目的地まで
「それで陛下。条件とはどのようなものでしょうか?」
邪龍討伐に加わる為の条件。まずはその詳細を聞かないとな。
「うむ。この国から東に鉱山がある。そこにある洞窟の最深部に住み着いた竜を退治してもらいたい」
おお。洞窟とかファンタジーっぽい。いや、異世界の時点でファンタジーだけど。
「竜って……邪龍の眷族ですか?」
そんな俺の感想はさておき、今まで静観していたロビンが王様に尋ねた。
邪龍を退治するのに竜を退治って……確かになんか関連ありそうだよな。
「それはわからない。こちらは邪龍と違って、巣に近づかなければ襲ってこないからな……」
「巣に近づかなければ……つまり、巣から出ることは無いんですね?」
「そうだ。その一点を除けば、邪龍より害は無いのでな。その洞窟だけを廃鉱にし、後回しにしていたのだが……その鉱山は非常に質の良い鉱石が手に入るので、なるべく早期の解決が望ましいのだ」
なるほどな……。竜がどれだけの代物かは知らないが、巣から出ることが無いなら探しやすい。
下手に動くタイプだと、捜索だけで時間がかかるかもしれないからな。
「わかりました。早急に準備を整え、その巣へと向かわせていただきます」
「頼んだぞ。その件が解決次第、邪龍討伐に加わえさせる事にする」
そうと決まれば善は急げ、だな。
交渉が済んだので即座に動くと致しますか。
「竜かぁ……。話の中でしか見た事無いから実物がどんなものなのか、想像もつかないな……」
「いや。俺らも竜種は見た事無いから」
謁見から数分後、割り振られた部屋でロビンと準備をしてからその鉱山に向かっていた。
鉱山への移動方法は馬車だった。いや。馬車って言うか……昔の駕籠の馬バージョンだった。いや、人力は確かに時間がかかるけど。
「……ところでさ。なんでおまえもここにいるんだ?」
「そんな事、ワシが聞きたいわっ!!」
馬車には俺とロビンの他に、なんと蒼龍も一緒だった。
国王様のご命令らしいけど……何故こいつが呼ばれるのだ。
「……大方、俺らの護衛兼監視じゃないか? 聖騎士や聖女としてステータスのある二人はともかく、俺たちは飛び入り参加な訳だし……」
ひそかに耳打ちしてきたロビンの言葉に、心の中で納得する。
確かに国王との会話も難なくこなせていたし、戦いも中々のものだった。
蒼龍が地位のある人間と武人であるというのは間違いないだろう。
「……ん? それなら翡翠は? アイツなら、どんな手段を用いてでもやって来そうなんだけど……」
「……翡翠はアマツの宰相じゃ。現在は邪龍討伐に向けて、作戦会議を練るよう、陛下に言われておる」
駄々をこねる様子から一転。ムスッと不機嫌な様子を見せる蒼龍。
だから翡翠はいないのか。ってか、翡翠は宰相なのか。……大丈夫か? アマツの今後。
「……翡翠の事はひとまず置いとこう。とりあえず、今は廃鉱の竜だな。何かわかっている事はあるか?」
「ふん。……竜は現在確認が取れているのは一匹のみ。ただし、付近で確認が取れているような雑魚の竜種とはケタ違いの大きさじゃ。最低でもAクラス並の竜と見てわかるような奴じゃのう」
不貞腐れながらも蒼龍は竜についてわかっている事を話してくれた。
やっぱり相当面倒なタイプらしいな……。邪龍の事もあるから二手に分かれる事もできないだろうし……。
だからこそ、早期解決を望みながら手が出せずにいたんだろうな。
「唯一救いなのは、敵は巣から出ることが無い事じゃ。どういう訳かは知らぬが、そやつはそこに居座るだけで何もせずにいるのじゃ」
「その代わり、巣に近づくと容赦なく襲ってくるってか」
「……その通りじゃ」
俺の言葉に再び唇を尖らせながら、ギロッと睨んでくる蒼龍。
まだ根に持ってんのか……。ホントに300歳のジジイか? こいつは。
「……まぁいいか。竜だろうと邪龍だろうと、どうこうするのは確定事項だしな」
俺は俺の仕事をするまでだ。
最悪竜が凶悪ならば、気付かれないように鑑定を施し、表示された弱点をおもいっきり叩けばいい。
ロビンもいるんだ。多分何とかなんだろ。
「……のう。エルフよ。竜が相手だと言うのにこの態度。こやつは能天気なのか?」
「あー……普通より変わってるのは間違いないかと……」
そこの男子よ。どういう意味かな? それは。




