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転生して1/10プラモになったら村の守り神に間違われた話。  作者: 海人藤カロ
第一章 転生して1/10プラモになったら村の守り神と間違われた話。
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第五箱 飽きたプラモは他のプラモと合体させると結構楽しい。

次に出会うのは新たな敵か新たな味方か!王都道中編開始です!


クォンタムこと祖聖寺朱火はウォーデンホルセ村の村長からのお願いとシアルへの恩を返すためにユニークスキル「ビルド」の所持者であるシアルと共に王都へと向かっていた。

 クォンタムは歩きながらシアルからこの世界の情報を教えてもらっていた。


「そういえば戦闘中は気にしてなかったんですがスキルとはどういうものなんですか?個人個人が持っている特殊能力とでも考えればいいのでしょうか?」


「わぁ、クォンタム様は何でもご存じだと思ってましたが知らないこともあるのですね」


 恐らく内部コンピュータで調べれば出てくるのだろうが今だにうまく使えないので保留していたのだ。

 戦闘時には勝手に動いて物理演算や記録を行って戦闘スタイルをアップデートしたりと勝手に動いてくれるのに。

 いざ自分で動かそうとしても動かないのだ。


「スキルというのは二種類あります。この世界のいたるところにある神殿で天から授けてもらえる『ノーマルスキル』、生まれた時から持っている『ユニークスキル』です」


「スキルってそうやって手に入れるんですね」


「神殿に供物をささげて祈るとスキルが天から渡されるのです。でもそれは一生に一度しかできません」


「供物って何をささげるの?」


「何でもいいらしいですよ。そこら辺の小石でもいいそうです」


「まじか」


「でも、粗末な供物にはお粗末なスキルしか返ってきません。神様に対して真摯に向き合わない者にもです」


 人生一度きりのガチャガチャみたいだなと思った。


「ノーマルスキルはどんなものがもらえるんだ?」


「私が知ってる限りはエレメント、つまり火や水などの自然を操るスキルと攻撃系統、防御系統、その他。大まかにはそんな感じです。エレメント魔法は滅多に出ないレアスキルなんですよ」


「へぇ~。ユニークスキルは種類とかあるの?」


「ユニークは本当に世界に一つだけのスキルなんです。複数の所有者はいません。私は自分以外のユニークスキル保持者は知らないです」


「まじか。レア中のレアか。あ、あと魔剣とかって何なの?物自体にスキルが宿ってた。これとか」


 クォンタムは背負っていたコンテナの中からシャバルから奪った時駆の剣を取り出す。


「魔剣というか魔装具ですね」


「魔装具?」


「ユニークスキル保持者が亡くなった時に愛用していた武器やアクセサリーにスキルが移る時がある。それが魔装具です。魔装具はスキル所持者の心も一緒に入っているためにその方と親しい間柄の方しか使えないのです」


「つまり生前に心を許してた相手しか使えないってわけか。じゃあコレもあの赤甲冑と親しかった奴なのか?」


「そうかもしれませんね」


「にしてもスキルか。私も『スキル発動!』とかやってみたいな」


 そう呟いた時だった。

 ヴオンッとクォンタムの眼前にウィンドウが開いた。


「なんだ!?」


「どうかされましたか!?」


 シアルには見えていない。となると自分の視界というかモニターに表示されてるのか。


「えーと、金型の王Lv1!?」


『レベル1デ生産可能ナキットハコチラデス』


 頭の中に電子音が流れる。

 いくつものウィンドウが表示されそこにはいろいろなキットが表示されていた。


「どういうことか意味わからん」


『コレハスキル『金型ノ王』デス。クォンタムノ武器、パーツ、新機体ノキットヲ生産可能デス。レベルニ応ジテ生産可能キットガ増エマス』


「なるほど」


「ええと、私には何が起こっているのかわからないのですが」


「あ~どうしようか」


 どうにか説明したいが・・・。

 と考えていると内部コンピュータがあるキットを一番前にもってきた。


「これはタッチすればいいのか?」


 キットの表示されたウィンドウの下の方にある生産ボタンを押す。


『生産開始。キット生成マデ3,2,1』


 ゼロになった瞬間空中にキットの入った箱が出現し、ボトリと地面に落ちた。


「きゃっ!?何をしたんですか?」


 箱には『VRヘッド』と書かれていた。

 中身を確認して説明書をシアルに渡す。 


「シアルさん。これ造れます?」


 シアルはパラパラと説明書をめくるとこくりと頷いた。

 そして彼女のスキルのおかげで完成した。


『VRヘッド』

 これをかぶることでクォンタムと視覚、聴覚などを共有できるぞ。

 ユーザー登録すれば内部コンピュータの機能も使用可能!

 管理者権限を一時的に譲渡されているユーザーは金型の王の使用も可能


 いったん落ち着ける場所に移動してシアルにVRヘッドをかぶってもらった。


『ハジメマシテ、ゲスト様。ワタシハクォンタムノ内部コンピュータデス。ユーザー登録ヲ行イマスカ?』


「は、はい!」


「そんなに緊張しなくても大丈夫」


『網膜スキャン、毛髪ヨリDNAスキャン。貴方の肉体情報をユーザーパストシテ記録。オ名前ヲ登録シテクダサイ』


「シアル・ティセラです」


『シアル・ティセラ様。登録完了。ナニヲオ求メデスカ?』


「まずは金型の王について説明を頼む」


 内部コンピュータはシアルにクォンタムのスキルについて説明した。


「そんなユニークスキルをお持ちだったのですね。同じユニークスキル持ちとしてなんだか親近感がわいてしまいます。それにこのスキルには私のスキルが持ってこいではないですか!まるで私たちは出会う運命だったかのようですね!」


「え、うん。そうだね」


 何故かシアルのテンションが高い。


「では片っ端から生産してみましょう!」


「いやいや、全部は無理無理。必要な時に必要な分だけ!積みプラはプラモがかわそうだ!」


「は、はい。分かりました」


「どうやら内部コンピュータは人間のユーザーがいないとちゃんと機能してくれないみたいです。なら今のうちに聞いておきたい事がある。あの赤甲冑のスキルってわかる?ああいう奴は絶対復讐しに来るからリベンジに備えとかないと」


『赤甲冑ヲ仮名称二登録。赤甲冑ガ持ツスキルハユニークスキル『武道・極』デス」

 

 スキル;『武道・極』

     どんな武器でも使いこなせてしまう。

     脅威判定:EX


「エクストラ?」

 

『コノスキルノ脅威判定ハ持ツ武器ニヨッテ変動シマス。モシクォンタムノ武装ガ赤甲冑ノ手ニ渡ッタ場合、ソノ脅威判定はSヲコエマス』


「なんと!?恐ろしい敵と戦っていたのですね…」


「相手が油断してくれてたのが幸いだったわけか。ありがとう。もういいよシアルさん」


「はい。あ、ちょっとまってください!」


「どうかしたの?」


「こちらに書かれているこの鍵のような模様が気になりまして」


 画面内の一番端に鈎の様なアイコンが表示されていた。

 クォンタムがそれに触れてみるとシークレットキットと記された新たなウィンドウが表示された。

 だが弩のキットにもロックがかけられて開示することができない。


『現在製作可能ナキットハコチラデス』

 

 コンピュータはあるロックのかかったキットのウィンドウを前に出した。

 そこには『時駆の剣を消費して解放』と書かれていた。


「まさかこれは…」


 取り出していた時駆の剣をウィンドウにかざすと時駆の剣が空中で霧散し、ウィンドウのロックが解除された。


『新機体『クォンタムフルブースター』ノキットヲ解放シマシタ』


「クォンタム様これは?貴方の姿とは少し違うようでしが」


「おそらく私の魔装具を消費することで新しい機体が作れるんですよ」


「つまりこれはクォンタム様の新しいお姿なのね!ならばさっそく!」


「いや、なんかまだ時期尚早のような気がするので止めておきましょう」


「あ、そうですか」


 シアルはめちゃくちゃがっかりしている。

 どうやらもともとモノ作りが好きなようなのであのキットの山は宝の山に見えただろう。


「今日はここまでにしましょう。シアルさん、ヘッド外してくれますか?」


 シアルからVRヘッドを受け取り、コンテナの中に入れる。


「すごいですねこのコンテナ。なんでも入ります」


「どう考えても容量以上入れてるのになぜか入ってるもんな。それに。チェーン!」


 そうクォンタムが叫ぶとバシュッとコンテナの中からチェーンニードルが飛び出して手元に。


「呼べば武装が来る。なんとも便利」


「あ、なんだかんだしてる間に日が傾いてきましたね」


「そうだな野営の準備するかキットの中にちょうどいいモノがあったし」


 金型の王のキットの中に軍用テントとパイプベッドがあった。

 それを生産してシアルが組み立てる。


「うわぁすごく広いテント!こんなふかふかの寝具初めて!」


「まさかマットレスまで入っているとは・・・」


 シアルは気持ちよさそうにベッドでゴロゴロしている。


「じゃあ俺は外にいるから。おやすみ」


「はい、おやすみなさい」


 シアルが眠るのを確認するとテントの前に出て座り込む。

 眠れないクォンタムは夜の番を務める。



 夜も更けて月も真上に登った。

 そんな夜更けにこそ動く者たちがいる。

 暗闇から殆ど物音も立てずに近づいてくるがクォンタムにはそれは通用しない。


『生命反応3、敵対行動確認デキズ』


(先にこっちから仕掛けた方がいいか?)


 クォンタムはその場から立ち上がった。

 それを見た三つの生命反応は動きを止める。


「私たちに何か用があるというなら顔を見せて話せ。襲ってくるというなら迎え撃つ。逃げるなら追わない。好きに選ぶといい」


 すると三人の中の一人がこちらに近づいてきた。

 頭部ライトをつけて確認すると黒髪短髪の女性だった。

 巨大な黒いマントで体を隠している。


「へぇ、光のスキルを持ってるのか。あたしたちは傭兵さ。この近辺に違法の奴隷商のねぐらがあると聞いてね。あんたがそうかと思ったのさ。デカいテントもあるようだしね」


「そうだったんですか。でも、俺たちは違いますよ。他をあたってください」


「アンタが奴隷商でないと確認できたらね。テントの中を見せな」


「悪いがこちらも貴方たちが本当に傭兵で良い人間なのか確認できない以上このテントの中に入れるわけにはいきませんね」


「ふむ。そうなると強行しかないわけだが…」」


「別に俺は構いませんけど」


「アンタのその落ち着きっぷりが気になる。相当強いだろ」


「自分の強さなんて考えたことないんで分かりません」


「いや強いよ。アタシの眼に狂いはない。う~ん、証明はできないが誠意を示す事ならできるか」


 そう言うと彼女はマントを外した。マントからは何か物音が聞こえる。色々と仕込んであるようだ。

 そして次は服を脱ぎ始めた。


「なっ!?」


「アタシに敵対する意思がないって示すにはこれが一番手っ取り早いだろ?」


『戦闘記録開始』


(おい!誰も頼んでないぞ!何勝手に記録してんの!?)


 そして数分後。


「ホントに全裸になったよ。ヤバイなこの人」


 小麦色に焼けた肌に筋肉で締まったその体はまるでギリシャの彫刻のようであった。

 だがいくつもの大きな傷跡が残っていた。


「ほら!もう武器なんて持ってないよ?それでも入れてくれないのかい?」


「…スキルは?」


「っかぁー!抜け目ないね。大体の男ならコレで油断するんだけどね」


 はぁ、とため息一つつくとクォンタムはテントの入り口を開いた。


「いいですよ中を見てもらっても。あなた一人だけなら。何かしようとしたら即殺しますからね。あと服は着てください」


「えへへ、どうも。しかし、あんなにキレイにスカされると女としては複雑だねぇ。キズモノとはいえ自信あったんだが。

おいてめぇら!他に野営してる場所がないか探してきな!見つけたらすぐにここに戻ってくるんだよ!」


「「はいお頭!」」


 茂みの中に隠れていた二人がその場から離れていく。

 声からしてどちらも男性か。



 お頭と呼ばれた女傭兵をテントの中へと招く。

 テントの中の灯を付けると彼女はとても驚いていた。


「何だ?光の魔装具か!いいもの持ってんな」


 いや、ただの電球なのだが。

 そういえば作ったものは使えば動くがどこからエネルギーを引っ張っているのだろう?


『クォンタムカラ生成サレタモノハスベテクォンタムノ『永久エネルギーコア』カラエネルギーヲ得テイマス。アナタガスリープモードニ入ッテイル場合ヤ『エネルギーコア』ガ停止シタ場合ハシヨウデキマセン。フクスウノ高出力エネルギー兵器ヲ同時使用スルバアイハ本来ノ出力ヲダセマセンノデ注意シテクダサイ』


(なるほど。一応戦闘中だからよくしゃべるな)


「ふ、ふぁ?どうかされましたかクォンタム様?」


「あ、起こしてしまいましたか?」


 寝ぼけまなこをこすって視界がハッキリすると。

 クォンタムとその隣に立っている女性が目に入った。


「だ、誰ですか!?」


「えーと、自称傭兵の方でこの近辺に潜伏している。違法奴隷商人を探しに来たとか」


 クォンタムは簡単に経緯をシアルに説明した後にお頭はテントの中を珍しそうに見渡す。


「ふむふむなるほどあるのは寝具だけか。いいなこの寝具。あたしらなんて野営の時は良くて動物の皮で作った寝床なのに。いいな~」


「もう気は済んだでしょう?出てってください」


「ああ。そうだな。疑いも晴れたしもう行くわ」


「あ、あの!」


「何だいお嬢さん?」


「貴方は違法な奴隷商をやっつけにいくんですよね!ならば私たちも行きます!」


「えっ!?」


「見過ごせませんよ!違法奴隷なんて!」


「恩人の貴女がそういうなら行きましょう」


「ん?あんたら旅してるっぽいけどどういう関係なんだ?」


「私はえーと自分の力を戦争を止めるために使いたいと王都のGOPの本部に兵士として志願しようとしてます。シアルさんはそんな俺の旅の道連れとして付いてきてくださいました。尚且つ俺を救ってくれた恩人なんです」


「つまりは戦争で活躍したい連中ってことかい?」


「クォンタム様そんな不純な動機の為に王都にいくのでは!」


「シアルさん、奴隷商人を探すんでしょ?言い合いはその後で」


「そうでした!」


「アタシとしちゃ協力してくれるのはありがたい。特にアンタはな」


 お頭はクォンタムに目配せする。

 そして彼女の部下二人が奴隷商の野営地を見つけて戻ってきた。


「よくやった。行くよお前ら!今回はゲストも一緒だ!」


「こいつらも!?」


「よろしくお願いいたします!」


「お願いします。まだそちらを信用したわけではないですが」


「「何だとこのでくの坊」」


「やめな!いまは奴隷商が先だよ!」


「あ、そういえばまだお名前を」


「アタシかい?アタシは傭兵であり盗賊団『サルトゥアクラーヌ』の頭。ドナウ・シークさ!覚えときな!」


 こうして盗賊団サルトゥアクラーヌのドナウと共に行動することとなった。

 目指すは違法奴隷商人たちの壊滅。

 だが、クォンタムはまだ彼女たちを信用してはいない。味方となるかはたまた敵か。



つづく







 














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