第二十五箱 ニスで光沢を出す際は削りすぎ注意
二十五話できましたー!!
やっとお話も折り返し地点を過ぎた感じです!ここからどんどん畳んで行きますので付いてきてくださいね!
それではどうぞお楽しみください!!
ケイワン国南方より攻め入ってきたゾーニ軍マーベック大隊に対し、ケイワン国はフェイデラ国より派遣されたマキーナと自国の兵を合流させて立ち向かう。
ネスの計略により仕掛けられた大落とし穴に敵大隊を押し込めることに成功。
そしてフェイデラ国将軍フリージアがその穴の中へ入り敵の殲滅を始めようとした時、ゾーニ軍五将軍マーベックが彼の前に立ちはだかった。
〇
「傭兵上がりが!力だけで戦に勝てると思うなよ!」
「悪いがそんな思い上がりは将軍になった時に卒業したさ」
睨みあったまま二人は動かない。
そして上から一本の矢が彼らの間に落ちた瞬間、フリージアが動いた。というか何かに弾かれるように跳んだ!
一気に距離を詰め、大剣を振り下ろす。
マーベックは驚きはしたがすかさず体をかわす…が。
ドゴォン!
打ち下ろした大剣から発せれられた衝撃波からは逃れられなかった。
衝撃破と爆ぜた瓦礫がマーベックに突き刺さる。
「ごほっ!?」
フリージアはマーベックが体勢を崩したのを見て間髪入れず追撃。
地面に突き刺した大剣をスコップのように使って救い上げ、衝撃波による土と石の散弾をお見舞いする。
「ちぃっ!」
マーベックは手首を軸にレイピアを回転させて土の散弾を捌く。
「ふむ。俺の前に立つだけ実力はあるようだな」
「生意気な口を。ふっ、所詮貴様は力だけが取り柄の傭兵上がり。思慮が足りん!」
マーベックの言葉と同時にフリージアの顔近くで何かが弾けた。
「痛っ!?」
フリージアの額と左耳から血が流れる。
「これは!?」
「コレが私の能力だ!」
(私と同じ衝撃波?いや、こいつのは何もないところから…)
「さっきの勢いはどうした!!」
マーベックの能力それは『圧力』。
周囲の生き物以外に全方位から圧力をかけることができる。
彼は戦闘の最中にいくつもの圧縮した空気の玉を作っておいたのだ。
そして圧縮したモノは生き物が触れると解放される。
(既に空中には私が設置した空気圧の爆弾が無数に漂っている。その存在を知覚できるのはスキルを持つ私のみだ!不用意に私へ突っ込もうものなら貴様の体の至る所を爆発が襲う!衝撃波で吹き飛ばそうとしても無駄だぞ。俺の能力は生物が触れる以外はいかなる干渉も受けない!身動きとれぬお前の心臓を我が必殺技『プレッシャーレイピア』の一撃で貫いてくれる!!)
プレッシャーレイピアとはレイピアの柄の部分に圧力を欠けて剣先を飛ばす技である。
その一撃はいかなる鎧をも貫通すると言われている。(マーベック談)
彼は剣先を立ち尽くしているフリージアの心臓に狙いを定める。
するとフリージアが構えを解いて剣を下した。
(諦めたか?)
彼は深く深呼吸すると下段で大剣を構えながらマーベックの方へと突っ込んでいく!
「!?」
いきなりの事に驚くマーベック。
それと同時にフリージアの周囲にあった空気圧爆弾が次々に炸裂していく。
その爆発の数はフリージアの全身を覆うほどだった。
「は・・・・はっは!あの馬鹿め、俺が手を下す前に潰れやがった!」
と、高笑いしながら勝ち誇った瞬間だった。
眼前の煙の中から大剣の広く平たい部分がマーベックへ振り下ろされたのだ!
衝撃波で加速されたそれはまるでハエ叩きのようにマーベックを地面へと叩き伏した。
「ぐばぁ!?」
地面にめり込んだマーベックの姿は前に出していたレイピアを持った手をまるで自分の頭の上へ掲げているような姿勢であった。
そして爆発の煙の中から血まみれのフリージアが現れた。来ている鎧は所々破壊されていた。
「な、何故…」
「喰らった時にな『気合を入れればガマンできる』と思ってな。ガマンしただけだ」
「こ…この筋肉馬鹿がぁ‥‥」
「あ、あとなんで刃の部分で頭から叩き割らなかったかというと。爆発の土煙のせいでお前の位置が大体しかわからなくなってたからだ。あのやり方なら手足にかすっただけでもその部分を潰せるからな・・・ってもう聞いてないか」
ザシュッ…。
気絶したマーベックの首に大剣を突き立てて首を跳ね飛ばす。
「ま、マーベック様ぁあああ!?」
マーベックの死に兵士たちは動揺。隊列が乱れ始める。
フリージアは地面に転がった首をマーベックが着ていたマントを破って風呂敷のようにして包むと。
「おーい!これを!」
上にいるワーロックへと投げ飛ばす。
ワーロックは風魔法で首を受け取った。
「ふむ。おい、弓部隊の隊長、ここは任せるぞ。ワシはこれをネスに届けてくる」
「はっ!」
ワーロックが消えたのを確認すると。
「さて、あとは大掃除か」
マーベックの死を目の当たりにした兵たちは震え上がっていた兵士たちへ視線を向ける。
「あ・・ああ・・・」
彼らの眼にはフリージアが実物より大きく、凶悪に映っていた。
「さぁ、続きだ」
そこから先は見るも無残な光景に多くの悲鳴が重なって聞こえていた。
〇
数分後。
討ち取ったマーベックの首が関所を超えた先で予備作戦の準備をしていたネスに届けられていた。
「広げるか?」
「いいよ気持ち悪い。あとはこれを送り付けると…。自分で考えておいてなんだが悪趣味だな」
「そちらの準備は?」
「もう終わってるけど。もともとあいつ等が落とし穴にかからなかった時のための予備の作戦だしな。こうなった以上使う事もない」
関所を抜けた先に並んでいたのは多数の巨大な対攻城戦用巨大石弓「バリスタ」であった。
しかもこのバリスタはシアル考案の改良が加えられている。
関所の細い通路を通ってきた奴らにこれを叩き込んで怯んだところにフリージア、ワーロックとケイワン兵たちで攻撃を仕掛ける手はずだったのだ。
ドナウが嬉々としてその改良バリスタについてワーロックに自慢げで説明してきた。
「これすごいんだぜ。撃つ矢の部分がこう弾倉式とやらになってて装填速度が大幅アップしてるんだ。シアルちゃんがクォンタムの武装からアイデアを貰って改良を加えたんだよ。試し撃ちしてみたけど発射までの工程が弓を引いて放つだけでいいからすげぇ使いやすいのさ」
「ほぅ。奴の金型の王。様々な見たこともない武装の設計図と材料がでてくるという。ワシも使ってみたいのう」
「それは本人に頼むんだな」
「でもワーロックさんならユーザー登録は許していただけると思いますよ」
と、皆で話している時だった。
「お兄様!」
キレカがやっと合流したのだ。
「キレカ!帰ってきて・・・って顔が傷だらけじゃないか!?お前仮にも王女だろうが!顔貸せ!すぐ治療してやる」
回復の杖を取り出してすぐにキレカの傷口を塞いでいく。
「回復してみたら、体中傷だらけか!手にも穴が!相当やばかったみたいだな」
「はい。シャバルは強かった。お婆様の剣スカーレットとクォンタムがいなければ死んでいたでしょう」
「クォンタム様にあったんですか!?」
「ご主人様は今どこに!?」
「あいつ無事なのか!?」
「えーと、今は首都の避難所にいると思うわ。ちょっとみょうちくりんな姿だったけど」
ホッと胸をなでおろすシアル達。
「ホッとするのはここの戦いが終わってからに・・・」
ネスが弛緩した雰囲気を占めなおそうと口にした言葉を止めた。
戦場から音がしなくなったからだった。
「終わったか」
しばらく待つと関所のほうからフリージアが戻ってきた。
数人の縛り上げたゾーニ兵と共に。
「ただいま戻りました」
「ご苦労!」
ネスはゾーニ兵たちを正座させると先頭の男の膝の上にポンとマーベックの首を置いた。
「これ、ちゃんと持って帰ってね」
にっこり笑ってそう言う。
ネスの言葉にゾーニ軍の兵士たちはごくりと唾をのんで頷いた。
その後、ゾーニ兵を開放してまだ無事だった馬を与えてゾーニ国へと逃がしてやった。
あの首はメッセージだ。
『もうすぐお前の所へ行くぞ』という『殺害予告』だ。
「残りの将軍はゾーニ軍本隊を率いるズルードと情報収集、裏工作を行う暗部のハウラか。やっと奴の首が見えてきたな。よし!ではこれからマキーナはメンバーのクォンタムを迎えに行くぞ!」
「「「はい!」」」
〇
南の関所での戦いが終わったことが首都に伝えられ避難所からはどんどん人が出てきていた。
そんな中で教会の一室に初代の姿に戻ったクォンタムとマウ一家、そして回復ポッドに入れられたシャバルの姿があった。
「この青年がティシアの実の兄か。そんでこの白い鎧がクマンタムさん?それで二人はずっと殺し合ってきたって??」
「はい、元はこんな姿なんです」
「はぁ~。いっぺんに色んな事が起こるもんだからちょっとパニックだよ」
「まぁいいじゃないさ。良かったねティシア、やっと家族に会えて!」
「何言ってるの。母さんたちも私の家族じゃない!」
「っ・・・そうだね。くっ・・・何で泣いてんだろねアタシは」
ぐいっと涙をぬぐうとアースはクォンタムに向き直る。
「で、お兄さんの容体はどうなんだい?」
「うーん、それが…」
『シャバル・クワト。身体損傷率約80%。ポッドデノ生命維持ハ可能。回復ハ不可能ト判断。現状意識をヲ取リ戻ス確率、2%未満』
シャバルの容体は芳しくなかった。
原因はあの呪いの魔装具を長期間使用していたことだ。
そのせいで体中の細胞がズタズタになっていた。
今現在生きている部分と言えば心臓を含めた内臓数か所と脳だけであった。
「このままだと一生目を覚まさないです」
「そんな…、兄さん・・・!」
(どうする。どうすればいい?)
『代案提示』
(へ?)
内部コンピュータが提示してきた内容にあったのは『生体ユニット製造用オペキット』であった。
『NT-D使用ニヨリ解放。生体ユニットヲ作成シ余ッテイル機体ニ搭載可能。ユニットノ最終操作権限ハマスターニアリ。反逆ノ可能性ハ0%デス』
なるほど特定の機能を使う事で新しいキットが解放されることもあるのか。
しかし生体ユニット製造オペキットとは。もうプラモデルの域超えてる。
そして生体ユニットとはクォンタムという作品の中で人間をロボットのパーツとしてしか扱わない
『ドウサレマスカ?』
(…やろう。このままじゃティシアさんに恩返しできないし。シャバルには聞きたいこともある)
クォンタムはティシアたちの方へ顔を向けるとシャバルを救う方法があることを告げた。
そしてそのためにシャバルに何をするかも説明した。
「脳を抜き取ってゴーレムの体に移し替える?そうすればティシアの兄貴は目を覚ますってのかい?」
「はい、簡単に説明するとそうなります。でもこれは神をも恐れぬ所業です。人の命をただのゴーレムのパーツにしようなんて…」
クォンタムの言う事もマウ一家は理解していた。
生まれ持った体を引き裂いて道具として使うなど人間として看過できない。
「けれど、それをすればもう一度兄と話ができるのですね?」
ティシアの言葉にこくりと頷く。
「兄を死なせたくない。もし助けられるなら、たとえどんな姿だったとしても。お願いします!兄を救ってください!」
「ティシア・・・。アタシからも頼むよ。アンタならできるんだろう?」
アース、そしてクラッシュもクォンタムに頭を下げていた。
それを見たクォンタムはすぐさまキットを生み出した。
その中には手術用の機器を模したプラモと手術室を作るためのパーツも入っていた。
「今からこの部屋を作業用に作り替えます。手伝ってください!」
「はい!」
マウ一家の力を借りて三十分ほどで生体ユニット製造用のオペ室が完成する。
「いやー、作ってて思ったが。見たことない道具がいっぱいだな。これは一体何に使うんだろう?」
「あまり勝手に触らないでください!」
「すまない」
「すぐに手術を始めます。皆さんは外に」
「はい。ティシアもいくよ」
「兄をお願いします…」
ティシアたちが部屋を出ていくとクォンタムはオペ室のスイッチを入れた。
『オペ室内ヲ無菌状態ニシマス。オペノ開始ハシバラクオ待チクダサイ』
プシューっという音と共に除菌剤がオペ内に撒かれる。
クォンタムはその間に両手を手術用のロボットアームへと換装した。
『滅菌完了』
「さてと、オペの前にシャバルをどの機体に放り込むかだな…」
最終的な支配権限はこっちにあるから暴れる心配はないそうだがそれでもあまり強力な機体には乗せたくはないが。
(でもなぁ~。ティシアさんとの感動の再開だからちょっとだけ色を付けてやっても。ティシアさん、色、リンゴ、赤・・・ん?)
クォンタムの目に留まった機体はリンゴのような鮮やかな真紅のカラーリングをされている機体。
「アブソリュートクォンタムNo.3・・・クリムゾン・ソルジャー」
クリムゾン・ソルジャー。
クォンタムからシャバルへと与えられる新たな力の名であった。
続く。




