56 賢者の石
2000人の仲間が、2人を見守っている中、
4色の石から、帯がレベッカの手の平にやってきて、
合わさる。そこへと置かれるカムイの手。
カラフルな石を握ると、粘土のようにカムイの手がめり込む。
「??」
壊したのかな。と心配するカムイ。
でもレベッカは、無言の笑顔で(大丈夫)と伝えてあげる。
すると石はカムイの手を包む。まるで手袋のよう。
レベッカはカムイの手を握って。目を瞑る。
(希望)を混じり入れることで、賢者の石が完成するはず。
城内に、カラフルな泡が膨らむ、
4色が混じり合いながら、広がっていく。
窓から飛び出して。地上へと落下する泡。
城下町へと広がる。
闇を避けて、シャボン玉のように
まどうビル10階の、カムイの城を中心にして広がってく。
「すごい!!」
2人は同時に喜ぶ。
―――――――
完成を喜んだのは、2人だけじゃなかった。
「鍵が出来たか」
闇魔導士ケルも、その1人。
はるか遠く、湖から、アバランテを見るまでもなく感じる。
「クク。ありがたい」
ケルは、アリシャの方を見る。
エンド66はアリシャの直前に迫る。
ムカデの様な、何本もの脚で素早く近付く。
脚の一つ一つが、鋭利でカマのよう。そして猛毒を含む。
常人なら掠っただけで、血が腐ってしまう。
「女、終わりじゃな」
アリシャが、闇魔法に全く抵抗出来なかったのを
ケルは思い出す。
そして、魔法陣を出現させる。
「破滅の時は来た」
ケルは、まどうビルの方を向いて、消えた。




