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7.水の獲得方法

 またしばらく森を歩いた。もうとっくに日は昇って、空腹と渇きが限界に達しつつあった。

 私は木陰に腰を下ろしてアイテムボックスから唯一の食料である黒パンの入った巾着と、水袋を取り出す。


 薄くスライスされた黒パンは固く、余計に喉が渇く気がした。我慢できずに水を飲み干してしまう。それでも足りない。


 私は軽くなった水袋をしばらく眺めて、無言でアイテムボックスに放り込む。

 またひとつ、死に近づいたのだ。


 木々の間から薄く漏れる光はとても美しかったが、今はそんな物には目もくれず、真っ直ぐ歩き続ける。

 すると足元に見える下草の種類が増え、少しずつ背丈の長いものが見られるようになってきた。


 これは、もう少しで開けた場所に出る証拠だ。人里が、見えますように。


 少し歩いて見つけたのは、洞窟だった。周りに焚き火の跡や水桶など、生活の痕跡が見える。

 ほう。ここには、水も食料もあるみたいだな。


「小娘!何しに来た!」


 私は。迂闊にもほとんど警戒せずに森の中から飛び出てしまった。

 洞窟のの前にいた見張りに見つかってしまう。


「あのー、ここはどこですか?」


「はあ!?へへ、そうか、こんな所に小娘1人で来るなんざ、てっきり討伐隊の居候か何かと思ったが、それにしちゃ粗末な格好してるもんなあ?迷子かあ?」


 そう言って男はゆっくりと近づいてくる。

 私は無表情の下で警戒を強めた。


「ここはなあ、盗賊団、流浪の風のねぐらだ。お前はここで俺に捕まって、俺らの慰みものになるんだよ!」


 そう言って男は私に掴みかかろうとしてくる。腰に下げた剣を抜こうともしないあたり、私を殺すのではなく捕まえようとしているのだろう。


 はあ。またか。


 私は男の脳に意識を集中させ、力を込めて急激に治癒を進める。


「あ?」


 私の肩に手を置いたところで異変に気がついても遅い。


 パアァン!!! 


 すごい音を立てて男の頭が弾け飛んだ。


 びちゃびちゃびちゃびちゃ

 グチャッ


 頭蓋骨とその中身が飛び散る。


 血と肉片が私に降りかかる。


 顔の半分から上が無くなった男がゆっくりと倒れてくる。


 私はすっと横に避けた。

 ドサッと音を立てて男が地面に倒れ込む。


「ははっ」


 途中で頭が途切れた男の姿がなんだか可笑しくて、笑いが込み上げてくる。

 脳は綺麗なピンク色をしているはずだが、残念ながらぐちゃぐちゃで見ることができなかった。惜しいことをした。


 さて、治癒は攻撃魔法として十分に使えることがわかった。

 そろそろ男の頭が弾けた音で辺りが騒然とし始めている。なんの音だ、なにがあった。そんな間抜けな声。


 お前ら、すぐに殺されるとも知らないで。


「ふふっ」


 馬鹿だなぁ……!


 興奮で笑みが抑えきれない。


「狩りのはじまりだあぁぁ!!」


 私は洞窟の入口に向かって走っていく。途中で目に入った人間2人は、治癒で脳を破裂させる。


 洞窟に入る。明かりは簡易的なランプのみで薄暗かったので、私は走るのをやめて歩くことにする。

 実験も兼ね、狭い通路の中で哀れにも私と出会ってしまった人間の様々な部位を破裂していく。



 パアァァン!!

 まず1人、首から上。

 戸惑ったように両手を上にあげて、倒れた。

 やっぱり頭蓋骨が割れるとすごい音がする。


 パアァン!

 次1人、肺。

 苦しそうに呻き声を上げながら、胸の広範囲を破裂させた。少し音が小さい。肋骨って弱いのかな?


 パアァン!

 もう1人、心臓。

 真っ赤な花のように咲く血液が本当に美しかった。見惚れてしまいそう。


 ボコッ……!パァン!

 グチャグチャッグチャッ!!

 最後は2人まとめて腹の辺りの臓器を狙ってみた。

 腹が異様に膨らんで、大腸、小腸、その他諸々が、内容物と一緒に飛び出てくるのは圧巻だった。赤とか白とか茶色とか、1番派手にぐちゃぐちゃになってくれた。


「く、ふっ、ははははは!!はは、ははははははは!!」


 どんどん唇の端が吊り上がる。


 そのまま奥まで歩いていくと、盗賊団のリーダーとその取り巻きらしき4人の人間を発見する。


 リーダーらしき人物は口を開いた。


「なんだ、ここまで来たからどんなやつかと思えば、ただの女か。おいお前ら、この女を殺……」


 パアァァァン!!!


 全員、心臓を破裂させた。この世界には魔法もあるのだ。詠唱なしで使われたら対処できない。攻撃の隙なんて与えるわけないだろ。


 それにしても、ふふ、本当に綺麗だなぁ……


 破裂させるのは腹でもよかったが、派手で気分が上がるだけで美しくない。

 こんなに人数がいたら、きっと綺麗な赤い血液の花がたくさん見られると思ったのだ。


 狙い通り、酸素の多い血液の色、鮮紅色の花が咲き乱れた。


「ああ……!本当に綺麗……!ああ……!!」


 洞窟内に充満する鉄の匂いに酔う。

 ああ、この匂い! この景色! ここにカメラがあったらよかったのになぁ!


 そうしてしばらく興奮に浸ったあと、私は一旦洞窟の外に出てアイテムボックスに死体を収納し、浄化で血痕や細かい肉片を掃除する。

 動物が寄ってこないようにするのと、今外に出ている盗賊団の仲間がいるはずなので、戻ってきた時に異変を察知されないようにするためだ。


 再び洞窟の中に入って全ての死体をアイテムボックスに収納し終えた。鮮紅色の花を消すのがもったいなかったので、1番奥のその場所を除いて浄化を使用する。パッと水色に光って浄化が作用した。

 洞窟内が水色に光るのも、鮮紅色の花と同じくらいに綺麗だ。


 さて、せっかくなので食事の時間だ。

 喉が渇いている。

 私は洞窟内から1番上質な金属のコップとやっと見つけた水を持ってきて、花の前に少し距離をあけて座った。

 そして、花と私との間に、13人の盗賊の死体を綺麗に、丁寧に1列に並べる。


「誰が1番美味しそうかな」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 良いです。とても。語彙力無いんで許して下さい。こういうグロ表現、文で見るの凄い好きなんですよ。主人公ちゃんの狂い度合い含め全体的に好きです。 [一言] 応援してます!連載頑張ってください。…
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