第十七箱 ロボットはキット化されやすいが要塞はされにくい。
第十七箱完成!
お楽しみください!!
フェイデラ国の国境にあるガウラハの森にゾーニ軍の一大隊が侵略に来たという情報を受けて新設暗殺部隊『マキーナ』にその部隊を率いる五将軍マールガンの討伐任務を王より賜った。
それと同時にガウラハの森の魔女についても調べるという任務も一緒についてきた。
彼らはガウラハの森の前にある町「マーシ」で森と魔女の事を調べた結果、森では魔女の隠蔽スキルによって満足に任務を遂行できないという事が判明。打開策として魔女に供物をささげてスキルをどうにかしてもらおうという事になる。
交渉役に選ばれたシアルが高級なお酒を森の前でお供えするとシアルはお酒ごと魔女の住処へと引きずり込まれてしまう。
魔女はシアルが背負っていたコンテナの中に他の仲間が隠れていることも看破していた。
そのことには怒りもせず彼女は自分の事を知りたいならゾーニ軍を撃破せよと言う。
願ったり叶ったりだとマキーナはそれを承諾してゾーニ軍との戦いに赴く。
〇
魔女の隠れ家を囲む湖の畔にはすでにゾーニ軍が陣取っていた。
マールガンは馬上から魔女の住処を見据える。
「あれがこの森の魔女の家か」
「どうされますか?」
マールガンは考えた。
この森に拠点を作るのはもう無理としてもこの森自体の利用価値は高い。
国境をまたいで存在するこの森は魔物と魔女さえいなくなればGOPの連中に気付かれにくい侵略経路となる。
「魔女よ!聞こえているか!私はゾーニ国五将軍が一人、マールガン・ガウ!この森をゾーニ国の侵略経路として開放しろ!その代りに貴様の望みを何でも叶えてやろう!」
マールガンの言葉から数分後、家の玄関から魔女が出てきた。
その容姿にマールガンは目を奪われてしまう。
「う、美しい」
「マールガン様!?」
「い、いや!魔女よ、今の話は聞こえていたか?聞こえていたならば返答を!!」
「いい話だが断らせてもらおう。腐ってもフェイデラ国の一員でな。先々々々代のフェイデラ王にこの森を貰った恩もある」
「せ、先々々々代!?」
「それに今ワシの興味の対象はお前らの足の下におるしのう」
「何を言っている!従わないというなら!!」
マールガンが手を掲げると湖の上空を旋回していた三匹の黒竜が湖まで降下し魔女を囲む。
「この三匹の餌になってもらう!」
魔女はキセルを吹かしながら自分の周りを飛ぶ黒龍たちを眺める。
「確かにこの三匹はいい餌になりそうだ」
「なにっ!?」
彼女がパチンと指を鳴らすと。
湖から二本の水柱が上がる。その水柱は黒龍たちを飲み込んだ。
そして水が全て湖へ戻るとそこにいたのは二体の巨大な青い龍。
蛇のような巨体に鋭い角と頑強な顎、その二つの体は中間あたりで繋がっていた。
「ヒドラ、いや・・・二頭竜!!ばかな!サモナースキルを持つ者たちの中でも伝説とされている魔物だぞ!?」
「伝説?ワシの子どもの頃はこいつら海や川によくおったぞ?」
「た、確かにこいつならサモナーとして興味の対象になるのも頷ける!」
「いやいや、こいつなんぞ見飽きとるわ。さっきも言ったぞ。興味の対象はお前の足の下にいると。あ、今はお前の後ろか」
「!?」
その言葉に振り向くと彼の眼前にクォンタムの刃が迫っていた。
他の隊員たちはクォンタム以外のメンバーに襲撃され右往左往していた。
「うわぁ!?」
マールガンは驚いてのけぞったことで落馬した。だが、幸いにもクォンタムの一撃からは逃れることができた。
「このぉ!!」
マールガンはすぐに体勢を立て直してやるを振るう。
槍から爆風が発せられクォンタムを吹き飛ばした。
「ちっ!魔装具か!!」
「お、おのれぇ!後ろからとは卑怯な!!」
「戦争してんだろうがよ!!」
レーザーセイバーと風の槍がぶつかり合う。
が、なんとマールガンはあっけなく弾き飛ばされてしまう。
「うわぁ~」
「何だコイツ?シャバルとはえらい違いじゃねぇか」
「ぼ、僕はサモナーなんだ!最前線で闘うのは苦手なんだよ!!く、くそっ!お前たち!こいつを押さえろ!」
マールガンの命令は誰にも届かない。他のマキーナのメンツと闘う事で精一杯だ。
だが、その中で一人マールガンを守るために襲撃を切り抜けてきた兵士がいた。
彼はクォンタムとマールガンの間に体を割り込む。
「マールガン様、お退きください!」
「ちっ!邪魔な!!」
「よ、よし。こうなったら!我が大隊よ!撤退だ!今すぐ撤退せよ!」
「マールガン様、何故!?」
「アレを使う!!」
「ッ!!。全軍撤退!ここから離れろ!!できるだけ遠くに逃げるんだ!」
マールガンは黒竜を召喚した時よりもさらに大きな魔法陣を展開する。
「いでよ我が最強の僕!アーバオ・アーク!!」
現れたのは巨大なひし形の体と円盤の様な頭、いくつもの目を持つ怪物!
マールガンはその召喚獣の上へと飛び乗った。すると彼の周囲にバリアの様なものが出現する。
「アーバオか。厄介なものを出しおって」
「なんじゃありゃ!?」
(規模は小さいがまるでクォンタムに出てくる要塞じゃないか!)
「ふはははは!伝説級の魔物を召喚できるのが貴様だけだと思ったか!!我が召喚スキルの集大成!ここで使いたくはなかったが致し方ない!この森を焦土と化しそのまま町を滅ぼして我がゾーニ軍侵略の足掛かりとさせてもらう!」
アーバオ・アークは目玉から閃光を放ち森を焼いていく。
更には体にある穴から虫のような怪物が次々と出てくるではないか!
それを見た魔女がクォンタムたちに叫ぶ。
「聞け小童ども!!アレは伝説級の召喚獣、アーバオ・アーク!目からは破壊の閃光を放ち、体の中に蟲人という魔物を飼っていてそいつらを兵士として使う!奴らは視界に入る全てを食い尽くし、破壊しつくす!!しかも奴の上に乗っている召喚者はバリアで守られている!」
「そ、そんなヤバい奴どうすればいいんですか!?」
「サモナーを殺すか、奴その物を破壊するしかない!!ワシの隠蔽スキルで蟲人どもは森の外へは出られんが数が多すぎる。ワシが森に放っている魔物だけでは手が足りん!」
「フリージア!どうする!」
「二手に分かれます!私とキレカ様、ドナウは蟲人の駆除に!クォンタム様、王子、ヴァイ、シアルはこやつを頼みます!」
「了解だ!聞いたか妹よ!」
「分かってます!」
「クォンタム!頼むぜ!」
蟲人駆除の仲間を見送り、クォンタムはすぐさま相手の分析に入る。
『召喚獣:アバオ・アーク。脅威判定:測定不能。現在使用可能ナ装備デハ対象ノバリア破壊モ困難。撃破確率3%以下。撤退ヲ推奨シマス』
「うそだろ!?」
「クォンタム!打開策は何かないか!」
「俺の頭の中も逃げた方がいいって」
「お前の武器でもなんとかならないのか!」
「っーーー」
クォンタムは頭の中で現在の金型の王の中にある武器を再確認。
だが何度確認し、計算してもあの魔物をたおせるだけの火力がない!
考え込んでいるクォンタムの方へ魔物の眼が向く。
クォンタムの危険性を感じ取ったのか全ての眼がクォンタムを凝視し、閃光を放つ!!
クォンタムを囲い、押しつぶすかのように。
「まずっ!?」
エネルギーシールドを展開するが恐らく耐えられない。
クォンタムの眼前まで迫るその閃光を何とヴァイが庇った。
「うぐぅ!!」
「ヴァイ!」
ヴァイは両掌に黒い渦の様なものを発生させてそれを盾としてクォンタムを庇ったのだ
光は全てその黒い渦へと飲み込まれていった。
「ハァ…ハァ…伝説の魔物と言えど使う力の大元はスキルと同じ!光なら闇で無効化できる…」
ヴァイに目に見える疲労の顔が恐らく二度目が来たら防ぐのは無理だろう。
「クォンタム様、貴方ならきっとできます!私が命に代えてもお守り…」
そう言っている間に第二波が!
次はそれをネスが片手で軽々と弾いた!!
「王子!!」
「私のスキル『歪曲』は触れたもの全ての方向を曲げることができる。自由自在にではないがね。そしてこの宝石がたっぷりと装飾された杖は回復スキルを持っている魔装具!スキルの力が続く限りは君の攻撃は我々には当たらんよ!頼むぜクォンタム、私の掌が黒焦げにならないうちにな!!」
攻撃を弾いた彼の掌から煙が上がっていた。相当痛そうだ。
「王子、ヴァイ」
「打開策ができたなら!私が瞬時に作り上げます!!」
「シアルさん」
あるはずだ。クォンタムの辿ってきた兵器の歴史は軽くない!
要塞すらも一撃で破壊するクォンタム!あったはずだ!
「おい!クォンタム!」
魔女がクォンタムに声をかけた。とっさに振り向くと魔女が二頭竜に乗って湖を渡り、こっちまで近づいてきてた。
「これを使え!」
彼女が渡したのは巨大な意思が頭についている杖だった。
「これは?」
「空から飛来した石で作ったと言われる杖じゃ。月の光に当てるとその光をため込んで膨大な魔力に変えることができる。ずっと倉庫に入っておったからそれほど力は溜まっておらんが何かの足しにはなるはずじゃ」
クォンタムがその杖を持った瞬間だった。
『月の杖ヲ確認。新タナキットヲ解放デキマス』
「こ、こいつは!この機体は!!」
クォンタムの前に提示されたその機体とは・・・!?
つづく
召喚獣・アーバオアーク。
上に乗れる。術者をバリアで守る。目からビーム出る。体の穴から蟲人という魔物がたくさん出てくる。
全長30mくらい?
召喚獣・アルトロンは頭が二つある『ガッシュベル』の『バオウザケルガ』を想像してみてください。そんな感じです。




