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左遷からの成り上がり  作者: 流星明
第4章 魔法使いの登場とアレクセイ派結成
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第67話 御前会議

更新、だいぶ遅れました。仕事で忙しく、なかなか書けませんでした。

「余自ら、鉄槌を下さんとしたバロル大公は死んだようだ。そして、奴を討ったアドルフ=ヒューレンフェルト大尉は、余の命を狙わんとしている」


「な、何と大それた事を」


「我々も危険ではないか? 陛下、早めに防備を固めるべきです」


ミハイルの言葉に会議室に集まった幕僚達がざわめく。エルザと同じ位の強さを持つと言われる神兵が、本営を奇襲せんと窺っているのだ。怯えるなと言う方が無理だろう。


「静まれ! 対する我らの備えは万全だ。フォンターナ中佐、スタンコ少尉達は配置についたか?」


名指しされたレオナルドは、立ち上がる。ボルフ達は、ノルドフェルド海軍元帥の兵站を支えるべく、既に出発していた。残っていたのは、エルザの率いる死神の鷹と新兵がほとんどである。戦力的に不安があった為に、リースの参戦を願う。


「はい、既に敵を迎撃する準備は整っております。しかし、レノスキー少将閣下。出来れば、リース殿を前線に派遣して欲しいのですが」


「フォンターナ中佐。リース嬢は陛下の防衛に回す。スタンコ少尉と死神の鷹、影の騎士の共同作戦なら抜かれはせんと思うが?」


死神の鷹と影の騎士の部隊500人程が、軍港ベルンの南にある森林に潜伏中である。リースの遠視魔法により、この場所にアドルフ達が部隊を進める事が分かったからだ。たが、油断は禁物だ。これが陽動の危険もある。故にウラディミルは、リースを本営に置いて護衛に専念させたかった。


「レノスキー少将閣下。今のままでも、神兵を追い返す事は出来ましょう。しかしながら、神兵の殲滅を考えるのであれば、リース殿の力を借りたいのです。野望に燃えるアドルフ=ヒューレンフェルト大尉、その力の源を今のうちに削ぐべきと愚考致しますが‥‥」


「良かろう。ここに来て、出し惜しみは愚の骨頂よ。それに、神兵を殲滅すれば、ロマルク帝国の脅威を減らす事になる。リース、力を貸してはくれぬか?」


レオナルドの要請に対し、ミハイルはあっさりと応じる。反論しようとしたウラディミルを制して、だ。それだけ、今回の作戦を成功させたいと熱望している事が伺える。


「分かりました。陛下、アドルフには私個人としても積年の恨みがあります。喜んで協力致しますわ。それより、この先はいかがなさいますか? バロル大公の死により、ドラーム帝国はヴィクトル王子を傀儡とした政権を樹立したようです。しかも、彼らはロマルク帝国との停戦を望んでいます。王都をレーム少将が制圧しており、停戦の条件としては、こちらが優勢ではありますが‥‥」


リースの遠視魔法と影の騎士らの諜報活動により、ヴィクトル王子がノルディン連合王国の国王を名乗った事を、既にミハイルには報告している。だが、王都オルムをアレクサンドルによって制圧された結果、戴冠式が行えなかったらしい。


ヴィクトル王は悔しがり、王都への進撃を願った。しかし、ドラーム帝国軍は拒否。戦線膠着の末に和平を望んだ。これ以上の流血と戦線拡大を恐れたのである。フラシア共和国の攻勢が予想以上に激しく、軍上層部がノルディンからの早期撤退を望んだからだ。


「皇帝陛下。元女王の立場から言わせて頂くなら、ヴィクトル王はノルディン国民の支持を得られません。王位継承権第3位たるバロル大公の血筋だから、と地位を与えられたに過ぎませんから。しかも、不義の子ですしね。とはいえ、ノルディン全土を手にするのは危険ですわ。国民の間には反ドラーム帝国の感情を持つ者も多く、彼らの逃げ場を作る必要がありましょう」


「リーンハルト少佐の意見は一理ある。ドラーム帝国とは東西にノルディンを分割統治する事を提案するとしよう。たが、帝国軍は停戦を望んでいるのに、ヒューレンフェルト大尉は何故、余の命を狙う?」


ミハイルの問いは当然である。停戦を望む相手の為政者を殺す馬鹿はいない。幕僚達が考える中で、その疑問に答えたのはウラディミルであった。


「どうやら、彼の独断専行のようですな。ヒューレンフェルト大尉は英雄になりたいらしい。今回の戦争では活躍が足りないようですし、リーンハルト少佐を取り逃がしました。虎の子たる神兵を使うのも、内心焦っている証拠でしょう」


「余は、彼の者の踏み台に利用される訳か? まあ、良い。その甘さの報いを受けてもらう。ウラディミル、リース。スタンコ少尉らと共に神兵を殲滅せよ。ヒューレンフェルト大尉の野望をここで打ち砕け!」


「「かしこまりました」」


こうして御前会議は終了した。幕僚達が去っていく中で、レオナルドにリースが声をかける。彼女から伝えられたのは謎めいた警告であった。


「フォンターナ中佐、気を付けて。貴方に災いが降りかかるわ。私が根を断つ事も出来るけど、この先を考えると止めない方が良いみたいだから。リーンハルト少佐には、貴方に起きる事を伝えとくから安心なさい。策も授けとくわ。まあ、死ぬ事は無いから気にしないでね」


「リース殿、詳しく教えてくれないか? って、いない? 災いって何だよ。不安しかないんだが」



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