二章・第十二箱「プラモの箱は放っておくと虫が湧くから気を付けろ」
おはこんばんにちは!海人藤カロでーす!!
やっとテルヒコ捜索へ出発したクォンタム達。しかし彼らの旅には困難が伴うのは必然!テルヒコと全く関係ないところで全く関係ない奴が彼らの前に立ち塞がる!
どうぞお楽しみください!
いつも通り!面白いと思ったらブックマーク!感想、評価、レビュー!色々とよろしくねー!!
クォンタムはコデ、トラマルと共に魔族領奥地の森の村へと戻ってきた。
ディーナ、ギンと合流してテルヒコの足跡を追う旅が始まった。
仲間たちは移動用の魔獣メッシーに跨り、クォンタムは新たな姿『SDクォンタム・レディバグ』へと換装し出発したのだった。
〇
「ブォン、ブォン、ブォオオン」
オフロードタイヤで荒れた道を楽々と進む。
今クォンタムたちがいるのは奥地の森と目的地の魔王都から南部にある村『ベチ』の中間にあたる場所だ。
この道中寄った村でもコデのことで絡まれたりしたがトラマルの存在がとてもありがたかった。そこら魔族領内の至る所で暴れまわっていたことで顔も広く知られており、トラマルがコデの近くにいるだけで近寄ってきたチンピラたちは蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
「クォンタムそろそろ、日が暮れる。メッシーも休ませないといけない。この近くに虫魔族の集落があるから
そこで一泊しよう」
「村に泊まるのは大丈夫かな?コデの事もあるし野宿の方がよくないか?」
「いや、メッシーを狙って他の魔獣が襲ってくるかもしれないぜ。コデの事はトラマルがいるし大丈夫だろ
」
「クォンタムさん、大丈夫です!僕も自衛の術くらい持ってますよ!」
クォンタムは不安を残ししつつディーナの意見に従う事にした。
集落の入り口には門番すら立っていなかった。
「なんだ?小さい集落に門番もなしだと」
ギンのその言葉に皆が警戒態勢を取る。
コデも震えながら腰の剣を握った。その肩をトラマルがポンっと叩いた。
「トラマルさん・・・」
「大丈夫、みんないますよ!」
「はい!」
警戒態勢のままメッシーを折りて辺りを見渡す。
「ギン。どう?」
「村全体が虫族特有のにおいで充満してるがほとんど残り香だ」
という事は今この村に誰もいないという事だ。
「何かあったのは間違いなさそうね」
「村を調べてみよう」
皆で手分けして村を見て回ることにした。
ギンとディーナ、クォンタムとコデとトラマルの二組に分かれて村を両側から調べ始める。
家の中にも誰もいないが食料や衣類などは残っているし生活の後も見て取れた。何かに襲われた痕跡もない。
その時村の中心から声が聞こえた。ディーナの皆に呼びかける声だ。そこに集まると村の掲示板がそこにあった。
そこには一枚の張り紙が。
『魔王軍より勅命。大魔獣発生。討伐に参加せよ。安全のため村の全員で指定の砦まで来られたし』
集合場所の地図まで記載されている。
「大魔獣?」
「時々突然変異で発生するデカい魔獣だ。でも魔王軍がこんな集落にも助けを求めるなんて・・」
「日付は?」
「昨日だ。でもそれだったら俺達の村にも来てないとおかしいぜ?」
「ああ、こんな重大事件なら召集されるはず。でも魔王様の王印がちゃんと押されてあるし」
「ん~・・・調べてみる?」
「調べるってこの張り紙を?何を調べるってんだ?」
「こうやって。換装!!」
クォンタムは換装して新たな姿となった。その名も『SDクォンタム・レスキューフォース』に登場する警察組織の車!『クォンタム・パトランプ』!!
「白黒でパンダみたい」
「肩の光ってる奴なんなんだ?敵に発見されやすくなるだけだろ?つーか音うるさっ!」
「この光は仲間に自分の居場所を伝えたり、相手に対する警告をするための光なの。音も仲間に居場所を伝えたり、相手を精神的に追い込むためのモノなんだ。音は消すね」
「なるほど、追い込み猟みたいなものだな。つまりその姿はハンターの姿だろう!!」
「あー。あってるっちゃ合ってる。そんな事よりとっとと済まそう」
クォンタムは指先を張り紙に向けると透明なスプレーを噴霧する。その次に目から赤い光を発生させて張り紙を照らすと紙の上に指紋が浮き上がってきた。
「何だこりゃ?」
「指紋って言って。この紙を触った奴の指とかの後さ」
「へぇ。でもそれが分かったからって何なんだ?」
「この張り紙ってどんな種族が張るか分かります?」
「基本的に魔王様からのお知らせや命令、勅命は機動力のあるハーピィやガルーダ族が」
「指先の形状は?」
「彼らは手の形こそ人間に近いが指先には鋭い爪を持ってるから張られた紙は大体ちょっと端が破れてたり・・・してないなこれは」
ディーナも気づいたようだ。この張り紙には鳥人タイプの魔族の指紋など全くない。
これだけ重要な事件にも関わらず機動力のない魔族に張り紙を運ばせないことなどまずない。
「この指紋、虫族じゃないな人間っぽい」
いくつかあった指紋の中に明らかに虫族とは違う形状の指紋があった。
「また魔族さらいか!?」
「調べてみる」
クォンタムは次は中指を見つけた指紋の上に重ねた。
『スキャン完了。油脂成分、動物性、ウシ科に近い成分と判明』
「牛?ここら辺に牛なんていねぇぞ」
「ウシ科ってことはヤギとか羊とかも入るな」
「羊で人間っぽい・・・あ!」
ディーナは何かに気付いたのかメッシーの所に戻ってカバンをあさる。取り出したのは何かの冊子だった。
「それは?」
「指名手配帳よ。ここには魔王様に犯罪者認定されてまだ捕まってない連中が乗ってる。各村の憲兵には全員配布されるの」
ディーナはそれをざっとめくっていき、あるページを皆に診せた。
「ミノタウロス族の羊頭の科学者・Drテムール。非魔道的実験を繰り返して魔王軍の魔技研究部を追い出された男。転生者だって噂もあるわ」
〇
そこは暗い部屋。巨大なガラス作られたカプセルがいくつも並べられている。カプセルの中には液体が入っており中には大きな水晶玉のような球体がうかんでいた。
「ウィッイッイ。虫魔族共は単細胞で扱いやすいのう。易々と全て捕らえられたわ。しかし、足らんなぁ。雌どもに産ませた卵から抽出したDNAだけではやはり最強の魔族を作るには足らんか。魔族の奴隷でも買うか?いや、だがそんなことをすれば足がついてしまう。設備だけは何とか魔王城から奪えたが・・・実験材料の調達がこうも難航するとは!」
テムールは研究に行き詰っていた。
彼の目的は魔王軍を見返すために最強の魔族を自らの手で作り上げる事だ。その為に多くの魔族の遺伝子を欲している。
「他の村から攫ってくるか?いや、連続殺魔事件が問題となっている現状ではどこの村も街も警備を強化しているはずだ。できない!くぅ~!!他の魔族ももっとバカだったらなー!!」
彼はその場でしばらく地団駄を踏むとため息をついた。少しすっきりしたようだ。
「ないものねだりをしても仕方ない。どれ、新しい卵が出来ているか見にいくか」
彼は暗い部屋を出ると地下へと降りた。そこには広いドーム状の部屋があり・・・。
「どれ・・」
彼が天井を見上げるとそこには何体もの雌の虫魔族が羽をもがれ、手足を拘束され、目隠しと猿ぐつわをされて吊り下げられていた。
「あ・・・あぅ・・んぐっ!?」
彼女たちはもだえながら下腹部から卵を産み落としている。彼女らの下には蜘蛛の糸で作られたクッションがありそれが落ちてくる卵の受け皿となっていた。
「うーん出が悪いな。薬をさらに増やすか」
そう呟く彼を一際大きなうめき声で怒鳴りつける者がいた。
「うるさいのう」
テムールはぼりぼりと頭を掻きながら声の主の方を見る。そこにいたのは全長五メートルはあろうかという巨大な雌のスズメバチの魔族だった。
「来るたび来るたび怒鳴りおって。お前らは全員ワシの実験材料となる運命だったんじゃ。なぁ、『村長殿』。もう観念して暴れるのを止めろ。お主は一番出が良いから殺したくない。全く、羽虫風情が手間をかけさせるなよ」
そうはき捨ててテムールは卵を回収して出て行った。
村長と呼ばれた彼女も羽をもがれて複数ある手足も何本かなくなって壁に標本のように巨大な杭で固定されていた。スズメバチ特有の顎の牙もへし折られている。呻きながら彼女の瞳はずっとテムールの去った方を睨み続けていた。
〇
「転生者の魔族で科学者か・・・」
「カガク?」
「ああ、いやなんでもない。王印とやらも偽造だろうな。そいつが張り紙を偽装して虫魔族を集めてる。嫌な予感しかしない」
「まだ確証はできないけどね」
「どうします師匠?我々の目的には関係ないことですが・・・」
「・・・あれ」
クォンタムが指さすとコデが力強く剣を素振りしていた。
「待っててくださいね!今助けに!」
クォンタムとテルヒコは目を見合わせる。
「ね?」
「そうですな!この一件を解決して魔王に報告する!平和の第一歩となりましょうよ!」
「だな」
「ありがとう、クォンタム。いや、助けに行ってくれるとは思ってたけどね」
「はっ!もし見捨てるなんて抜かしてたら俺がぶんなぐってたぜ!!」
「なら行くか。メッシーはこの村の竜舎で休ませてもらおう。みんなは俺が運ぶよ」
クォンタムはレディバグのカーモードになり背中を向ける。
「この扉のノブに触れてみて」
「はい!」
コデが嬉々として触れてみるとコデの姿が消える。
「おお、そのドアノブが異空間発生装置ってのになってるのか」
内部は本物の救急車と酷似していた。そして全員が乗車したことを確認して発車した。
内部に記録した張り紙の地図を頼りに砦へと向かう。
〇
到着した砦は植物の蔦に覆われて生活感がほぼなかった。周囲には深い堀があって門とはね橋が一体化している作りだ。
だが虫魔族たちの足跡が砦の入り口へと続いていた。
「どう考えても捨てられた砦だなぁ」
「虫魔族もおかしいとは思わなかったのかねぇ?」
「ディーナさんたちはこの砦についてなにかしってる?」
「ううん」
「俺達はここら辺には来ないからなぁ。こんな砦があったのも初めて知った」
「で、どうする師匠?正面突破か!」
「いや、それやると虫魔族の人たちが人質に取られた時対処できない」
「奴隷解放の時みたいに陽動作戦でもするか?」
「ん~、中の様子もわからないし。難しいと思う」
「となるとこっそり入るしかないわね」
「う~ん」
今考えつく中で多少の犠牲もやむなしとするなら正面突破が一番簡単な策だ。幸い戦力は整っているし転生者一人程度なら片付けられる。
手堅くいくなら潜入だが中の虫魔族たちがどうなっているかわからない以上、悠長なことをしていれば自体の悪化を招くかもしれない。
「正面突破と潜入、『両方』で行きましょう!」
「両方かじゃあ潜入は誰が行く?」
「いえ、俺達はばらけません。全員で行きます」
「え、じゃあ潜入はどうすんだ?」
「我に秘策アリ!!」
そう言うとクォンタムは姿を朱雀クォンタムへと変えた。そして全員にこそこそと耳打ちする。
「なるほどな」
「確かにそれならば!」
全員の同意が得られたところで作戦開始である。
〇
早速堀を飛び越え、跳ね橋と一体型の門を破壊して外壁の中へ。さらに内の門を破壊して砦内部へと乗り込む。
陣形は一番前に鼻の利くギン、その後ろに続く形でクォンタムとディーナ、その後ろにコデを挟んで最後尾にトラマルが背後を護る。
「虫特有のにおいがするな。けどこの砦古すぎてカビの匂いだらけだ。虫魔族たちが砦のどこにいるかまでは分からねぇ」
砦は入ってすぐ大きめの部屋になっていてそこから前と左右にドアがあった。ドアの上には左から『兵』、『内部演習場』、『武器庫』と書かれていた。
「さてと、どこから行く?こういう場合は三手に分かれる方が効率的だと思うが」
「いやぁ、でも、せっかく陣形組んだんだから一つ一つ順番に潰していこう。分かれて戦力分散したら敵の思うつぼになりかねないし」
『ほうほう、賢い奴もいるものだ。数のいる連中は大体三手に分かれようとするのだがな』
「だれだ!?」
声の方を見るとそこにあったのは通気口だった。
そこからパタパタと一つ目玉に羽の生えた蝙蝠のような生き物が出てきた。
「なんだこの生き物?」
『こいつは私が作り出したバグベアという魔獣だ。通信装置のような役割を持っているのさ。むろんこいつが見ているものは私も見ている』
「つまり今喋ってるのはコイツの飼い主ってことか。アンタは何者だ?」
『私は世紀の天才生物学者!!Dr~テムール!!(旧名:権俵 大介之丈)』
「やっぱりか」
『どうやら君たちはどこぞの村の警備兵か何かのようだね。異変を感じてここいらに派遣されたというところだろう。うれしいよ。丁度実験体の確保に行き詰っていたんだ』
「お前!村の連中をどうした!?」
『ああ、彼らなら今私の研究に協力してもらっているよ。快くね』
「悪い奴ってのはなんですぐばれる嘘つくかなぁ。どうせろくなことしてないんだろ?」
『空気の読めん奴だな。ちょっとはもったいぶらせておくれよォ。確かに君の言う通りだがね。こんな感じに』
パチンと指を鳴らす音が聞こえると部屋の三つのドアが一斉に開いた。同時に『何か』がクォンタムたちに襲い掛かった!
「うぉ!?蜘蛛の糸!?」
「からまった!」
クォンタムとギンに蜘蛛の糸が絡まり。
「なにこれ!?」
「なにかの尾だ!」
コデとディーナは黒く長い何かに巻き付かれた。
「ぬおおお!?コデ坊ちゃん!!」
トラマルも胴体を何かに挟まれた!
『さあ!まずは私の試作品たちの機能テストだ!!!』
クォンタムとギンは内部演習場、ディーナとコデは兵、トラマルは武器庫へとそれぞれ引きずり込まれる。
Drテムールの恐ろしい実験が開始されるのであった!
つづく




