二章・第十七箱「セイバーの刀身を高出力の方へ取り替えようとしたら高確率で付け根が折れる」
おはこんばんにちはー。海人藤カロでーす!
今回のお話は一言で「決戦前夜」です!おおーっとこれ以上は読んで見てからのお楽しみ!
では面白いと思ったらブックマーク!感想!評価、レビュー!その他もろもろよろしくおねがいしまーす。
やっとテルヒコの目撃情報があった村へとやって来たクォンタム達。そしてそこでいきなりオーガジェノサイダーズにケンカを売られた。
しかしあっさりトラマルに返り討ちにされ彼らは情報収集のパシリへと変貌した。
彼らの協力のおかげでテルヒコが起こした新たな事件の情報とその足取りを掴むことができた。
クォンタムたちは今、テルヒコが次に出現する可能性の高いサイクロプス族の訓練場、村へと向かっていた。
〇
ディーナとギンの二人とも合流して足早にサイクロプス族の訓練場へとやったきたクォンタム達だったが・・・。
「あれー?」
テルヒコを探しに来たはずがサイクロプスたちに囲まれて臨戦態勢を取らざるを得なくなっていた。
「オマエラ、ナゼ、ニンゲント、イル?ドレイカ?」
「えーと・・・(このやりとりもう何度目だろう?)」
オーガたちの言う事にゃ『話が通じない』らしいがとりあえずここまでの経緯を説明してみる。
「ナルホド、ワカッタ。シカシ、オマエラノコトバ、ホントウ、ショウコナイ」
「えー、でも魔族のディーナさんやギンが同行してる時点で証拠にならないか?」
リーダー格らしきサイクロプスが首を横に振った。
「じゃあどうすればいいんだ?」
「テルヒコ、アラワレル、シンジル。アラワレナイ、ソコノ人間タチコロス」
「そうかー」
ここにテルヒコが現れるという保証もないのでそんな提案は飲めない。
しかし、ここを追い出されてテルヒコを見逃しても本末転倒だ。
そのときコデが前に出てサイクロプスたちにこう告げる。
「あの、現状僕たちはテルヒコの出現を待っている状態なんです。この村に滞在できずにテルヒコを逃すなんてことになったらそれこそ魔族たちに不利益が生じると思います」
「ウーム・・・」
その言葉に少し頭を悩ますサイクロプスたち。
言葉はなぜか片言だがオーガたちの話とは違ってちゃんと意思疎通ができるじゃないか。オーガたちよりずっと理性的だ。
「ワカッタ。オマエラ見極メル。7日ヤル。ソレマデニミツケロ」
「見つからなかったら?」
「ニンゲンコロス。ジャマスレバオマエラモコロス」
「うん。わかった」
〇
一応話はついた。村の空き家を借りてクォンタムたちはテルヒコを捕まえるための作戦会議を始める。
「で、どうするよ?」
「テルヒコが現れるまで待つのか?」
「いや、探した方がいい。待ってて次の犠牲者が出たんじゃそれこそだ」
「しかし、どこを探せばよいのでしょうか?手がかりはテルヒコが強い魔族を探し求めているという事。それと『もっと近く』という言葉だけです。それだけで次にここが狙われると決めるのは早計だったのでは?」
「でもテルヒコはこれ以上魔王都へ近づくと魔王軍に気付かれるはず。彼のここまでの動きから魔王軍との全面衝突は望んでないと思うんだ。やってるのは『犯人捜し』だと思う」
「自分の村を襲った犯人を捜しまわっているか」
「うん多分。でもここまで犯人が見つかってないとなると魔王都に乗り込む可能性もある。そんでジェノサイダーズからのここいら周辺の情報も含めて考えると魔王都以外で強力な魔族がいるのはもうここだけだ」
「ここでもなかったらもうテルヒコは魔王都に突っ込むしかなくなるのか」
「本来争いを望まない彼もここで見つかってくれと祈ってるはずだ」
「あれ?魔王都とここ以外の場所を探し終えてるってことはもうこの村に犯人がいるの確定してませんか!?だって魔王側はテルヒコ殿の政策を人族より支援していたはずですよ!」
「そうだったのかコデ殿!?」
「まぁ、確かに魔王様はどちらかと言えば人族との戦争回避を目指している節があったが・・・。クォンタムは知ってたか?」
「うん。この世界に来る前にこの世界の神様がもう少しで両種族が仲良くなれそうだったのにって言ってた。そうなんだよ、そこなんだよねー。ズーッと引っかかってたの。あの所業を見たら誰だって魔物がやったって思う。でもさぁ『露骨』すぎるとも思える」
「クォンタム様は誰かがテルヒコの政策を邪魔するために魔族の仕業に見せかけたとお考えなのですか?」
「戦争は儲かるからねー。特に奴隷、武器、傭兵、とかかな?戦争の混乱に紛れて色々やろうとしてる奴は両陣営に少なからずいるだろうし。挙げだしたら切りがないけどね」
「そういう奴らにとって目障りだったのは確かか」
「でもそれに気づかない程テルヒコがバカとも思えない」
「ふむ。という事は師匠、可能性として挙げられるのはだいたい・・・」
① 魔族に犯人がいる。テルヒコは復讐のために害獣と手を組んだ。
② 外獣が魔族を操り自作自演させ、テルヒコを誘導して出来るだけ強い奴と闘うよう仕向けた。
③ 両陣営の反テルヒコ勢力が仕組んだ事件だった。外獣はそれに便乗してテルヒコを操っている。
「といったところでしょうか」
「そうだね。俺は③が一番可能性が高いと思ってる。まぁ推測はここまでにしておいて今後の動きだ。まずは・・・『俺が囮になる』」
「「「は!?」」」
全員がいきなりの囮作戦に目を丸くしていた。
「手順はこうだ。俺が訓練場でサイクロプスたちを相手に大立ち回り!訓練でサイクロプスたちをボコボコにしていく。出来るだけ目立つ技を使ってな。戦闘痕も出来るだけテルヒコの村襲撃時のものを再現する。そんでここいらのサイクロプスたちより強い奴がいるっていう噂を広めてもらうんだ」
「なるほど。それでテルヒコを呼び寄せるわけだな」
「そのまま戦って倒すの?」
「ああ。そんで戦闘中に隙を見てサンマをテルヒコから引っぺがして俺がサンマを連れて一気に移動する。まぁ青龍の風の力があればそう難しくないはずだ。そしてサンマを倒してテルヒコを説得する」
「僕たちは何をすれば?」
「みんなの役割は俺がサンマを引っぺがしに入った時にテルヒコを押さえておいて欲しい。頼める?」
「師匠の頼みとあらば!!」
「貴方の為なら私は何だってやるわ!」
「ぼ、僕もがんばります!!」
「よし。シルクも大丈夫?これがこのパーティでの初陣になっちゃうけど」
「構いませんよ。戦場が初めてという訳ではないですし。それに最強の転生者との戦いなんてちょっとワフワフしちゃいます」
どうやら彼女は思ったより戦闘には積極的なようだ。
「抑え込むときは俺様の闇のアニマ中心で行くぜ!」
「うん。重力操作で押さえつけて一気に畳みかける。それが一番いいと思う」
「作戦は決まったな。じゃあ俺はこのことをサイクロプスたちに話してくるよ」
「協力してくれるでしょうか?」
「させるよ。どうあってもね」
そう言ってクォンタムは空き家を出てサイクロプスのリーダーの下へ向かった。
残されたメンバーたちは神妙な顔をしていた。
「どうしたんですか皆さん?顔色が・・・」
「コデ殿、ハッキリ言ってテルヒコは強い。以前の話ではありますが私でも勝てなかった相手だ。しかもクォンタム師匠と同じく世界の外からやって来た者の力も得ているなればそれこそ未知数の強さになっているでしょう」
「一応、クォンタムが殺されることも視野に入れておいた方がいい」
「そ、そんな・・・」
「確かにクォンタムの力はとんでもない。天候すら操れるんだからな。だが『外獣』ってのはアイツでさえ同格の仲間と協力して何とか倒せたってシロモノだぜ?」
「しかもその時は外獣単体だったが今回はこの世界で最強の転生者まで相手にせねばならないのだ。苦戦は必至」
「彼が前にいた世界とは違って私たちには彼と肩を並べられるような力はないわ。自分の力のなさにどうしても不安になってしまうのよ」
「で、でも前回の転生者だったDrテムールとの戦いでは僕たちでも戦えたじゃないですか!奴も外獣の力を持ってたけどクォンタムさんは勝ちましたよ!」
「コデ殿よ。アレは『戦士』ではなく『研究者』だ。しかも奴自信には外獣の力は全くそなわっていなかったと聞く」
「そうですけど」
皆が不安に意気消沈する中、シルクだけがケロっとしていた。
「あのー。皆さんが不安になって何か解決するのですか?」
「あ・・」
「私たちがやるべきことをクォンタム様はちゃんと示してくれましたよ。それを全力でやればいいだけです」
「お前はアイツの強さをちゃんと知らないだろ。強いアイツでも危なかった奴がさらにヤバいことになってんだぞ!」
「知っていますよ。母の体の中でちゃんと感じておりました。天を、地をあれほど揺るがす力。まさに神にも等しい力。あれを持ってして倒せない者などいないと確信できたほどです。それに・・・」
「それに?」
「クォンタム様が外獣と闘って以降も『何もしていない』と思ってるんですか?」
「「「!!」」」
そう、クォンタムの力は神によって作られる機体に左右されてはいるがクォンタム、朱火自身は持ちうる力をすべて把握して考え続けていた。どんな外獣が現れてもそれに『打ち勝つ戦い方』を。
「彼は今持ちうる全てを使うでしょう。非道な手も卑怯な手も。しかし全てはこの世界を救うため最善を尽くすはずです。だったら私たちの不安など塵ほどの価値もありません!!」
「・・・そっか。そうだよな。結構アイツの事見てたと思ったがそうでもなかったようだ。こんな簡単なことにも気づかんとは」
「わ、私もだわ。恥ずかしい。こんな事じゃ彼の全てを受け止めてあげられないわ!」
「うおおおおおおん!!ししょおおおおおお!!少しでも貴方の強さを疑った私をお許しくださああああああい!!!!」
うんうんとシルクは頷いていた。
皆の不安が解消されて決意が固まったと同時にクォンタムが戻ってきた。
「サイクロプスたち協力してくれるってさー」
「そうか!作戦決行はいつだ!」
「な、なんか気合入ってるな。やるのは明日だ。噂がすぐ広がるようにガルーダ族とジェノサイダーズにも協力してもらうことになった。後は俺達次第だ。みんな!頼むぞ!!」
「おう!」
「はい!!」
「ししょおおおおお!!」
「うるさいですよ」
「最善を尽くします。私の初陣、必ず成し遂げます」
それぞれの思いを一つに束ねてついにクォンタムたちはテルヒコへとたどり着くのだろうか?
〇
翌日、訓練場ではすでに朝早くから轟音が鳴り響いていた。
「ヒルムナー!!ヤツハヒトリダ!!ヘンタイヲクンデ連携デ攻メロ!!」
いくつものサイクロプスたちの隊列がクォンタム一人に襲い掛かっていた。
その時のクォンタムの姿は『SDクォンタムタナトス』という機体だ。
黒い悪魔のような羽を広げて手には巨大な悪魔の爪を模したレーザーの刃が三つ重なった鎌を携えている。そのひと振りはテルヒコの村に残されていた襲撃の痕跡と酷似していた。
サイクロプス編隊の攻撃をヒラヒラとかわして鎌で足首や腰などいやらしいところを切り裂いていく。
「コノ!オレタチノ機動力ヲ削グ気ダナ!!」
「固マルナ!マトメテヤラレル!編隊ヲバラシテ個々デ迎撃ダ!!」
サイクロプスたちの編隊がばらけてタナトスに飛び掛かった瞬間。
(もらい)
タナトスがその場で激しく回転し始めた。その様はまるでベーゴマ。
次の瞬間そこから四方八方に無数の三日月型の光の刃が飛び出して散らばったサイクロプスたちを襲った!
「コ、コレヲ狙ッテタノカーー!?」
彼らはカトンボの如くボロボロと落とされていった。
まだ飛び掛かっていなかった編隊はその場で立ち尽くして様子をうかがっていた。
(クソッ!ドウスレバ・・・)
だが、その停滞が既に悪手であった。
さっきまで回転していたタナトスの姿が消えているではないか!
「ドコッ!?」
彼は既に立ち止まっている編隊の真上に『透明になって』フワフワと浮いていた。
(この姿の俺は悪魔で死神。本来は音もなく標的を狩る最強のSD世界の敵役!)
レーザーサイズの刃がさらに巨大化し、それが編隊のど真ん中に振り降ろされた。
ズバアアアア!!!
「「ウギャアアアア!?」」」
鎌の一振りで吹き飛んでいくサイクロプスたち。暗殺を得意としているくせに集団戦にも長けてしまっているのは言わないお約束である。
その様子を眺めていたリーダーは驚愕していた。
(ナ、ナントイウコトダ。囮作戦ダトシテモ一切手ハ抜イテイナイトイウノニ・・・。コレガクォンタムカ。ヤツガ魔族側デヨカッタ)
正確にはどちら側でもないのだが・・・。
そしてそこから少し離れた場所からクォンタムの様子を観察している者がもう一人存在した。
(あ、あの武器の傷は!?や、奴か・・・奴が!!)
彼と相対する時は刻一刻と迫っていたのだった。
つづく。




