第十一箱 頭部のアンテナは折れやすいから気を付けろ
はい!十一話目です!
やっと王都に付きました!これから出てくる新キャラたちはドロドロしてるのでご期待ください!
違法奴隷商会を壊滅させたシャバルを退けたクォンタム。
新たな仲間であるドナウ、ヴァイと共に王都へと出発した。
彼らの次の目的はフェイデラ国の王都で新しく作られるというGOPの部隊に参加することである。
〇
「ついたぞ!ここが王都だ!」
高い建物、煌びやか店の数々、町行く人皆が活気にあふれている。
そして都市の真ん中にでっかい王城があった。
「まずはGOPの本部に行こう」
GOP本部は城の領内にある軍事施設だ。
なのでまずは王都内の貴族領に入る必要がある。
貴族領の入り口には関所がありそこで手続きをしなければならない。
ドナウは関所に着くなり兵士に声をかけた。
「あ!ドナウさん!どうしたんですか?もしやGOPに入隊を?」
「ああ、だからGOP本部まで行きたいんだが」
「ドナウさんなら手続きなしでも大丈夫ですよ」
「そりゃ手間がなくていい。なら連れのこいつらも手続きなしでいいだろ?アタシの紹介ってことでさ」
兵士はクォンタムたちを見ると首を横に振った。
「それはだめです。入隊志願者には手続きとテストを受けていただかないと!ドナウさんはこちらからスカウトしたので大丈夫ですが」
「なんだよ。じゃあとっととすましちまってくれ。おーい!お前ら!」
クォンタムたちはまず入領手続きと入隊試験の為にエントリーシートの様なものに必要事項を明記して兵士に渡した。
「はい、コレで書類は以上です。でも、ちょっとタイミングが悪かったかもしれませんね」
「どういうことだよ?」
「今、王族とその臣下たちの間でもめ事が起こってまして。王は出来るだけゾーニ国とは剣を交えず講和で戦争を終わらせたいとおっしゃっています。しかし、それに主戦派の臣下たちが反発していまして」
「へぇ。確かにフェイデラ王は人徳と人の好さでは有名だもんな。講和にもうなずけるが」
「フェイデラ王も若き頃は戦場の最前線を駆け抜けてきた方。だからこそ戦争の悲惨さを誰よりも知っておられる。しかし、ゾーニ軍は頑としてこちらの講和には乗ってこないのです。王は何度も話し合いの席を持とうと頑張っているのですが」
「講和をするにはもう戦火が広がりすぎてる。この現状で今だに講和を訴えても腰抜けに見えるな」
「王は民のことを一番に考えていらっしゃるだけです!」
「わかってるって。そう怒鳴るなよ」
クォンタムたちは関所を後にして貴族領内のGOP本部へと向かう。
〇
クォンタムたちが関所で受付を行っていた頃。城の内部では。
ここは王城の会議室そこにはフェイデラ王トライブ・フェイデラとGOP加盟国の面々、フェイデラ国将軍フリージア、宰相コローシ、国のトップたちが肩を並べていた。
「王よ。一体いつまで講和などという絵空事をおっしゃっているのですか。もうゾーニ軍と事を構えるしかないのです!そのためのGOPではないですか!新部隊の立ち上げももう始まっております」
「GOPの本来の目的は平和を願う国家同士で協力し、一つの巨大な力となることで主戦派の国々をけん制し出来るだけ話し合いをしやすくするためだ。我らは獣ではないのだぞ!戦いでしか相手に胸の内を表現できないなど…。そんなことあってはならんのだ。心のままに戦った結果がどれほどの犠牲を生むのかをお前とて分かっているだろう!コローシよ!」
「王よ。貴方のおっしゃっていることは相手も人間である場合に可能なことです。相手が獣ならばこちらの言葉など耳に届きますまい。獣ならば体に教えねばなりません。自身がどれほど愚かという事を」
「貴殿は戦争を家畜の躾と戦争を同じと言うか!」
「同じではないので?王となり戦場から退いた貴方には全線で戦う我々の気持ちなど理解できますまい!のう、フリージアよ」
「宰相殿の言い方にも問題はありますが。私も戦わなければならないと考えております。これ以上決定を先延ばしにすればゾーニ軍に付け入る隙を与えるだけかと」
「フリージア、そなたも…」
「そこまで。双方言葉を納めなさい」
王の隣に座っていた王妃が王たちの言葉を遮った。
「ミーラ王妃…」
「このまま話し合いを続けても平行線をたどるだけ。ならば多数決を取りましょう」
「それは合理的ですな。では決を取りましょうか?」
「いえ、行うのは今から三日後。その時には全てのGOP加盟国の代表にお越しいただきます。今いらっしゃる皆さまもこの三日間今一度お考え下さい。戦争か話し合いか。どちらがよりよい未来かを」
王妃の提案をみんな聞き入れた。そして今回の会議は終了となった。
〇
王城・廊下
そこに王妃と将軍のフリージアが立っていた。
「ミーラ様、申し訳ありません。一将軍が王にあのような口の利き方を…」
「そう思うなら謝る相手が間違っていてよ」
「は、はい!それとお礼を。本来ならばあの場でのああいった提案は軍部の最高責任者である私がすべきことでしたのに。ありがとうございました」
「礼を言われるようなことなどしていないわ。それに一将軍である貴方が提案したところで他の代表たちが聞き入れていたとも思えない」
「ッ…確かに。やはり王妃様だからこそです」
「フリージア、戦って国を守りたい貴方の気持ちもわからないではないわ。夫に見初められるまでは私も一兵士だったから」
「王妃様…」
「でも私は平和を願う夫の志を尊敬しているし信頼しているの。奇麗事かもしれないけれど本気でそれを実現しようと尽力している。だから貴方も彼の味方でいてあげてね」
そう、行って王妃はフリージアの手を握る。
「は…はい」
王妃はフリージアに会釈しその場を立ち去った。
「はぁ、ミーラ…なぜ貴女は…」
その場にとどまったフリージアは難しい顔をしていた。
そんな彼にある男が声をかけた。
「王妃のあの表情を見たかフリージアよ。本当は戦って国を守ることに心が動いているにも関わらずトライブ王への愛の為にご自身の心を押し殺している。あの腑抜けの為にな。何と健気なことか」
「不敬だぞコローシ!」
「お前だってわかっているだろうに。兵士の頃から王妃様を見てきたお前なら。今と昔、どちらの彼女の方が輝いていたかを」
「…」
フリージアは言葉に詰まった。
王妃とは一兵士だった頃からの二十年来の『友人』だ。
そして現在の王に見初められ王妃となった彼女を追いかけ将軍の地位まで上り詰めたのが彼だった。
そう今だに彼の心にはミーラに対する片思いが残っているのだ。
「彼女はお前のような男の隣にいた方がもっと輝くことができる。そしてお前の方があの腑抜けよりもより良い方向へ民を導くことができる。そうは思わんか?」
「な、何を…」
「なぁに『準備』はすでに出来ている。お前はただ事を静観していろ。何が起きても兵士たちには何事もないと装うのだ」
「そ、それは…」
「ミーラの思いを汲んでやれるのはお前だけだ。お前こそが王妃の隣にあるべきなんだ。奴が消えればミーラはお前を選ぶだろう。そうなれば…」
「お、おれがミーラの…」
(まぁ、そうなったら俺の傀儡として働いてもらうがな)
「では俺はここで。決行は二日後の夜だ。くれぐれも…頼んだぞ」
「あ、ああ」
フェイデラ王へ反逆の刃が突き立てられようとしていた。
〇
関所をくぐってGOPの本部へ到着すると入隊試験を受けることとなった。
試験官が資料を読みながら一人一人の経歴を確認しているところだった。
「ユニークスキルもちが一人と闇スキルの妖精族か。なかなかいい新人じゃないか。妖精族はあまりいないからな!あとは、えーと、『守護神』ってなに?」
「守護神は守護神です!クォンタム様はこの世界を」
話が長くなりそうなシアルにヴァイの頭にポンっと手を置くとシアル声が消えた。
ヴァイの『闇スキル』はエレメントスキルの中でも希少なものだ。
自分や触れた相手、物の『何か』を『消す』ことができる。
消せるものは色々あり、感覚はもちろん、存在感、姿、声、体が発する音(足音とか)、さらには重さまで消せてしまうという。
「クォンタム様、説明を」
「お、おう。便利だなそれ」
「恐縮です」
「えーとですね」
クォンタムは試験官に自分の正体について説明する。
「へー!あんなの御伽話だと思ってたよ!よし、じゃあまずはクォンタムくんは戦闘部隊だね。GOPのトレーニングコースが王都の外の森にあるからそのコースをクリアしてきてくれ。無事にここに戻ってくれば合格だ。このバッグに森の中の地図、野営道具、2週間分の食料を入れているから持って行ってくれ。言っておくが空を飛んだりしちゃだめだよ!GOPの正規兵でも一週間はかかるから気を引き締めて挑んでくれ!」
そういうと試験官はクォンタムの掌に自身の掌を押し付けて力を込めた。
するとXマークが掌に刻まれた。
「これは私のスキル『刻印』。これで君がどこにいるかを把握できる。声も聞こえるから何かあったらすぐ私に連絡してくれ。刻印を付けた相手を自分の下に召喚することもできるからね」
「分かりました!」
「スタート地点についたら声をかけてくれ。そこから試験開始だ!」
「頑張れよ!クォンタム!」
「ああ、行ってくる!」
「私たちはどうすれば?」
「シアルさんとヴァイさんは能力的には特殊工作部隊に配属されると思う。彼と同じコースを回ってもらうけどその前に自身のスキルをどの程度まで使えるのか確認しなくちゃいけないからスキル練習用の訓練場まで移動するよ」
「アタシはどうする?」
「ドナウさんは何もしなくていいですが。暇ならクォンタムくんの後でも追ったらどうですか?」
「・・・そうだな!」
ドナウはすぐにクォンタムの後を追う。
「あー!!だめです!二人きりはだめですぅ!!!」
ドナウを追おうとしたシアルは試験官に首根っこを掴まれる。
「はいはい、君はまずスキルの検査からねー」
「あ、あれ!?ヴァイさん!?ヴァイさんがいない!あ!さては姿を消して付いて行きましたね!!試験官さーん!ヴァイさんがいませーん!」
「なんと!?ならいる方から先に始めましょう!」
「チクショー!!」
GOPの入団試験が開始された。
つづく




