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左遷からの成り上がり  作者: 流星明
第2章 オイゲンの受難
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第34話 突撃女王アレサ

アレサのロマルク生活概要


士官学校次席卒業

レオナルドに僅差で負けて悔しがる


ミヴラでの料理修行

菓子職人の才能開花。マルコが認める腕に。


外交活動

ノルディン王家の許可を得て、ミハイルと極秘で会談。ノルディン連合王国との和平の話し合い。

第一段階として、両国は偽装戦闘を繰り返す事により、事実上の停戦を行う。

「大した度胸よね、イェーガー大佐。ただの1軍人たる貴方が、私に謁見申請をするんですから。あと、私の事はアレサと呼んで良いわ。貴方をドラーム軍人の中で、一番気に入ってるもの」


翌日。オイゲンは約束通り、ノルディン連合王国大使館に向かい、女王アレサ=デュレールに謁見申請を出す。一介の軍人に過ぎない男の申請に、大使館員も呆れた様子だった。それにもめげず、オイゲンは交渉。一時間の謁見を許されたのであった。アレサの隣には、護衛の為に8名の近衛兵が控えている。歴戦の軍人たるオイゲンを警戒しての事だ。


「では、そう呼ばせて頂きましょう。お眼鏡に叶うとは光栄の至りであります。申請は通ると確信していました。何せ、私達は腹ペコ死神と魔王らと戦って生き残った稀有な存在です。であれば、詳細を聞きたくなるのが当然と思いまして」


「じゃあ、早速聞かせてもらいましょう。と言っても、腹ペコ死神でも魔王でもない人の事よ。‥‥その、レオ君は元気そうだったかしら?」


突然、レオと言われても誰の事か分からない。見れば、アレサの顔が少し赤い。ロマルク帝国軍に好きな男がいるのかとオイゲンは考え、アレサに聞き返す。


「アレサ様、レオとは誰の事でしょう。思いを寄せる男性と推察しますが?」


「あら、ごめんなさい。つい、愛称が出たわ。‥‥イェーガー大佐、目敏いわね。レオ君はレオナルド=フォンターナ特務大尉の事です。今は中佐になったかしら? 私が唯一結婚したいと思う人よ。貴方から見て、どんな人物に見えた?」


内心驚きながらも納得するオイゲン。アレサの周辺をどんなに調べても、男の影がまるで見られなかったからだ。たが、想い人がロマルクにいるなら探しても見つからないはずである。


「強敵ですな。今まで戦ってきた中で5本の指に入る程の。更には、腹ペコ死神と閃光ボルフを従わせる度量がある。しかし、まさかイダルデの王族とは思いませんでしたがね。どちらで彼と出会ったのですか?」


イダルデ王国の王族と知って、羨ましいと思うより同情が先に立つオイゲン。あのイザベッラと親族など、金を積まれても御免だからだ。ストレスが貯まり過ぎて早死しそうである。


「ロマルク帝国士官学校時代にね。彼の正体を知っていたのは、私とレナニート先輩だけ。レオ君って、結構抱え込むからね。私達に王族だって事を話したら、ほっとしたのか泣き出したわよ。そんな所がある彼が愛おしくて堪らないわ。ちなみに私の素性を知っているのも彼ら2人だけね」


「ちょっと、失礼。アレサ様は、ロマルク帝国に行った事があるのですか? そんな話、今まで聞いた事もありませんが」


ドラーム帝国軍情報部からの情報では、アレサ=デュレールは長期療養の為、3年近く王都オルムから姿が見えなくなったと報告を受けている。その期間をロマルク帝国で過ごしたとは、情報部もつかめていない。驚くオイゲンに、アレサは笑いながら答える。


「そりゃあ、アレサ=デュレールでは無理よ。でも、アレサ=リーンハルトでなら行けたわ。理由は、敵たるロマルク帝国を見るため。でも、入学して1ヶ月でミハイル陛下とウラディミルに呼び出されたのよね。『何してんの、君は?』って真顔で2人に言われたのは、面白かったわよ」


とんでもない暴露話に、オイゲンも仰天する。自国の士官学校にあろうことか、敵国の王女が入学しているのだ。スパイと疑われても文句は言えない。


「そのあと、どうなったので? 普通なら捕まって人質になるか、強制送還するでしょうが」


「私は言ったの。『狭いノルディンじゃ見れない物を見たい。あと、美味しい料理食べたいし、勉強したい。心優しきミハイル陛下は、か弱き少女の健気な願いを聞き届けて下さいませんか?』ってね」


ミハイルはそれを聞き、哄笑した。皇帝たる自分に対し、思いきった発言をする少女の存在が面白かったからだ。


「面白い娘よ。良かろう、このロマルクで好きなだけ学ぶが良い。ただし、監視はつけさせるからな。それと将来何らかの形で返してもらうぞ」


こうして、アレサ=リーンハルトとしてのロマルク生活が始まった。この事を知ったノルディン連合王国の王族達は、心労のあまり寝込んでしまう。ロマルク帝国にアレサがいる事が知られたら、ドラーム帝国等になんと言われるか分からない。また、ロマルク帝国がアレサを利用し、無理難題を吹っ掛ける可能性もあった。


「ですが、そういった事は無かった。アレサ様の留学は、ドラーム帝国でも私が初めて聞いたと思います。それに、ロマルク帝国も何もしなかったようですな」


「私がいずれ、女王になるのは分かっていたからね。貸しを作るのを優先した訳よ。さて、昔話はこのくらいにして。本題に入りましょうか?」





アレサ「大国の思惑通りの戦いをすれば、小国は使い潰されるだけ。ならば、自分達を守る戦いをしなくては乱世は生き残れない」

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