幕間 ボルフによる男修行1
休暇中のエピソードを幾つか加えるつもりです。本編も同時進行していく予定。
「隊長には足りない物があります。羽目を外す事です」
1週間与えられた特別休暇中の4月21日、ボルフとボルフの取り巻きに呼び出されたレオナルドは、突然そんな事を言われ、戸惑いを隠せない。
「‥‥ヤルステイン中尉、何が言いたい?」
「俺が思うに、隊長は真面目すぎるんです。そこで、俺の行きつけの店に招待しようと思いましてね。男の遊びを俺達が教えてあげましょう。エシェンコ少尉の件もあって、我々も大変でしたからね。羽を伸ばしましょうや」
レオナルドは納得する。夜の店で自分をだしにして、便宜を図ってもらおうとの企みだ。断るのは簡単だが、ボルフはこれからも部隊に必要な人材。その部下達も精鋭である。ここは親睦の意味も考えて、レオナルドは受けるべきと判断した。
「分かった。いつ行くのかな?」
レオナルドが行くと伝えるとボルフと部下達は大いに喜んだ。中には、うっかり本音を出す者もいて。
「隊長がいたら、店も対応変わるだろうしな。これで、普段遊べない女と遊べ‥‥ぐほっ」
そいつは、ボルフが腹にボディブローをぶちこんで黙らせた。部下達に後を任せると何事も無かったかのように、満面の笑みを浮かべる。
(聞かなかった事にした方が良いのか?)
レオナルドは、この行動に少し引き気味だが、ボルフは気にもせずに話を続ける。
「さすが、隊長!善は急げで今夜です。カジノラマルートの店内で待ち合わせってのはどうです?まずは賭け事を教えますよ」
「賭け事か‥‥。ポーカーやブラックジャック位しか出来ないが、楽しむとしよう。何時に集合する?」
「夜の6時にしましょう。軍服のままで大丈夫ですよ。何せ、軍人上がりのマフィアが経営するカジノですからね。その辺はうるさくないんですよ。では、またお会いましょう!」
そう言って、スキップしながら去っていくボルフ達。何がそんなに喜ばしいのだろうか?さっぱり分からないレオナルドの前に、エルザが現れる。その表情は‥‥。
「ふーん。私やサーラがいながら、夜遊びするの?」
かなり怒っていた。彼女を怒らせると半端ないのは、部隊の男達の悲惨な末路を見て分かっていた。レオナルドは必死に弁解する。
「え、エルザ!?いや、これは部隊の円滑な運用をはかるための意味合いが強い。誓って、浮気なんてするつもりはないぞ」
レオナルドは、エルザとサーラに約束した。2人の許可無く、他の女と親密にならないと。
『仕事関係はやむを得ないが、プライベートは約束を絶対に守ってもらう』
エルザとサーラの強烈な圧力に、レオナルドは了承した。断るなんてとんでもない。
「‥‥信じる。レオ、ラマルートや歓楽街に行くなら私の名前を出して。絶対もめ事に巻き込まれないから」
エルザの言葉に目を丸くするレオナルド。エルザは顔を少し赤らめながらも語りだす。
「義賊として、帝都で暴れた頃に多くの孤児を救ったの。そのせいか、今も慕ってくれる子がたくさんいる。裏社会にもかなりいるから、私の意見が結構通ってしまう。だから、大丈夫」
後にレオナルドがウラディミルに聞いてみると、エルザは裏社会で5本の指に入る実力者のようだ。ユリアとガスパーの部隊に加え、エルザを慕う者達が多く1大勢力となっている。ただ、エルザは抗争に興味は無く、他勢力の調停を進んで行っているようだ。
『彼女のおかげで帝都の治安が良くなった。本来なら表彰ものだよ。フォンターナ中佐、御愁傷様と言っておこう。彼女と喧嘩しても勝ち目はないからな』




