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ヤンキーガール=鑑定ガール  作者: 黒夢迷宮
第三章
30/35

聖騎士と聖女

 まさかのそっちかよ。思わず凝視したじゃないか。

 しかも聖女はクラスの副学級委員長の睦月玲奈。驚かない方がおかしい。


「それで、その、フリード様……。そこにいる二人が先程の報告を受けた、翡翠様の推薦者だそうで……」


「そこの二人が、ですか?」


 フリード。それから睦月がこちらへ振り向く。

 そして俺の姿を見て、二人の目が見開いた。


「あなたは……!」


「なんで……黒鐘さん……!?」


 一時とは言え、城にいたからな。ここにいるとは思わなかったのだろう。

 しかし睦月はともかく、将軍様にも驚かれるとは思わなかったけど。


「……は? お知り合いですか?」


 さすがの竜己も彼らの様子に驚いていた。翡翠もじっと見ていて、事情を知っているロビンがさりげなく俺の前に立つ。


「……彼女もまた、我がルナシェリアの勇者召喚によって呼ばれた者の一人です。他の方々より、先に旅立ったようですが……」


「ええ。なんでも、非戦闘職の鑑定士だそうです。それでお城から一足先に出ていかれて……」


 答えたのはフリードと睦月だった。

 フリードはチラチラとこちらを見ながら、どこか言いにくそうに。睦月は逆にしおらしく、だけどはっきりと竜己にそう伝える。


「は? こ、こちらの彼女もですか!? しかも鑑定士!?」


「……驚いた。勇者召喚の事は知っていたけど、君がそうだったなんて……」


 さすがの翡翠もこの事実には驚いた様だな。

 そんなにホイホイ行うような事でもないだろうし、知っていても実際に会うことって事も難しそうだもんな。


「……その事実は今はいいはずです。重要なのはこいつが邪龍退治に立候補者で、ちゃんと蒼龍……様に勝った事です。代表の一組に入れても問題は無いはずですが」


「は、はあ……まぁ、それはそうですが……」


 話を打ち切るようにロビンが慣れない敬語で場に告げた。

 多分、俺の事情を考えて、話をさりげなく変えてくれたんだな。不器用だけど空気を読むのは非常に上手いからな。ロビンには感謝しかない。


「……わかりました。今はアマツが心配ですし、これ以上はやめておきましょう。あなた方二組をアマツに招待します」


「ええ。それで構いません」


 アマツに行ける事が重要なのだ。評価など二の次だ。

 そのためにも、今は問題を起こさずじっと耐えているしかない。


「飛竜艇を準備して参ります。それまでこちらで少々お待ちください」


 素早く結論をまとめた竜己は行動を開始し、この場から立ち去った。

 優秀な部下だなあ。……ただ、その分ここの空気が気まずいものになっているけど。


「……とりあえず、準備が整うまで座りましょうか。どうぞこちらにお掛けになってください」


「ええ。では」


「……はい」


 必然的に年長者の翡翠が場を取りまとめる。近くのテーブルの椅子を引き、睦月とフリードに声をかけた。

 睦月はすぐに腰かけ、フリードは遠慮しながら、俺に視線を何度か向けながら睦月の隣に座り込む。


「ハイネは……」


「こっちのソファで良い。さっきの戦いでハイネは疲れているから。……アイツとハイネを近づけたくない」


「……そうだね」


 翡翠が何かを言う前に、ロビンに腕を取られて椅子から離れた位置にあるソファに座らされた。ロビンは小声で何かを翡翠に伝えると、何かに納得したか、翡翠も何も言わずに引き下がる。


「ロビン……?」


「……近くにいない方がいいだろ」


 ぶっきらぼうにそれだけ言って、そのまま黙りこんだ。

 ……そうか。俺の境遇。そして前回の安城の件から、ロビンは俺は睦月の傍に置かない方がいい、と判断したらしい。


「気を使わせて悪いな。ありがとう」


「……別に」


 それだけ言い、肘をついてそっぽを向く。

 わかりやすい照れ隠しに、思わず俺の頬が緩む。


「…………」


 ただ……敵意ではない、気になる視線を向けてくる奴がいるんだが……。

 まぁいいか。後で対処しよう。

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