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ヤンキーガール=鑑定ガール  作者: 黒夢迷宮
第二章
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【鑑定】は非常に便利だった

 ロビンから滞在許可をいただいた翌日。

 簡単なスープとパン。それからちょっと焦げたオムレツなど、ロビンが一人暮らしの割にはなかなかの朝ごはんを用意してくれた。

 見かけはちょっと不良っぽいけど、意外と家庭的だな。……友人曰く、俺もそうらしいが。


「とりあえず……確かおまえ、【鑑定】ができるんだよな?」


「ん? うん。結構細かく鑑定できるけど」


「異世界人だと、何でか初期スキルでもレベルが高い事があるらしいからな。多分それじゃないか?」


 マジか。強くてニューゲームか、ただのヌルゲーみたいだな。

 まあ最終的にはどうなるかわからないが。


「そうだな……俺はギルドに所属しているから、しばらく俺が稼ぐ。とりあえずいろいろ薬草取ってくるから、おまえはそれを鑑定して仕分けしてくれるか? まずはいろいろ知識を得るのが先決だから」


「なるほど。わかった」


 この世界についてわからない事が多いのは間違いないしな。

 知識を得てからでもいいかもしれない。それに俺の【鑑定】も役に立ってるみたいだし。


「それじゃ俺は狩りもしてくるから少し遅くなる。パンとか勝手に食っていいし、森に入らなければ外に出てもいいから」


「わかった。ありがとう」


 至れり尽くせりだな。ロビンには感謝しかない。

 早いところ知識を身につけて、魔物相手の狩猟を身に付けたいところだな。


「じゃあ行ってくる。……頼むから無理はするなよ?」


 家を出る瞬間、疑わしげに俺を見るロビン。

 いや、なんでそんな目で見られるの? 確かに魔物相手の狩猟は早くしたいと考えてたけど。


「大丈夫。無理はしないから。ロビンこそ、気を付けて行ってらっしゃい」


「……っ。ま、まあ無理しないなら自由にしていいけど」


「それじゃ……」とそそくさと家を出たロビン。

 昨日から思ってたが、ロビンって時々言葉が詰まるよな。


「……さて。どうしよっか」


 召喚された影響か、何故かこの世界の文字を読むことができる。

 ご都合主義か。便利だから構わないが。


「森に入らなければ外に出ても問題無いようだからな……」


 軽く運動するかな。ナイフと杖の素振り位なら良いだろうし、やっておけば魔物との戦いも多少は有利かも。

 朝ごはんを味わいながら、これからの行動プランを練るのだった。




 洗い物を済ませ、ローブを羽織って外に出てみれば、心地よい朝の日差しと木々と草の香りが出迎えてくれた。

 流石ファンタジー世界。日本やアメリカの森はこんな良い空気はしない。


「広さもそこそこだし、素振りや他の柔軟運動もできそうだな……」


 庭の広さもなかなか良い。ホントに優良物件だな、この家。

 キョロキョロと辺りを見渡し、辺りを確認すれば、カサリと近くの茂みが音を鳴らした。


「……ロビン?」


 帰ってきたのか。それとも別の何かか。

 注意深く見れば、茂みから出てきたのは角のあるウサギだった。


(角……これも魔物の一種か?)


 普通ウサギには角がない。様子を見てみれば、ウサギは俺に視線を向けているが、庭に入ってこようとはしない。

 ロビン曰く、庭と家には結界魔法があるから魔物は入ってこれないらしい。だからなのか、殺気を感じるが、襲おうとはしてこない。


(近寄ったら攻撃されるよな……ウサギなら何度も狩ったことあるから平気だけど)


 ただそれは普通のウサギなら、だ。魔物のウサギは相手にしたことがない。

 どうしようかな。


「あ」


 じっと睨み合いをすれば、目の前に3Dディスプレイが現れた。

 どうやらまた無意識に鑑定したようだ。




【角ウサギ:魔物】

 森や草原に出る獣型の魔物。動き方や生命力は普通のウサギと一緒だが、凶暴性が強く好戦的で脚力が数倍強い。

・生命力:G

・攻撃力:F

・防御力:G

・素早さ:D

・属性:土

・弱点:炎

・弱点備考:突進やジャンプ中は無防備であり、その最中に力強く攻撃すれば、その気になれば魔法使いでも一撃で倒せる

・所持スキル:突進




 ……え。何この情報。詳細どころか能力に弱点まで出てきた。

 普通ゲームでもここまで詳細はない。図鑑か何かなら話は別だか、戦闘中(?)で出て良いものか?


「……まあ、間違った結果は出てない。……はず」


 リフランの実も鑑定通りの結果だった。だからこれも正しい情報のはず。


「……確かめてみるか」


 足元に落ちてた手頃な石を拾い、それを角ウサギに投げつけた。

 攻撃と判断したか、角ウサギが上空にジャンプする。


「――せいっ!」


 普通のウサギより脚力が強い、というのは本当だった。そして無防備なジャンプの隙を狙い、一気に距離を詰め寄って杖を振り下ろす。

 木製の杖だが勢いよく振り下ろしたからか。それとも生命力は普通のウサギと同じだからか。首にガッツリ当たり、そのまま地面に打ち捨てられた後はピクリとも動かなくなった。


「……倒したのか?」


 この様子だと倒したと思うが、万が一でも生きてたら絶対に反撃される。

 確かめよう。とした矢先、再びディスプレイが現れた。




【角ウサギ:素材】

 打撃によって倒された角ウサギ。

肉は普通のウサギと一緒だが、栄養・味は普通のウサギより数倍高い。

 角は武器や薬の材料に使われる。




 ……どうやら倒せたらしいな。さっきと違って素材扱いされてるし。

 しかし【鑑定】ってここまで事細かくわかるのか? 便利だから良いけど。


「……とりあえず、角と肉を分けたりしとくか」


 あっても困る物じゃなさそうだし。……状況的にもロビンに説明しても大丈夫だと思う。

 持っていたナイフで血抜きをしながら、ロビンに対する言い訳を考えるのだった。

 ――なお、角は頭蓋骨から生えていた為、根元から杖でばっきり砕くという力業で解決した。

主人公は非常にアグレッシブです。

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