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ヤンキーガール=鑑定ガール  作者: 黒夢迷宮
第二章
4/35

少女との出会い

 side ???


 その日はいつもと同じだったはずだった。

 朝起きて朝食を取り、昼からは狩りをして1日を過ごす。

 代わり映えのしない日常に、だけど一つ。いつもと違うものがあった。


(この森に、人間……?)


 家の近くに、人間がいた。

 街から遠く離れ、魔物も出るこの森に人間が来ることはあまり無い。

まったくという訳では無いが、この森に住む一番強い魔物は非常に厄介なため、ここまで奥には来ないのだ。

 なのに、人間がいる。それもこの辺りでは見かけない黒髪と格好の人物だ。


(少し様子を……)


 変わった格好に加え、一人で頷いたり納得している変わった人間。

 好奇心が勝ち、その人間に近づこうとした結果、


 パキッ。


 足元にあった枝を踏むという失態をしてしまった。


(ヤバッ……!)


 マズイ、と思った矢先、「誰だ!?」と鋭い声と共に石が投げられる。


「うわっ!?」


 さすがに攻撃までしてくるとは思わなかった俺は咄嗟に避ける。……が、体勢を崩し、顔から前へ転げ落ちる羽目になった。


(な、情けねぇ……!)


 いくら何でも情けなさ過ぎる。

 有り得ざる失態に恥ずかしさを感じながら、鼻を押さえながら頭を上げる。

 瞬間、すべてがどうでもよくなった。


(か、可愛い……!!)


 目の前の人間……少女だったが、それが余りにも可愛かったからだった。

 髪は黒炭みたいに黒く、前髪の一房だけが白い。吊り上げた瞳もキツそう……というより、むしろかっこよさを表してる。

 何故か俺を見てキョトンと目を丸めているが、そんな事はどうでもいい。とにかく目が離せないくらい可愛い。


「……あー。うん。えっと、大丈夫、か?」


「……え?」


じっと少女を見つめていると、少女から声をかけられた。一瞬、何の事かわからなかったが、「顔から落ちたから」という少女の言葉に、先程の失態をもう一度思い出す。


(……いや、待て待て待て。落ち着け俺!)


 一気に冷静に戻り、途端に恥ずかしさで頭を抱えた。

 少女は可愛いわ、有り得ない失態をやらかすわ、何をしたらいいやら等、展開の早さに頭が追いついていない。


「……おーい。差し支えなければ、いろいろと教えてほしいんだけど」


「は、はい!」


 いろいろ考え込んでいたら少女の方が痺れを切らしたらしく、俺の顔を覗き込みながら話しかけてきた。

 顔が近い事に思わず仰け反りながら首を大きく振って頷く。


「俺さ、最近になってこっちに来たからまったくわからないんだ。だからここら辺で安全に住めそうな場所とか、街で誰でもお金を稼げそうな場所って知らない?」


 最近になって来たのか。それにしては世間知らずなところもある気がするが……。


「……近くに、俺の住む家がある。街でお金を稼ぐなら、ギルドが一番だと思う」


「なるほど。無いわけじゃないが、個人のお宅じゃしょうがないな。ギルド……は、もうちょい慣れてからにするかな」


 俺の返事に一人頷いて納得している。

 ……なんだろう。世間知らずとか、そんなレベルじゃない気がする。放っておいたら何をしでかすかわからない、というか……。


「……なぁ。一旦俺の家に行かないか?」


 俺の提案に再度目を丸める少女。

 可愛い……じゃなくて!!


「放っておいたら、その……なんか危ない気がして。ここは魔物も出るし、もし良かったらでいいんだけど……」


「え。いや。むしろありがたいとしか言い様が無い。ありがとうございます」


 提案には即座に乗り気になったらしく、早口でそう伝えてきた。目もどこか輝いてる……気がする。


「それじゃお願いします。助けてください」


「あー、うん。それじゃ、こっち……」


 良かった。こんな可愛い子に断られなくて。

 ……だから違う! さっきから自分の思考がおかしいぞ!


(とにかく、魔物が来る前に離れよう!)


 今日はゴブリンたちを数匹仕留めたから、血の臭いで襲ってくる可能性が高い。

 どこか言い訳がましく自分に聞かせながら、少女と共に帰路へと向かうのだった。 

現時点で名前はまだ明かされませんが、主人公の相棒的なポジションになります。

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