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プロローグ
あるとき、戦争があった。
アバランテ国王軍8000人は、反乱軍50人を追い詰めていた。
陽が照り付ける日中。城を完全に包囲している。
次期国王、ポルゾイは、総攻撃の準備を完了していた。
反乱軍は、もはや戦意を喪失している。
犠牲者も多く、城もボロボロになっている。
その時、
「降伏する!」と聞こえる。
城を見ると、壊れた窓から、傷を負った、青年が顔を出している。
「僕だ!カムイだ!」
と大声で叫んでいる。前国王の、実の息子の、カムイ。
「・・・」
ポルゾイは無言。
「どうしますか?」
1人が聞く。
「殺せ・・」静かに言う。
「全軍攻撃だ!」
ポルゾイは、命令を出す。一斉に、突撃する大軍。
「どうして!?」
カムイが悲しみの叫びを上げる。
――と、その時。
空から、金糸雀色の光の柱が降って来る。
そして、城を覆う。
「!?」
驚いて、足を止める、軍。
見ると柱の中には、謎の美少女の姿。
「何だ!?」
叫ぶポルゾイ。
美少女は城へ、左手を向ける。そして、
「平和へと、逃げて」
と言う。すると
(フッ)
城は一瞬で消えた。