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左遷からの成り上がり  作者: 流星明
第3章 ノルディン内乱
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第48話 極北の国から

ドラーム帝国軍視点です。イザベッラの呪いが絶賛発動中。

前略、リノアへ。元気してるかな? 僕はノルディン名物のブリザードに身も凍えそうだよ。正直、君の肌が恋しい。君の胸の中で眠りたい。‥‥ごめん、煩悩が出た。現実逃避してる場合じゃないのは分かっている。でも、事態は悪くなる一方な訳で。


イェーガー大佐は色々と悩んでるみたいだ。酒も飲まずに、地図や報告書を読んで戦略を考えている。尊敬出来る上司に恵まれるのは嬉しい。ただ、副官達が問題でね。オルデンブルク少佐は酒浸りの日々。部屋に入ると酒瓶が数多く転がっている。実家が今回の失態で没落確定だから、自棄になってるみたいだ。この前も部屋から聞こえてきたのは、この台詞。


「俺は天下のオルデンブルク家の嫡子だぞ。偉いんだぞ。なのに、なのにぃぃぃ」


ライペール少佐は、ノルディンの女性達との語らいに夢中。どこにいるのか分からない時が多々ある。1度女性との語らい?に誘われたけど断っているよ。僕にはリノアと屋敷の娘達がいるしね。浮気する気はないから安心して。前みたいな修羅場はごめんだし。


兵士達も不安や焦りで苛立ってる。士官達で何とか押さえてるけど、いつ暴発してもおかしくない。上層部が何を考えているのか分からないから当然なんだけどね。


近況はこんな感じかな。また、手紙を書くよ。今度は‥‥。


「‥‥やっぱり、将兵の士気は下がっているわね。ベルント、元気してたかしら?」


「うわあ! って、リノア。どうしてここにいるのさ?」


「お仕事に決まってるじゃない。ちょっと驚かせようと思ったけど、随分と驚いたわね? ‥‥まさか、浮気してるのかしら?」


ベルントは驚いて振り返ると会いたかった恋人の姿があった。リノア=フォン=ローゼンハイム。優れた外交官として、東奔西走。類いまれな情報収集能力と交渉術から、魔女の異名を持つ女性である。外交官の間では、彼女と仕事をすると生気を吸いとられると噂になっていた。リノアの交渉が凶悪過ぎて、ストレスから胃や腸を痛めた外交官が数知れないからだ。


「元気してたよ。浮気は絶対にしてないから! でも、リノアが来るって事は情勢はかなり悪いみたいだね」


「‥‥ええ、そうよ。バロル大公は迷い始めてるし、ロマルク帝国は、皇太子を大使として派遣してきた。護衛部隊の中には、あのフォンターナ中佐の部隊も参加しているわ。ドラーム帝国軍の士気は低下。やる気があるのは、イェーガー大佐とヒューレンフェルト大尉くらいかしら。あのイザベッラ姫に、最期まで祟られたわね」


美しく長い黒髪に赤い瞳。豊かな胸と背の高さが印象的な美女の表情は怖い。イザベッラに対し、かなり怒っているようだ。ベルントは、椅子から立ち上がるとリノアを優しく抱き締める。


「リノア、そんな険しい顔したら駄目だ。折角の美人が台無しだよ。役に立たないかも知れないけど、僕も一緒に考えるからさ」


「ああん。やっぱり、ベルントは可愛いわ。このまま食べちゃいたい。ねえ、久しぶりだし。一緒に寝よう? たっぷり可愛いがってあげるから、ね?」


リノアは、ベルントの顔を上げると唇を近付ける。ベルントもそれに応えるべく、顔を寄せた。そこへ、咳払いをしながら部屋へと入る人物が‥‥。


「おい、ベルント君。兵舎でうら若き美女と逢瀬とは羨ましいな。しかも、相手があのローゼンハイムの魔女とは驚きだよ」


「あら、イェーガー大佐。覗きとは不粋な真似をしますわね」


すぐに外交官の態度に戻ったリノアを見て、オイゲンは呆れる。先程までの可愛い女は何処にいったのか。後で、ベルントに問い質す事をオイゲンは考える。彼女との馴れ初めについて。


「ベルントとは8年付き合ってますの。だから、こういう事も出来ますわよ」


リノアはベルントの顔を豊かな胸に押しつけ、抱き寄せる。ベルントは顔を赤くしながら、離れようとする。それでも彼女は止めず、ますます彼を強く抱き締めた。


「り、リノア。さすがに人前だと駄目だよ。しかも上官だし」


「ああ、ベルントたまらないわ。やっぱり、貴方の抱き心地が最高よ! ウゥ、食ベチャイタイ」


頬を上気させ、恍惚な表情を浮かべるリノア。ベルントを力を込めて抱き寄せる様は、妖艶な雰囲気を醸し出している。瞳が赤く輝きだすのを見たオイゲンは、嫌な予感を覚えて彼女を止める。


「‥‥おっほん。それ以上するなら兵舎ではなく、ホテルにでも行ってやってくれ。ベルント君、ローゼンハイム嬢。話があるから指揮官室まで来たまえ。今後の事を話し合おうか」


オイゲンの制止を受け、残念そうにベルントを離したリノア。瞳の赤いきらめきは、次第に消えていく。そして、我に返ったのか慌てて外交官の顔に戻した。


「わ、分かりましたわ。それとイェーガー大佐。私はドラーム帝国全権大使として、皇帝陛下より任命されています。以後は大使とお呼び下さい。話し合いには、ヒューレンフェルト大尉も呼びましょう。彼の人格は問題だらけですが、能力はありますからね」


「ええっ! 止めた方が良いよ。絶対何か企てるし」


「ベルント君の言うとおりだ。この状況下で、火遊びしたがる奴を話し合いに入れる理由を聞こうか、ローゼンハイム大使殿?」


リノアの言葉に嫌な顔をするオイゲンとベルント。だが、リノアは引かない。こう言って2人を黙らせた。


「ほっとくと良からぬ行動をしますからね。昔から自分の事しか考えてませんから、あの子は」











リノアとアドルフは帝国に残った神兵です。他にも何人か生き残って、各国で活躍していたり。

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