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左遷からの成り上がり  作者: 流星明
第3章 ノルディン内乱
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第52話 ドラーム軍怒りの逆襲

オイゲンとアドルフは、必死に生き残るべく頭をフル回転させ行動。


ユルゲンとベルントは、崩れそうな部隊をまとめるのに奔走。


リノアはバロル大公の領地から脱出。ベルントからの情報を帝国に送り、オイゲン達と合流すべく

奮闘。


クリストフは、相も変わらずバロル大公領内の酒場で泥酔。



「動くな!抵抗すれば撃つ。我々はアレサ女王陛下に従っていたが、宰相の横暴に我慢ならない。よって、軍事蜂起を決行した。大人しく従えば危害は加えん」


「ひいっ、命だけはお助けを」


基地を制圧して3日後、オイゲン達は王都オルムにアレサ派の兵として潜入。夜を待って行動を開始した。電話線と無線の中継基地を破壊後、ミカエルは軍務省や警察署等を制圧。指揮系統を麻痺させている。オイゲンとアドルフは政府要人の邸宅を次々と襲撃。彼らを捕らえていく。


「イェーガー大佐、財務大臣と外務大臣を捕らえました。しかし、我々は何をしてるんでしょうな。茶番に付き合わされ、今は他国の貴族に使い走りをさせられている。帝国軍人としては恥ずべき状態ですぞ!」


激昂するアドルフに言われ、オイゲンは自分の情けなさに苛立つ。ルーテンドーフ中将とバロル大公は、最初から自分達の使い方を考えていたのだろう。しかし、両者の間には大きな隔たりがあった。ドラーム帝国の影響力を強めたいルーテンドルフ中将とドラーム帝国から離れたいバロル大公。同盟継続という戦の名分を無くした今、戦う意味は失われているからだ。


「ヒューレンフェルト大尉。そうは言うが、兵力は我らが1番少ない。抗っても無駄に将兵が死ぬだけだ、耐えろ!」


怒りを押し殺し耐えるオイゲン。だが、アドルフは止まらない。とうとう、上官たるオイゲンにも敬語すら使わなくなった。彼にとって、今の戦場は踏み台に過ぎない。こんな所で終わる訳にはいかないのだ。


「ええい、やってられるか!イェーガー大佐。我々を捨て駒にした者達に、この期に及んで献身を尽くして何になる?こうなれば、俺の計画を早めるのみだ!手始めにアレサ女王とヴィクトル王子の身柄を奪取するとしよう」


そう言うや、アドルフは自分の部隊へ伝令を出す。命令を受けた彼らは、すぐさま王宮方面に進軍を開始していく。オイゲンは、アドルフが何をしようとしたか見抜いた。彼を止めるべく、拳銃を突き付けて問いただす。


「ヒューレンフェルト大尉、どうするつもりだ?アレサ女王陛下とヴィクトル王子殿下を人質にしても、手詰まりになると俺は考える。無謀過ぎる作戦は兵士を殺す。自暴自棄になっているなら、止めないといかん」


「ご安心を。我が部隊には、100人近く神兵の第2世代がいましてな。少年兵とはいえ、並みの兵士では勝てない。神兵1人に対して、一般兵士10人倒せるからな。そして、シュナイダー博士がノルディンに到着している。神兵300人を引き連れて。明日には合流出来る予定ですよ。それとノルディンを揺るがす秘密も握っています。勝算は確実にありますよ」


つまり、明日になれば400人の神兵がアドルフの部隊に加わる。アドルフの説明を信じれば、実質4000人の戦力だ。オイゲンの部隊と合わせ、戦力換算で6000人になる。しかし、いかに精鋭とはいえ数の暴力には勝てない。バロル大公の軍は2000人が王都オルムに。王都郊外には30000人の兵士が待機している。平地で戦えば確実に負けるだろう。だが、オイゲンの目の前にいる男は負ける戦を決してしない。勝てる方策を考えているに違いない。


バロル大公がドラーム帝国を見限るならば、アレサ女王とヴィクトル王子を人質にするのは悪くない手だ。外聞は悪くなるが、ドラーム帝国に連れ帰れば、ノルディン連合王国の動きを大きく封じられる。バロル大公派とアレサ派の対立を煽る事も出来よう。


「勝算はあるようだな、ヒューレンフェルト大尉。正直に言えば、貴官は嫌いだ。しかし、その才幹は本物である事は間違いあるまい。なら俺は、貴官の作戦を受け入れるとしよう」


「正直過ぎますな、イェーガー大佐。私も貴方が好きではありませんよ。もっとも、この状況を乗り越えるには、手を組むしかありませんからな。そうと決まれば参りましょうか。バロル大公に吠え面をかかせるのも一興ですぞ」


手を組んだオイゲンとアドルフの部隊は、戦車を先頭にした陣形を構え、王宮へと突撃を開始する。邪魔する将兵は戦車の主砲で吹き飛ばされ、生き残った兵士は機関銃によって掃射されていく。敵味方もろとも、排除する行動に驚いたのは、偽装クーデターを計画したミカエルであった。慌てて500人の部下を引き連れ、オイゲン達の下へと向かう。


「イェーガー大佐、どういうつもりだ!?君らには、要人捕縛を命じていたはずだが‥‥。むっ?ヒューレンフェルト大尉だけだと」


だが、そこにはアドルフしかいなかった。ミカエルを見たアドルフは、冷笑を浮かべながら応じる。意趣返しを出来る事に、アドルフは暗い愉悦を覚えていた。


「ローデン准将、うかつでしたな。偽装クーデターに加え、宰相と和平を結ぼうと考えていようとは。ドラーム帝国もロマルク帝国もなめられたものだ。あまり人を舐めると‥‥、こうなる!」


「き、貴様。ぐおおお!」


アドルフが手を上げるや、部下達が持つ機関銃がミカエル達へ一斉に火を吹く。不意をつかれ、集中砲火を浴びたミカエル達は、ことごとく屍へと変わった。指揮官を失ったバロル大公派は混乱。アレサ派も疑心暗鬼に陥り、動く事もままならなくなる。その間隙を縫い、オイゲン達は王宮城門前に到着した。


「時間との勝負だ。アレサ女王とヴィクトル王子を確保し、そのまま王都を離脱する。皆、生きて帰るぞ。こんな所で死んでは意味がないからな!」


「「「「了解!!」」」」


オイゲンの号令の下で、ユルゲンとベルント率いる部隊が王宮に侵入していく。この日より、ノルディンの人々の手からドラームとロマルク両帝国に内乱の主導権が移ることになった。






次回、宰相イリオスが登場。とある真実が暴露されます。

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