5/71
3 カムイの過去
辺りは夜。本当なら、暗くなっているはず。
しかし、アリシャが使った、リザバーにより、
戦争の犠牲者を、復活させる魔法の光が、明るく、
イルミネーションのように、一面を照らしている。
「綺麗だね」
カムイは城のバルコニーで、アリシャと食事を、し直している。
さっきと違って、食欲が湧いてきた。
「皆が生き返るなんて・・。良かった」
と、カムイが言う。
「みんなは、僕の事を最後まで信じてくれた」
と形を成していく、人影を見ながら言う。
カムイを最後まで守り、一緒に戦ってくれた人達。
「ありがとう。アリシャ」
「気にしないで。カムイ様」
笑顔で言うアリシャ。
「僕は父上が、ポルゾイに王位を譲った。なんて信じられない」
カムイは言う。前国王エクシズは、カムイの父。
「譲った？んですか？」
なぜ、実の息子のカムイに、王位を譲らなかったのか？
血の繋がりも一切無く、王家に何の関係もない、ポルゾイ。しかも
「ポルゾイは殺人罪で、町外れの牢獄に、入れられてたんだ」
「え？なぜ、そんな人に王位を？」
殺人犯に王位を譲る事なんてありえない、しかも、牢獄に居るのに。
「父上は、遺言で〔次期国王はポルゾイに〕と言ったらしいんだ」
カムイは悔しそうに言う。
「そんな・・」
「父上は、1ヶ月前、謎の病に倒れたんだ。
僕はずっと傍に居たんだけど、ある時、誰かが、
城下町を襲ったんだ。・・僕は行くべきか迷った」
カムイは窓から、外を眺める。
「父上は（気にするな、人々を助けるんだ）
と言ってくれたよ」
「・・それが最後」
そう言うと、視線を戻す。
「そんなことが」
アリシャは同情している。
「そして、父上の最期に立ち会ったのが、ポルゾイなんだ」
