二章・第十六箱「組み立て説明書にあるちょっとした機体のバックストーリーってなんかワクワクする」
おはこんばんにちは海人藤カロでーす。
はい、では以前言った通り毎週日曜更新が始まりました!読者の皆さん!これから日曜日の楽しみが増えますよ!!よかったね(笑)!。
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元魔王軍兵器開発担当であったDrテムールの野望を打ち破った。
そしてテムールの協力者だった外獣の一匹を捕らえることに成功し、外獣についての情報も多少得ることができた。
その結果、現状この次元への門を開ける可能性が高い外獣の上位種が今いる世界を含めて四つの世界にいることが確認された。
虫魔族の村長から新たな戦力として蚕蛾の虫魔族『シルク』を新たな戦力として託されたクォンタムだったが今までになかったわずかな焦りが心の中に漂っているのだった。
〇
クォンタムたちテルヒコ捜索の為に虫魔族たちの村を出立しようとはしていたが村長以外にもお礼がしたいという虫魔族たちの接待などで引き留められて結局翌日の昼の出発となってしまった。
基本虫寄りの虫魔族たちはこちらの話を聞いてくれず、むげに断ろうとすればとても悲しそうな顔をされたので仕方がなかったのだ。
現在パーティは当初の予定通りにテルヒコが現れたという魔王都から南にある村へと移動していた。
新たな仲間シルクの移動手段のメッシーが足りないのでクォンタムはレディバグへと変形して彼女を運ぶことに。
「やっと解放された・・」
「でも虫魔族の料理美味しかったじゃないですか。魔族領特有の花の花粉を使った団子なんてとっても香り豊かでおいしかったです!」
「あのミミズ魔獣を揚げたのもうまかったよなぁ!クォンタムとディーナは残念だったな飯食えなくて」
「私はデュラハンだし」
「俺はプラモだしなぁ」
「クォンタムさんは食事をなさらないのですか?」
シルクはクォンタムたちに早く馴染めるようによく彼らに質問を投げかけくる。
「ああ。俺は基本的に神様からもらったエネルギーで動いているからな。補給とかほぼいらないんだよ」
というかどうやって補給するかもクォンタム自身もわかっていなかった。
「ちょっとやそっとの戦闘じゃ疲れもしないし。あんな広範囲な攻撃や特殊攻撃がポンポン出せるなんてさすが神様の使いなだけあるな」
(うーん、そうなんだけど。多分この力も無限ってわけじゃないんと思うんだよな~)
今だに自身の力をちゃんと把握できていないことはこれからの戦いにも関わってくるかもしれないとクォンタムは懸念していた。
そしてシルクの質問はまだ続く。
「クォンタム様。以前の戦いでは外獣は相当な実力を持っていたそうですが。今回は黄龍の力がすさまじいと言えどあまりにも簡単に倒せてしまったようですが」
「そりゃあ『期間』の違いだろ。前戦ったタコは相当な間あの世界で暗躍して力をため込んでいたらしいからな。このクマノミと死んだもう一匹はこの世界に来て日が浅かったんだ。だからあの程度の攻撃で簡単に殺せたんだよ」
「なるほど。でもそれならばテルヒコに取り付いている『サンマ』という外獣は相当厄介なことになっていそうですね」
「それなんだよ。テルヒコが今どんな精神状態かもわからんし。完ぺきに洗脳されてたらこの世界で最強の転移者と最悪の武器、両方を相手にしないといけない」
「クォンタムがいるとしても今の戦力で勝てるのか?」
「わかんない。テルヒコからサンマを引きはがして倒すのが理想だけど・・・」
恐らくそう理想通りにはいかないだろう。既にテルヒコに事件が発生してから数か月が経過している。何体もの強力な魔族の血を吸ってきたサンマがどれほどになっているかは想像もつかない。
色々と考えを巡らせたところで今できることはテルヒコを探す事だけだ。
クォンタムたちはやや重めの足取りで歩を進めた。
〇
日付が変わって早朝。クォンタムたちは目的地のアーザムの村へと到着した。
魔王都の近くの村とあって中々仰々しいというか物騒というか。住んでいる魔物たちもなかなか強そうな面構えをしている。
「というか鬼、オーガが多いな」
「オーガ族は魔王軍の主力ですからね。ここいらには魔王軍専用の訓練場が多数存在していて周辺の村々で暮らす魔族たちも魔王軍の訓練生や現役の軍関係者が多いのです」
「へー」
そして村の中に入った途端案の定。
「おいおいおい!何で人族がこんなところにいるん・・・ぶへぇ!?」
突っかかってきたオーガ族の青年たちのリーダー格らしき人物のセリフが終わる前にトラマルの正拳突きが彼の顔面を貫いた。
オーガ族の青年は縦に三回転半して地面に倒れ伏した。
「テメェ!!リーダーに何を・・・ってお前は!?」
「おや?君たちは以前僕に勝負を挑んで返り討ちにした自称最強自警団『オーガジェノサイダーズ』の面子ではないか。あれから少しは成長したか?少し見てやろう。かかってこい」
「あ、いや~、ま、まさかトラマルさんの連れだとはお、思わなくてその~」
トラマルはジェノサイダーズリーダーの取り巻き(恐らく副リーダー)の二人の顔にアイアンクローをかまして持ち上げる。
「え!?ちょっとまってよトラマルの旦那ぁ!?俺らやる気ないよ!」
「そうそう!」
「だがお前らのリーダーは勝負を挑んできたじゃないか?つまりそれはお前らの総意なのだろう?」
「「違う違う違う!!」」
「あのバカが勝手に喧嘩売ったんだYO!!アイツは只の下っ端なんだよちょっとリーダー風吹かせてるだけのバカなの!トラマルさんに挑戦したのはアイツ個人であってジェノサイダーズとは関係ないんですよ!!!」
速攻でリーダーを売り飛ばす取り巻きたち。トラマルは残念そうに手を離すとジェノサイダーズたちにこう告げた。
「お前たち、確かこの周辺の村にも仲間がいたよな?」
「え、ええ。俺らはここいらを仕切ってる最強自警団ですから・・・」
「ちょっと知りたいことと探し人がいるんだがその情報を集めてこい。そしたらこの件は『あのバカ個人の挑戦』として俺は認識してやる」
「は、はいいい!!」
「な、内容を教えてください!!すぐに調べてきます!!」
「師匠、どうぞ」
「お、おう」
トラマルに促されるままクォンタムはジェノサイダーズへテルヒコと連続殺魔事件の情報収集を依頼した。
「俺達はこの街の宿屋『鬼の寝床』にいるからな。何かわかったらすぐにだ」
「「はいいいい!!!」」
その後すぐにジェノサイダーズは蜘蛛の子を散らす如く村の中へ消えていった。
「うーん。入ってそうそうあんな連中に任せてよかったのだろうか?」
「大丈夫です師匠。ここいらでの奴らの顔の広さは本物ですから。この街に初めて来た私たちがバタバタするより早くて確実なはずです」
「そうだな。ここはお前を信じるよ」
「では師匠!!待っている間に稽古をつけては下さいませんか!!」
ふんふんと鼻息を鳴らしながらトラマルは詰め寄る。
「わかった、わかった。ちょっとだけだぞ」
「いやっほーーー!!鬼の寝床には裏に広い演習場があるのでそこでやりましょう!!」
ぴょんぴょんと跳ねまわるトラマル。全身で喜びを表現していた。
「他の皆はどうする?」
「僕は見学したいです!!クォンタムさんの能力をもっとみてみたい!」
「私も同じく。クォンタムさんの事を知りたいです」
「私とギンはこの街の憲兵隊に挨拶に行ってくるわ。話を通しておいた方が動きやすいでしょう」
「わかった。ディーナたちも気を付けてね」
「うん。それじゃいったん解散だな」
各自、自由行動となった。
〇
宿屋・鬼の寝床。この村にはほとんどオーガしかいないのでそう名付けられた宿屋。
例の如く三階建てで一階は酒場、二、三階が宿泊部屋となっている。
リザードマンのオヤジが店長兼コックを務めている老舗の宿だ。
そしてそんな歴史のある宿屋の裏手から・・・。
ゴオオン!ボゴオオオン!!バリバリィ!!!
爆発の轟音と凄まじい土煙が吹き荒れていた。
「おお!いい!いい!いいですよ師匠!!もっともおおおおおっと!!」
なんとトラマルは空手の防御の型「三戦立ち」の状態でクォンタムからの攻撃を受け続けていたのだ。
「いや、俺はいいんだけどさ。修行のやり方って困難でいいのか??」
「はい!空手の真髄は防御!私は力に溺れてそんなことも忘れていた。まずは防御のカンを取り戻さねば!師匠の攻撃を『三戦』で耐え抜けるように・・・グバァ!?」
トラマルが急に吐血した。四聖獣それぞれの攻撃を全て全身で受け止めていたのだから無理もないのだが。
「全くお前はー」
クォンタムは黄龍に換装すると神成でトラマルの体調を元に戻してあげた。
「おお!こんな風にも使えるのですね!!」
「使い過ぎると黒麒麟モードになっちゃうからあんまり使いたくないけどな。でも俺がお前に修行を付けてやれる機会なんてそうそうないし。時間は有効に」
「し、師匠―!そこまで私の事を考えて・・・」
「一応働いてくれてる分くらいは相手してやるさ。次はどうする?まだサンチンか?」
「いえ今度は前羽の構えからの『回し受け』の練習を!!」
「なら受けにくそうな朱雀の炎から行こうか!!」
「そ、そんな殺生な!!せめて物理攻撃から・・・」
そんな彼らの様子をシルクとコデは興味深そうに眺めていた。
「異世界の格闘技、なかなかユニークですね」
「あの立ち方にはどんな意味があったのでしょうか?」
「おそらく脇、股を締めることで体全体の筋肉を締め上げて硬度を増しているのでしょうね。股を閉じることで男性の弱点である金的も防ぐことができます」
「なるほどー」
コデはもっているスケッチブックに万年筆でクォンタムの戦う姿を書き記していた。
「それは?」
「これは色んな魔族の方やクォンタムさん、転生者、転移者の方々のことを絵と文章でわかりやすく記録しているのです。絵もあれば子供にもわかりやすいですし」
「へぇ」
「僕としてはもしよければシルクさんの事も聞いておきたいんですが」
「私ですか。構いませんよ」
「では生い立ちなどからお願いします!」
蚕蛾の虫魔族シルク。
真っ白な肌と首元まである真っ白な髪。目は黒い眼球に真っ赤な瞳が輝いている(目を凝らすと複眼に変化する)。来ている服は長袖ニットセーターのような服での太ももまで丈がある(自分が出せる糸で編んだらしい)。後頭部の左右から長いおさげが垂れているがそれは髪ではなく蛾の羽を折りたたんだもので広げると飛ぶこともできる。しかし体力消費が激しいためあまり使いたくないそうだ。所持しているアニマは風である。
彼女は村長の実の娘で悪魔族とのハーフ。(虫魔族は親と違う種類の虫魔族が生まれてくることもある)
物心ついた頃からスズメバチ村長から戦闘訓練を受けており村では一番の使い手となった。昔の戦争で死んだ父親からアニマの使い方も学んでおりそこいらの魔王軍兵士よりよっぽど強いらしい。
Drテムールの手に落ちそうになった時は村長によって彼女の体内に隠されていて被害にあわなかったそうだ。
「この黒い眼は父の血が混じっている証だそうです。母はよく私の目を見て懐かしそうな顔をしていましたから」
「お父上はどんな悪魔だったのですか?」
「父は魔眼使いのゲイザーと異名を取った魔族でした。父の眼から放たれる炎のアニマによる『超熱閃光』はどんなものもドロドロに溶かしてしまったほどです。私もやってみたかったのですが私に受け継がれたのは母の方のアニマだったので。あ、いや!母が嫌いとかそういうのではないのですが!!」
「あはは、わかってますよ」
「でもなるほど。確かに虫族にしては眼から妙な力を感じるとおもってたんだよなー。父親が異名を持つほどの魔族だったのか―」
「興味深い!!シルク殿!我と一手試合ってみないか!!」
「うわ!?お二人ともいつの間に!修行は!?」
「大体終わった」
いつの間にやらクォンタムとトラマルが近くにやってきていた。
「シルクさんは俺達に同行することになってどう?」
「「どう」とは?」
「ま、なんつーか。怖いとか嫌とかそういうの。今から俺達が相手にするのは相当やばい相手だし。村長であり母親の命令だとは言え危険が多いと思うから。この二人を連れてるからトラブルも多いと思うしね」
「その言い方心外です!」
「今までだって人間ってだけで突っかかってくる奴いっぱいいたじゃん?さっきだってさー」
「しょうがないですよコデ坊ちゃん。トラブルのもとになる行動は控えましょう。これからは出来るだけローブなどで姿を隠して目立たぬよう心がけてください」
「すみません。トラマルさんにだけは言われたくないです」
「おや?先ほどのイザコザも私がいたから丸く収まったのでは?」
「貴方は人間領でやってたこと思い出してください!!」
ギャアギャアと罵り合う二人。どちらも自分がトラブルを起こしているとは思っていないようだ。
「ね?こんな感じだよ。俺らは。さらに命の危険まで付きまとってくる」
「ワフフッ・・・確かに危険かもしれないですけど。今私『楽しい』ですから」
「ふーん、『楽しい』か。ならいいや。にしてもカワイイ笑い方だね。『ワフフ』」
「ワフっ!?んぐ・・・へ、変ですか?」
恥ずかしそうに顔を赤らめるシルク。
「可愛いっていったんよ」
「わ、ワフ~」
嬉しそうに頭を掻くシルク。どうやら彼女とはうまくやっていけそうだ。
と、その時。
「トラマルの旦那―!!!」
先ほどのジェノサイダーズのメンバーの一人が戻ってきた。
「ご苦労、で、何を持って帰ってきたんだ?」
「ああ!最近魔王軍の訓練場で大けがした奴がいてよ!そいつの意識が少し前に戻ったんだ。で、話を聞いたら『人間』に襲われたって言うんだよ!!」
「「!!」」
「それはいつの話でどこの訓練場だ!」
「起きたのは二日前だ」
「二日前か・・・。犯人はもうその付近にはいないだろうな」
「あと被害者の奴は気を失いながら犯人が『もっと近くか』って言ってるのを聞いたって。何かヒントにならないか?」
「もっと近く?」
(『もっと近く』。テルヒコが近づきたい場所。そんなもん魔王都しかない)
「恐らく魔王都の方へ行ったんだ。その訓練場から魔王都との間に何かないか!?」
「えーと、確か、サイクロプス族の訓練場が点在してたはず・・・」
「そこだ!!ディーナたちと合流して俺達もすぐ向かおう!!」
「「「はい!!」」」
一斉に走り出すクォンタム達。その背に向かってオーガが叫ぶ。
「サイクロプスたちは俺達より話を聞かないから気を付けろよー!!」
魔王軍のサイクロプスたちの訓練場。そこにテルヒコは現れるのだろうか?
つづく。




