36 一度は晴れたかと思わせた憂鬱さが
・Scene ケル
―――時を同じくして。
ここは、丘陵。城下町から少し歩いた場所。
アバランテを一望できる。
少し高い場所なので、町の隅々まで目が届く。
そして、逆側、方角で言うと、西には、
小川が流れる、草原があり、それは、
遥か遠くの、自然豊かな森へと続いている。
その丘陵の暗闇に、ケルが立って居る。
「闇が支配した」
城下町を一望すると、言う。空には、ベリアルが覆っている。
ケルが創り出した闇は、どんどん広がって、
次々と、ドール化が広がっている。
人と人とが憎しみ合い、負の連鎖が続いた城下町で、
人々はメンタルを弱らされ、闇に対する、抵抗力を失くしていった。
ケルは笑いながら思う。間もなく、完全に闇が覆うだろう、と。
「仕上げじゃ」
そう言うと、西を振り返り、草原と小川の方角を向く。
そして、地面へと、杖を(ズブ)と刺す。
手から、闇の触手が伝わり、地面へと入っていく。
植物への、侵食を開始するケル。大地に広がっていく闇の触手。
勢い凄まじく、森へ侵食すると、
(ザワザワ・・)
と悲鳴を上げるように揺らめく。
大地そのものの闇化。ケルは人間を闇の力で支配して、魔力を高め、
この時を待っていた。こうなると、森に生命が住むのは不可能となり、
当人のケルですら予想できない、恐ろしい事が起こる。
「ヒヒ。何が起こる?・・」
西の広大な森に、闇の触手は広がっていき。
一点に、集まって巨大な形を成していく。
それは、破壊を糧とする巨人。




