57 Let`s Dance
踊りは、身体の動きがが、とても大事。
それは当たり前だけど、相手の脚の数が多すぎる場合。
成立するのか？その謎の答えが、出るかもしれない。
ムカデの様な怪物、エンド66は、恐ろしいスピードで進み、
アリシャの前に辿り着く。そして向かい合うと、
エンド66は、身体を大きく立てて、多数の脚を8本振りかぶって、
ブーメランのように一斉に放つ。
1本1本が、巨大なカマの様で、即死の猛毒が含まれる。
「風よ」
アリシャは左手を前にすると、風の壁が、地面から、
草木と土と一緒に、舞い上がる。
その面積はグラウンド程あり、アリシャは華麗に
1回転すると、風の壁の上へと乗る。
そして空へと舞い上がる。エンド66の脚のブーメランは、
アリシャを追ってくる。
（ザクザク）と風の壁を貫通しながら迫る、脚の音。
エンド66は、アリシャの高さに並行して、風の壁を這って着いて来る。
長い体をムカデのように、這わせ、高さを合わせて。
凄まじい速度でアリシャと同時に上昇していく。
更に、10本の脚を放つ。風の壁の中を貫通し、
四方八方から襲う。
アリシャは、左手を、風の地面の表面へと向けると、黄色く光り、
（ゴオオ！）と、風の壁の盾、が出来る。
巨人に対して使った、土の壁。今回はそれが、風になっている。
（ザク！ザク！）そこに刺さる、脚。
逆方向からも襲う脚、しかしアリシャは、
身体を回転しながら交わすと、風の壁の中へと入る。
暴風の中、アリシャは風と一体化することで、影響は全くない。
（ザクザク）更にそれを追って、突き進む多数の脚。
アリシャは風をさらに強める、すると、
脚は先ほどよりスピードが遅くなる。
こうなると、物理的に当てることは困難。
でも、今回は、脚が多すぎる。エンド66は脚をほぼ無限に作り出せる。
隙間なく、風の壁に、脚を敷き詰めていく。
もの凄い数の、巨大なカマに、風の壁は削られて、剥がれていく。
そして、アリシャの目の前に、辿り着くエンド66。
「？？」
驚く様子のアリシャ。いつの間にか、
風の壁は全て、カマの様な脚になっていた。
エンド66は、同時に、身体の中心の赤いエネルギーを反応させ始める。
破壊の玉。
迸る、エネルギー。
アリシャは両手を前に出して、掌を合わせて、内側で組む。
足も少し前に出して、受け止める体勢。
―――――――
それは、遠く離れたアバランテまで影響が出る。
凄まじいエネルギーは、ケルにも感じられた。
そして、重要な事実。
ケルの闇の魔力は増大し、アリシャを、《《上回》》った。
しかも、エンド66の誕生により闇が世界を覆い、
距離による制約が無くなる。
つまり、いつでもドール化が、可能な状態と化した、という事。
