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転生して1/10プラモになったら村の守り神に間違われた話。  作者: 海人藤カロ
第二章 転移したらメインカメラだけになった話
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第二章・第十五箱「ロボットの外装が変わるのってプラモで再現するの難しい」

おはこんばんにちは。海人藤カロっでーす。

引越しとかいろいろあってめっちゃ間空いちゃったけどこれからは毎週日曜に投稿していきたいと思ってます!

ではどうぞお楽しみください。

 テムールの裏に隠れていた改造魔族製造の協力者は『外獣』の一体であった。彼は転移者一人も満足に仕留められないテムールを見限り、試作品の改造薬をテムールに打ち込んだ。

 その結果、テムールは巨大な肉塊に無数の虫の足を持ったバケモノへと変貌。新たな外獣はそれをクォンタム達へ差し向ける。



 クォンタムは朱雀クォンタムで生み出した『ヒナスザク』(朱雀が生み出せる自立型支援機)を使って村の村長と他の雌の虫魔族たちを救い出していた。

 黄龍の力で体の異常も治療済みだ。


「ありがとう、異界からの転生者よ」


 村長が羽を震わすと声がクォンタムたちの耳に入ってきた。


「羽音が言葉になってる!」


「私は虫魔族の中でも知性は高いが虫寄りでな。発声器官が発達していないのだ」


「なるほど。虫魔族には虫寄りと魔族寄りがいるのか。魔族寄りの方は人間や一般的魔族に近い形になると・・・ふむふむ」


 コデはふんふんと鼻息を吹かしながら魔物の生態についてペンを走らせている。


「コデさん、今はそれはやめてください。みんな助け出したしとっとと脱出を・・・」


 その時であった。黄龍クォンタムが地下から近づいてくる熱量を感知する。


「なんか地下から来ますね」


「テムールか!」


「いや、にしては大きすぎる。それよりも今は一刻も早く脱出です!地下から来るヤツは俺が引き受けます」


「一人でですか!?未知の相手に危険では?」


「ちょっと大暴れするんで。一人で戦いたいんです」


 クォンタムは詳細な理由を仲間たちに伝える。


「なるほど。わかったわ。でも気を付けてねクォンタム」


「拙者も!!」


「お前はコデのボディーガード!」


「ええ~~!?」


「従わないとパーティから追い出す」


「・・・わかりました」


 トラマルは渋々虫魔族たちとコデの護衛として付き添うことに。


「お気を付けて」


「避難が終わったらすぐ引き返してきますから!」


 脱出する皆を見送るとクォンタムは広くなった砦の広間に視線を移す。

 そこへ。


バゴン!ボゴン!!


 床を地面の下から叩く音が辺りに響き渡る。


ボガアア!!


 床から飛び出してきたそれは肉団子に何種類もの虫の足を生やしたような怪物であった。


「AFIOFパァOPWDNOIAW"#!$%&'"#$('")」


「な~んか意味わからん事言ってるな。日本語喋れ」


「9W")#"$R"(DIJ)=RHOIADHN *AS」


 声にもならない声と共にクォンタムに襲い掛かる虫肉団子。数多の虫の足を一斉に振り下ろす。

 クォンタムはそれを真正面から受け止めた。振り下ろしてきた足の数本をまとめて掴んで肉団子から引き抜いた。


「#’#RRF(FY)=HQDO=!?*!?!?!?!?」


 激痛に悲鳴を上げた肉団子はクォンタムから距離を取り、次は別の数本の足をクォンタムへ向ける。その先端から糸、針、粘液、悪臭ガスなど昆虫の持つ様々な武器が飛び出してくる。


「ほう。そんなこともできるのか」


 黄龍クォンタムは右手を前に向けると掌から青龍の竜巻を生み出して全ての攻撃を吹き飛ばし、更にその竜巻は肉団子を飲み込んで切り刻んだ!


「ごshががsだあがsだあ!?」


 しかし傷ついたそばから再生、更なる足が飛び出してくる。


「なるほど。これじゃあ致命傷は与えられないな。なら!」


 次にクォンタムは『神成』による無力化を試みるが。


「ぐ!?なんだ?ノイズが・・・」


 彼の体の中、魂への介入が出来ないのだ。

 魂の情報のどれもこれもがぐちゃぐちゃに不純物と混ざり合ってしまっている。


「これじゃあ元に戻せない。なら、「救う」選択肢は排除だ」


 元魔王軍の研究機関にいたのなら何か情報を持っているかとも思い、助けようとはしてみた。

 だが、こうなってしまってはこの世から細胞一片残らず消すしかない。


「『溜まってたし』。解放するには丁度いいだろう」

 

 そう言うとクォンタムの体に変化が!?



 砦から脱出した虫魔族たちとパーティの面々は砦から数百メートル離れた距離まで移動していた。


「ここまでくればいいだろう。護衛はもういい。お主たちはクォンタム殿の所へ行ってやれ」


「そうですか!では行きましょう!コデ坊ちゃん!」


「ええっ!?でもクォンタムさん言ってたじゃないですか『アレ』を出したら近づいたら危ないって」


「でもみたい!!見たい人!!はーい!!!」


 その言葉にコデも反射的に手を挙げていた。


「ほらぁ!」


「あっ!・・いやでもディーナさんやギンさんは」


 後ろを振り返るとディーナもギンも手を挙げている。


「みたい」


「普通に見たい」


「・・・ええと。満場一致ですね!」


「そうですね!見にいきましょう!!」


 そう言ってトラマルが砦へと踵を返した瞬間であった。


ガカァッ!!!


 砦の方から『巨大な真っ黒の雷』が天へと昇って行ったのである!

 その雷の余波は地面を、空気を唸らせ、空の雲さえ霧散させた。


「あ、あれが…『怒槌(いかづち)』」




 外獣イソギンチャクとクマノミはクォンタムとテムールとの戦いを物陰に身を顰めながら観察していた。

 そして彼らは黄龍クォンタムの姿が真っ黒に染まっていくのを目撃した。その黒は漆塗りのように艶やかな黒だった。

 そして全身の至る所からバチバチと黒い電撃が走り始める。


「何なんだよ。まったくよー」


 そう呟いたのは真っ黒クォンタムであった。目もジト目になりなんともダウナーな気配を漂わせている。


「神様達もさぁ何で俺なんかを頼るんだよ。他にも転生者とかいっぱいいるんだろうに。体がプラモだから他の世界にも持っていきやすかった?だから他の世界にも貸す?俺の体をゲームやオモチャを貸す感覚で扱いやがって・・・。しかも無駄に強力な能力がそろってるから関係ない事にも多多巻き込まれるわ、こんな体なのに女がわらわら近づいてくるわ。うっとーしい・・・・。人助けはいいことだよ?でもこう何度も何度も頼られ続けるとだんだん嫌になってくるんだよ。『お前しかできない』、『力があるなら責任を果たせ』・・・別に好きで得た力じゃねーんだよ!!!力を持つ者の責任なんて他人が勝手に被せてくるだけじゃねぇか!!勝手な理屈でどんなもんにも責任というデバフを付与してんじゃねーよ!!クソがアアアアアアア!!!」


 バリバリバリバリ!!!


 発される黒雷の放電がさらに強くなっていく。その間にも肉塊テムールはクォンタムの攻撃を何度も試みているが全て黒焦げのチリと化していた。


(ちょっと、アレヤバくない!?)



(ああ、逃げた方がよさそうだ!!)


 イソギンチャクたちは一目散に砦の外へ出ようとするが、時すでに遅し。


『みんな消えて無くなれええええええ!!!』


 ズガアアアアアア!!!


 クォンタムから黒雷が一気に解放される!膨張するその光は砦の全てを吹き飛ばしながら天へと駆け上る。


「クマノミちゃん!!」


 間に合わないと悟ったイソギンチャクはクマノミの上に覆いかぶさった。


「あんた!!」


 テムール、外獣たち、砦、もろともを黒い光が包み込んだ・・・。

 黄龍クォンタム裏モード『黒麒麟』。黒ビールの商品名の様なその機体は黄龍の力を使い過ぎると強制的に換装される。黄龍の浄化の力『神成』は対象の生物の脳内から通常時の体の構造を引っ張りだしてそれに合わせて体を再構築する能力であるが再構成の段階で体外に出る不純物は全て黄龍の中へと吸収されるのだ。そしてその許容量が限界を迎えると黒麒麟となり不純物は破壊のエネルギーへと変換される。そして破壊衝動の赴くままに力尽きるまで目に映る全てに攻撃を仕掛けるのだ。

 原作『SD中華シリーズ』でも黄龍の力に頼り過ぎた民衆が村や街ごと黒麒麟に滅ぼされることがよくあった。


 そしてその光がおさまった時、そこには巨大な真っ黒な焦げ跡とその上に立つ焦げ団子が大、小二つ。


「ウゴゴ・・・」


 「怒槌」を喰らってもなおテムールは活動を止めようとはしなかった。

 外獣の方はと言うと・・・。


「あんた!!」


 黒雷からクマノミを庇ったイソギンチャクは瀕死だった。


「だ、大丈夫か・・・」


「アンタのおかげだよ。アタシは傷一つない」


「よ、よかった・・・」


 イソギンチャクの体は安堵のため息と共に灰と化して消えた・・・。


「ッ・・・」


 愛する者の遺灰を握り締めて彼女はクォンタムの方を睨んだ。

 クォンタムは黒雷を天空に打ち出してから全身から蒸気を上げて停止していた。オーバーヒートでも起こしたのだろう。目の光も消えて何の動きもない。


「貴様あああ!!」


 クマノミの両目が光りだすと周囲の瓦礫や岩が宙に浮いた。クマノミの能力はサイコキネシス。周囲の物質に干渉し物理法則を無視した行動を強制する。

 浮かせた瓦礫を一気にクォンタムへと投げつけたが・・・それと同時に。


 ガガガアァ!!!


 幾多の細い雷撃が飛んでくる瓦礫を破壊したのだ。


「な、なにが!?」


 空を見上げると先ほど打ち上げられた黒雷が球体となって上空に滞空していた。それがオートでクォンタムを護ったのだ。

 

「ま、まさか・・・」


 この技は『怒槌』。そう『槌』なのである。ハンマーは振り上げられれば『振り下ろす』もの。

 次の瞬間に超広範囲の幾千の落雷が周囲を攻撃した。 

 クマノミは落雷にさらされながらもなんとかクォンタムに一矢報いようとサイコキネシスで攻撃を仕掛けるが悉くが黒雷によって阻まれる。そして彼女にも数百の雷が降り注いだ。



 しばらくして黒雷の雨が止み、辺りは静寂に包まれていた。

 破壊しつくされたその場に残っていたのは黄龍クォンタム。真っ黒な体の表面がボロボロと剥がれ落ちてもとの金色へと戻っていく。

 そしてそのまま首を前後左右によじり、全身のパーツを一つづつ駆動確認する。


「よし。スッキリ」


 負のエネルギーをすべて吐き出しきって気分も一新した。

 仲間や避難した面子に被害が出ていないか確認しようとした時、


「ん?これは・・・」


 自身の足元に何かを発見する。それは気絶している小さなクマノミの人魚であった。

 クォンタムはそれを拾い上げると玄武に換装した。


ぷくぅ・・・。バチョン。


 そしてそのまま拾い上げたその人魚?を作り出した水の玉に叩き込んで持っていくことにした。




 数十分後クォンタムは仲間たちを発見して合流し虫魔族たちと共に村へと戻ってきていた。

 そのまま村長の家へと招待され、広間で円卓を囲んでいた。

 その食卓の真ん中には。


 水の中に閉じ込められた『外獣』の姿があった。


『ちょっと!出しなさいよ!!』


 彼女はドンドンと水の牢獄の壁を叩くが球体が多少揺れるだけで壊れもしない。

 彼女の体にはクォンタムパトランプの捕縛用首輪がつけられて能力も封じてある。


『気絶してる女の子を拉致監禁なんてサイテーね!』


「お前ら外獣に性別があったことに驚きだよ」


「これが外獣ですか。人魚族に似ていますね」


「俺が以前戦ったのはタコだったけど。こいつらはもしかしたら海産物系統が多いのか?

?」


『どうせアタシから色々聞き出そうってんだろうけどそうはいかないから!』


「ああ、お前の頭の中なら寝てる間に黄龍の力で魂に干渉して見せてもらったからそれはいいんだよ」


『ええ!?』


「にしても外獣のいる世界っていうのは本当に何もないんだな。真っ暗で何も見えないけど声は聞こえた。お前らを増援としてこの世界に派遣した奴とそいつに命令した親玉。お前の記憶では『あの御方』としか言っていなかったがどういう存在なんだ?」


『ふん、アタシの記憶にないことをアタシが話せるとでも思ってるの?』


「黄龍で見れる記憶は所詮映像だ。お前が親玉に感じたイメージを知りたいんだよ。そういうの結構重要」


『話すわけないでしょ。たとえ拷問されたってね』


「うーん。タコの奴も死ぬまで仲間の情報は売らなかったもんなー。だったら消滅させるか」


 クォンタムから簡単に出てきたその言葉にコデが驚いていた。


「ええ!?そんな簡単に消滅させていいんですか?折角の情報源なんですよ!もっといろいろ調べたりとか・・・」


「うーん、体の構造とかはタコの時に調べ終わってるし・・・」


「仲間は売らないって言ってるし。生かしといてもリスクにしかならないなら殺した方がいいわ」


「コデ殿は優しいのだな。でもこやつはこの世界を滅ぼす要因の一端を担っている。譲歩すればこちらがバカを見るかもしれぬのだ」


 コデは口ごもってしょんぼりと肩を落としてしまう。まだ子どもで尚且つ優しい気性の持ち主である彼にはクォンタムの敵に対するドライさは少し残酷に映る。

 そんな話をしていると何故かクマノミがキレて怒鳴りだした。


『はぁ!?調べ終わってる?あんな寄生と筋力しか軟体動物と一緒に住んじゃないわよ!!こちとら生まれ持った超能力があるし背骨もアイツより上等な脳みそもあんのよ!!』


「(・・・まさかコイツ)。でもあのタコ中々に賢く立ち回ってたぞ?簡単に怒槌で殲滅されたお前の旦那と違って」


「アイツは!取り付いたやつの脳みそを利用してる間は賢くなれるだけ!!運が良かっただけよ!本来ならアイツら軟体系戦士なんて寄生能力以外無価値なんだから!アタシらみたいな上位種はみーんな高い知能と固有の能力をもってんのよ!!」


「へー、でも俺から見たらタコも、お前らも、全部同じ下等種族にみえるけどな~。違いなんてないだろ?」


「あるわよ!!アタシら上位種は次元の狭間に流れ着いてきた漂流者を運よく食えた連中なのよ!!その結果人間に近い姿に進化して多彩な能力に目覚めたんだから!!」



「へー」


 クォンタムはクマノミを煽りながら情報を聞き出していった。



 「で、まとめると。外獣の中には知能の高い上位種がいて今侵略が成功しそうなのは上位種の四体。それぞれの世界に追加で支援部隊が派遣されてるか・・・。敵のボスについては外獣を仕切ってるってこと以外ほぼ不明か」


『何やってんだアタシはああああああ!?』


「世界がそんなにあることも驚いたがこの世界以外にも侵攻が進んでる世界が三つもあるんだろ?ヤバいんじゃねぇのか?」


「ああ。どうやら解決を急がなきゃいけなくなってきたね。こいつからもう情報も抜き出せそうにないし。寄り道はここまでにしてすぐにテルヒコ捜索を再開しよう」


 そう言っておもむろに立ち上がって出発しようとした時だった。


「お待ちください」


 スズメバチ村長がクォンタム達を引き留めた。


「貴方たちの事情は分かりました。我々にも協力させていただけないでしょうか」


「でも、あなた達は助かったばっかりでこれから大変でしょうし」


「いえ、それでも戦力くらいはお貸しできます」


「戦力?」


 村長がブブブッと羽を鳴らすと部屋の奥から真っ白な羽と体毛を持った人間よりの虫魔族女性が出てきた。


「お初にお目にかかります。シルクとお呼びください」


「私の村では一番腕の立つ者です。皆様のお役に立つはずです」


 新たな戦力として託された蚕の虫魔族「シルク」。

 彼女の存在がこの先の旅になにをもたらすのだろうか?


つづく。


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