本当の穴探し
日本が…ない?
どういう事だ?
いや、きっとそれは目覚めた時からずっと頭の片隅にあった。
ただ絶対にありえないと思って可能性から消していた。
そのありえない事が今ありえてしまっているとしたら?
「ここはもしかして…『異世界』って奴か?」
「おそらくな」
「なによそれ!?ここは地球じゃないってこと!?そんなことあるわけないじゃない!」
「ここで話していても仕方ないだろ。1度みんなをここに連れてこようぜ。ココさんに案内してもらえば少なくともまた森で野宿ってことは無いだろ」
マモに呼びに行ってもらってみんなと合流する。
そして今俺達が置かれている状態を説明する。
「おいおい、マジかよ…」
「私たちここからかえれないの?」
「そんなのやだよぉ!」
「こんなことならもっとあっちで色々やっとくんだったな、クソッ!」
クラスメイトの中に泣き声と怒声、そして戸惑いがあふれる。
「トウジくん、さっきの話本当?」
「ああサグか。さっきのは本当だ。悪いな。みんなになにか声をかけてやりたいけどそんな気分にはなれねぇんだ」
「…トウジくん」
「え?ソノちゃん…今名前で…」
「…トウジくんは…まだ生きてる。まだ動ける。動けるなら…探せる。…探そ?…私も手伝う」
それはまるで駄々っ子を宥めるような言葉。
そんなに俺は情けない姿だったのか。
「ありがと、ソノちゃん。なぁマモ、スグ。こんな可愛い女の子に励まされて立ち上がらねぇわけには行かねぇよなぁ?」
俺が立ち上がる。
「当然だ。ここまでされて立ち上がらない様じゃ男として情けない」
マモも立ち上がる。
「さすがユナ、あたしの天使ッ!」
スグも立ち上がる。
サグ、ソノちゃん、スグ、マモ、俺。
いつものメンバーが揃った。
この5人なら出来ないことなんてない!
「なぁみんな!こんな所でへこんでてもいずれ死んじまうだけだ!死んじまったらそれこそ帰ることも出来なくなる!」
「そんなこと言ったってどうせ帰れないんだろ?」
「そんなことないと思う。1度ここに来る時に穴は開いてる。ならもう一度開く可能性も決して低くないと思う」
「…だから生きて。…絶対に死なないで。」
「ほらみんな!こんな美少女2人が立ち直ってるのにいつまでへこんでるつもりなのよ?」
「…お前らが言うと、なんとかなりそうな気がしてくるのはなんでだろうな」
「三園みたいな可愛い子が立ち直ってるのに男がしょげてるわけには行かないな。なぁみんな!」
「「「おお!」」」
「ちょ!?あたしは!?」
「スグは女の子ってよりメスゴリr、グボァ!」
「アホトウジ!」
「フフフッ、藤堂くんと舵野さんの漫才見てたら元気出てきた。私も頑張る!」
「み、みんながやるなら私も!」
「でも生きるってどうするの?ずっと森の中じゃどうしようもないよ?」
「それについては問題ない。ここにいるココさんはこっちの世界の旅商人だ。この辺りにも詳しいらしい。ココさんが近くの街まで案内してくれる。しかもそこは転移者の伝説が多く残っているらしい。まずはそこで情報を集めよう」
「コ、ココです!皆さんのお話はマモルさんから聞かせていただきました!私が責任をもって皆さんを次の街までご案内します!ご飯も充分あるので安心してください!」
「聞いたなみんな!早速出発だ!」
「「「おお!」」」
よし、みんなはこれで大丈夫だな。
「トウジ」
「ん?どうしたマモ」
振り向くとマモが鞘に収まった刀をもって立っている。
「さっきのお礼にとココさんから貰ったんだがどうやっても抜けないんだ。お前が一番刀の扱いが上手かっただろう?抜いてみてくれないか?」
「へぇ、抜けない刀なんていかにもファンタジーって感じだな。分かった!やって見る」
マモから受け取った刀の柄と鞘を持ち、力を込める。
するとそれは以外にもスルリとぬける。
「なんだ、抜けるじゃんか」
「おかしいな。俺がやった時はびくともしなかったんだが…」
「なんか選ばれた勇者みたいじゃない!?テンション上がってきた!」
「フッ、良かった。落ち込んでいるかと思ったがやはりトウジはアホだったな」
待っててください。今個人的に良くない点が1点あったんですが
「さて、じゃあ街に向かうとするか。急げよアホ」
無視ですかそうですか。
「ってゆーかまたアホって言った!」
何はともあれ帰るための第1歩を踏み出した。
さぁ、穴探しはここからだ!