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左遷からの成り上がり  作者: 流星明
第3章 ノルディン内乱
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第49話 神兵計画の復活

神兵計画の内容が明らかになります。

「久しぶりだな、リノア。計画の総責任者たるローゼンハイム侯爵の姪だからな君は。無事に生き残ったようで何よりだよ」


「‥‥仲間の皆には本当に申し訳無いと思っているわ。突然、廃棄処分の為に粛清されたのだから。全てはビルメイス閣下の神兵計画中止命令のせいね」


10年前。宰相オットー=フォン=ビルメイスは、神兵計画の責任者たるゲオルグ=フォン=ローゼンハイム侯爵を呼びつけ、こう告げた。


『神兵計画を中止せよ。貴公は、魔法を現代に蘇らせようとしているのだろうが、強大な力は使う者の器量を試される。あのフリードリッヒ殿下には到底使えんよ。逆にドラーム帝国を滅ぼしかねん』


絶大な権力を持っていたビルメイスに逆らう事も出来ず、ゲオルグは泣く泣く神兵達を廃棄処分する。彼らの食事に毒を盛り、苦しんでいる所に毒ガスを使ってまでして殺した。だが、エルザ、ユリア、ガスパー、アドルフはその混乱の中で脱出。リノアはローゼンハイム侯爵の身内だったので、難を逃れた。他にも何人かの少年少女が逃走しているのを確認されたが、行方が分からなくなっている。


「しかし、ビルメイス閣下の予測は当たっていた。皇帝陛下は皇帝の器にあらず。イザベッラ姫の暴走により、反ロマルク同盟は潰えた。更にエゲレースとフラシアが背後を突かんとしている。このままでは‥‥」


アドルフ怒りの皇帝批判を前に、オイゲンは机を手で思いきり叩く。リノアとアドルフが知り合いなのは分かった。しかし、神兵計画だの、廃棄処分だの、魔法等の単語が出てきて混乱気味だ。


「何が何やら分からん!説明しろ、ベルント君。ローゼンハイム大使とは夜を共にする仲なら、事情を知っているのだろう?」


「僕も最初に聞いた時は、正直信じられなかったんですけどね。こう言う事らしいです、イェーガー大佐」


ベルントはイェーガー大佐に説明を開始する。神兵計画は失われた魔法を復活させる為に、ローゼンハイム侯爵が国中にいた孤児を利用して始めた計画だった。計画において犠牲者も多かったが、何人かの少年少女は目覚ましい成長を遂げる。指揮官、兵士、暗殺者や文官、商人等の適性に特化した優秀な人材に。だが、本来の目的たる魔法を使える子供は、遂に現れなかった。


「だから、批判も大きかったみたいですよ。『金ばかり使って、出来たのはこの程度か』と。最終的にビルメイス閣下によって計画は中止され、子供達の多くが殺されました。その生き残りが、リノアとヒューレンフェルト大尉なんです」


「胸くそ悪い話だな。しかし、ヒューレンフェルト大尉はよく生き延びたものだ」


「ルーテンドーフ中将に保護してもらったのです。彼はローゼンハイム侯爵の政敵。下手をすれば、俺は殺されるかもと考えてました。しかし、突発的な行動でしたが上手く行きましたよ」


オスカー=フォン=ルーテンドーフとゲオルグ=フォン=ローゼンハイムは、士官学校の同期でありライバルである。かつては、参謀本部で壮絶な権力争いを演じていた。オスカーが最終的に勝ち、ゲオルグは軍事研究所へと左遷されてしまう。それでもゲオルグは諦めない。研究所の最高責任者メル=シュナイダー博士と協力し、神兵計画を実行。その成果を持って返り咲きを狙った訳だ。


「しかし、伯父は失敗しました。今は強制除隊によって領地に幽閉されていますわ。ところで、アドルフ。貴方はシュナイダー博士と神兵計画を再開させてますね?何を考えてます?」


「魔法など言う不確かな物に頼るつもりは無い。エルザ=スタンコ並の兵士を大量生産し、俺が指揮をとる部隊を作る予定だ。ルーテンドーフ中将には許可を取り付けている。無敵の兵で諸国を平定して見せてやろう」


狂気を感じさせる笑みを浮かべるアドルフを見て、改めて共に並び立つ事が出来ないと確信するオイゲン。


(これは帰国したら、皇帝陛下に上奏するしかないな。放っておけば、エウロパはおろか、世界に悲劇を撒き散らす。その前に何とかして、止めねば)










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