第二十箱 人形遊びでのロボットは大体お父さん役。
第二十箱更新!!
面白いと思ったらブックマーク、宣伝、評価、なんでもよろしく!
続きも出来るだけ早く更新できるよう頑張りますのでポイしないでくださーい!
クォンタムは解体の途中に魂であるコアが湖の水脈の穴へと入ってしまい、どこともわからぬ川へと流されてしまった。
そのまま川をどんぶらこどんぶらこと流されていくと金髪美女に拾われて彼女の家まで持って帰られてしまった。
〇
彼女に連れられてたどり着いたのはリンゴ農家のようだった。
リンゴの林の中にある一軒家が彼女の家だ。
家の前では荷車にリンゴがいっぱいに詰まった箱を積み込んでいる男性がいた。
「お父さん、ただいま!」
「おお、ティシア戻ったか。町に買い物に行ったにしては帰りが遅いから少し心配していたんだ」
「ちょっと川で水浴びしてたの」
「何だそうだったのか。じゃあ、早く中に荷物を置いて手伝ってくれないか?」
「はーい!」
家の中に入ると彼女の母がキッチンで料理をしていた。
「ただいま!」
「おかえりティシア。遅かったねぇ」
「ちょっと寄り道してたから」
「早く父さんを手伝っておやりよ」
「わかってるー」
彼女はテーブルに買い物かごを置いて自室戻ると仕事着に着替えて父の手伝いへ。
〇
クォンタムは買い物用バスケットの中に放置されていた。
これからどうしようか考えているとティシアが勝ってきたものを確認していた彼女の母に見つかった。
「あら、なんだいこれ?」
ひょいっとクォンタムのコアを拾い上げる。
「宝石みたいだけど。あの子どっかで拾ってきたのかね?まったく他人様のモンだったらどうするんだい」
母はクォンタムコアを布巾できれいに磨くと小さなクッションの様なものに乗せてテーブルの上に置いた。
クォンタムはそんな彼女の姿を元居た世界の母と重ねていた。
(あぁ、俺の母ちゃんも勝手に物拾ってくるなってよく言ってたなぁ。探してる人がいたらどうするんだとか。…って、懐かしんでる暇なんてなかった。うーん体がないと声も出せないし。できることと言えば)
この状態でクォンタムができることは金型の王を使ってキットを出すかコアを発光させることぐらいしかできない。
(金型の王を発動して自身が宝石でないことを訴えようか?いや、まてよ。発光をコントロールできれば)
クォンタムは自身が発する光をコントロールできないかとイメージする。
イメージしたのはレーザーポインターの様な細い光。光を束ねて一本の線にするイメージで…。
実験は成功。彼は細いレーザーを出すことに成功する。
(よし、これでテーブルの上に…)
レーザーを一点集中することでテーブルに焦げ目を作り、それで字を書く。
「ん?焦げる匂い?いや、鍋は焦げてないし‥‥」
母が焦げ臭いにおいに気付いた。
匂いをたどるとテーブルに文字が書き込まれていることに気付いた。
「なんだいこりゃ!?」
テーブルには「私はただの宝石ではありません。魂のこもった水晶なのです。名をクォンタムと申します」と書かれていた。
母はクォンタムコアと文字を交互に見る。
「ちょ、ちょいとお待ちよ」
彼女はコンロの薪の火に灰をかけて一旦その場を離れると一冊の本を持ってきた。それは白紙の日記帳だった。
若いころに趣味で日記でも始めようかと思って買ったが三日続かなかったヤツである。
「これに書いてみな」
(この人動揺しないとは肝が据わってる)
クォンタムはすぐに自己紹介と身の上をその日記に書き込んだ。
彼女はざっとそれに目を通した。
「意思のあるゴーレムで暗殺部隊ねぇ。にわかには信じられないがアンタに意思があるってことは分かったよ。だったら先に自己紹介だね。あたしはアース・マウ。男みたいな名前だろ?」
(そんな事ありませんよ、と)
そんな感じでアースと会話を続ける。
「うーん、アンタの体を作ってあげたいのはやまやまだけどアタシらゴーレムを作るなんて…」
と、少し考えていると何かを思いついたのかおもむろに家の二回にある物置へ。
その中から少し汚れたクマのぬいぐるみを持ってきた。
そのぬいぐるみをはたいて埃を落としてやったあとにその背中を開いてなんとその中にクォンタムコアを突っ込んだのだ。
(えええ!?)
そして裁縫道具を使って再び開いたぬいぐるみの背中を修繕してやると。
「どうだいこれは?かわいいじゃないか」
「いや!ぬいぐるみじゃ…、あれ?喋れてる」
なんとぬいぐるみから声が出た。しかも手足も自在に動く。
「へぇ、いい声してるじゃないか。しばらくはそれで我慢しておくれ。あ!そうだ!アンタその姿だと力はどうなんだい?」
クマンタムはテーブルを軽々と持ち上げた。
それを見たアースはクマンタムを外の手伝いへと連れて行った。
「おーい!アンタ!ティシア!」
「ん?アースか。どうしたんだ?」
「どうしたのお母さん?」
「新しいお手伝いを連れてきてやったよ!」
「どうも、クマンタムです」
「「ええ!?」」
こうしてクマンタムの居候生活が始まった。
〇
一方その頃、マキーナのメンバーたちはというと。
「RVヘッドを使っても感知できないほど遠くにいるという事もわかったし。一旦城に戻ろう」
「いやですー!このままクォンタム様を探しに行くんです!」
「もう日も暮れる。シアルさん。貴女のわがままを聞いてあげたい所だが。我々には使命があることも忘れないでいただきたい」
いつになく真剣な面持ちでネスはそう言った。
今こうしている間にもゾーニ軍の魔の手は迫ってきているのだ。
「…分かりました」
ネスの言葉の意図を理解したシアルは渋々だが城に帰ることを承諾した。
「というかヴァイとドナウさんは心配じゃないんですか!」
「私はご主人様を信じておりますゆえ。貴女のように取り乱したりはしないのです。これも貴女より深き愛ゆえ」
「まぁ、あんな状態だろうがどうにかするだろあいつは」
二人の発言にすさまじくイラつきを感じるシアル。
だが、彼女らの言う通りだ。今は信じて待つ他ない。
「では戻ろう」
「ならワシも付いて行ってやろう」
「「え!?」」
そう言ったワーロックの背後にはすでに多くの荷物がフワフワと浮かんでいた。
「この事態の責任の一端はワシにもあるからのう。それに奴の解明はまだ済んでおらん」
「マダムに来ていただけるのは心強いがこの森の防壁がなくなってしまってはゾーニ軍が」
「大丈夫じゃ。ワシと同じスキルを持っている魔装具を起動しておこう。それで大体いける」
「うーん、大丈夫なのだろうか…」
半ば強引にワーロックが同行することになった。
だがここで問題が一つあった。誰がクォンタムが乗ってきた軍用ジープを誰が操縦するかという事だ。
「ワシが風で運んでやろう」
という感じでジープごと風で浮かせて運ぶことに。
「このジープとやら背もたれをたおすと寝られるのか。ふむ寝心地もよい。ワシ疲れたからちょっと寝る。風のスキルは城についたら勝手に消えるのでな。お主ら飛んでる最中に敵に撃ち落とされないように外に警戒しておけ」
「兄様、この人すごいのは分かるんですがなんとも緩いというか…」
「人間長く生き過ぎるとこんな感じになってしまうのかな?」
彼女を連れてマキーナは一路城へと戻る。
〇
ゾーニ軍本部。王の部屋。
唐突に兵士が
「伝令!伝令!ゾーニ軍五将軍のマールガン様が討ち死になされました!!」
「なんだと!マールガンには最強の召喚獣・アーバオアークがあったはずだ!そう簡単に敗れるハズなど・・・」
「私どももそう思ったのですが逃げ延びてきた兵士がアーバオアークを塵一つ残さず吹き飛ばすほどの光が噴き出したと言っていました。恐らく敵の中にそれほどの威力を持ったスキル所有者がいるのではと」
「むぅ」
ゾーニ王の知る限りあのアーバオアークを撃ち滅ぼせるほどの火力を持った実力者はGOPにはいなかったはずだ。
だとすれば何らかのイレギュラーが現れたという事。
「シャバルが言っていたクォンタムという奴…。それしか考えられんな」
「いかがいたしましょうか!」
「イレギュラーを消すには同じようなイレギュラーを当てることだ」
「と言いますと?」
「シャバルの居場所は?」
「シャバル将軍はGOP加盟国の首都を次々と壊滅させながらフェイデラ王国の王都へとまっすぐ向かっています!たった一人で…」
「一人で一国を潰せるほどにまでなったか。よしシャバルにマールガンの死を伝えてやれ。そのまま加盟国を潰しつつ王都へ攻め込めという命令と共にな。奴にはいいカンフル剤になるはずだ」
「はっ!!」
伝令役はその場を後にした。
「シャバルもいい感じに育って来ておる。クォンタムとやら、シャバルを成長させる良い材料かと思っていたがもう看過できんな。一刻も早くつぶさねば…。まぁ、今シャバルは五将軍最強の男になっている。そこまで焦ることもないか。ふはははは!」
そんなゾーニ軍の独り言を部屋の入り口の隙間から盗み聞きしている男がいた。
五将軍の一人マーベックである。
(な、何故だ。何故王はそこまでシャバルに肩入れするのだ!伝説の魔装具までも奴に与えて。私の方が奴より実力が上だというのに!!こうなればそのクォンタムという敵を私が仕留め、王にどちらが有能かを示してやる!!ハウラも私に惚れ直すはずだ!!)
マールガンを倒したのも束の間。
新たなる敵、五将軍一の知将マーベックと怒りに飲まれ全身に伝説の魔増具を纏ったシャバルがクォンタムたちに迫っていた。




