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シャドウくん(6)


 スーツの人間がぞろぞろと俺たちの脇をちらちら見ながら通り過ぎていく中から、紘子さんと一人のスーツが立ち止まる。


「いやー、いつも愉快に締めていくねー本郷さんはさー」


 と、紘子さんがニヘラニヘラといった表情を浮かべながら言う。先ほどの鬼の様な顔の男は本郷さんと言うらしい。


「まぁ、怪人対策の部隊を指揮してる彼からしたら明智先生や荒金君、愛川さんは同業他社みたいなものですから。実際、資金も向こうよりこっちが優遇されてるみたいですし」


 紘子の隣に立っていたスーツが答える。眼鏡をかけた若い、といってもスーツ集団の中ではなのだが三十後半といったところだろうか。細い目に常に口角の上がった口元は、温厚な印象を与えてくる。


「おっと、突然すみません。お二人とこうして直接お話しするのは初めてですね。改めて自己紹介させていただきます。私、近衛明このえあきらと申します。特殊事案関係の情報担当をさせていただいています」


「これはご丁寧にありがとうございます」


 俺は立ち上がり、近衛さんの差し出してきた名刺を受け取る。そんな俺に対して真は相変わらずスマホをいじいじしていた。その後ろではいつの間にか向ノ前さんが立ち上がり、ピッシリしてるというのに。


「近衛さんのとこがいっつも報道規制したり、君達の『入れ替わり』関係の帳尻合わせしてくれてるんだよねー。感謝しなよぉー」


 まるで自分のことかのように言う紘子さん。でも言ってることは正しいか。


「いつもありがとうございます。真共々お世話なりっぱなしで申し訳ないです」


 頭を下げながらチラリと真を見ると、珍しく「どーも」と便乗してくる。スマホはいじいじ中だが。


「いえいえ、こちらこそ楽しく仕事させてもらってますよ。今日はどっちのヒーローが出るのかな、とね。この秘密は今日の会に参加した者しか知らない訳ですから、なんというか仕事のプレミア感と誇りを感じていますよ」


「そう言っていただけると、プロトとして戦ってる甲斐がありますよ」


 実際、事実を知っている人間しか俺を評価してくれないので素直に嬉しい。


「今後もお二人のご活躍に期待しております。もちろん明智先生の活躍にもね」


「いやー、どうもどうも!」


 能天気ににハハハと笑う紘子さん、俺達に、それではと告げ、近衛さんは会議室を後にした。



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