二章・第十箱「プラモを作った後には必ず服に接着剤ついてるけど全然気づけない」
おはこんばんにちは!海人藤カロでーす!!
はい、今回でいったんジュピター帝国での話は終わりとなります!後々また戻って来ますが(多分)!
前回キモデ氏から出された提案をクォンタムは受けるのか。奴隷解放も目的の一つだったクォンタムにとっては重い決断です!
どうなるかは見てのお楽しみ!ではどうぞ!
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外獣にそそのかされて魔族への復讐を続けているテルヒコの足取りをたどるクォンタム達はトラマルから魔族領の魔王都から南に進んだ街付近にテルヒコがいたという情報を得た。
しかしそれは既に二週間前のことだ。しかし他に手がかりもない。
クォンタムたちは一路魔族領へ戻ろうとしていた時、コデの父親キモデがコデを迎えに来ていた。
そのままクォンタムはキモデ邸に招待されそこでキモデに今回のテルヒコが起こした連続殺魔事件の真実を隠蔽するよう頼まれたのだった。
〇
クォンタムはキモデからの提案された案に賛成と反対、両方の気持ちが入り混じっていた。
案に乗れば戦争を回避しこれ以上の悲劇を生み出さずに済むが魔族の名誉を大きく傷つけることになる。
だが、公にしてしまったら十中八九戦争は起こるだろう。そうなれば・・・。
クォンタムの頭の中にはディーナやギン、ジャック、あの村の仲間たちの姿が浮かんだ。
「受けざるを得ないか・・」
「本当ですか!?」
「善処はしましょう。けど事件を隠蔽するとしても俺一人でできる事なんて限られてますよ。それにこの事件はもう魔族領全体に広がって、魔王軍も調べているはずだ。俺が一番最初にテルヒコにたどり着ける可能性は相当低いかもしれません」
「いいえ、だとしても私にはこの件に関して頼れるのは貴方だけなのです」
「ぼ、僕からもお願いします!ニュートやクラン、皆が傷つくところなんて見たくないんです」
コデも頭を下げてきた。
「わかりました、わかりました!だから頭を上げてください、坊ちゃんも!こんなの他の召使いの方々に見られたら俺が目の敵にされる」
「ありがとうございます!」
「でも、一つ条件を付けて欲しい」
「条件?内容は?」
「この件をキモデ氏の案で解決できたなら人間領にいる魔族奴隷を全て開放してほしいのです。貴方の一存ではすべては無理かもしれませんが出来る限りはやって欲しい。ああ、人間領に残りたいという魔族は残っていただいて結構ですので」
「当然の条件ですね。うーん、私の伝手と財力をフルに使えば人間領全土は無理でもジュピター帝国と周辺諸国ならば!」
「ではそれでお願いします」
交換条件も決まりブータン親子がやっと頭を上げてくれた。
クォンタムが案を承諾してくれたところで今後どう動くかを話し合う事に。
「ん悪いが俺はもう魔族領には行かねぇぞ。仕事探ししないと」
「そうだろうとは思ってたけどな。あれ?でもそれじゃ俺はどうやって帝都の外へ出れば?」
「私の商会で使っている荷馬車を使えばよろしい。帝国を出る時に一々荷物検査などされませんしな。荷台に隠れていれば大丈夫です」
まず帝都からの脱出方法は得た。
「魔族領に戻ったらディーナさんに今回の報告をしないといけないな。それとキモデさんとの交換条件の話もしないと」
「魔族連中はキモデ氏の案、反対するんじゃねぇの?」
「だとしても奴隷解放を条件に出されてる以上は早々反対できないと思うよ。あの戦いでリヒトの顧客リストは手に入ったけど人間領を自由に動いて奴隷を開放できるヤツなんていないし。人間側の協力者は絶対必要になってくる」
「それにしても魔族を奴隷にしてんのにそれが戦争の火種になったりしねぇの?」
ヒノコがそんな事を言うとリヒトは少し呆れた表情で答えた。
「んぁ~?そんなこともわからねぇのか?何年俺と付き添ってんだよお前は」
「そ、それは関係ねぇだろ!!」
「お互い様だからだよ。奴隷にしてんのは。魔族の連中も人間の旅人や人間領の村を襲って人間を売買してる連中はいる。でなきゃ俺がやってた商売なんて魔王軍に目を付けられてすぐにぶっ潰されてるさ。魔族と人族、双方のお偉方の暗黙の了解って奴だ。互いに憤りこそすれ戦争にはならねぇのさ。裏じゃ魔族が魔族を奴隷商品として人間の奴隷と交換してるなんて奴らもいる」
「・・・」
ヒノコやニュートたちは複雑そうな顔をしていた。
そう、実質的に魔族の権力者たちは奴隷を見捨てていたという事だ。
さらには政治的、商業的交渉の材料にまでなっていると知ればなおのことである。
「んでも魔族の方が奴隷の扱いがアレだぜ?壊れるまでマワすゴブリン族やオーク族、人間を食料としか思ってないヴァンパイア族、人間の肉を好んで喰う肉食の魔族共。それを考えたら俺が商売してた連中の方がまだまし・・・」
スパーん!!
「ぶへ!」
小さな玄武ヨーヨーがリヒトの側頭部を弾いた。
「奴隷にいいも悪いもない!例え上の連中が黙認してたとしても!!」
「何すんだコノヤロー!!言っとくがな俺が毎月売り飛ばした奴隷から取ってた『売買先での満足度アンケート』では98%が『生活に満足している』という結果を叩きだしてんだぞ!!」
「あてになるかぁ!!!なんだそのアンケート!?」
「いやクォンタム、それがマジなんだよ」
「チロロ、リヒトは下衆で守銭奴だけど奴隷を売り飛ばすところはすごい吟味して選んでるよ。アタシらもそのアンケートには『満足している』で返答したし」
「この男は奴隷売買に関しては売る方、売られる方、双方の幸福を考えているからな。売られた先の主人や飼い主の娘、息子と結婚して幸せな家庭を作っている魔族も少なからずいる」
「ええ~」
リヒトの奴、『奴隷売買』という点に関しては滅茶苦茶ホワイトで天才的な商才を持っているようだ。
「ん~ってそんな事よりこっからどうするかの続きだ!!魔族領の村に戻って仲間募った後テルヒコを探しに行くんだよな?」
「うん、後は行ってみてからか」
「ではすぐに荷馬車の手配をしましょう!」
キモデ氏は意気揚々と部屋から出て行った。
愛する魔族たちの為にクォンタムが案を飲んでくれたことがそんなにうれしかったのか。
「奴隷解放や情報収集は父が何とかしてくれるはずです!今日はどうもありがとうございました客室で皆さんお休みください。ご案内するので」
コデがそれぞれを客室へと案内してくれた。
クォンタムもふかふかのベッドに横たわると目を閉じて今一度自身の力を再確認していた。
「四聖獣であと試していないのは朱雀の聖炎チャクラムだけ。青龍の槍はゴトーさんでデータ取っちゃったしな。黄龍はまだ未知数なとこ多いし無茶すると天変地異起こしちゃうからあんまり使いたくないし。あ、そういえば白虎と朱雀はまだ使ってない機能が」
ワクワクしながらSD四聖獣の戦術プランを立てるクォンタム。
そしてさらに。
「こいつらも慣らし運転しといたほうがいいかな?」
クォンタムが開いたウィンドウに映っていたのはSDクォンタムRFシリーズであった。
災害時などで働く車をモチーフに作られたクォンタム達である今までは使う機会は全くなかったが。
「恐らく行く先々でケガ人が増えるはずだしこの『救急救命クォンタム』だけでも把握しておかないとな。設定は知ってるんだけど細かい搭載物資はしらないもんなぁ」
そんな感じで再び姿を変えて武装を確認する。
〇
キモデは自室で帝国から出る為に必要な書類と通行手形などの準備をしていた。
もうだいぶ夜も遅いというのにそれ以外の仕事の書類にも目を通している。
そんな彼の部屋の扉をノックする音が。
「どうぞ」
入ってきたのは美しい白い毛皮を持った人狼族の女性であった。
彼女は手に持ったホットミルクをキモデに渡した。
「これ以上はお体に障りますよ。これを飲んでお休みになってください」
「心配をかけてすまないなウォレフ。もう一度書類をチェックしたら寝るよ。不備があってクォンタム君の旅の妨げになったらそれこそ本末転倒だからね」
ウォレフと呼ばれた彼女は、そう、キモデが初めて抱いた魔族である。
今はこの屋敷のメイド長を務めているのだ。
彼女は机に向かうキモデをその大きな体と腕で後ろからぎゅっと抱きしめた。
「ウォレフ?」
「もし、あなたの立場が危うくなるようなら私たちを捨ててくださっても構わないんですよ?この館にいる者は誰も貴方を恨んだりしない。ただでさえ魔族を寵愛する貴方は貴族、王族の方々に煙たがられているのに。何かあったら私に貴方を任せると言ってくれた亡き奥様に申し訳が立ちません」
「・・・」
キモデは顔をウォレフの方へ向けると深い、深い口づけをした。
「それでも私はお前たちを手放したくないのさ。どれほど自分が傷ついてもね。そ、それにしてもやはり君の香りは・・・」
下半身を見るとキモデ氏はギンギンであった。
「まったく、貴方という人は・・・」
ウォレフはキモデが眠るまでずっとそばで見守っていた。
〇
翌朝、キモデが用意してくれた荷馬車に乗り込んだクォンタムをリヒトたちが見送りに来てくれた。
「ん~じゃ、達者でな。縁があったらまた会おうぜ」
「もしまた悪さしてたらヨーヨーぶつけに来るからね」
「んん~・・。それは勘弁」
「あと、これ」
クォンタムは黒蛇の鞭をリヒトに渡した。
「ん!?おい!これって・・いいのか?」
「四聖獣の武器は遠くにあっても俺と繋がってる。それがあれば俺と遠隔で会話できるしお前が何してるかもわかる」
「なるほど、監視および通信装置ってわけだ。まぁ武器としては最強の部類だもんな。ありがたくもらっとくよ」
「俺には?」
ヒノコは自分にも何かないのかという目を向けてくるのでクォンタムはあるモノを渡した。
「・・・ナニコレ?」
「見ればわかるでしょ『卵』です」
「なんで卵!?というか何の卵だコレ!?」
「朱雀クォンタムは卵が産めるのです。孵化するとなぜか生物の朱雀のヒナが出てきます。育てれば何かに仕えると思いますよ」
「ん~いいじゃねぇか。育てて調教すりゃ狩りとかもできるかもしれんぞ?」
「もっと特別な武器とかがよかった」
落胆するヒノコが下がるとキモデ氏がクォンタムに紙の束を渡してきた。
「魔族領でのテルヒコの目撃情報を出来る限り集めたものです!古い物から新しいものまで、手掛かりになるといいのですが」
一晩でこれだけのものを準備したのか。
「私の愛する魔族たちが一晩中飛び回って集めてきたものです!」
「ありがたく」
「テルヒコ様を・・・お願いします!」
キモデはまた深々と頭を下げてクォンタムを送り出した。
彼はクォンタムを乗せた荷馬車が見えなくなるまで頭を下げ続けた。
「さて、リヒトこれからどうする?」
「ん~まずは役所に行ってクエストかな。元手が無けりゃ何もできん。伝手を使えば援助してくれそうな連中はいるが仕事内容はクォンタムに潰されそうなもんばっかりだろうしなー・・・。あ、そうだ!『職業紹介所』でも始めるか!」
「働き口がない奴に仕事をってそれって役所のクエストと変わらないんじゃ?」
「んだーいじょうぶ!こっちはクエストみたいな単発の仕事じゃなくて長期的に働ける場所を与えるんだ。人魔問わずな!そして仲介料をもらうのさ!」
「・・・奴隷商の時とやってること大差なくない?」
「ん~?そうかぁ?」
リヒトたちは次なる事業へ向けて一歩を踏み出した。
キモデ氏も後は運を天に任せるのみとなって落ち着いたのか少しその場でふらついた。
それをウォレフが受け止めてくれた。
「すまない、一気に気が抜けてしまったよ」
「あとは見守るしかありませんね」
「いや、まだやることはたくさん・・・」
「キモデ様ああああ!!」
キモデの所へニュートが大急ぎで走ってきた。
「どうしたニュート?」
『坊ちゃんがいません!!!』
「・・・はぁ~~~」
キモデ氏、気絶。
〇
計画通りに帝都から出ることに成功したクォンタムは荷馬車を降りて御者にお礼を言った。
荷馬車はそのまま別の国へと向かっていった。
「後は鳥王に変形して飛んでいくか。行きと違って誰も乗せないし」
『いえ、僕も一緒に行きたいので龍王の方でお願いします』
「・・・」
『・・・』
「なんでいるの?」
こうして新たな道連れを得たクォンタムの旅が再び動き出す。
つづく。




