未知なる世界
文学賞を受賞して、書籍化検討段階にはいると、ここから先はまったく未知の世界だった。
それで、どうなったかというと、まずは編集部が担当の編集者を付けてくれることになった。
もちろん、これも初めての経験で、これだけでもかなり嬉しかった。
しかし、そのあといろいろと作業が発生したわけで……このあたりは、残念ながら守秘義務があって、書くことができないけど、会社員としての仕事もしながらだったので、一気に忙しくなった。
(今受賞や書籍化を目指している人は、プロットをきちんと書いていることをお勧めします!)
ちなみに、受賞したことは、この時点で家族や職場の同僚にも打ち明けた。
ちょっとハーレム系のタイトルの小説だったけど、いかがわしい内容のものではなかったので、(そのことも含めて)きちんと説明した。
とはいえ、この時点ではまだ賞金数万円が確定していただけで、本になるかどうかはまだ未定の段階。
それでも念のため、もし出版されたら副業とみなされないかどうか、上司を通じて会社の管理に問い合わせてもらったところ、
「文学賞を受賞して出版されて、それで印税が入ってくるような話なのであれば、会社の仕事に支障が出なければ問題ない」
との回答をもらい、これで会社公認となった。
で、同僚の反応はというと、これは人さまざま。
単純に「すごい」という人もいれば、「ふーん」程度の人、まったく興味を示さない人もいた。
中でも、僕が小説を書いているという話をしたときに、
「まあ、文学賞でも受賞して出版でもされれば買って読んであげますよ」
と言っていた同僚のYは、
「まだ本になると決まったわけではないですよね? 本になってから言ってくださいね」
というような、上から目線のままだった。
(ちなみに彼は読み専門で、『自分の方がたくさん読んでいるから知識は上だ』というスタンスに思えた。本人に悪気はないと思うけど、いつか凹ませてやりたいと思った)
あと、両親は喜んでくれたものの、半信半疑の状態。
特に父親は、自分でも小説を書いて、コンテストに応募したりしていたこともあって、
「先を越された」
と苦笑いされたのが印象的だった。
そして、いよいよ飛躍の2019年を迎えた。




