!!
彼女は目にもとまらぬ速さで移動して里長にアッパーカットを叩き込んだ。
「アバー!?」
「このくそ爺がああああ!!お前らの生みの親であるアタクシ様を何年にもわたって悪趣味な御神体の中に入れやがって!!」
倒れた里長に対して蹴りを何度も叩き込みながら今までの不満をぶちまけていく。
(スゲェガラわるいな)
(里長、自業自得とはいえ・・・)
里長は起源神の罵詈雑言と暴力に何度も砂になりかけるが起源神様はそれを許さなかった。
能力を使ったのか里長の体を固定して蹴りを浴びせ続けた。そしてすべてを吐き出した後。
「ありがとおおおおお!!」
クォンタムたちへ深々と頭を下げた。
「いやー、この体最高よ!かわいくて、動けて、喋れるなんて!!今までゴーレムたちが作ってくれた土偶じゃテレパシー程度しかできなかったのに!」
「ほぉーー」
クォンタムは彼女の全身をなめるように観察すると。
「すみません、一枚いいですか?」
と、問いかけた。
「え?一枚?」
「あ!そうだカメラないんだ・・。スケッチじゃ時間かかるし、くそっ!SDのオカルトパワーを駆使しても動画、写真一つ撮れないなんて!俺たちの世界の科学者、発明家たちはなんて偉大だったんだ!」
原理さえわかれば再現は可能かもしれないが残念ながらクォンタムにそんな知識はない。
「師匠、パトランプなら鑑識用のカメラ機能があるのでは?」
「・・・あぁ」
ポラロイド使用だったのですぐに現像できた。
「ありがとうございます」
クォンタムは深々と頭を下げて握手した。
さっき感謝されてた側がすぐに感謝し返す稀有な例である。起源神殿も若干引き気味だ。
「ど、どういたしまして」
「師匠、もういいから本題へ」
「あ、そうだった」
クォンタムは自分たちの現状と目的を説明する。
「なるほどね。アタクシ様がいれば全部チャラにできて尚且つ両種族の仲も取り持てると。いいよ、協力しましょう。この体のお礼もあるし」
「ああ・・これで妻や弟子たちが蘇るのか!」
「だからまだできると決まったわけじゃないっての。じゃあ起源神さん。出発しましょう」
「あー、ごめん。アタクシ様、まだ出発できないのよ。ゴーレムたちの寿命を戻してやんないと」
ぶっ倒れてる里長を指さしてそう言った。
そしていつの間にやら周囲をゴーレム族たちが囲んでいたのだ。
「うおお!起源神様が復活なされたぞー!!」
「ごれでゴーレム族の危機は去った!!」
「里を危機に陥れた現里長とその一族は今をもってクビだー!!追放だー!!」
「こらこら、こいつらも悪気があったわけじゃないし。ちゃんとお仕置きしたんだからもう怒りをおさめなお前ら」
「「「はい!起源神様がそうおっしゃるのなら!!」」」
ゴーレム族をまとめ上げるその姿はまるで暴走族の総長のようだった。
こんなの慈愛に満ちた人型ロボットであるエンジェルハートとは似ても似つかないが。
(これはこれであり)
ファンたるもの推しがどう変わろうと寛容な心で受け入れねばならないのだ。
「さて、どうしようか。この里で待ってたほうがいいかな?」
「なら先にサラマンダー族の里に行ったらいいんじゃねぇか?」
「そうね、その帰りにアタクシ様を拾ってよ」
「わかりました。では起源神様。また後程」
「もう堅苦しいから起源神なんてやめてよ。そうだねー、この姿がエンジェルハートだから。エンジン!そう!エンジンって呼んでよ!かっこいい!」
(趣味がことごとくアレだけど本人喜んでるしいいか)
「わかった。また来るよエンジン」
「そうとなりゃ俺たちはサラマンダーの里へ出発だ!」
「あ、ちょっと待ちなあんたたち」
エンジンがクォンタムたちを呼び止めた。
「どうした?」
「サラマンダーの里へ行くならそっちの獣人と『人間の小僧』は置いていった方がいい。
「ええ!?なんでだよ!この部隊の主力である俺様を置いていくなんてありえねぇだろ!!」
ギンよ。パットした活躍もないのにいつ主力になったというのか。
「サラマンダーの里はここよりさらに火口に近い。熱中症で死にたいなら止めないけどさ」
「あー。そ、それはだめだな~」
獣人族は総じて分厚い毛皮のせいで暑いのが苦手なのだ。
「青龍の力でなんとかできるけどもし戦闘になったらそっちまで気を回せないだろうし。ギンは残ったほうがいいな。青龍の能力が解けたとたん焼け死ぬぞ」
「だ、だな。残ってエンジンの警護するわ」
「コデのほうの理由は?」
「そっちの獣人と同じく普通の人間には火口付近は辛いってのと・・。アンタらカエンに会いに行くんだろ?だったら『人間』は連れて行かないほうがいい」
「確かに今まで人間連れてるだけで突っかかってきた連中は多かったけど・・」
「カエンの人間への憎悪はそこいらの一般魔族の比じゃないないよ。あいつは・・・昔、」幼い『妹』を人間に連れ去られてるんだ」
「「!?」」」
「今もカエンは人間族との戦場へ行っては妹を探し続けてる。奴隷兵として戦場に出てないかってね。そんな奴の前に人間なんて連れて行った日にゃ、火山なんて目じゃない大爆発が起こるだろうさ」
「なんと」
カエンの持つ人間族へのすさまじい憎悪が明かされた。そんな過去を持つ彼女に人間族と魔族の和解への協力を頼むことができるのだろうか。
つづく




