二章・第十三章「プラモのアンテナと虫の足は折れやすいから気を付けろ」
おはこんばんにちわ!海人藤カロでーす!!
今回はDrテムールとの戦いが始まります!彼の目的は最強の改造魔族を作ることなのですが。
どう考えても彼一人では成しえないことが多く存在します!では一体どうして彼は魔族の遺伝子改造が可能となったのか。考えてみてくださいね!
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テルヒコの行方を追う道中に寄った虫魔族の村。その村はもぬけの殻で子供から大人までだれもいなかった。
何か事件が起きたことを察したクォンタムたちは村を調査することになる。そして調査の中で魔族の指名手配犯Drテムールが村の虫魔族たちを騙して自分の実験材料としていることを突き止める。
虫魔族たちを救うためにテムールのアジトである廃砦に突入したクォンタム達だったが罠にはまりテムールが作った改造魔族たちの機能テストの相手をさせられることとなったのであった。
〇
クォンタムとギンが引きずり込まれた内部演習場。
その中は大きな広場になっていて何もなかった。周囲の壁にはいくつも戦闘痕が残っている。
蜘蛛の糸のようなもので縛り上げられたクォンタムとギンはそのまま起き上がる。
「おい!いまの朱雀って奴ならこの糸焼き切れるか?」
「出来るけど‥多分ギンの毛も燃えるよ?」
「あー・・・。いいよ!毛ぐらいすぐにはえらぁ!!」
「なら」
ボオウッ!!
体から発した炎で糸を焼き切る。と同時に一緒に縛り上げられたギンの密着してる部分の毛にも炎が燃え移った。
「うおおぉっ!?」
「今消すから!」
クォンタムは燃えている部分の炎を掴んで吸収する。幸い火傷はしていなかったが案の定毛が燃えた部分は禿げ上がっていた。
「ど、どうなってる!?背中だから見えねぇんだ!!」
「あー・・・。まぁ、上着でも羽織れば・・・。イヤごめん。予想外に燃えたわ」
「はぁ!?マジかよ!?」
そのことについてクォンタムはギンに深々と謝罪した。どの世界でも毛がなくなることは場所問わず男にとって大問題である。
「はぁ、もういい!許す!!」
「ありがとう」
「とっととここにいる実験体とやらを片付けて・・・」
辺りを見渡すが本当に何もない。壁にはランプがいくつもかけてあり見通しも問題はない。
「なんだ。何もいねぇじゃねぇか」
「いや、ギン・・」
クォンタムがギンに対して人差し指を上に向けて見せた。
彼もそれにつられて上を向いてみると。
ザワ、ザワ、ザワ。
巨大な毛だるまの蜘蛛とカマキリが合体した様な姿の巨大な虫魔族が天井に張り付いていた。
「シュー―」
不気味な息吹を上げながらこっちを見ている。
その怪物の周囲を先ほどのバグベアが飛んでいた。
『カマキリ型とクモ型の魔族の遺伝子を合成して作り出した合成魔族だ!名はマンティスパイダー!体もそこそこ大きくなるよう作ってある!さあ楽しんでくれたまえ!』
「安直なネーミングだな」
ブォンと巨大な鎌が二人に向かって振り下ろされる。
二人はすぐさま飛退いてそれを躱すが地面に突き刺さった鎌の衝撃波が刃となって避けた二人に襲い掛かる!
「うそだろ!?風のアニマ!?」
クォンタムは咄嗟に背部の翼から炎を噴き出してそれをかわす。ギンも重力操作で自分の体を強制的に衝撃波の軌道の外へ移動させた。
この合成魔族はアニマまで使えるらしい。
「クォンタム!所詮は虫魔族だ!火に弱いはずだ!!」
「うーん、そう簡単にいけばいいけどねっ!!」
クォンタムは聖獣形態へと変形して炎を纏いながらマンティスパイダー周囲を跳び回り、炎の渦の中へと閉じ込めた!
「よし!」
『馬鹿め!』
ズバッ!
しかし、マンティスパイダーは易々と炎を切り裂いて脱出した。
「こいつらにはクマムシ型魔族の遺伝子も組み込んである。高温など何のそのだ!」
「やっぱダメか」
「炎が効かない・・・つーかクマムシってなんだ?」
「何しても死なないっていう生存能力に特化した虫だよ。魔族の中にもいたとは驚きだ」
「どうすんだよ何しても死なないって!」
この怪物をどうやって攻略したものか。碌な作戦が浮かばない。
ふと、空中を旋回していたバグベアが目に入った。
「なぁー!なんか弱点とか教えてくれる?」
「はぁ!?敵に何を聞いてるんだよ!教えるわけ・・・」
『そうだな。炎、冷気などの属性攻撃は効かんし昆虫特有の硬さもある。打撃は効きにくい。鋼鉄をも両断するような鋭い斬撃ならあるいは傷を負わせられるかもしれんぞ」
「教えるのかよ!!」
『当然だ。何せ秘密裏に作っているものだから戦わせる相手が今までいなくてな。魔王軍にけしかけてもよかったんだがこんなもの作れるのは私しかおらんからすぐに私だとばれてしまうから今までろくに性能テストもできんかった。作品同士は戦わせたくないしな。お前らは中々の実力者のようだし攻略法を教えてどうやって攻略するかを見ておきたい。その結果で新作の方向性も定まっていくというものだ』
「攻略情報には感謝するけど。こいつらどうやって作ったの?」
『ああ、今性能テストをしている連中は体をツギハギしたり薬物投与、私の生命のアニマの能力で改造した雄の村民たちだ。こいつらの結果をもとにして新作は雌共に産ませた卵の段階から改造を加えようと思っているのだよ』
その言葉にギンは驚愕し、クォンタムはだまって目の前の怪物を見据えていた。
「コイツ・・・!!」
「つまり、雄の人たちは全員使っちゃったってことか?」
『ああ。そうだな。雌共は卵を産ませるために「丁重に」扱ってやっているよ』
「あーそう。じゃあ、殺すわけにもいかなくなっちゃったな―」
クォンタムはこめかみ辺りをトントンと突きながら頭をひねる。
『ははは!殺して構わんぞ?もう元には戻れないのだから!』
テムール、虫魔族たちを助けようというクォンタムをあざ笑う。
「クソ野郎が・・・。どうすんだクォンタム!?このままじゃ・・・うぉ!?」
マンティスパイダーが尻から蜘蛛糸を吹き付けてきた!
何とかかわすが部屋中が蜘蛛の巣に覆われていく。
「逃げ場が・・!捕まったら細切れにされっぞ!」
クォンタムは翼で宙に浮きながらまだこめかみに指を当てて・・・クワっと目を開いた!
「よし!」
「なんか思いついたのか?」
「一旦、拘束して無力化しよう!!」
「アレをか!?」
「いや、青龍の風で細切れにしようかな~とか考えたんだけどアレの正体を聞かされたら殺せないし。だから一旦拘束してあのクソ博士を殺しに行こう!」
「でもどうやるんだよ!?」
『そうだよ炎のアニマを使うゴーレムくん!君の能力では・・』
「換装!!」
クォンタムの姿が朱雀からパトランプへと変形する!
『な、なんだ!?パトカーだと!?貴様もしや・・!』
「パトカー知ってるってことはやっぱ転生者か」
「いや、でも、その姿でどうするんだよ!」
「パトランプの力は現場検証による情報収集だけじゃない。敵対者、敵対生物の拘束、無力化こそ本領を発揮するのさ!『超電磁さすまた!!』」
パトランプが背中に背負っていた十手が形を変えて『さすまた』へと姿を変える!それを手に取って構えると
「ギン!俺を上のカマキリ部分へ飛ばしてくれ!!」
「お、おう!!重力反転・・横!!」
ギンが作り出した重力場に押されてクォンタムが吹っ飛ぶ!!そのままカマキリの首の部分にさすまたを突き立てた!
「拘束!」
さすまたの両端が伸びてまるで首輪のようにカマキリの首に巻き付いた。すると円状になった先端がポロっととれる。
そして作られた首輪がカマキリの首を締め上げると同時にマンティスパイダーの目から光が失われ倒れ伏した。
『バカな!?何をした貴様ぁ!』
「ホントになにしたんだよ?」
「ああ、このさすまたは相手を掴むと先端が伸びて巻き付いて拘束するんだよ。んで棒から外れると相手の全神経に伝わる信号を強制的に遮断するんだ。虫の魔族に効くかどうかは使ってみるまで分かんなかったけど。効いてよかった」
「え?・・・ええ??」
「まぁ、眠った状態にするんだよ」
「なるほどな」
『お、おのれ!やはり貴様も転生者か!!だがなんだこの力は!?武技でもアニマでもないだと!』
「まぁ俺はこの世界の理からは少し外れてるからね」
『首輪をはめられただけで無力化されるなど性能テストにならんではないか!!おのれぇ!』
博士はバグベアを操作して首輪を外そうとするが。
バリバリバリ!!!
『あ!?バグベア!‥あ・・・・通信・・・・・』
バグベアは機能停止て地面に落ちた。
「無理矢理外そうとするとああなる」
「なるほど」
「よし、すすむか。仲間と合流するより博士を殺して事態を収拾する方が楽そうだ」
「なぁ、クォンタム」
「なに?」
「お前相当キてるだろ」
クォンタムから明確に殺すという単語が出てくるのでギンは少し心配になっていた。
彼が心優しいのはギンも知っているが時折信じられない程の激情を秘めているように感じたからだ。
「確かに・・・ね」
クォンタムはそう呟くと部屋の奥へと歩を進める。ギンも少し不安そうに後ろを付いて行く。
その時、部屋の奥の壁が崩れてさらに多くの実験体たちが姿を現した。
「まぁ、そりゃ一匹だけってことはねぇわな」
「ギン。これ」
「手枷か?」
クォンタムはギンに十数個ほど『超電磁手錠』を渡した。
「さすまた程ではないけど拘束力がある。相手の体のどこでもいいからつけて」
「わかった!」
襲い掛かる改造された魔族たちを救うためにクォンタムとギンは彼らを次々に無力化していった。
〇
その頃、兵の扉へと引きずり込まれたトラマルはと言うと。
「せっかく師匠の戦闘が見れると思ったのに!まったくもって不愉快だ!!」
彼の周囲には人の形になったカブトムシやクワガタという感じの改造魔族たちが転がっていた。
そこへ通気口を通ってきたバグベアが顔を出した。
「な、なんじゃこりゃあああ!?」
その惨状を目の当たりにして博士の驚く声が響く。
「む!?貴様、不愉快だぞ!この程度で最強魔族を作るなど片腹痛い!!改造魔族というからちょっと期待していたのに!!これなら師匠の戦う姿を見た方が万倍有意義だったわ!!」
「ば、ばかな。戦闘に特化した甲虫型の魔族をかけ合わせて作り上げた実験体をこうも容易く!?」
「確かにこやつら中々に堅かった。だが外側だけだ。掌底で体内に衝撃波を送ったら簡単に倒れたぞ」
(く、人間台の脳に加えて梯子状の神経があれば手足を切り飛ばされてもその手足を操ることができる!それこそが甲虫戦士の強みだ・・!しかし、体全身を刺激されて神経その物を麻痺させるとは!)
「もう打ち止めというのなら私はこの部屋を出させてもらおう!コデ坊ちゃんが引きずり込まれた部屋はこっちの方角だったな!」
トラマルはコデが引きずり込まれた武器倉庫の方角の壁へと進んでいく。
「な・・何をする気だ!?」
ドゴォ!!
トラマルはいきなり拳を壁に打ち込んだ。
「はっはっは!馬鹿な奴だ!この砦は外観こそ古いが中身は魔技と魔王城から奪ってきた資材で強化されて・・・」
ドゴォ¡ドゴォ!!ドゴォオオ!!!
「こ、鋼鉄仕込みの壁を!?」
拳で破壊して掘り進んでいた。
(と、扉を壊した方が早いだろ!?なんという横着な!)
クォンタムからコデの守りを任されている以上、トラマルは任務遂行を最優先で行動する。
鋼鉄の壁を砕きながらトラマルは一路コデの下へ向かう。
〇
クォンタムたちが巨大改造魔族と闘っていた頃。
コデとディーナが引きずり込まれた武器倉庫では。
「うーん。周りの壁には古びた武器がズラリと」
二人は肩を寄せ合いながら部屋の内部を調べていた。
ディーナは剣に炎を灯して光源を確保して内部を照らす。
「さっき私たちを引きずり込んだ尻尾の主もいるはずです。気を付けて」
「は、はい!」
部屋は広く、奥の方まで続いている。
「うーん、やっぱり変だ。武器庫なのに武器があるのは最初の数メートルだけであとは何もない空間が続いてる」
「明らかに改造魔族を戦わせるために増築したって感じね」
だが、部屋の調査を進める二人の背後に迫る影が。
「っ!?」
気配に感づいたディーナが振り向くがそこには何もいない。
「ディーナさん?」
いきなり振り返ったディーナに対し訝し気に名前を呼ぶ。
「何でもないわ」
後ろに危険がないのを確認すると前に向き直る。その瞬間!
彼女の背に石の槍が飛び込んできた!
ガキン!!!
ディーナは分かっていたかのようにそれを切り払った。
「な、何もないところから魔技が飛んできた!?」
「虫魔族には周りの景色に体を同化させる技を持った者がいるそうです。恐らくその技を使えるよう改造された魔族がこの部屋には蔓延っているのでしょう」
「ってことは!」
「すでに囲まれている!」
見えない刺客が二人に忍び寄る!
つづく!




