7 最終面談
「・・・」
アリシャはポルゾイをじっと見る。
そして、立ち上がる。
「!?」
それに反応して、ポルゾイはとっさに、
壁に掛けてある槍を手に取ると、身構える。
攻撃されると思ったようだ。
しかしアリシャは、
「今は、真実は解りません」
と言う。
「あん!?」
「貴方はさっき、人を斬りました。
でも、だからといって、
国王様の命を奪ったのかは、わかりません」
「ああん!?」
ポルゾイは、脅威に感じていたアリシャに対して、
攻撃される様子が無いと考えた。
「無礼者!俺様を、国王殺しと決めおって!」
と急に、大声で強気に言う。
「それは」
「黙れ!バカが!」
アリシャの言葉を遮って、怒声を上げる。
「城に勝手に入って、奴隷も逃がしやがった!」
「奴隷?市民ではないんですか?」
「あん!?」
ポルゾイは、攻撃しないアリシャを、
力関係が、格下、と決めつけた。
「俺は国王だ!貴様の罪は重い!奴隷を盗み、俺を殺そうとした!」
と睨みながら言う。アリシャは今まで、攻撃はしていない。
しかし、ポルゾイの感覚では、そうなった。
奴隷は所有物と、思うから(盗み)になって。
自分が(殺される)と、思った、から
(殺そうとした)になる。
「あなたは、勘違いしています」
とアリシャが言う。
「なにぃ!」
剣を向け脅すも、アリシャは後ろを振り返って、
「今回は、これで失礼します」
と言い、アリシャは立ち去ろうとする。
(逃がすか!)
と思うポルゾイだったが、また剣を止められると考え、
「仕方ないな!」
と、話を合わせる。
「色々あったが、別れの挨拶をしようではないか!」
ポルゾイは目を瞑り、深々と礼をする。
「・・・」
アリシャも目を閉じ、顔を伏せる。
「今だ!」
アリシャに、槍を素早く突き刺す。
が、(ピタッ!)と再び停止する。
「ぐが!」
不自然に止まり、腕を痛めるポルゾイ。
顔を上げるアリシャ。そして、
「また会いましょう、いずれ」
と言うと。
現れた光のカーテンが、アリシャを包み、消えた。