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ヤンキーガール=鑑定ガール  作者: 黒夢迷宮
第二章
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ギルドで試験を受けよう

 素材を売って金に変えるべく、ギルドに試験を受けて合格しろ。というロビンの言葉に従い、彼に連れられて街にやって来た。

 予想通り、ファンタジータイプのゲームやアニメでもよく見かける中世風の街だ。


「結構広いな……」


「そりゃ六大国家の一つ、ルナシェリアの王都だからな。広いのは当たり前だ」


 王都かよ。しかも六大国家って……。

 ルナシェリアって割りとでかい国だったんだな。


「早くギルドに行くぞ。……ああ、そうそう。ギルドは城に近い北ギルドと中心部にある中央ギルドの二つあるけど、なるべくでいいから中央ギルドを利用してくれ」


「何で?」


 二つもあるのか。まあ結構でかい街だから複数あった方がいいかもしれないが……。


「北ギルドは城に近い事もあって、ランクの高い冒険者とか貴族の依頼人が来ることがあるんだ。対して中央ギルドは一般向けのギルド。低めのランクから受けられるし、割りと気の良いギルド。……異世界人の大半が北ギルドになる可能性が高いと思うから、ハイネは中央向けだと判断しただけだ」


 なるほど。スッゴい納得だわ。

 確かに城や貴族関係には会いたくないし、同級生にも関り合いにはなりたくないな。


「お気遣いどーも。なるべく中央に寄る様にするわ」


「……な、納得したなら何よりだな」


 素直に礼を言えば、ふいっとそっぽ向かれた。

 たまに顔が赤いという謎の現象が見られるが……非常にいい人なので気にしないであげよう。




 ギルドに到着すると、ロビンに連れられて中へと進む。中は結構広く、冒険者と思われる方々が右往左往している。


「すいません。こいつの冒険者登録試験をお願いします」


「お久しぶりです。ロビン君。……こちらの方は?」


「知り合いです。……結構な実力者なので、ギルド登録した方がいいと思って連れてきました」


「なるほど。あなたがそこまで言うなら相当な方でしょうね」


 受付の女性とは知り合いらしい。彼も冒険者らしいから当然かもな。

 ロビンの話を一通り聞いた後、俺の方に向き直る。


「はじめまして。冒険者ギルドへようこそ。ステータスカードはお持ちですか?」


「あ? これの事ですか?」


「はい。お持ちでない場合、カードを発行するのですが、すでにお持ちの場合だと手続きが簡略されるんです」


「なるほど」


 システムはまだわからんが、ギルド側からすれば楽なんだろうな。

 地球でも似たような事はよくある。


「それでは会場に案内します。ロビンさんは観客席でお待ちしますか?」


「…………。そうですね。そうします。いろんな意味で心配なんで」


 ロビンは少し考えてから、何故か真顔でそう答えた。

 ……そして何故俺を見る。




 受付からスタジアムみたいな広めのフィールドに連れて来られると、他の受講者と共に基本的な説明を受けた。

 まずランクは10段階に分かれており、下から低ランクのG・F・E。中ランクのD・C・B。そして高ランクのA・S・SS・SSSとなっている。

 中ランクに入れば一人前となり、高ランクとなればAランクだけでも王国からお呼びがかかるほどだ。Sランク以上は世界で10人程しかいないらしく、その大半が六大国家に仕えているらしい。

 依頼は自身と同じランクのみ受けられるとの事。失敗時は自己責任であり、違約金を払う事になる。自分の身の丈にあったものを選べ。という事だな。


「それでは各自順番に試験を開始します。前衛の試験を受ける方はこちらへ」


 そう言って複数の試験官の内、1人が前に出てきた。鎧を着込み、剣を持っているところを見ると剣士というヤツか。

 前衛……武器を扱う人たちが数人出たのを見て、俺も前に出ていく。


「今回は剣士2人。槍使い1人。それに…………」


 順番にカードを確認していく試験官は、だけど俺とカードを交互に見た瞬間、何故か奇妙な物を見るかのように変な顔をされた。


「非戦闘職の鑑定士……しかも見た目からまだ15にもなってない子供だと……?」


 変な顔になったのは非戦闘職な上に子供だからか。

 わかる気はするがな。自分でも言うのもなんだけど。


「……まあいいか。実力が伴っていなければ落ちるだけだしな。……では名前を呼ばれた者から始めるぞ」


 それでもプロである試験官はすぐに気を取り直して、試験を開催した。

 最初に呼ばれたのはロビンより少し上っぽい男性。片手剣と盾という、これまたオーソドックスな剣士だった。


「では……始め!」


 試験官の合図と同時に、剣士の男が突撃していった。片手剣を横から振るい、試験官の胴体を狙っていく。

 だが試験官もその動きから察していたのか、あっさり受け止め、相手を弾き返すと同時に首に剣を向ける。


「ふむ。スピードはそこそこだが、動きが安直過ぎるな。弾き返された後の動きも甘い。……次!」


 片手剣士はあっさり倒され、次に呼ばれたのは細剣を持った軽装の女性だった。

 女性剣士は油断なく構えると、細かな動作で突きや払いを繰り返していく。……が、試験官は剣を防いだ瞬間、素早く横に周り、女性剣士の剣を弾き飛ばした。


「油断なく攻め、時に守りに入る姿勢はなかなか評価できる。だが目の前に集中し過ぎだ。横からの防御が疎かになるのはダメだぞ」


 あの試験官できるな。一人目はともかく、二人目の女性剣士は結構レベルが高かった。その上で動きを正確に確認。かつ弱点も指摘するのは至難なのに。

 続いて三人目の槍使いも挑み、二人以上に健闘を見せたが、最後の最後で負けてしまった。


「では最後に……鑑定士ハイネ。前へ」


「はい」


 とうとう俺の番か。呼ばれた俺はメイスを肩に掛けながら前に出る。


「メイス……となるとパワー型か。よし……始め!」


 開始を宣言された後、そのままの体勢で試験官に突っ込んでいった。

 攻撃範囲に入る瞬間、メイスを素早く振り下ろす。


「むんっ!」


 無論、メイスは試験官に直ぐ様受け止められた。が、すぐに身体を捻り、1回転の勢いで試験官の剣を上へと弾く。

 ……つもりだった。


「なっ!?」


 ……やべ。少々威力が高すぎたらしい。剣は思いっきり吹っ飛ばされ、試験官が体勢を派手に崩して後ろに倒れ込む。

【武術の神域】と【瞬間最大攻撃力】の効果で爆発的に攻撃力が上がっている為、軽めの力でも試験官相手には効果が有り過ぎたらしい。


「な、何が起きたんだ!?」


「なんかあの子……私よりもすごい速かったような……?」


「メイスってパワー型じゃなかったっけ……?」


 他の受講者たち全員が俺の動きに目を丸くしていた。

 自分が倒せなかった相手をあっさり倒したら、確かにそうなるわな……。


「……驚いたな。非戦闘職の鑑定士がここまで戦えるとは。試験を受講する自信がある訳だ……」


 試験官も俺の動きに驚きを隠せなかった。

 非戦闘職が戦闘職より活躍したんだからそうだろうけど。


「よし。第一試験は終了だ。次の試験に移るぞ!」


 試験官の言葉と同時に、奥から数人が現れた。

 試験はまだ続くようだ。

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