6 止まる瞬間
ポルゾイは、（酒に酔いすぎたんだ）と考えた。
それなら、剣が急に止まったのも、納得がいく。
――そこに、大きな暖炉がある。
ポルゾイは、そっと近づくと、
「死ね！！」
と、火が付いた薪を、アリシャに大量に蹴飛ばす。
ポルゾイは、鎧を身に付けているため熱くない。
勢いよく飛んでいった、真っ赤な火の塊は、
アリシャの顔めがけて、飛んでいった。
しかし、大量の焚火は、アリシャの眼前で、
光り輝く、チリとなって、消え失せた。
「なにい？！」
目を見開き、驚愕する。
ゆっくりと近付くアリシャ。
「うわあ？！」
腰からへたり込む、ポルゾイ。
この世のモノとは思えぬ力に、怯えている。
しかし、アリシャは、
「私は、お話しに来たんです」
と言う。
（？なんだ？・・！）
予想もしない言葉に、ポルゾイは驚く。
―――――――
テーブルを挟み、アリシャとポルゾイは、向き合い座っている。
「は・・話だって？」
ポルゾイは恐怖している。さっき、謎の力で動きを止めらた。
「・・・」
無言のまま向き合う2人。
やがて、アリシャが口を開く。
「あなたは、前国王エクシズ様の、命を奪ったんですか？」
「は？？」
言葉の意図が理解できず、不思議がるポルゾイ。
「カムイ様から聞きました」
「・・・」
沈黙するポルゾイ。
「答えてください」
「・・聞いてどうするんだ！？」
「真実が知りたいんです」
「・・・」（どういうつもりだ？）
さっきから、余りの出来事に、酔いがすっかり冷めていた。
「どうして、答えないんですか？」
更に聞くアリシャ。
「・・俺は知らん。一体何のことだ！」
強く返す。
「知らないんですか？」
「そうだ！と言ってる！」
テーブルを（バン！）と叩く。
「カムイ様は、あなたがやった、と」
「・・カムイだと！？」
ポルゾイは立ち上がって剣を構える。
「まだお話があります」
アリシャは動じずに話を続ける。
「あなたは、前国王エクシズ様に、跡継ぎを、命じられたのですか？」
「・・・・そうだ！」
大分間を開けて答える。
「・・・」
沈黙するアリシャ。
「で？なんだ？」
ポルゾイは、挑発するように言う。
「あなたの言葉、信じられません」
「けっ！！」
唾を吐く。そして
「カムイは信じるくせに、俺は信じられんのかあ！？」
と剣を向けて言う。
「さっきの行いを見ては、とても信じられません」
ポルゾイはさっき、市民を斬っている。
「バカが！」
と言いながら屈みこんで、消えた暖炉に、再び火をつけるポルゾイ。
「本当に、国王様の命を奪っていないんですか？」
聞き返すアリシャ。
「しつこいんだ！！」
怒鳴って、火が付いた薪を投げる。
しかしさっきのように、アリシャの前で、チリと消えた。
