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シャドウくん(2)


 ガッ、ガッ、と慣性の法則で生じる勢いを、踵でストッパーをかけるようにリズム良く殺す。


 その際に着地したコンクリート数歩分は、まるでシャーベットを削るように穴を開けてしまったが仕方ない。なんせ総重量300kgを超えるスーツなのだから、文句のある人は製作者か今回現れた怪人に言って欲しい。


「荒金くん、11時の方向に今回の怪人だよ。距離100m」


 聞こえてくる指示の方向を向くと、既にこちらに気付いてるであろう怪人がこちらの様子を伺っていた。


 二足歩行の人型ではあるが下半身が猫の後脚の様な形状を取っており、ガスマスクと一体化した様な頭部は明らかに人間と呼べるものからは逸脱している。皮膚と呼べるものなのかどうかは定かではないが全身がグレーで生気も感じられない。


 そんな怪人に意識を集中させながらも周りの状況を把握する。


 住宅街にある中規模な公園だろうか。敷地を囲う様に規則的に並んだ木々と、人工芝に遊歩道。何本か木が倒れたり抉られたりしているのは怪人の仕業だろう。


「周囲にいた人達の避難も完了してるから今回は怪人だけに集中してね」


 はい、とだけ答えようとした瞬間、怪人が動く。


 助走もなしにまるで何かが弾けた様にこちらに突進してくる。もう半分は距離を縮められただろうか。


 俺は半身になり左手を怪人にかざす様に構え左にステップし、怪人の突進のラインから少しだけ外れる。


 が、それを見逃さなかったのか再び地面を蹴り軌道を修正させた怪人がより距離を縮める。あの獣の様な下半身が走り出しの速さと切り返しの柔軟さを可能にしているのだろう。


 眼前に迫っているこいつを避けるのは不可能と判断し、構えた左手の肘を内側に入れ、拳で顎を、肘の辺りで脇腹をガードする。


 瞬間、ガードに使った左側面肩部に破裂的な衝撃が走る。二、三歩後方へよろける。が、大丈夫、耐えられる。


 スピードに乗せて右の拳を鞭の様に叩きつけてきた怪人は驚いた様に顔を上げこちらを見ている。


 その隙を突き、距離を詰め、身体を反転させる様に右のローキックを放つ。狙いは相手の右足内側。しかし、紙一重で後方にピョンとジャンプされ躱される。


 厄介だな、と思う。正直今までの中で一番破壊力や決定打がなさそうな相手だが、今までで一番速い。それが何を意味するかというと、プロトの稼働可能時間内にこちらの決定打を放てるか、ということだ。



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