二章・第六箱「文字だけでは伝わらないものものある」
おはこんばんにちは!海人藤カロでーす!!
今回のお話で魔物ハンター編はおわりです!どうなるのかはお楽しみに!
では面白いと思ったらブックマーク!感想、評価!宣伝!その他もろもろよろしくお願いいたします。
いくつもの魔族の村、町との合同で奴隷街マサライ壊滅作戦が決行させることなった。
陽動として魔物ハンター組織に捕まっている魔族たちを解放するため敵アジトを襲撃に来たクォンタム達。
その戦いで敵のリーダーであるリヒトを引っ張り出すことに成功する。
だが仲間の一人がリヒトに捕まり万事休すかと思いきやクォンタムは人質諸共リヒトを攻撃、無力化してしまう。
優しかったはずの彼に一体何が起こったというのか。
〇
クォンタムはリヒトの傷を流水で洗い流して止血した。
「さてと、応急処置はしたからちゃんとした医者に診せないと」
そんな一仕事終えた感を出しているクォンタムにギンが掴みかかった。
「テメェ!何してやがる!?ジャックを!」
「あぁ、大丈夫です」
「何が大丈夫だってんだ!!」
「いや、あれ」
クォンタムは自分の投げたヨーヨーの方を指さした。
ヨーヨーにはまだ水の塊が張り付いていたが渦は静まっていた。
よく見るとその水の中には気絶しているジャックと潰したかと思われた秘書の姿が。
「秘書さんの方は抵抗しようとしたせいで水圧で片腕潰しちゃったみたいですけど。早く出してあげないと」
「な、おま!?」
「ヨーヨーの渦潮で吸い込んだんです」
「助けるつもりならそう言えよ!!めちゃくちゃドライな奴かと思ったじゃん!」
「そうだぞー!この私も少々びっくりしたではないか!」
「ああいう脅しが効かないって思わせとけばそれだけでも相手にプレッシャーかけられますし。情報も聞き出しやすくなるんで」
クォンタムはヨーヨーの水の塊を解除する。
すぐに秘書の傷に応急処置を施して二人とジャックをギンに託す。
「その二人は殺しちゃだめだよ」
「わぁってるよ」
ジャックの持ち物から白王剣を回収してクォンタムたちは地下牢の奴隷たちの解放へ向う
時を同じくして街の外から無数の雄叫びが聞こえた。どうやら援軍が来たようだ。
〇
アジトから脱出したハンターの残党たちはリヒトに指定された場所で魔族の子供たちを集めて待っていた。
街が一望できる近くの丘である。
街は既に所々で火の手が上がり、建物が崩れていく。
「もうマサライは終わりだ。お頭無事かなぁ?」
「無事だろ!あのお頭だぞ!!」
「でも連中、お頭の存在を知ってて仕掛けてきた。しかもあのバケモノじみた強さは・・・。隊長格の連中もほとんどやられちまってるし」
「だ、だとしても!お頭は百戦錬磨なんだ!だから・・・」
残党たちは不安に駆られ始めた。
無理もない。崩壊していくアジト、何時まで経っても戻らないリーダー、不安にならない方がおかしい。
「や、やっぱり俺達も戻って・・・」
ハンターの一人がそう言った時であった。
ドス!
彼の脳天を空から降ってきた大きな矢が打ち抜いた。
「うわあああ!?」
彼の目の前にいたハンターが叫び声を上げながら上を見上げる。
そこには大きな羽と巨大な弓、ボウガンを持った魔族たちが上空を旋回していた。
「ま、魔族だぁ!魔族の襲撃だあああ!?」
鳥人族、悪魔族、ドラゴン族、ドラゴノイド族、箒に乗った魔女と飛べる種族が集結していた。
「燃やすか?俺の炎の息吹で焼き尽くすか!」
「やめろヘッグ。子供たちがまだいるんだぞ」
「なぁ、一人二人生かして持って帰っていいかい?儀式に使いたいんだけど」
「ニクー!ニクー!焼き方はレアで!!」
「うるさい!まずは降伏勧告からだ。子供たちを人質にしてきたら『潜ってる』奴らに任せればいい」
「じゃあとっとと始めようぜ!」
魔族たちは舌なめずりしながらゆっくりと残党たちに向かって下降していく。
「「ひいいぃぃぃ・・・」」
〇
数時間後。
奴隷にされていた魔族たちは皆救出された。
街も陥落、住民たちは殆どは逃げ出した。
捕らえられたハンターたちはトップの二人、ゴトー、オリゾンとその仲間たち以外は皆処刑された。
魔族の戦士たちは街にある資源をそれぞれの村、街に均等に分けて持ち帰った。
クォンタムたちも檻付き荷車に治療の終わったリヒト、秘書、オリゾン達を積んで奥地の森へ戻っていた。
「もう!びっくりしたぞ!俺ごと殺そうとするんだもんなー!!」
「それはもう何回も謝ったじゃないか。許してくれよ」
「またやったら許さないからな!!」
「でもよジャック。捕まったお前にも責任はあるんだぜ?自分の失態を棚上げすんなよ」
「そ、それはそうだけどぉ!!」
【で、こいつらからテルヒコの情報を貰った後はどうする?】
「俺の旅に同行してもらおうと思います。この人はこの世界での生き方を良く知ってるみたいですし。色々と使えそうなので。交渉材料もありますしね」
クォンタムは檻の隣に乗せてある氷塊をに目配せする。
その氷塊は玄武クォンタムの力で作り上げたもので中にはリヒトの飛ばされた腕と足が入っていた。
「で、なんで今にこいつは仲間面してるんだ?」
「はっはっは!何言ってんだギンっ!俺達は共に戦った仲間じゃないか!」
「勝手に仲間になってんじゃねぇよ!!」
「仲間云々は置いておくとしてこれからどうするんですか?ゴトーさん」
「働き口もなくなっちゃったしなぁ。僕も君の旅とやらに同行してもいいかい?」
「ダメとは言いませんが。人族の身で魔族領歩き回ることになりますけど。死にますよ?」
「よし!決まりだ!」
「あ、意にも介してない」
こうしてクォンタムの旅のメンバーが二人ほど追加された。
〇
夜。
森の奥地、オークおばちゃんの酒場を貸し切ってリヒトの事情聴取が行われようとしていた。
といってもまだリヒトは眠ったままなのだが。
その場にいたのは戦った面々とおばちゃんに村長、そしてスライム族の医者のバブルス医師。
「う、うう」
リヒトがやっと目を覚ました。
周囲の状況を確認し、隣に寝かされている生きた秘書を見ると特に驚くでもなく叫ぶでもなく安心したようにため息をついてまた寝そべった。
「で、俺に何を聞きたいんだ?」
クォンタムの方を向いてそう訊ねる。
それを聞いたクォンタムは彼の眼前に立った。
「現状把握はやーい。でも教えてくれるんだ?」
「俺の秘書を助けてくれるならある程度は教えてやるよ」
「ふーん、全部は教えてくれないんだ」
「全部っつーならもっと色を付けろよ」
「テメェ!自分の立場、わかってねぇのか!」
「ギンさん!」
クォンタムがギンを制して再び続ける。
「わかった。じゃあこういうのはどう?」
クォンタムが彼の眼前から退くと彼の後ろにあった氷塊が目に入った。
「あれは!俺の!」
「そうだよ。もし君が俺に全面協してくれるならこちらのー」
「ミスター物体Xことドクターバブルスです。毒でも薬でも体の中で製造、合成可能。貴方の取れた手足、そちらの『お嬢さん』の潰れた腕。全て完ぺきに治療しましょう!!私、医療ミスはしないので」
クォンタムのSD表情はニコニコになっていた。
リヒトは今度は呆れたように大きなため息をした。
「わかったよ」
「交渉成立」
「では治療を始めましょうか!!」
とっても楽しそうなドクターバブルスの治療が始まる!
「まずは塞がりかけている傷口を溶かすところから!!」
「えっ!?ちょっとまて!」
酒場中にリヒトの悲鳴がこだました。
〇
治療が終わり、リヒトたちの容体も落ち着いた。
治療中クォンタムはバブルス医師の医療技術に興味を示していた。
「すごいや完ぺきにくっついてる。治療薬を生み出すのも水のアニマなんですか?」
「いや、これは元々スライム族が持っている「捕食」の特性だよ。薬草や色んな毒草を体に取り込んで体の中で薬を作るのさ。魔族は人間族と違って生まれた時からそれぞれ特性をもってるんだ。例えば淫魔族の魅了能力やリビングデッド族の触れたものを腐らせる腐食能力がそうだね。アニマは神様が与えてくださる力で特性とは別物さ」
(その話は聞いてなかったな)
「っと。それよりも」
今後の行動について話すことにした。
まずはリヒトが持っている情報から。
「俺はテルヒコについての情報は持ってねぇ。けど知ってそうな奴なら心当たりがある」
「誰?」
「俺と同じ転移者で名前はトラマル」
「トラマル」
「自称『無敵のケンカ師』。強い奴を求めて魔族、人間、転移者、転生者、誰彼構わず喧嘩を吹っ掛けるバトルジャンキーだ。アイツは世界各地を回ってるから魔族領の情報は俺より持ってる」
「ほうほう。居場所は知ってるの?」
「今はわからねぇが知る方法はある。オイ・・・いつまで寝たふりしてるんだ?」
リヒトが隣で寝ていた秘書を叩いた。
「チッ・・・無関係を貫いていたかったのに」
「起きやがったな!裏切り者のサラマンダー!!」
そうこの赤髪でどう見ても男の子にしか見えない女性が魔族の裏切り者で奴隷の首輪の製作者サラマンダー族のヒノコさんである。
「ふん!俺の生き方をお前にどうこう言われる筋合いはない!」
「お前には魔族の誇りがないのか!」
「誇りじゃ生きてけねぇんだよ!!」
「もうギンは!言いたいのは分かるけどちょっと黙っててよ!」
終にギンは口のマズルを縄で括り付けられてしまった。
ムームーと喚くギンをディーナが抑えながら話を進める。
「こいつは戦災孤児でな。5年前に俺が拾ったんだ。色々学ばせて言い引き取り手が見つかったから手放そうとしたら俺を手伝いたいなんて言い出して今に至るのさ」
「で、その子がトラマルを見つける方法を知ってるの?」
「これ」
彼女は着ていたローブをまさぐると黒い木彫りの人形を取り出した
「なにそれ?」
「地図ある?」
「ディーナさん」
ディーナはこくりと頷くと自室から地図を持ってきた。
「これ魔族領の地図ね。まぁいいか」
人形を地図の上に置く。
しかし何も起こらない。
「何してんの?」
「アレはな『探し人』と言って感情を持つ木の魔族、トレント族が育てた木々を削って作った人形に特定の人物の血、唾液、爪の垢を刷り込んだり髪の毛を括り付けたりするとその人物の居場所を示してくれるのさ。地図の上に置けば探し人がいる地点へ留まり、地面に置けば探し人がいる方向へゆっくり動いていく」
「ってことはその人形はトラマルさんの」
「ああ、アイツと闘った後に『もっと強くなったらまた俺に挑んで来い』と言って渡されたんだ。貴重なものだからアイツが死んだら使いまわそうと思って取ってたんだよ」
木彫り人形は探し人が設定されていると黒くなり、探し人が死ぬと白くなるそうだ。
「ん、あれ?じゃあお前トラマルに負けたの?」
「俺は戦闘は本職じゃねーもん。ビジネスマンだから!負けたって悔しくねーし!」
「そう言う割には負けた後ずっと鞭の特訓してたよな」
「うるせぇ!アレは運動不足解消したかっただけだ!」
「今はそんな話はいいから!魔族領の地図で反応しないってことはトラマルさんは人間領にいるのか」
「ああ、人形も白くなってないから生きてるはずだし」
「んー。人間領の地図ってどこで手に入る?」
【魔族領では売ってないな。魔王様なら軍事用に持ってるかもしれない】
「魔王様に会いに行かなきゃならんのか…」
「俺のアジトになら顧客情報と一緒にたくさん置いてたけどー。お前らにぶっ壊されちゃったしな―!」
「おまえなぁ・・・」
【だったら今回の回収品でも探ってみる?】
「回収品?」
そう、今回の作戦でマサライから奪った戦利品は参加してくれた村、街に均等に分配された。
なのでこの村に分配された戦利品に地図があるやも。
「早速行ってみよう!バブルス医師、見張りお願いします!」
「はいはい」
「今更逃げねぇよ!」
「もし逃げ出そうものならさっき輸血代わりに君たちへ入れた私の体液が暴れだすよー」
「「ええっ!?」」
〇
ディーナ、ギン、クォンタムの三名は戦利品の中に地図が無いかを確認するべく村の兵舎へやってきた。
「ディーナ、ギン!やっと来たか!お前らが来るまで山分けできないんだから早くしてくれよ!」
「クォンタムさんも!今回は大活躍でしたね!」
「皆さんもお疲れ様です!」
挨拶もそこそこに戦利品を確認する。
・・・・地図があった!そして地図と一緒に書類が付随されている。
【これは魔族奴隷販売顧客リストに商品名簿!】
「まだ解放されていない魔族たちがこんなにいるのか・・・」
「なに!?そりゃ重要な書類だ!魔王様に渡さねぇと!」
【適当に分けたから色々混ざっているな。他にも何か重要なものがあるかもしれない】
「よし、山分けは後だ!魔族奴隷と人族に不利益なものとか魔族が有利になりそうなもんを片っ端さから探すぞ!」
【他の村や街にも探しておくように伝えないと!】
ディーナはすぐに一筆したためると兵舎の中にある連絡係の部屋へ。
中には鳥人ガルーダ族の青年、ホークがいた。
「お!ディーナ!ってことは山分け始まった!」
ディーナは戦利品の取り扱い注意書きを彼に渡す。
「え!?」
ホークは内容を確認するとため息を出した。
「これは重要だ。気づいてちゃんと仕分けしてくれる奴もいると思うけどあんま期待できないもんなぁ。よし、じゃあ一飛び行ってくるか」
【戦利品はちゃんと残しておく】
「頼むよホントに!」
大急ぎで他の村々へ注意書きをつたえるため飛び立った。
「大丈夫そう?」
クォンタムが訊くとディーナはグッと親指を立てる。
「よし。じゃあ地図を持って帰ろう」
〇
人間領の地図を持ち帰って「探し人」を乗せる。
示したのは人間領の中にある山だ。
「ここは…テンセン山じゃないか」
「てんせん?ゴトーさん知ってるの?」
「名付けたのは数百年前の転移者の日本人だ。天を穿つほど鋭い山で天穿山。その日本人はその山で道場を開いて様々な武器の扱いを教えていたんだ。現在も門を叩く者が多い。かくいう私もそこで修業したのさ!」
「へぇー」
「そこにいるってことは」
「おそらく強敵探しだろうな」
「結構人間領の奥地か。ここからだと結構遠いし俺はもう魔物扱いだしなぁ。人間領を自由に移動できるかどうか」
「だったら俺の奴隷ってことで人間領に入ればいい。こっそり入るよりは動きやすくなるぞ。それに山をに向かうには帝都を超えなきゃならないしな」
「帝都っていうとお偉い方々が集まってそうね」
「ああ、俺の店の常連がたーくさんいる場所さ」
奴隷売買の常連がたくさんいるという事はここには助けを待っている魔族も沢山いる。
そしてこういう場所には情報も集まる。
「トラマルさんを探すついでに情報収集と奴隷解放。いやトラマルさんの方がついでになりそうな・・・」
「じゃあ決まりだな」
という訳でリヒトとリヒトの秘書を連れて人間領の天穿山を目指すことに。
場所が場所なだけにディーナが付いてくることは出来なくなってしまった。
クォンタムたちは旅の準備を始めた。
旅に必要な物資はディーナが用意してくれるようだ。
クォンタムは自分に何ができるのかを再確認していた。
「基本的にSDだけで。機体を変更すると他人に譲渡した武器以外はすべて変更した機体に標準装備されてる者になるか。」
【出来れば貴方と旅をしてみたかったわ】
「また戻ってきますよ」
【ほんとう?】
「はい。あ、これ渡しておきます」
クォンタムはメカニックな白いブレスレットを彼女へ渡した。
ディーナは嬉しかったのかブレスレットを持って体をリズミカルにゆすっていた。
「話したい言葉を考えてみてください」
ディーナは言われるがまま考えてみると。
「こんな感じ?」
ブレスレットから声が。
「こ、これって」
「出来るだけ貴方の声を想像して有り合わせの俺のパーツで作ってみたんです。音声発生装置。これがあれば暮らしがより快適になると思います。良ければ使ってください。音声の方はディーナさんの声はこんな感じかなって勝手に作っちゃったんですけど、どうですか?」
「クォンタム!」
ぎゅううううっとディーナはクォンタムを抱きしめた。
「ありがとう!戻ってきたら一緒に旅をしましょうね!」
「はい!」
〇
翌朝、クォンタム、リヒト、秘書の三人は天穿山へと出発したのだった。




