第二十六箱 主人公機が白ならライバル機は赤。主人公機が赤ならライバル機は白。
おはこんばんにちは!海人藤カロでーす!!
第二十六箱、シャバルはこの先どうなるのか。どうぞ予想を建てながらお楽しみくだせぇ!
面白いと思ったらブックマークとか評価とか宣伝とかいろいろとよろしくお願いいたしまーす!
ではどうぞ!!
特殊暗殺部隊マキーナ(ほとんど暗殺してないけど)はシャバル、マーベックの二人の将軍を討つことに成功しゾーニ国を打ち倒すビジョンに現実味が帯び始めた。
そんな中でシャバルがティシアの兄という事が発覚した。
ティシアはマキーナとの戦いで傷ついて死にかけている兄を助けて欲しいとクォンタムに願う。
クォンタムは彼女の恩に応えるためにシャバルに自身と同じクォンタムの体を与えることを決断するのだった。
〇
「よし…始めるか」
シャバルが寝ている手術台の横に丸い機械のカプセルがおかれていた。
これが生体ユニットのコアとなるのだ。
(まずは頭を開いて脳を取り出す)
オペ用ロボットアームの両腕の先端がカッターと剃刀に変わり、シャバルの髪を全て剃り、頭蓋骨を切断する。
(取り出した脳はすぐに溶液の入ったトレイの中に沈める)
脳をトレイに入れると次に注射器の様なアームを出す。
その中には超小型の電極が入れられていた。
(脳の中に電極を埋め込んでカプセルの中の人工血管、人口神経ケーブルをそこに繋げる。そしてゆっくりと脳の維持を肉体から生体ユニットのシステムへと移行させる)
完全に移行が完了すると脳と肉体を切り離し、切り口に電極とケーブルを取り付ける。
そのまま溶液の入ったカプセルの中に脳を入れて蓋を閉じる。
(後はバイタルサインを見ながら脳波が安定するのを確認‥‥した!)
脳波の安定を確認するとカプセルにあるボタンを押す。するとカプセルが完全にロックされる。
「コレで完成。…思いのほかお手軽だったな」
シャバルの生体ユニットが完成した。
次はクリムゾン・ソルジャーをくみ上げなければ。
その時、手術室のインターホンが鳴る。
「どちらさま?」
「ティシアです。今マキーナの方々が教会にいらっしゃいました」
「おお!シアルさんか!」
クォンタムは手早くシャバルの遺体の形を整えると生体ユニットを持って手術室を出る。
「クォンタム様!お兄様は?」
「もう少しだ。後は体を用意するだけ」
すぐに教会に来たシアル達に合流する。
「クォンタム様!!」
「ご主人様!!」
「無事だったか!」
「ご無事で何よりです」
「やーすまんのう。次は別の方法で
ヴァイとシアルが抱き着いてきて顔をぐりぐりとこすり付けてくるが。
「うっ!?」
「ご主人様何ですかこの匂い!?」
「あー、消毒液とか溶液の匂いがまだついてたか。ごめんすぐ落としてくるから」
「あっ・・・違うんですご主人様!この変なにおいは恐らくシアルの体臭です!ご主人様の匂いのはずがありません!」
「何だとコラ!」
「いやいや、別に気にしてないから。すぐ臭い落としてくるよ。その間にシアルさんにお願いがあるんだ」
「何でしょう?」
「これを組み立てておいてほしんだ。それと上半身のパーツにこれを組み込んでおいて」
生体ユニットとクリムゾン・ソルジャーのキットをシアルに渡してクォンタムはオペ室の中に戻った。
「これはクォンタム様の新しい機体。それにこのパーツ。一体何があったのでしょうか」
「まぁ、作って見りゃいいんじゃない?事情は後から聞けるだろ」
〇
クォンタムはオペ室にあったシャワーで体についていた臭いを落とすとオペ室その物をコンテナにしまい込んだ。
金型の王で作ったモノであれば『部屋』でもしまい込めるとは驚きだ。
「部屋も元に戻ったな」
クォンタムは部屋を出るとマウ一家を連れて仲間のところへ。
そしてマウ一家とティシアの事、シャバルの事、これからやろうとしている事を皆に説明した。
「だ、大丈夫でしょうか?そんなことをして…」
「でもティシアさんが望んだことなんです。責任は全部私が持ちます。王子やフリージアさんも危険だと思うでしょうが…」
「構わんよ。ここまでやってしまってやめろなんて言えんさ。空気を読まない俺だがここは読む。ああ、読むね。それにそんなこと言ったらそちらの美しいティシアさんが泣いてしまう。いかんなぁそれはいかん」
「王子がいいと言っているのだ。気にせずやればいい」
「はい!でも、一応場所を移しましょう」
シャバルの入った機体を街の外の平原に運び起動シークエンスを開始する。
『3.2.1 クリムゾン・ソルジャー起動シマス』
機体の眼に光が灯る。
「う、うぅ・・・」
シャバルの意識が回復した。成功だ。
そして彼の視界に最初に入ってきたのは。
「よ。ちゃんと意識は戻ったみたいだな」
「・・・クォンタムっ!!」
と、クォンタムに掴みかかろうとした瞬間。
バリバリバリ!!
「ぎゃああああああ!?」
生体ユニット化されている脳の痛覚神経に電気信号が送られたのだ。
「全身がああああ!?裂ける~~~!?」
「なるほど。こうなるのか」
「兄さん!!」
シャバルは地面でのたうち回りながらも声をかけられた方へ顔を向ける。
一目でわかった。ハッキリとした面影が彼女にあった。彼の妹。
「ティシア・・・!?」
「兄さん」
ティシアはごつごつとしたシャバルの体をめいっぱい抱きしめた。
「な、なぜだ。お前はあの時!」
「あのね兄さん・・・」
彼女はこれまでの経緯をシャバルに話した。
奴隷として売られたこと、逃げ出した先でマウ一家に拾われたこと、そして今は新しい家族と共に幸せに暮らしている事を。
「そうだったのか。だが、私はずっと家族の仇を…」
「もういいのよ。私たちはこうして生きてまた会えたんだから!」
「いやだめだ!お前が生きていたことは本当にうれしいよ。でも母と父の無念はどうなる!!まだ、まだ私は!!」
「だめ!これ以上戦い続けても兄さんが傷つくだけ、いたずらに恨みを増やすだけよ。もうやめよう」
「いやだ!たとえこの体が朽ちようとも・・・体が・・・体ぁ!?なんだこれは!?」
「まだ気づいてなかったのか。ほい」
クォンタムはコンテナの中から姿見をだしてシャバルの前に置いた。
「なっ!?真っ赤で、これ、ちょっ、かっこいいいい!」
「は?」
「なっなんでもない!貴様!俺の体をこんな、こんな風にしてくれやがって!」
「どことなくうれしそうなのは何なんだ」
さっきのことで食って掛かるとどうなるか分かっているようだ。言葉だけで仕掛けてこない。
クォンタムはシャバルがどんな状態だったかを説明した。
「つまり、こうならなければ俺は死んでいたのか」
「そうよ。クォンタムさんがいなかったらこうして再会することもできなかった」
「助けてもらったことには礼を言う。それでも俺はお前を許すことは出来ん!多くの部下を友をお前に殺された」
「兄さん、それは!」
「そうだな。俺も多くの人々を殺してきた。お互い様だというのもわかっている。でも、そう簡単には割り切れんのだ!!」
気まずい沈黙が流れる。
クォンタムは頭の中で内部コンピュータも動員して考えていた。
後腐れなくシャバルとのわだかまりを終わらせる方法。その結果出た答えが。
「決闘するか」
「なにっ!?」
「クォンタムさん!?
「うん、そうしよう」
クォンタムが右手をシャバルに向けるとシャバルの視界の中にウィンドウが表示された。
『コノ機体ノ全権限ヲシャバルニ譲渡シマシタ』
「っ!?」
「これでお前を縛るものはなくなった。これで俺たちは本当の意味で対等だ。心も体もな。だから溜まったモノ全部俺にぶつけてこい。真正面から粉砕してやるよ」
「でも、そんな!」
「ティシアさん。このままわだかまり作ったまんまじゃ先に進めないんだよ。俺も、シャバルも」
「っ・・・・」
「心配しないで。殺したりしないから。貴女への恩返しはまだおわってないんだからさ」
「クォンタムさん・・・」
ティシアを諭し、シャバルの方へ向きなおる。
「で、どうする?」
「貴様と同じこの体となった。対等・・・確かにそうだな」
「負けた方は勝った方の命令を一つ聞くこと。いいかそれで?」
「構わん。して、この決闘では相手を殺してもいいのか?」
「いいよ、できるならな。決着は降参するか、戦えなくなるか、相手が死ぬか、だな。武器はどうする?折角その体になったんだから俺が使ってた武器なんでも用意してやるぞ」
「お前が使っていた『光の剣』をよこせ。それ一本でいい」
「なら俺もそれでやろうか」
コンテナの中から二本のレーザーセイバーを取り出して一本をシャバルへ渡す。
シャバルは手に取るとすぐにセイバーを展開して素振りする。
スキル『武道・極』を所持しているだけあってすぐさま使いこなしている。
「その様子だとその体での戦いも直ぐに習得できそうだな」
「ああ、『ぶーすたー』とやら調整や各関節の可動域、標準装備の『ばるかん』の使い方。全て理解している」
今いるところはだだっ広い平野だ。決闘には申し分ないだろう。
「クォンタム様・・」
「ご主人様・・・」
「大丈夫、死なないよ」
「「はい!!」」
マキーナのメンバーたちはマウ一家を連れて決闘を邪魔せぬようにクォンタムから離れる。
そしてある程度離れるとワーロックが結界を張り、シアルがコンテナの中から観覧席のような建造物を引っ張り出して設置した。
「すごいな!こんなものも作って入れてたのか!」
「クォンタム様の為に新しく作れるようなったキットは片っ端から作って放り込んでるんです!:
皆観覧席の椅子に腰かける。
するとワーロックがこんな事を言い出した。
「のう、どっちが勝つか賭けぬか?」
「それは面白そうだ。うーむ、俺様はクォンタムに賭けようかな。金貨五枚」
「「クォンタム様に金貨10枚!!」」
「なら私はシャバルに賭けましょう。金貨五枚で」
「ワシは…引き分けに金貨10枚じゃな」
「え!引き分けありか!じゃあアタシも引き分け!」
「私は‥‥奴の持っている『武道・極』の事を加味するとシャバル有利かと。なのでシャバルに金貨三枚」
「あの、皆さん心配ではないのですか?」
「ん?あいつが何とかするというなら何とかするのだろう」
「彼の行動には一つとして間違いなどないのよ。心配するだけ無駄だわ」
「「そうです!クォンタム様(ご主人様)のすることは全て正しいのです!!」
「というかキレカ、何かクォンタムに対する言葉の雰囲気が変わってねぇか?前までもうちょっとあたりが強かったような?」
「な、何もありませんよ!」
仲間たちからの信頼の厚さにティシアは少し驚いていた。
「信頼されてんだねぇクマンタムの奴は」
「確かに彼はとても誠実だ。多くの人から信頼を受けるに足る人物(?)だよ。それは私にもわかる」
(そうよね。・・・クォンタムさん、お願いします。兄を憎しみから救ってください!)
〇
「始まりはあの村での戦いだ。私は大切な部下を失った」
「次は違法奴隷商会でのアジトだったよな。あの時も俺が勝った」
「お前は俺の友だったマールガンの命を奪った」
「あの時は俺も必死だったな」
「そして首都での戦いでも私は負けた」
「あの負けは俺ってよりもキレカ様だと思うけどね」
「そして今お前は朽ちるはずだった俺の命を救い、更には決闘で俺の心に溜まったもの全てを受け止めてくれるという。はぁ・・・殺す殺すと狙い続けていたお前にここまでされると自分が情けなくなってくるよ」
「でも・・・やるんだろ?」
「ああ、これが本当の俺の最期だ」
「最期になんてさせねぇよ。俺の恩返しはまだ終わってない。お前は死なせねぇさ!!」
「「いくぞ!!」」
この闘いには意味などないのかもしれない。けど・・それでも・・・。
つづく。




