二章・第十八箱「地震対策にプラモを下の方に飾っておくと高確率で踏む」
おはこんばんにちは海人藤カロでーす。
大阪在住の私ですがコロナに負けずに今週も投稿頑張っております!
地震も多くなってきて不安も多い世の中ですが俺の作品で元気になってくだせぇ!!
では面白いと思ったらブックマーク!感想、評価、レビュー!その他もろもろよろしくお願いいたします!
やっとテルヒコの有力な情報を得たクォンタムたちはその情報をもとに魔王軍のサイクロプス族の訓練場、集落へと足を踏み入れた。
当然の如くコデとトラマルに付いて尋ねられて『人間殺す』となってしまった。
何とか状況の説明をしてサイクロプスたちを説得しようと試みるがテルヒコの存在に半信半疑の彼らはテルヒコを捕まえれば信じると言って七日間の猶予をクォンタム達に与えた。
後7日以内にテルヒコを捕まえなければサイクロプスたちと事を構えなければならい。そこでクォンタムは自身がテルヒコの仇を演じて近くに潜んでいるであろうテルヒコをおびき出す作戦に出る。
サイクロプス族の兵士たちとも協力して始まった囮作戦、果たして成功なるか?
〇
囮作戦が始まって既に数日が経過していた。
「さてとこんなもんか」
クォンタムは持っていたレーザーサイズを肩にかけて「ふぅ」とため息をついた。
その後ろには例の如くコテンパンにされたサイクロプスたちが山積みにされていた。
(これで約束を果たせなくても俺たちに無理やり突っかかってこようとは思うまい)
「コ、コンカイハココマデニシテオコウ」
「そうですね。ありがとうございました」
今回で三度目の訓練。サイクロプスたちもそろそろ及び腰になってきた。
そしてそろそろ噂拡散係のジェノサイダーズたちの仕事も終わるころだ。
(来るとしたら今夜か明日ごろか)
そんなことを考えながらクォンタムは近くの森の中にある訓練用アスレチックへと向かった。
そこには持久力を鍛えるために多くの手作り感あふれるアスレチックが用意されていた。パルクールでもしたらたのしそうだが魔族用に作ってあるため結構殺意高めなモノ(鋼鉄製の刃物や下にとげが敷き詰められたウンテイなど)が用意されている。
今そこは誰一人使っていなかった。クォンタムはそこで一人で自主練を始めてた。
〇
クォンタムが自主練を始めてしばらくすると日が暮れ始めた。
辺りは薄暗くなり、空は夕日の血のような赤で染まっていた。
クォンタムは飛び跳ねていた足を止めて周囲を見回す。
(どうやら今日もハズレか)
そう思ってアスレチックから降りて拠点にしている空き家に戻ろうとした時だった。
彼の背後に人の気配があった。クォンタムは悟ったような表情で振り向くと。
「・・・」
そこには無言でこちらを睨むキレイに剃られた頭をした男が立っていた。背には黒くて長い棒のような物を持っている。錫杖だろうか?
僧侶であるだろうその男はクォンタムに向かって背負っていた棒を構えた。
それに対しクォンタムも武器を構える。
「「・・・」」
ガキインッ!!!
咄嗟に二人の距離が詰まり、ちょうど中間で金属音が響いた。
方や錫杖、方やレーザーサイズの柄同士が競り合い、押しあっていた。
どちらとも問答無用。クォンタムも最初からテルヒコとの話し合いでの解決などできないと割り切っていた。
何故なら外獣クマノミからサンマの能力が『形態変化』と『洗脳』だと聞かされていたからである。
洗脳は言葉通りの能力。しかし精神が不安定な相手にしか上手く機能しないらしい。形態変化は自身の体積以内ならどんな形に出も姿を変えられるというものだ。
つまり、テルヒコは既に洗脳されていると確信しているのだ。
ガッ!!
両者その場から後ろに飛んで距離を取る。それと同時にクォンタムがレーザーサイズによる斬撃飛ばしでしかけた!
「っ!」
テルヒコは錫杖を回転させて難なくそれを掃い飛ばす。
それを見たクォンタムは背に着けていたマントを全身で羽織る。それと同時にマントの光学迷彩が発動してクォンタムが姿を消した。
「消えた!?」
周囲に静寂が流れる。
それを裂くかのようにテルヒコの頭上から巨大な光の鎌が振り下ろされた。
ガキィン!!
しかし彼は驚くこともなく当然のようにその攻撃を錫杖で受け止めて見せた
「その鎌・・あの傷跡・・やはり貴様が!!」
「・・・」
クォンタムは何も返答しない。そのまま鎌を引いてテルヒコの手から錫杖を巻き取ろうとするが。
テルヒコは咄嗟に錫杖を下へと叩き落し鎌から外すと足でけり上げて再び手中へ呼び込もうとする。
しかし、その錫杖を奪われまいと武器に気をやった瞬間だった。
「『重狼動』!!」
ギンの闇のアニマによる重力操作の技『重狼動』がテルヒコに炸裂した!
対象物の重力を数倍に引き上げるギンの今回やっと披露された必殺技である!
(今だ!!)
クォンタムはテルヒコから離れた錫杖を蹴り飛ばすとすぐさま黄龍に換装、テルヒコに組み付いて魂への干渉を始めた。
近くで隠れてみていたディーナとトラマルもテルヒコを押さえつける。
(外獣は離れた!今ならすぐに神成で彼を正常だった頃に戻せば・・!)
クォンタムの神成がテルヒコの魂へと到達。その中から正常な状態の体の記憶を呼び出そうとするが・・・。
「!?」
クォンタムがそこであることに気付いて驚愕し、動きを止めた。その時!
「サンマアアア!!何をしておるかッ!!!」
「す、すみませんご主人様!!」
テルヒコが声を荒げて名を呼ぶと先ほど弾いた錫杖から声が聞こえ、錫杖の柄が伸びてテルヒコの手に!
「ずあああああ!!」
自身の周りの重力を高められているにもかかわらずテルヒコはその剛腕で長くなった錫杖を振り回してクォンタムたちを吹き飛ばした!!
「「「うわああああ!?」」」」
「クォンタム様!?」
吹っ飛ばされた皆をシルクが糸で作った網で受け止めてくれた。
「皆さまお怪我は?」
「こっちは大丈夫、ごめん!俺がテルヒコの方を優先したばっかりに・・・」
「それはいいわ。洗脳されているなら彼を直すだけで全てが決着すると考えたのでしょう?間違っていないわよ。でも、なんで動きを止めたの?」
「神成はどうしたんだよ!」
「神成は・・・『できなかった』」
「どういうことです師匠!?」
「あの人は元から『正常』なのさ。正常に怒りと憎しみで支配されてる。あのサンマって外獣の怯えたような声を聴いて確信した。彼は自分の持ちうる力と怒りと憎しみとで外獣を支配下に置いてしまっているんだ。」
「ハァ!?」
そう、テルヒコは元から『外獣よりも強かった』のだ。
村が襲われ妻子、弟子たちを殺され復讐者と化したところへ外獣サンマがやって来た。
サンマは精神が不安定になっている彼ならば自身の『洗脳』能力で支配するのも容易いと考えた。しかし結果は洗脳は効かず、彼の復讐の道具としてこき使われる始末である。
「でもこの世界の侵攻は上手く行ってるって話じゃなかったの?万全を期して支援部隊まで送るほどに」
「傍から見たら外獣の力で世界を滅茶苦茶にしてるんだから成功してるように見えるんだろうさ」
「でも実態はこうなってたわけね」
鬼のごとき形相でこちらを見つめるテルヒコを見てギンは引きつった笑みを浮かべていた。
「でも、コレで一つ分かったことがある」
「ええ、テルヒコさんの村を襲った犯人は『この世界の誰か』ってことね」
「それが魔族か人族かはまだわからないけどね。でもどちらにせよ俺たちの目的は変わらない。彼を止める!」
全員がアイコンタクトをして頷く。
「最初の策は失敗した。なら『次』だ。シルク!」
「ええ、細工は流々。よろしいですよ」
「テルヒコが正気だと分かった以上、ぶっ倒してでも奴を止めて話をするしかない!!行くぞトラマル!!プランB!!」
「ええ行きましょう師匠!!」
クォンタムは姿を黄龍から白虎の動物形態へと換装させる。そして!!
「四聖・武装形態!!」
白虎クォンタムの体がバラバラに分解して二つの殴打用篭手へと変形する!!
そしてそれらがトラマルと合体!!
「「完成!!白虎・巖砕無双拳!!」」
白虎・巖砕無双拳。SDタイプのクォンタムがリアルタイプのクォンタムの武装へと変形する機能である。
老若男女問わず一緒に遊べるクォンタムをテーマにSDクォンタムにこっそりと組み込まれた仕様であった。
しかも装備できる規格が他作品の特撮ヒーローの人形などにも類似しているためヒーローとクォンタムの夢の合体などと雑誌に取り上げられたこともある画期的な機能!
「貴様・・トラマル!!お前も俺の仇の仲間だったのか!?」
「今のお前と言葉を交わしたところで無意味!男ならばその武勇で語ってみせい!!」
「言わずもがな!!」
テルヒコは錫杖の先端を槍へと変形させ、手先を起用に使いドリルのように錫杖を回転させ始める。
「ゼイアアアア!!!」
突き出されたその槍はソニックブームを引き起こすほどの速度を有していた!
「トラマル!避けるのは無理だ!」
「承知、ムン!!!」
トラマルは全身を引きしめて腹筋で音速の槍を受け止めた!
腹筋と槍の間で火花が散る!?
(生身が貫けない!?)
白虎の篭手を取り付けたことによりトラマルには白虎クォンタムの大地を操る力が付与されていた。
その能力で体内の炭素、鉄分を腹筋に集約させダイアモンドを超える硬度を生み出したのだ!
「効かん!!」
バキン!!と腹を突く槍(錫杖?)を弾いて見せる。
余裕を見せてテルヒコを威圧するトラマルだったがそんな彼の額には冷や汗が流れていた。
(少しでも能力が間に合わなければ、少しでも気を抜いていれば、貫かれていたな・・・)
「まさかこの形態で貫けぬとはな。だが、俺の槍を防ぐためにどれほど気を張っているのだ?」
(バレてる!?)
「一体あと何度耐えられる?」
更に回転を上げた錫杖?を構える。
(ヤバいな。槍捌きがゴトーの比じゃない)
(どうします師匠!?)
(炭化濃度変化は全身に施せるけど鉄分の集中はあまり範囲を多くし過ぎると血中鉄分が低下して貧血を起こして戦えなくなる。あの槍の速度にピンポイントで合わせるのも難しい。なら!)
(なら!?)
(一撃目であれを止める!)
防御を合わせるのも難しい技を一撃目で止めるなどという無茶振り。
その作戦を聞いたトラマルは。
(なるほど!)
クォンタムの言葉に即答、即決する。
「来い!!」
トラマルは左腕で額を庇い、右手を前に突き出した。
「その構え。頭を護るのは適しているが・・・腹ががら空きだぞ?」
「・・・」
「『狙え』ということか。ナニを考えているかは知らぬが良かろう!その固めた腹筋打ち砕いてくれる!!そしてその篭手になっている魔族!お前には全てを話してもらうぞ!!」
トラマルは更に錫杖を回転させてそれをトラマルに向かって投げつける!そしてさらに投げた錫杖のケツを渾身の力を込めた蹴りで叩いた!!
「南無砲!蓮・撃・光!!!」
蹴りの一撃によって撃ち出された錫杖は光の速度にすら近づく!
ズドン!!
その一撃はトラマルの固められた腹へ突き刺さったが先端が少し刺さっただけ。
「ニヤリ」
「言うだけはあるようだな。しかし!先端さえ入れば!!」
テルヒコは一瞬でトラマルとの距離を詰め、再び錫杖を握るとそのまま回転させて押し込もうとした時だった。
ビタッ!!!
テルヒコの動きがトラマルの眼前で止まる!?
「な・・・なにっ!?」
テルヒコは何が起きたのかと止まった自分の拳を見るとその拳の向こうにクスクスと不敵に笑う妖艶な蚕の虫魔族の姿が。
「あらあら、摩訶不思議・・ワフフ」
「お、お前は・・!?」
「あら、よそ見しては危ないですよ?」
『白虎・爆砕拳!!』
眼前で止まったテルヒコの顔面をトラマルのカウンターが捕らえた!トラマル+クォンタムのパワーをまともに受けたテルヒコの体が殴られている顔面を支点に宙に浮く。
(おい!トラマル!ストッ・・)
「ヌオオオオ!!」
テンションが上がっているトラマルはクォンタムの静止も聞かず・・・。
『白虎・大激震!!』
テルヒコの頭をそのまま地面に叩きつけ、その上から白虎クォンタムの大地の力を上乗せしたのだった!!
叩きつけられた場所から地面が揺れて裂けるほどの振動がテルヒコの全身を襲う!!
「ガッ・・・」
悲鳴を上げる間もないままテルヒコの意識は彼方へと飛んで行った。
「・・・」
「・・・」
「「殺っちゃったあああああああ!?」」」
つづく。




