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聞いたこともないですね

「朝だー!朝が来たぞー!」

「アホトウジうるさい!」

「痛てぇ!」

〇月×日、クラスメイトの快適な目覚めをサポートしようとしたらスグに蹴られました。

まぁ普通に考えたら当然だけど。

「アホは朝でも元気だな」

「ヒドイ!」

朝まで1人で見張りしてたのにひどくない?

話し相手いなくてめちゃくちゃ暇だったんだよ?

見張り交代からの3時間位の話だけどね。

「ふわ」

「…ねむ…い」

お、みんな起きてきたぞ。

「サグ、ソノちゃん、グッドモーニング!」

「おはよう、トウジくん。朝から元気だね」

「そうか?こんなもんだろ」

「…藤堂くn…むにゃ」

「また寝るの!?」

「ユナってなかなかおきてくれないのよね。ほら、朝だよユナ」

「むにゃ…スグちゃん…おはよ…おやすみ」

「寝ちゃダメー!」

あの2人はしばらくほっといていいか。

「で、マモ。今日のご予定は?」

「そうだな、今日1日で穴が見つけられなかったら周辺の探索に移るか」

「だそうだが…サグ参謀、どうかね?」

「参謀って…でも僕もそれでいいと思うよ」

「じゃあ穴探しレッツゴー!」

「あれ?舵野さんたち何してるんだろう?」

「ホントだ、なんか女子達で話し合ってるな。オーイ!どうしたー?」

「アホトウジうるさい!」

「痛てぇ!」

なんかデジャヴ。

「スグ、何があった?」

「なんか森の方から声が聞こえない?」

「みんな、少し静かにしてくれないか?」

みんなが一斉に静かになる。

マズイ、ふざけたい衝動が来た。

「ーーーー!ーーー!ーーーーー!」

「!なんか聞こえたよな!?」

「なんか叫んでる感じだったね。」

「様子を見てこよう。トウジ、スグ、着いてきてくれ。他のみんなはここで待機だ」

「分かったわ」

「まぁ多分クラスで1番強いの俺らだし?」

「そういう事だ。じゃあ行くぞ」

しばらく森を進む。

「たしか、昨日の穴探しで来たのはここまでよね?」

「まだ声は聞こえるか?」

「やーー!ーれか!たすけて!」

確かに声は微かに聞こえる。

でも最後の辺りは分かった。

『たすけて』

その単語が聞こえた瞬間、俺は無意識で走り出していた。

「なっ!待てトウジ!あのバカッ!おうぞスグ!」

「ホントいっつもこうなんだから!」

声の聞こえる方に走ると広めの広場のようなところに出る。

その中央に壊れた馬車と商人っぽい人が1人、それに向き合うように盗賊っぽい奴らが3人。

そのうち1人が商人の人に切りかかろうとしている。

「クソッ!間に合えっ!」

全力で走る。

そして、盗賊の剣が商人を切り裂く寸前で山賊のもとへたどり着き側頭部を蹴り抜き、山賊を吹き飛ばす。

「ッラア!」

「な、なんだぁ!?」

突然の俺の登場に驚いた山賊2人がざわつき始める。

「無事か!?」

「は、はい」

「なら良かった」

ってか、よく見たら商人さん女の人じゃん!

商人って男の人のイメージがあったからちょっとビックリ

「ってぇなぁ!なにしてくれてんだ!アァ!?」

「正義の勇者のつもりか!?」

「ガキはお家に帰って寝てろ!大体テメェ一人で何が出来るってんだ!」

「悪いが1人じゃなく3人だ。それから家には帰りたいんだが、その道が見つからなくてな。」

盗賊を囲む三角形を作るようにマモとスグが森から出てくる。

「アホトウジ!1人で行くなっていつも言ってるでしょ!?絶対アンタ早死するわよ!?」

「あ、そうだスグ。昨日の焼き芋の残り食べるか?」

「話を逸らすな!」

「な、なんだよこいつら!」

「どこらか出てきやがった!」

あ、いつもの癖で盗賊そっちのけで漫才してた。

テヘペロ☆

「うろたえんなお前ら!やっちまえ!女は殺すな!捕まえて奴隷商人に売っちまえ!」

「「オォ!」」

その声を合図に盗賊が俺たちに一人づつかかってくる。

でも、

「相手が悪かったなぁ!」

「シッ!」

「せやぁ!」

「オラァ!」

それぞれが一撃で盗賊たちを倒してしまう。

「こっちは小学生の頃から鍛えてんだ!マモじい仕込みの武術なめんな!」

「あたしたちを倒そうと思ってるならプロレスラーぐらい連れてこなきゃ無理よね」

「こんな所で爺さんの道場での経験が役立つとはな」

ちなみに日本の武術と銃器以外の武器は全員名人レベルに使えると思う。

「商人さん、ロープとか持ってねぇか?」

放心状態の商人さんがハッとして我に戻る。

「あ、あります!ちょっと待っててください!」

まずは盗賊を縛って動けなくしておこう。

なんかマモが背後で盗賊の懐を探ってるけど見なかったことにしておこう。

何だかんだであいつ手癖悪いからな〜

盗るのは喧嘩で勝った相手からだけってのがポリシーらしいけどそれもどうかと思うんだ。

「お待たせしました!これで大丈夫でしょうか?」

「うん、充分。ほらそこの物取り、これでそいつら縛るぞ」

「物取りじゃなく戒めと言ってほしいな」

「はいはい」

会話しつつも手早く盗賊を縛る。

これもじいちゃんに習った。

「よし、これでオッケ!で、商人さん。お名前は?」

「あ、申し遅れました!私は旅商人のココといいます!先程は危ないところを助けていただきありがとうございました!」

「いえ、当然のことです。俺は護。こっちが刀刃と直美です。ところで盗賊の持ち物にこんなものがあったんですが、これは?」

そう言ってマモが袋からメダルのようなものを取り出す。

「え?知らないんですか?これは王貨といって、人域で使われている通過です。王族の直属の銀行で作られてるんです。魔域では違うものが使われているらしいです」

知らない言葉がいっぱい出てきたぞ?

『王貸』に『人域』それに『王族』。ここまでは外国でぎりぎり説明がつくとして…、『魔域』ってのはなんだ?

しばらく考えてからスグがじゃべりだす。

「…ねぇココさん、この世界に日本って国はある?」

それは普通ならおかしな質問だろう。

そう、"普通"なら。

「ニホンですか?えっとぉ…そんな国は聞いたこともないですね」

ココさんの口から出てきたのは"普通"ではない言葉だった。

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