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転生して1/10プラモになったら村の守り神に間違われた話。  作者: 海人藤カロ
第二章 転移したらメインカメラだけになった話
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二章・第九箱「最近のプラモは差し込む穴の形がそれぞれ違うから間違えにくい」

おはこんばんにちは!海人藤カロでーす!!

トラマル編も終わってこれから本格的なテルヒコ捜索編に入ります!

連続殺魔事件を起こし続けるテルヒコの足取りを掴むことができるのか?こうご期待!

では面白いと思ったらブックマーク!感想、レビュー、評価!宣伝もろもろよろしくお願いいたします!!

 トラマルの暴挙によって滅茶苦茶になった天穿山の道場はクォンタムの手によって平和を取り戻した。

 クォンタムはトラマルの能力を奪い、自尊心をへし折って自分の本当の強さを教えてあげた。 

 こうしてトラマルの暴走は食い止められたのであった。 トラマル編、完。


 

 トラマルは縛り上げられて道場の敷地内にある塔の天辺に吊るされていた。

 クォンタムはリヒトが帰ってくるまでトラマルが破壊した道場の修繕やケガ人たちの応急処置を行っていた。


「ありがとうございます」


「いや、いいですよ。私にはこれくらいしかできませんので」


 クォンタムは玄武でキレイな水を出してケガ人の治療を白虎で大地を操作して陥没している部分やクレーターを修繕、岩を切りだしたりして壊れた建物を立て直した。


「うっし、こんなもんか」


「おお、建物はほぼ元通りです!奴隷だとしても魔族の方がこんなに親身にしてくださるとは」


「よく言うでしょ。困っている時はお互い様って」


 そうとうトラマルにひどいことをされていたのか門下生や師範代たちには軒並み何度もお礼を言われた。

 さて、トラマルをそろそろ降ろさなければならない。


「彼、もういいですか?」


「そうですね。多少複雑ではありますがやることは全てやり終わったので。師範たちも報復はお前たちがやってくれたからもうよいと」


 道場の皆の許しを得てクォンタムはトラマルを下におろしてやるとそこへ丁度良くリヒトが他の面子を連れて帰ってきた。


「ん?ぶっ壊されてた道場がなおされてやがる」


「あ!クォンタムくん!無事だったんですね!」


「やっと来たか。・・・コデ坊ちゃんにも説明しといたほうがよさそうだな」


 クォンタムはここまでの経緯と自分が転生者であることをコデ坊ちゃんたちに簡単に説明した。


「つまり、君は魔族じゃなく転生者だったんですね・・・。魔族に転生することはあるのは知ってますがこんな・・・興味深いです!


「んー!トラマルがすげぇボコボコ!やるなお前!」


「クォンタムはすごいな。転移者をこうも一方的に・・・」


「いや、やったのは俺じゃないよ。門下生の諸君が力を合わせてコイツを倒したんだ。俺はちーっとばっかり手を貸しただけさ」


 間違ってはいないが物は言いようである。


「ん、よし。じゃあ聞く事聞こうぜ」


 クォンタムはトラマルに水をぶっかけた。


「ぶはぁ!?」


「おはよう」


「く、クォンタム様!!」


「様?」


 トラマルは縛り上げられたまま深々とクォンタムに頭を下げた。


「私めの間違いをただしていただきありがとうございます!私は、私は本当は分かっていたんです。この力が自分の力ではないことくらい。私は元々なんの才能もない平凡な空手家でした。周りの才能ある選手たちとの劣等感にさいなまれ続けていた時この世界へ来たのです。そして鍛えれば鍛えただけ強くなれるこの世界で自分の才能が開花したのだと・・・『そう思いたかった』。ですが私は!」


ゴス!!


「ふべぇ!?」


 クォンタムが思い切りよくトラマルの後頭部を叩いた。


「貴方の自分語りとかどうでもいいです。私の聞きたいことに答えていただけますか?」


「な、なんでしょう?」


「テルヒコについて何か知ってる?」


「テルヒコですか?確かに二週間ほど前に会いましたが」


「本当か!」


「はい。腕試しに仕掛けてみたのですが『お前に用はない』と一喝され逃げられました。様子もおかしかった」


「テルヒコ様の様子が?」


「ああ、虚ろな目でずっとブツブツと何かを呟いていた。話に聞くような聖人君主のような男ではなかったな。あの目は復讐とかなんとも暗い感情が凝り固まった人間の目だった。俺もよくそう言った奴の討伐依頼を受けたりしていたからな」


 事情を知らないコデ坊ちゃんはその言葉に困惑していた。


「どこで見たんだ?」


「魔族領だ」


 クォンタムは魔族領の地図を出して場所はどこだったかをトラマルに尋ねた。

 トラマルが指さしたのは魔族領の中心部、魔王城がある魔王都・マーズから南へ進んだところにある街だった。


「どう考えても王都に向かってるような」


「ああ、明らかに魔王とやり合うつもりだと思うね」


「二週間前となるともうやっちまってんじゃねぇか?」


「ん~?、魔王都の周辺には強力な魔族たちがいくつも魔王都防衛用の関所を張ってる。両陣営から有名なテルヒコとはいえそう簡単には入れてもらえないぞ」


「いや、逆にそいつらが狙いだったりして」


「・・・」


 テルヒコの行動を予想してみるものの時間が経ちすぎているせいで憶測ばかりが飛び交う。


「行ってみるしかない。テルヒコが事件を起こしたなら騒ぎになってるはずだ。そこから足取りを探る」


「んー、それしかないな」


 クォンタムは立ち上がると道場の者たちに別れを告げてリヒトたちを連れて下山しようとする。

 だが。


「ま、待ってくれ!クォンタム君、いや、様!」


「はい?」


 振り向くとトラマルが土下座していた。


「おれを連れて行ってくれ!俺は・・・よ゛わ゛い゛!!貴方と一緒に旅をして本当の強さを手に入れたいんだ!!」


 トラマルが顔を上げるとその場には誰もいなかった。



 帝都まで帰ってきたクォンタムであったが山の入り口の門へ着いたとたんジュピター帝国の兵士たちに囲まれていた。


「んーと、兵士さんたち何用で?」


「転移者のリヒト様ですね。すみません今あなた達をここへ留め置くように命令が下っているのです」


「誰から?」


「それは・・・」


「ワシじゃ!!」


 兵士たちをかき分けて現れたのは小太りのおっさん。

 コデと同じくトリミングすればイケメンの顔。どうやら彼が。


「ん!キモデ氏じゃないですか」


「コデ!まったく行ってはだめじゃと言うたのにお前は!」


 コデは不服そうにキモデの小言を聞いていた。


「ああ、兵士諸君らはもうよいぞ。ご苦労であった。兵舎の方へ報酬の酒を送ったので一杯やってくれ」


「それはどうも!よし!今日はみんなで一杯やるぞ!!」


「キモデさんの用意してくれる酒は何時もうまいもんな!!」


 兵士たちはうれしそうに兵舎へと戻っていった。


「すまんなリヒト、愚息が迷惑をかけた」


「いやいや、特に何もなかったですし」


「今日はもう遅い、我が家で休んで行かれませんか?」


「んー、それは・・・」


 リヒトはちらっとクォンタムの方を見る。

 クォンタムは頷いて見せた。


「お言葉に甘えさせていただきます」


「ではこちらへ!」


「コラ!コデ!何お前が仕切っとる!説教はまだおわっとらんぞ!」


 キモデとコデに連れられてブータン家の屋敷へと招待されることとなった。



 キモデ邸に招待されたクォンタムたちには豪華なディナーがふるまわれていた。

 驚いたことにこの豪邸にはキモデとコデ以外に人間がおらずメイドから庭師まですべて魔族であった。


「ほほほ、コデに付き合ってくださったお礼に今夜のディナーには海の幸をご用意しました。魚介類担当の魚人族シェフのタノンが作った魚介フルコースどうぞ存分にご堪能下さい」


 キモデの両隣りにはラミア族と蜂族の女性を侍らせていた。

 二人は順番にキモデの口へ料理を運ぶ。


「はーい、キモデ様あーんして」


「あ~ん!ムホホ、このムニエルはいい味をしておる。お、アナコよ。そっちの貝のスープを取ってくれんか?」


「はい。いつも通り口移しで?」


 アナコと呼ばれたラミアは艶めかしく長い舌を出してくねらせる。


「おいおい、皆の前だぞ」


「うふふ、冗談ですよ。口移しは二人っきりの時だけですもんねぇ」


「もー!キモデ様!アタシもいるんですよ!」


「わかっとるわかっとる!ハニーはそっちのソテーされた魚にたっぷり蜜をかけてくれるかい?」


「みんないるから恥ずかしいんですけど・・。しかたないなぁ~」


 ハニーは口から唾液を料理へ垂らしてキモデに食べさせる。


「どうぞ、あーん!」


「んほ。蜂族の体液はすべてが純度の高いはちみつみたいになっとるからつい色んな料理でためしたくなってしまうのう。ほっほっほ」


 魔族の奴隷たちとイチャつきながら食事を進めるキモデ。

 それに対する周りの反応は様々だった。

 コデはため息をつき目をそらし、コデのお付きたちは慣れているのか気にせず料理を食べ進め、リヒトも慣れているようで特に気にしていない。ヒノコは滅茶苦茶引き、クォンタムは絶句していた。


「父さん!お客さんの前ではやめてって言ってるでしょ!!」


「いやぁ、すまんすまん。けれどこれは貴族と商人としての仕事に追われる中の数少ないワシの楽しみの一つなのじゃ。もうちっと譲歩してくれよぉ、コデや」

 

「ハァ・・・」

 

 苦悩するコデと魔族とイチャつくキモデを見ながらクォンタムはポツリとつぶやいた。


「にしてもちょっとイメージと違ってました」


「どういう意味だねクォンタム殿?」


「奴隷って言ってたのでもっとこう雑に扱っているのかと」


「ふむ、確かに魔族をそういう風に扱っている奴もおるだろう。ワシも奴隷を買い始めた時はそうじゃった。只の労働力やうっぷん晴らしの道具として扱った。そんな日々の中でワシはふと魔族を夜伽に読んでみたのじゃ。その日は嫌なことがあって酒をさんざん煽っていたからのぅ。何かとんでもないことをやってやるとか考えとった」


「ん?魔族と・・・することがとんでもないの?」


「んあぁ、人族にとって魔族は魔に溺れた汚い存在って扱いなのよ。ストレス解消に痛めつけたりすれども性行為なんて。貴族とか位が高い人種程その傾向が顕著だ。それを踏まえればキモデ氏がやったことはとんでもない事だったんだよん」


「その時の相手は獣人族の熟女じゃった。そして抱いてみて・・・」


「どうしたんですか」


『とっても気持ちよかった』


「あ、そうですか」


「抱き心地、○○の感触、匂い、全てが人間のモノとは違った!そしてワシは思ったのじゃ!他の魔族はどんな感じなのかと!!」


「はぁ」


 そこからキモデ氏はいろんな魔族の抱き心地について長々と語った。

 ドリアード族の芳醇な香り、昆虫系魔族の独特な体位の数々、獣人系魔族の獣の臭さは慣れると病みつきになるし、爬虫類系の魔族は卵生と胎生の違いで穴の構造が・・・などなど。


「色々な経験からワシは奴隷であっても魔族を無下に扱う事を止めたのだ。だって、傷つけたら良さがなくなるしお互い気持ちよくなっている時が一番気持ちいいからのう!!!」


「父さん!いい加減にしてください!!!」

 

 コデに怒鳴られてもキモデ氏は言葉を途切れさせなかった。

 そしてディナーを終え、キモデ氏は周りの奴隷たちを下がらせると少し真剣な面持ちでリヒトとクォンタムを見据えた。


「さて、余興はコレで終わり。次はこれからの話をしましょうか」


「次・・とは?」


「まずはリヒトさんが今後どうするかを知りたいということ。奴隷商を再建するというのであれば私の方からも援助いたしますよ」


 それを聞いたクォンタムがリヒトの方を睨む。


「ん~、いや、奴隷商売はもういいかな。失敗した商売にすがってもいいことないしね。役所からのクエストで儲けながら次を考えるさ」


「そうですか。では次はクォンタムさん貴方についてです・・・」


 その言葉にクォンタムが少し構えた。

 言動などいろいろふざけているが大商人で貴族だ。自分についての情報をもう得ているのかもしれない。

 そうなればこの帝都から出れなくなる可能性もある。


『あなたはオスですか?メスですか?』


「‥‥オスです」


「あ・・・そうですか。ゴーレムは抱いたことがなかったので・・・残念だ・・」


 このオヤジ『それ』しか頭にないのか。心底残念そうな顔をしている。


「ほほほ、冗談はさておき」


 本当に冗談だったのか・・。


「貴方が転生者であり尚且つ『テルヒコ』を探しているとコデから聞きました。そしてある筋から『連続殺魔事件』についても調べていると」


 恐らく奴隷の魔族たちの中に魔族領内に通じている者でもいたのだろうが随分と知られてしまっている。


「事件について調べている貴方がなぜ『テルヒコ』を追っているのか。つまり貴方は彼が犯人だと予想しているということだ」


 クォンタムは何言葉は挟まずただ頷いた。


「テルヒコは我ら人間族と魔族の融和の象徴たる人物だ。それがその事件の犯人だという事になれば種族間の亀裂はもう修復不可能となるでしょう。そして王族、貴族の中の主戦派の連中がそれを知れば・・・」


「ん~これ幸いとその事件を口実に戦争を始めるでしょうなぁ。ま、それは魔族の方も同じですがね」


「それで?キモデ氏、貴方はどうなさりたいんですか?」


「そんなことになったら私の家の愛しい魔族たちも・・・」


「・・・」


 最悪な状況になるのは想像に難くない。

 いかに貴族で大商人のキモデ氏だろうと所詮ハイソな人間たちの中の一貴族にすぎないのだ。


「テルヒコを止めるのに必要な物資、資金、情報を出来る限り提供いたします。ですので『この事件を犯人を明るみに出さずに処理』していただきたい!!」


 キモデがクォンタムに深々と頭を下げた


「つまり、真実を隠蔽しろと」


「お願いいたします!!」


 クォンタムはこの事件をどういう形で治めれば戦争にならずに済むかを考えた。

 そしてそれをゆっくり口に出してキモデに伝える。


「この事件、テルヒコがやったかどうかは実際どうでもいい。『不可侵条約の最中に人間が魔族を殺した』という事実が問題なんだ。これを丸く収めるには『魔族同士のイザコザ』にするのが手っ取り早い。つまりアンタは魔族側の俺にこういってるんだ」


 クォンタムは一呼吸置くとドスの利いた声で。


『人族が犯した罪を魔族に被せろってなぁ・・!』


「っ・・・!!」


 キモデは奥歯を噛みしめて頭を下げ続けた。

 クォンタムはキモデの提案に乗るのか。それとも。



つづく



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