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転生して1/10プラモになったら村の守り神に間違われた話。  作者: 海人藤カロ
第二章 転移したらメインカメラだけになった話
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二章・第八箱「SDが複数合体してリアルタイプになるのは邪道だと思う」

おはこんばんにちは!海人藤カロでーす!!

はい、今回はトラマルとの決戦!リヒトとクォンタムは勝つことができるのか!?

では面白いと思ったらブックマーク!感想、評価、レビューなどなど!よろしくお願いいたします!

 転移者であり生粋のバトルジャンキー・トラマル。 

 彼が持っているかもしれないテルヒコの情報を得るため天穿山へと昇るクォンタム一行。

 

 トラマルは天穿山にある武道場で事件を起こしていた。

 彼は才能ナシと判断した道場の門下生たちを次々天穿山の道場から追放していたのだ。

 それを止めるためSD朱雀クォンタムとリヒトが一足早くトラマルの下へと向かった。



 SD朱雀クォンタムの鳥王形態に変形したクォンタムはリヒトを連れて一足先に山頂へとたどり着いた。

 囲いをこえて道場の敷地内へ入るとそこに待っていたのは驚くべき光景だった。

 血のりがそこいらに飛び散っており、石造りの道や道場の外壁などがことごとく破壊されていた。

 だが倒れている人間はいない。先ほどの門下生が言っていたように山から落とされたのだろう。


「んー、相当暴れたみたいだな」


「人間の暴れ方じゃないですよね。怪獣か」


「んん?転移者が暴れた後なんてのは大体こんなもんだ」


「トラマルはどこに?」


 周囲を見渡しても破壊の跡が目立つばかりで人っ子一人いない。

 その時、何か声が聞こえた。


『セイ!セイ!!』


 どやら掛け声のようだが。


「道場の方から・・・」


「俺も聞こえた」


 二人は道場の戸を開き、こっそり中に入ってみると。

 十数人の門下生が整列させられて空手の型の練習をさせられていた。

 彼らの前に道着を着たガタイの良い坊主頭の男が立っていた。

 二人は道場の柱に隠れながら様子をうかがう。


「いいか!お前らが今までやって来たことは全て忘れろ!私が教える空手さえあれば!武技など必要なく最強になれるのだ!私がいいというまでその正拳突きの型を続けろ!いいか、引手と突き手は同時に動かせ!体の後ろで腕同士が滑車で繋がっているようにイメージしろ!」


 生徒たちは涙を流しながら正拳突きを行っていた。肩や肘を動かしにくそうにしている者もいる。

 一体どれほどの回数をやらせていたのか?

 その様子を見たクォンタムたちは怪訝な表情を浮かべていた。


「何やってんだこの人?」


 クォンタムはトラマルを知るリヒトに説明を求める視線を送った。


「ん~・・・。多分、才能ある門下生たちがこの程度なのはここの道場主の教え方が悪いからだという結論に至って」


「うんうん」


「んーで、だったら自分が鍛えた方がいいとなったんだろ。みろ、トラマルの後ろ」


 トラマルの後ろには半殺しにされた道場主と師範代たちが転がされていた。


「で、なんで空手?この世界の人たちは女神からそれぞれ得意な武器とその武技を与えられてるのに」


「んん、これは前に女神から聞いたんだがトラマルは・・・人の話を聞かないって」


「それは見ればわかります」


「たぶん~、女神の話を聞いてなくてこの世界の仕組みを理解してないから自分が強くなった空手を教えれば強くなれると思ってんだろ」


「というか転移者に与えられる天衣無縫の型で極められるの格闘技でもいいんですね」


「ん!それな!あの女神もだいぶガバガバだからなぁ」


「みんな辛そうなのにまだ続けさせるのか」


 転移者には逆らったところで勝てないのでみんな反抗しないのだろう。


「ん~、恐らく自分がやったやり方をさせればいいと思ってんだろ。朝から晩まで正拳突き一本、それだけでアイツはあそこまで強くなった。けどそれは・・・」


「女神さまからのギフトのおかげってことに気付いてないのか」


「んん、そこまで頭のいい奴じゃいないしな」


「このままじゃ門下生の方たちもかわいそうだ」


「ん、助けてやるか。お前はもうちょい隠れてろ」


「あ、じゃあこれ使って」


 クォンタムはいつの間にか玄武クォンタムへ換装していた。

 そしてリヒトに亀甲ヨーヨーを渡す。


「いや、似てるけどこれヨーヨー。俺の武技は鞭だ」


「モーマンタイ。先端は取り外し可能」

 

 亀の甲羅を模した部分を外すと中にはとぐろを巻いた蛇を模した鞭が。

 そう、このヨーヨーは黒蛇の鞭と玄武甲羅の盾二枚を合わせて作られていたのだ。

 分解すると別々の兵装となる。


「当たれば先端の蛇の頭が食いつく。効果はまぁ見てのお楽しみという事で」


「んまぁ、どんな効力があるかは想像に難くないが」


「正々堂々がお好みで?」


「ん~?いやぁ、『クソ喰らえ』だなぁ~」


 リヒトとクォンタムはどちらもいやらしい笑みを浮かべながら『げへへ』と笑い合った。

 こういう時SDシリーズは表情豊かで便利だ。


「おーい」


 リヒトは堂々とトラマルに呼びかける。


「むっ!お前はリヒトじゃないか!俺に挑みに来たんだな!!お前ら、一旦やめてよし!今から俺が正拳突きの手本を見せてやろう!」


「ん~まだ俺何も言ってないだろ」


「では違うのか?」


「ん~当たらずとも遠からず」


「ならいいではないか!!」


 訓練を止めると同時に門下生たちが一斉にその場にへたり込んだ。


「コラお前ら!今から立ち合いをするから中心を開けろ!」


「うう・・・」


 門下生たちは体を引きずって道場の隅へと移動する。


「さてと、では始めるぞ!俺の空手を目に焼き付けて手本としろ!」


 トントン拍子にリヒトとの試合の準備が整った。


「馬鹿が相手だとこっちの話を割り込む暇もねぇな」


「お前と闘うのは二度目だ。あれから少しは成長していることを期待しているぞ!よし合図を!」

 

 二人は互いに距離を取って構える。

 そして門下生の一人が手を上にあげて試合開始の合図と同時に振り下ろす。


パァン!!


 瞬間、破裂音と共にリヒトの体が弾き飛ばされる。

 だが彼は何事もなかったかのように着地して首をひねっていた。

 彼の足もとには黒い焦げ跡が出来ていた。

 門下生たちは何が起こったのか分からずどよめいていたがクォンタムにははっきり見えた。


(正拳突きの衝撃波を高速の鞭捌きで弾いたのか)


「いきなりかよ」


「ほう。神をも超える俺の『神拳突き』を受け止めるとはな。前回はこの一撃で終わっていた。腕を上げたじゃないか」


「んまぁね」


 相槌を打ちながらリヒトは黒蛇の鞭をブンブンと素振りする。


(この鞭、というか蛇は俺の腕の振りに合わせて自身の体をくねらせてる。その結果どんなに荒い振りでも相当な破壊力と正確な攻撃を生んでくれる。いいもんくれたな)


「ふふふ、うれしいぞ。ここまで腕を上げていたとは!」


 再び正拳突きの構えを取る。

 一度出した技など何度も通用するとは・・・。


「少し上げてもよさそうだ!セイッ!!」


 再び繰り出された『神拳突き』。

 リヒトは先ほどと同じように正拳突きを弾こうとしたが、しかし・・・。


 ズバアン!!

 

 受けた瞬間、黒蛇の鞭が大きく後ろへ弾き飛ばされた・・・。

 リヒトはそのまま鞭に体を引っ張られて尻もちをつく。


「て、テメェ!?」


「立て!まだ7割といったところだぞ」


 構えに変化はなかった。

 全く同じ撃ち方で緩急自在の衝撃波、しかも衝撃波の速度が変わっていない。

 強い衝撃波はその威力の分だけ加速するはずだがこれも武技の力なのだろう。

 でなければリヒトは正拳の威力の違いに気づいていたはずだ。


(さてと、こっちも準備しとくか)


 クォンタムは気付かれないようこそこそとその場を離れた。



 少しずつ威力を上げて放たれ続ける『神拳突き』の衝撃波がリヒトを苦しめる。

 鞭で弾けば体勢を崩され、避けて鞭で体を縛り上げようとすれども正拳突きの動作による筋肉の爆発的膨張によって縛り上げる前に鞭が弾き飛ばされる。


「くそが!あの野郎、動作が早すぎて!」


「どうした?俺はまだ傷一つ負っていないぞ!正拳突きの練習にはなるがつまらんぞ!恐れずもっと近づいてこい!」


(んんーー。近づけるもんならそうしてるっつーの。売った後の次弾装填のスキがなさすぎる)


「はぁ、しょうがない。すぐに終わってしまうから出したくはなかったが・・・むぅん!!」


 トラマルの全身の筋肉が通常の数倍膨張を見せる!


「んな!?」


「才ある門下生たちよ見ておけ!これこそ我が『空手』の集大成『一撃必滅猛虎撃砕拳』!!」


「ん?その技名はスキがありすぎるんじゃねぇのか!!!」


 リヒトの振るった黒蛇の鞭がついにトラマルの全身を捕らえた!

 そして先端の蛇の頭がトラマルの喉元に喰いついた!


「んよし!」


 しかし、蛇の表情が曇る。


「ふん、こざかしい手を鞭に仕込んでいたようだな。所詮お前はその程度。汚い手しか使えない時点でお前は既におれにパワー敗けしているんだよ!!」


 よく見ると蛇の牙がトラマルの肌に刺さっていない。


「んっそだろ!?」


「この状態の我が体は無敵なり!魔王軍の一個大隊を葬ったこの一撃、その身で受けよ!!」


 トラマルがゆっくりと体を動かすと同時にブチブチっと音を立てて黒蛇の鞭がちぎれとんだ。

 そして一撃必滅猛虎撃砕拳の構えが完成する!


「ハァっ!!!」


 撃ちだされる正拳突きは拳型の超巨大な衝撃波を生み出した!


(あ・・・やべ・・・)


 瞬間、リヒトは死を覚悟した

 同時に爆音と共に道場の一部がはじけ飛んだ。



 道場に開いた巨大な大穴から煙が立ち込める。

 突きを撃ち終わったトラマルは大粒の汗を流しながら深呼吸して体型を元に戻した。


「ちゃんと見ていたか?何度も頭の中で反芻し、俺の修行を続けていればいずれお前たちも・・・」


 そう言って門下生たちの方を向くが誰もトラマルを見ていなかった。


「?」


 見ていたのは立ち上る煙の方だ。トラマルもつられてそちらを見ると。

 『巨大な氷の盾』がそこにあった。

 クォンタムの玄武の盾を中心に氷の結晶のように広がる四聖獣最硬の盾。


「玄武のこの世で最も硬い亀、そいつが生み出した水と氷もまた然り。ガキでも知ってる常識だべ・・・なんつって」


 トラマルの一撃を完ぺきに防いだその盾の後方にはまだ壊れていない道場の一部とリヒトが立っていた。


「お、おれの・・最強の一撃を・・・!?」


 困惑するトラマル。


「た、助かった・・・」


「ギリギリ間に合ってよかった」


「んぁ~、わるい、鞭を」


「ああ、また出せますからいいですよ。選手交代しましょうか」


「頼む」


「リヒトさんは坊ちゃんを迎えに行ってあげてください。もうそろそろ上がってくると思うんで。戻ってくるまでには終わってますよ」


「んなら安心だ。俺もうアイツ嫌だ。あとよろしくな~」


 リヒトは足早にその場を離れた。

 クォンタムはトラマルの方を向いて軽く挨拶をかわす。


「という事で私クォンタムが交代でお相手させていただきますが異論は?」


「ない!!」


「それはどうも」


「ふ、ふふふ、う・うれしいぞ・・。まさか俺の全力の一撃で砕けないものがあるとは!よし!ではあの盾を再び出せ!次は完ぺきに砕いてくれる!!」


「いや、アンタにもう『玄武』は使わないよ。アンタにはコレだ」


 クォンタムが両手を上へ向けると青龍、朱雀、白虎クォンタムの機体が彼の上に現れる。


『合体』


 全ての機体がパーツ、鎧ごとにバラバラになり一つに。


『四聖統一・黄龍クォンタム』


 全ての鎧が黄金の輝きを放ち、その光が雷撃へと形を変える。


「見てて思ったよ。アンタは一度『折っておく』必要がある。放っておいたらアンタ自分勝手なありがた迷惑をまき散らしていきそうだし。思い知らせてやるよ、アンタの『強さ』は間違ってるってさ」


「ふん!どんな魔物か知らんが俺はどんな相手にも勝ってきたのだ!だから皆が俺に倣えば皆俺のようになれるはずだ!そしてお前は俺がさらに強くなる踏み台だアアアアアア!!!」


 ボゴオ!!


 再び彼の全身が膨張する!


「俺は勝ってきたんだ!俺自身の力でここまで上り詰めたのだ!!間違ってなどいるものか!!」


 そして放つ!一撃必滅猛虎撃砕拳!


「だーかーら。その認識が間違ってんだよ。『神成(かみなり)』」


 キュオオオオオ!


 黄龍クォンタムから放たれる光の渦がトラマルの一撃必滅猛虎撃砕拳を飲み込む。


「なっ!?う、うわあああああ!?」


 そのまま津波の如くトラマルの全てを飲み込んだ。

 光は空中へと広がり霧散していく。

 すべての光が消え去り、そこには元の体型に戻ったトラマルが立っていた。


「な、何をしたんだ!?」

 

 自分の体を見るが特に何も変わりはない。


「黄龍は『均衡』の力を持った機体なんだ。全ての属性をバランスよく調和させる力。戦争ばかりだったSD中華ワールドを再生させた神の機体。天候、天災操る力も持ってはいるが本質は全てに均衡、調和をもたらす力だ。あのバカでかい一撃はお前の身に余る力だと判断されてかき消された。つまりお前の体に人間としての均衡をもたらしたのさ」


「人間としての?」


「お前はもう只の平均的一般男性に戻ったってことさ。まぁ神様の力だからそう簡単には剥がせないけど一時的に抑え込むことは出来る」


「何を言って?」


「おーい、そこの」


 クォンタムは見学していたまだ元気そうな門下生を一人呼びつけた。


「な、何でしょうか?」


「君の武技は?」


「つ、槌です」


「じゃあ、これ」


 クォンタムはどこからか小槌を取り出して手渡した。


「そんじゃこいつの相手してみて」


「ええ!?」


「いいから、ほらはじめ!」


 そう言って門下生の背中を押してトラマルの前に出す。


「うぇ!?そんな!?」


「今更そんな門下生ごときに俺が負けるとでも!!」


 トラマルは渾身の正拳突きを目の前の門下生に放つ!


「え?あれ?」


 門下生は軽々とその正拳突きを小槌で弾いてトラマルの脳天に一撃を叩き込んだ。


「ごばぁっ!?」


 トラマルは顔面から床に思いきりめり込んだ。


「あ゛・・あ、あ!?」


「こ、これは・・・」


「だから言っただろ。アンタの強さは間違ってるって。終わったら全部説明してやるよ」


「終わったら?」


 すると彼の背後に複数の影が


「し、師匠の仇いいい!!!」


「よくも俺の親友を山から落としやがったな!!」


 トラマルの弱体化に気付いた門下生たちは一斉にトラマルに飛び掛かった。


「ぎゃああああああ!?」


「殺さないようにな。アンタも自分の力をちゃんと見つめなおしなさいよ」


「だ、だずげでえええええ!?」


 自業自得とはいえなんとも情けない終わり方であった。

 クォンタムは門下生たちがやりすぎないよう一部始終を見守っていた。


つづく。




 



 


 













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