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ヤンキーガール=鑑定ガール  作者: 黒夢迷宮
第二章
8/35

ロビンの救出ととんでもない事実

 ロビンを瀕死にさせたと思われるスケルトンが猪に向かって剣を振り下ろした瞬間。俺はダッシュで奴に詰め寄った。

 スケルトンは俺の存在に気づいたものの既に遅く、振り上げた杖に背骨を殴られ、呆気なくバラバラになった。


「まずは第一関門突破!」


 物理防御力が最弱なだけあり、バラバラにする事自体は簡単だった。――だが骨そのものは硬い為、木の杖ではヒビ一つ入らない。


「再生する前に……!」


 だがそんな事は既に予想済み。破壊する為の『本命』は別なのだ。

 スケルトンから少し離れた所にある焼け跡……。その近くに置かれていた武器を手に取る。


「よっと……!」


『本命』の武器――プレートメイスと呼ばれる殴打系の打撃武器だ。

 物理攻撃に特化した杖みたいな物で、鉄で出来たこれは木製の杖なんかより攻撃力が桁違いに高い。


「せぇ――のっ!!!」


 武器を持ち、スケルトンの元へ急げば、奴は再生しようと身体を再び形作っている所だった。

 再生途中ならまだ間に合う――!

 直感的に感じた俺は、メイスを力強く振り下ろした。

 やはり木製の杖より強力であり、思い切り叩き落としたメイスは剣を持つ右手を粉々に粉砕した。


「こんのぉおおおっ!!!」


 倒せる事が確定した瞬間、メイスで攻撃を続けた。

 裂帛した気合いと共に、振り上げては落とす事を繰り返し――。


「はぁ……はぁ……っ。ま、魔石だ――!」


 骨を欠片どころか粉にするまで粉砕し終わったところで、スケルトンは魔石と化した。

 それを確認した俺は、不死者との戦いに勝利した事を認識したのだった。




「ロビン……ロビン!」


「……う……ん……」


 スケルトンとの戦いに勝利した俺は、すぐにロビンの元に戻った。

 まだ生きているとは言え、出血し続けたら冗談抜きで危険だからな。


「……ハイ、ネ……?」


「気づいたか……!」


 ぼんやりとだけど意識が戻ったらしい。

 頭を押さえながらだが、徐々に覚醒していく。


「大丈夫か? 傷は痛むか?」


「ああ……まだ痛むけど平気だ……」


「そうか。無事ならいいんだ。……帰って来なかったから、心配したんだぞ」


「そうか……悪かっ――いや、待て。おまえ、どうやってここに……?」


 現状を把握したロビンは、だけど俺がここにいる事に疑問を抱いたらしい。

 勢い良く顔を上げ、じっと俺に視線を向ける。


「ロビンが1時間経っても帰って来なかったから探しにきた」


「探しにって……! ゴーストどころかスケルトンとか言うヤバい奴もいるんだぞ! 今すぐは逃げ――」


「あ。そいつらなら殴り倒したから大丈夫。問題無い」


「…………は?」


 サラッとそう告げると、ロビンの目が大きく見開いた。

 信じられない、と表情で語っている。


「嘘じゃないぞ。【鑑定】したらレベルが上がっていたらしく、属性やらスキルやら鑑定できるようになったみたいでさ。弱点備考に魔法発動前や粉々に粉砕できれば倒せるって書いてあって……」


「いや、待て待て待て!!」


 説明しようとした矢先、ロビンから待ったが掛けられた。

 何故か混乱というか困惑というか……とにかく戸惑っているのが見てわかる。


「【鑑定】したら弱点とかスキルがわかったって……本気で言ってるのか?」


「え? ……うん。そうだけど……」


「……ハイネ。【鑑定】はあくまで『認識した対象』がどんなものなのかを調べるだけで、弱点とかスキルとかは調べられないぞ……?」


「……なに?」


 ロビンの言葉に今度は俺が固まった。

【鑑定】では弱点が調べられない……? だけど俺は確かに弱点が書いてあったのを見たし、それを用いてここまで来たんだ。

 でもロビンが嘘を言っているとは思えない。……どういう事?


「……ハイネ。おまえ、ステータスカードはあるよな?」


「え? あ、うん。あるけど」


「見せろ。今すぐ」


 肩をガシッと掴まれ、ギロリと睨むように目付きを鋭くしながら告げてきた。……ロビン。死にそうだったんじゃないのか?


「えーと……どうやって?」


「カードを出して『ステータス表示』って言え。他人にも見えるようになる」


「あ、うん……」


 あまりにも必死というか雰囲気が怖いというか……とにかく逆らうのは得策でないと判断した俺は言われた通りにする事にした。


「じゃ……『ステータス表示』」


 指定された言葉を言うと、カードから【鑑定】と似たような画面が現れた。

 最初は俺の身体能力のページ。特におかしな事は無い。

 ――だが2ページ目。スキルの項目を見た瞬間、驚愕の情報がそこに表示されていた。





『ステータス表示 1ページ』

【ハイネ・クロガネ:種族・人間:職業・鑑定士】

 平均的な能力値を持つ種族。あらゆる可能性を秘めている。職業補正値【+0%】

・生命力:C

・魔力:D

・物理攻撃力:C

・物理防御力:C

・魔法攻撃力:E

・魔法防御力:E

・素早さ:B

・属性

 全属性【Lv.21】

・弱点

 無し


『ステータス表示 2ページ』

・所持スキル

【真実の瞳 Lv.21】

 あらゆるものを鑑定できる鑑定系の最上級スキル。このスキルに対し偽造無効化。また、錬金術にて作成されるアイテムが最上級となる。スキル所持者の成長に応じてレベルが上昇し、レベルアップによって閲覧できる項目・詳細が増えていく。

【武術の神域 Lv.21】

 身体能力を大幅に上げる最上級スキル。武器スキル・身体能力スキルのレベルに補正がつく。スキル所持者の成長に応じてレベルが上昇し、レベルアップによって追加される能力値が最大200%まで上昇する。

 現在の追加能力値【+42%】

【瞬間最大攻撃力 Lv.21】

 敵に攻撃を与える際、攻撃能力を大幅に上げる最上級スキル。スキル所持者の成長に応じてレベルが上昇し、レベルアップによって追加される能力値が最大100%まで上昇する。

 現在の追加能力値【+21%】

【絶対危機察知能力 Lv.21】

 敵の攻撃・危険なスキルに対し、防御・回避の能力を大幅に上げる最上級スキル。スキル所持者の成長に応じてレベルが上昇し、レベルアップによって追加される能力値が最大100%まで上昇する。

 現在の追加能力値【+21%】

【スタードロップ Lv.8】

 殴打系の武器を連続で叩き続ける武器スキル。

 威力補正値【+42%】

・所持魔法

 無属性

【アイテム収納】

 空間にアイテムを収納する魔法。容量制限無し。

【装備武器魔力付与 Lv.21】

 装備している武器に魔力を付与する魔法。属性混合物理攻撃が可能となる。使用可能属性【火】【水】【土】【風】【光】【闇】【無】

 また、魔法使用者の成長に応じてレベルが上昇し、レベルアップによって追加される効果時間が最大100%まで上昇する。

 現在の魔法効果時間【121分】

【身体能力強化・真 Lv.21】

 身体能力を上昇させる魔法。魔法使用者の成長に応じてレベルが上昇し、レベルアップによって追加される能力値・効果時間が最大100%まで上昇する。

 現在の追加能力値【+21%】

 魔法効果時間【121分】

・魔法発動までの時間

 全属性=0秒




 表示されたスキルを確認した俺は、ロビンと共に固まった。

 色々と能力がおかしいのだ。スキルのほとんどが最上級とはこれいかに?

 まず鑑定スキル。ただの鑑定スキルではなく、【真実の瞳】という最上級スキルらしい。しかも錬金術というスキルで作るアイテムが最上級になるとか……。

 他は身体能力や攻撃、防御の能力値をさらに追加する上昇系のスキルだが、これもすべて最上級なのだ。しかも俺が強くなればなるほど追加能力値もさらに増えていくというとんでもない性能。

 現時点においても、1ページ目の身体能力値にさらに能力値が追加されているらしい。

 さらに使える魔法についてもおかしい。

 俺の使用できる魔法の属性。だが全属性は百歩譲って良しとしよう。

 問題は残りの二つだ。アイテム収納の容量制限無し。……つまり、なんでもかんでも入れ放題という事になる。

 そして身体能力強化の魔法……さっきの最上級スキルと何も変わらない。どんだけステータスがカンストするというのだ。


「あ、ありえねぇ……どんだけステータス能力値が加算されてんだよ! スキルの能力もおかしいだろ!」


 さすがのロビンも俺の能力の高さに、自分の怪我の酷さも忘れて頭を抱えた。

 俺自身もビックリだった。あの城の連中、俺が鑑定士とわかった瞬間何も言わなくなったからな。非戦闘職って話だったし、魔法も使えると思ってなかったから確認しなかった。


「……これ。いわゆるチートってやつか?」


 異世界に召喚された翌日の夜。

 俺はある意味とんでもない性能のスキルを持ったチート能力者だと理解するのだった。

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