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ヤンキーガール=鑑定ガール  作者: 黒夢迷宮
第二章
12/35

『穢れた』エルフと新しい武器?

 ギルドで冒険者登録試験にクリアした後、いつの間にか自分のスキルが増えていた。しかも二つもだ。




【憤怒の力 Lv.25】

 自分よりレベルの高い相手に対し、攻撃力を上げる最上級スキル。スキル所持者の成長に応じてレベルが上昇し、レベルアップによって追加される能力値が最大200%まで上昇する。

 現在の追加能力値【+50%】


【脅し Lv.25】

 殺気と威圧感により、自分よりレベルの低い相手の戦意を折り、恐怖感を与えるスキル。スキル所持者の成長に応じてレベルが上昇し、相手とレベル差があるほど成功率が上がる。




 相手のレベルが高ければ自身の攻撃力が上がり、逆に低ければ、運が良ければだが相手の動きを鈍らせる。

 しかも片方はまたもや最上級スキル。一体いくつ習得するんだ。最上級がゲシュタルト崩壊している気がする。


「おまえ……実は最上級スキル製造マシーンか……?」


「やめろ。俺はカリスマレジェンドにも人間国宝にもなる気はない」


 有名にはなりたくない。面倒なのに目をつけられたら溜まったものではない。俺の経験上がそう告げている。


「それよりさ。いい加減森に行こうぜ。依頼の期限は無いけど、早い内にシバいた方が良さそうだし」


「そうだけど、これから行くのはウルフやリザード。ゴブリンがいる方だからな。ハイネ……は、自力で何とかしそうだが、俺は回復薬とか欲しいから」


 ふむ。そういや勝手に身体が反応して防御やら回避やら行っているが、俺の場合はスキルによる効果があるからな。しかも防御力もプラスされているから、多分初期装備でもウルフたちは行ける気がするし。

 ……とは言え普通のダークエルフであるロビンはそんなスキルは無く、防御力も普通だ。無理もない。


「ロビンは俺が守る。だから安心すると良い」


「…………。それは、普通俺のセリフなんだが……」


「あ? なんだって?」


「何でもない」


 前衛は引き受ける。という意味で言ったんだが、ロビンがボソボソと何か言っている。

 ロビンは16歳って言ってたし、ひょっとしたら、いわゆる思春期というやつなのかもしれないな。


「もういい。行こう。……そういや、依頼の標的は何なんだ?」


「ウルフ10体。リザード15体。ゴブリンが30体。……あ。後、チャージ・ボアを5体」


「一通り全種類も戦う気か!!?」


 ……やっぱり良いツッコミしてるな。この人。




 前にスケルトンがいた方面に歩き、目的の魔物たちに出会った瞬間にメイスで殴っていく。

 ……うん。やっぱりスケルトンやあの男を叩きのめしてスキルのレベルが25になったおかげだろうか。この辺りでは凶悪と呼ばれる魔物も全然苦ではないのだよ。


「……お。ロビン。アレ」


「ん? ……ああ。わかった。任せろ」


 遠くの方にゴブリンが5体。近づいてもいいけど、木の根が剥き出しだから足場が悪い為、ロビンにお願いする事にした。

 ロビンはすぐに頷き、群れているゴブリンに弓を構え、ほぼ数秒で狙いを定めて射っていく。【弓術の達人】のスキルの影響もあるかもしれないが、動きに無駄が無く、あっという間5匹すべてを倒していった。


「うん。弓を射るところを初めて見たけど、すごく慣れているよな」


「エルフは弓を扱う奴が多いし、物心ついた時から身近にある物だったからな。……エルフだから、弓の腕前は絶対に落としたくないし」


「……そっか」 


 ぎゅっと弓を握るのを見て、前日男が言っていた「『穢れた』エルフ」という言葉を思い出す。

 ロビンにはダークエルフという事はわかっていた事は話したが、ダークエルフとエルフの違いが何なのかは聞いていない。

 何故なら彼はその言葉に強く、そして怯えたような反応していたから。

 気にならない、と言えば嘘になるが、だからと言ってロビンに無理に話を聞くのも嫌だった。


(話してくれるまで待つのも、信頼だよな)


 ロビンから話をしてくれるか。それとも永久に話さないままか。決めるのはあいつだ。

 張られたような笑みを浮かべるロビンを見ながら、ただ待つ事を決意する俺だった。




 数分後、こちらの森で一番強いチャージ・ボアを殴り飛ばし、証拠となる牙を折って袋に入れてから収納魔法で入れた。

 そのまま収納魔法に入れても良かったが、俺の無属性魔法は珍しく、習得者は滅多に見かけないので使わない方が良い、とロビンに注意されたからだ。

 目をつけられたくない俺は素直に言うことを聞いている。トラブルは必要無い。


「依頼の魔物はこれで全部だな。木の杖より強いメイス、最高」


「確かに思ったより早く倒せたけどよ……思いきり砕くから大きさが少しバラバラ過ぎる。もうちょっと何とかならないか? 買い取ってもらえない可能性も出るし……」


「あー……」


 あちゃー。やっぱりやり過ぎか? 何せホームランの如く振り回しているせいか、手加減はしてる時としてない時があるからな……。


「ハイネの場合、能力が高いからな……メイスだけでなく、別の武器もあった方が良いかもしれない」


「考えてみるわ」


 苦言言われてしまった。……まあ打撃武器だけでなく、他もあった方がいいのは間違いないよな。収納魔法にしまえばいいし。


「そうだな……パワーがあって……刃物か刺突系のタイプで……」


 パワー。刃物か刺突。いっそ両方。

 うーん。パワー+刃物の代表的なのは斧だが、俺はそこまで重い物はいらない。となるとパワー+刺突で槍とか?

 ……ああ、そう言えば。ファンタジーでは斧と槍を両方合わせた武器があった。確かハルバードと呼ばれていたっけ。テクニックはいるかもしれないが、案外いいかもしれないな。

 目の前に刺さってるコレとか。


「うん。そう。ちょうどこんな感じの、扱いやすいパワーの物とか」


「おい! 何で地面に突き刺さっていた槍を事も無げに抜くんだよ!?」


 ロビンに言われ、思考を戻す。

 ……アレ?


「……ごめん。考え事してたら身体が勝手に動いちゃった」


「動いちゃった。じゃないだろ! 地面に突き刺さってる槍を勝手に抜く奴があるか!」


 どうやら新しい武器は何がいいのか思案してたら、落ちてた武器を拾って振り回していたらしい。

 しかも先程考えていたハルバードタイプの槍だ。連想していたから、つい取っちゃったんだな。


「別に良くないか? 見たところ持ち主いないっぽいし。……それにコレ。すごく扱いやすいんだけど」


「いや、扱いやすいからって……」


 どういう訳かは知らないが、ロビンの言う通り、槍はここに突き刺さっていた。

 周りに人が居た形跡も無いから落とし物とも考えにくい。……逆に言えば、何故ここにあるのか。という疑問が出てくるが。

 扱いやすいし持ち主いないならネコババしよう。と、欲深い考えが頭に過った時だった。


「ちょっと! 何で人間の子と『穢れたエルフ』が『ソレ』を持ってるのよ!?」


 目の前に、手の平サイズの小さな小人が出てきたのは。

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