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文芸部とリア充生活 (おまけあり)

 その後、同じ会社内(県内だけで従業員数が数千人の、割と大きな会社)に、実は同じようなことをしている人がいるのではないかと思って社内のクラブ活動を探してみたところ、スポーツ系は充実しているものの、文科系、特に文学に関してはまったく存在していなかったので、思い切って自分で「文芸部」を立ち上げることにした。


 それで社内掲示板に募集の案内を載せたところ、男女合わせて数十件ほどもの問い合わせがあった。

 単純に以前からの知り合いが、「またあいつが面白いことを始めた」と興味本位で入部希望してくれたこともあったが、それ以外にも、一度も合ったことすらない人も、50歳以上の人から新入社員まで、20人近い人が参加してくれることになった(女性も数人存在)。


 また、その掲示板を見て僕が文学賞受賞、出版したことを知ったという元同僚や上司もいて、そこで電話やメールで祝福してくれたのも嬉しかった。


 とりあえず、みんなの顔合わせをしよう、ということで、近所の大きな喫茶店で

「本について優雅に語り合う会」

 を開催することにした。


 これはとても緊張した。

 だって、今まで面識のない人が集まるわけだし、自分が幹事となって席の予約とかするわけで、変なトラブルとか起きないように祈りながらの開催となったのだから。


 しかし、そこはみんな「本が好き」という共通点があったので、最初の方こそみんな緊張したものの、次第に打ち解けて、僕が持ってきた書籍化のための資料(プロットや、イラストの見本など)を見てもらえたりして、話も弾んで、楽しい時間を過ごせた。

 そしてこの「本について優雅に語り合う会」は、定期的に開催されていて、参加メンバーによって内容にも変化があり、今ではライフワークの一つにもなってきている。


 なお、ふてぶてしくも、同僚Yも「本好き」ということで、「文芸部」に参加している。

(奴のことだ、どうせこのエッセイも読んではいまい)。

 

 ここまでの活動を考えてみると、文学賞受賞して、書籍化することによって、故郷でちょっとした話題となり、実家の両親もご近所さんに自慢? できて、兄弟で会う機会も増えた。


 社内でも声をかけてくれる人が増え、冷やかし半分に「先生」と呼ばれるようになり、文芸部を立ち上げ、月一程度で会合も開いている。

 なにより、自分の本が近所の本屋に並んでいて、専用のコーナーまで作ってくれていたことが嬉しかった。


 これって、いわゆる「リア充」生活なのではないだろうか?


 今まで、なろう小説系の文学賞で最終選考まで残ったことは何度かあった。

 けど、実際に受賞して出版されると、これほど生活に影響があるんだな、と、あらためて実感した。


 しかし、これでもまだ道半ば。ようやく、新しい扉の一つを開けたにすぎない。

 目指すは専業、真のプロ作家。

 夢は大きく、アニメ化、ドラマ化、大ヒット。


 これからも、まだまだ挑戦を続けていこうと、固く心に誓っているのだった。


 ~ 第一部:完 ~


 おまけ:同僚Y語録 (奴はどれも笑いながら言っていた)


 数年前、僕が小説を趣味で書いていることを話した時の一言:

「まあ、文学賞でも受賞して、出版でもされれば買って読んであげますよ」


 同僚数人の談笑の中で、僕が「Yは俺の小説は99.99%書籍化されないと思っているだろう」と言ったときの一言:

「そんな失礼なことは思っていません。99.99%ではなく、99%です!」


 僕が受賞して出版されることになって、朝礼のスピーチで、「同僚の一人に、なぜか上から目線で馬鹿にされていた」と発表した後の一言:

「買うって言っているじゃないですか!」


 近所の本屋で専用のコーナーに、僕の本が山積みされていたことを話したときの一言:

「まあ、本屋で並んでいる本は、出版社に返品できますから」


 同僚数人の談笑の中で、「Yは受賞して出版されたら買って読んでくれると約束していたのに、実際に買ってくれたのは書籍ではなく電子出版の方で、しかもまだ全く読んでいない」と指摘したときの一言:

「買ってあげたのに、この言い草ですよ!」


 Yに「僕が全面的に間違っていました」と言わしめるその日まで、この戦いは続く――。


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