第十八箱 月の光は破滅の光
では十八箱!お楽しみください!
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五将軍マールガンとの対決。
マールガンはサモナーのスキルを使って自身の最強召喚獣アーバオ・アークを繰り出してきた。
クォンタムの内部コンピュータによる解析でも現状の武器では倒せないという結論が出る。
万事休すかと思われた時、森の魔女がクォンタムへ隕石で作られたという杖を渡した。
それに反応してクォンタムの金型の王が杖を触媒にした新たなクォンタムのキットを提示したのだった。
〇
「このキットは‥」
クォンタムは空を見上げて『あるもの』を確認する。
今の時刻は夕刻だ。ならば…
『月が…出ている!!』
「シアルさんこのキットを!!」
デンっと新しいキットがクォンタムの前に生成される。
「はいっ!」
シアルはキットのくみ上げに取り掛かる。
「王子!あと一分稼げますか!!」
「ぐっ・・・ああ!任せろ!でもできるだけ早く頼む!!」
問題はアーバオアークが放つ光線で月の光がかき消されてしまうという事だ。
「ヴァイ!お前のスキルって光を吸い込めたよな!」
「ええ、あの時は闇の渦でこちらに誘導して闇の盾で相殺しましたが。何か私にできることが!」
「月の光だけを集めることは出来るか!」
「月の・・・はい!できます!」
「よし!」
「クォンタム様!できました!」
「そっちもよし!」
『クォンタム・機体変更シークエンス開始」
「タイプ…デュアルカイザー!!」
その機体は太陽光と月光をエネルギーとして蓄積する能力を持つエコ的な観点から作り出されたクォンタム。
そんな優しい設計思想にも関わらず二門の超巨大レーザー砲塔『ムーンライトブラスター』という凶悪な兵器を持つ矛盾の塊のようなクォンタム。
『クォンタムデュアルカイザー』
「ヴァイ!中に!」
「はい!」
ヴァイはすぐさまクォンタムの中に乗り込むとスキルを発動する!
「闇の渦よ!月の光を私たちの下に!」
ヴァイの作り出した闇スキルの闇の渦は周囲の月の光を束ねて一本の光の柱を形成する!
それを見たマールガンは危機感を感じ、アーバオアークに更なる命令を下す。
「アーバオ!一つの眼に力を収束しろ!盾になっているあの男が曲げられない程の一撃を!!」
命令を受けたアーバオ・アークは開いた眼を一つだけ残して他の眼をすべて閉じた。
そしてその一つに全てのエネルギーを集約する。
「蟲人をを出すのもやめおったな。残りの全エネルギーを放つ気か。王子よ、アレを曲げられるか?」
「いやぁ、いかにマダムの頼みでもあれでは触る前に体が蒸発しそうだ…!」
「クォンタム・・!」
そして、
「チャージ完了!来た!!みんな俺の後ろに!!」
クォンタムの目が発光して背部にあったムーンライトブラスターが前へ移動し、発射シークエンスへ!
機体の各部位から放熱板が展開され、それらすべてが月の光と同じ白銀に輝きだす!
「どう足掻こうが今更!!撃てぇ!!」
放たれるアーバオ・アークの閃光。それと同時に…。
「ムーンライトブラスター!いっけええええええ!!!!」
その閃光さえも飲み込むほどの光がクォンタムから放たれた!!
ズオオオオオオオオォッ‥‥。
「へっ・・・・?」
その光に包まれたアーバオアークとマールガンは塵一つ残らずこの世界から消えた。
〇
「何とでたらめな奴。あの一発の熱で湖の水が全部干上った。周りの木々も熱で干乾びてしまっている。王子さんがこっちに来る熱を曲げてくれてなかったらワシらも丸焦げよ。」
「す、すみません」
クォンタムは初代に戻って深々と頭を下げていた。
ヴァイは近くの岩に座っているシアルの膝の上でうなだれていた。相当疲れたようだ。
「まぁ湖の方は地下水だから時間がたてば戻る。木の方も後で何とかしておこう。逃げた兵士たちはまだ森の中だぞ。はやく行ってこい」
「よし!王子、私たちも残党狩りを…」
「そうだな。クォンタムとヴァイは行ってくれ。シアルさんと私はここに残ろう。この腕じゃ足手まといだからな」
王子の両腕は全体にひどい火傷を負っていた。その殆どはムーンライトブラスターの排熱を捻じ曲げた時にできた者だろう。
「ほ、本当にすみません」
「謝罪なんていい!お前は私たちの命を救ってくれたんだ。盾にしかなれなかったこっちが謝りたいくらいだよ。まぁ、でも、その盾である私がいなければこの戦いは勝てなかったともいえるがな!」
「ははっ!その通りですよ!」
「行こうヴァイ。俺の索敵能力とお前の闇スキルがあれば簡単に・・・」
そんな時、三方向からがさがさと何かが動く音がした。
林の中からドナウ達が顔を出した。
「お前ら!大丈夫だったか!?」
「さっきの光の柱は何ですか!?ここで一体何が?」
「でも、皆さん無事みたいで…」
キレカの眼に両腕に火傷を負ったネスの姿が目に入った。
キレカの視線に気づいたネスはハハハと笑いながら大丈夫だと言うように手を振る。
「無事みたいですわね」
「おいおい。俺は両腕が火傷しちまってるんだが?少しは労われよ!」
「その程度なら杖の治療スキルで治せるでしょう?」
「おっとばれたか」
フリージアは涙を浮かべて安堵していた。
「ううう、本当に命があってようございました!」
「泣くな!戻ってきたという事は敵は全員始末で来たのか?」
「蟲は全部ヤッたんだがゾーニ兵には何人か国境の先に逃げられちまった」
「奴ら森を出れたのか?」
「はい。隠蔽スキルの効果が消えてしまったのかも」
魔女は目を閉じで森にかかっているはずの隠蔽スキルを確認するが。
「本当に消えとるな。恐らくさっきの一発で…。すぐに戻さねば。おぬしらも手伝え」
魔女は風を起こし、皆をふわっと浮き上がらせると自分の家へと一緒に戻っていった。
〇
魔女の隠蔽の結界を修復し、王子の両腕の治療をした後に皆は再びラウンジへと集まっていた。
「で、ワシの情報だったな。まず…、名はワーロックだ」
「ワーロック?」
「何か心当たりでも?」
「キレカよ。城の蔵書室にフェイデラ国の王族について書かれてきた今もなお更新されている歴史書があるのは知っとるよな」
「ああ、あのバカでかい。一度も開いたことはありませんが」
「お前も王族なら少しは先人達から色々学べ!・・っと、話がそれた。その歴史書の中にワーロックの名があったのを覚えている。確か…先々々々代の王の側室だったような」
「側室・・・愛人の事ですよね?」
「そうだ」
「うむ。それがワシだ」
「「ええっ!?」」
皆が驚愕して声を荒げる。
「今おいくつですか!?」
「うーむ。側室しておった頃にはすでに500超えとったからのう。忘れた」
「そうですか。でなぜ貴女は何百年もの間、同じ姿で生きているのでしょうか?」
彼女はキセルを吹かしながらつまらなそうにゆっくりとつぶやき始めた。
「ワシの父親は今でいうスキルの研究者であった…。自分の手でスキルを作り上げようとした」
ワーロックの少女時代、彼女の父はスキルの謎を解明しようとしていたらしい。
その時代にはスキルは神様から授かった奇跡であり神聖なものであるという扱われ方が強かった。
それを人の手で同行しようなどとはおこがましいと彼女の父は多くの迫害を受けた。
「だが父は諦めなかった。各地の神殿を荒らしまわって神々の遺物を沢山かき集めた。それを調べればスキルを作り出す秘密がわかると思ったのだろう。そして父は何年も地下の実験室に引きこもって研究をつづけた。そしてある日…」
『リロ!わかったぞ!この神々の遺物は神との交信装置だ!これに祈りと供物を捧げることで神は一時的にこちらへ降りてくる!そして我々の頭の中に干渉して脳を変異させるんだ!!変異させることでその者が持っている潜在能力を引き出す!そして供物の量でその変異の割合は変わるんだ!!』
〇
「すみません。リロって誰ですか?」
クォンタムが話の腰を折った。
「ワシの本名」
「あ、はい」
〇
それを聞いたリロはあることに疑問を持った。
『お、おとうさん。脳、とかどうやって調べたの?』
『ああ!実は研究のために神殿を調べていた時に近くの村や町でスキルを授かったばかりの子どもたちを何人か捕まえておいたんだ!成長してしまうとスキルを持った脳は全て似たような形になってしまうからね!子供の脳を見た方が違いがはっきり分かるんだ!!』
「っ!?」
その時リロは気付いた。彼女の父は化け物になってしまっていたのだと。
〇
「父はそっちの女盗賊と同じようなスキルを持っていた。異空間のカバン。そこにさらった子供たちをつっこんどったんだ」
「な、なんてひどいことを・・・」
〇
父はリロの肩を掴んでこう言った。
『これで私は私だけのスキルを好きなだけ生み出せる!私を迫害した奴らを見返せる!私は神に等しい存在となったのだ!!!!』
『もうやめて!お父さんおかしいよ!お父さんの考えは破綻してる。神様みたいに手も触れずに脳を変異させるなんてできるわけないじゃない!!』
『いや、大丈夫だ!生かしたまま頭を開いて脳を変異させる方法はもう確立させてある!!』
『そ、その為に何人を犠牲にしたの!!』
『ああ、かわいそうだったが私の実験が成功すれば彼らも喜んでくれるはずだ!!』
『お父さん…』
『だが一つ問題があるんだ…』
『え・・?』
『一度変異させられた脳を再び変異させても他のスキルは発現しなかったんだ!つまり、既に神々に脳を変異させられた人間には新しいスキルは発現しないんだよっ!!スキルを発現させるにはまだスキルを得ていない人間がいるんだ!そう「お前のような」』
『な、何言ってるの?』
『さぁ、親子で一緒に作り上げよう!!最高のスキルを!!!』
『いやああああっ!?』
こうしてリロの人生最悪の数年間が始まったのであった。
つづく。




