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偽りに泣く日(前編)

今回の章はシリアスな展開になります。

一応は前・中・後編の予定で数日内に更新させていただきます。

最後までよろしくお願いします


専属メイドになると宣言した日。


あれから何日か経って正式に部屋付きから専属メイドになったわけだが、仕事内容は以前と変わらない。



昼間は学園に通ってるから仕事は出来ないし、本来ならレナードの部屋の隣に与えられる専属メイド専用の部屋も辞退している。



最初は不平不満を言っていたレナードも、メイド長であるマーサの取りなしによって渋々ではあるが納得したみたいだった。



専属メイドと学園の生徒の2足のわらじ。


最初はマーサさんも驚きを隠せない様子で無理なことは止めるよう忠告してくれたのだが、私の考えを知って最後には首を縦に振ってくれた。



――――私の正体をレナードに明かす日はもうすぐそこだ……………




◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「リナ!!新しいメイド服、よく似合ってるよ」



「ありがとうございます。これからは専属メイドとしてお側にお仕えさせていただきます。」




学園から帰って部屋の中に居た私を見つけたレナードは、嬉しいそうに微笑むと私の新しいメイド服を上から下、くまなく見ながら笑みを深める。



部屋付きから専属に変わってメイド服も変わった。

部屋付きは生地が茶色で襟や袖口、リボンなどが所々白いわワンピースだが、専属になるとデザインやリボンなどは変わらないが生地の色が黒となる。




レナードには目に見えて変化した私の姿が嬉しくて堪らないらしい。




……でも、そんなにジロジロ見られたらさすがに恥ずかしいです。




「これでようやくリナが私の専属メイドになったな。……まぁ一緒に居られる時間は以前とそう変わらないのが納得いかないが。」



――――でも、昼間も一緒にとなると他の男の目にも触れることになるしな……



何やら1人ぶつぶつと呟いているレナードの姿に苦笑を禁じ得ない。



基本的、学園内は個人に仕えるメイドなどの立ち入りは禁止されている。


貴族の子息や令嬢になると専属メイドは複数居るため学園の治安上、禁じられているのだが一部の生徒に至っては特例として認められていた。




勿論、魔導科のトップである『白金の魔導士』レナードは認められている生徒の1人だ。



まぁ本人的には私を他の男に見せたくないらしい。







でもよく考えてみたら、この男子寮で働いている時点でアウトなのでは?……なんて、とてもじゃないが言えません。

恐ろしいことになりそうなので。




「…………リナ、専属となると学園を卒業してもずっと私の側に居なくてはならなくなる。私がその任を解くまで生涯キミの人生を奪うことになる……勿論、私はこれから先の未来に渡ってずっと専属の任を解く気はない。それでもいいか?」



……あんなに専属になれなれ攻撃をしておいて今更そんなこと言うなんて……


でもそんなところがレナードらしい。



「レナード様それは普通、契約する前に仰って下さい。……だからと言ってそんなことで今更専属を止めるとか私はしませんから。」



それだけ宣言すると今日も作ってきた手作りのクッキーを手渡した。

夕食までの間、腹の虫押さえにと作ってきている物だがこれも当たり前のことになっている。



こうしてレナードと過ごす時間は私にとって、かけがえのないものへと日々変化していく。



なんだかんだで、あんなにも毛嫌いしていたレナードのことが気になって仕方ない。

ちょっとした仕草にもドキッとさせられる。



決定的だったのは2人で見たキラキラ輝くあの噴水。


あの時握られた手の温もりが忘れられない。


それ以前にだって何度か抱き締められる事はあったけれど、噴水を見たあの時だけは確かに2人の気持ちが重なった気がしたから……



「ありがとう、リナの作るお菓子はみんな美味しいけど、クッキーは特別美味しいから嬉しいよ。……本音を言うとキミにメイドとして側にいてほしい訳ではないんだ。」




微笑んでクッキーの袋を受け取ったレナードはそれまでの雰囲気とは一変、真剣な面持ちで私を見つめた。




「……リナ、学園を卒業したら私の妻になってくれないか?」





「――――っ!!」



その言葉に胸が詰まった。


素直に嬉しいと思った。


普通に考えたら可笑しな話だ。私は魔導士なんて大嫌いで、特に魔導科トップのレナードなんてもっと大嫌いだった。


レナードに姿、素性を偽ってメイドとして接していたのも僅かな期間。


それなのに何故、私は彼に惹かれレナードも偽りの私に側にいてくれと願うのか……




「レナード様、返事は明日の舞踏会のあとでもよろしいでしょうか?……私は貴方に言わなければならないことがあるのです。」



「……解った。キミがどんな結論を出したとしても私は受け入れる」




……元々、明日の舞踏会には私も『花冠の聖騎士』として参加しなければならなかった。

その時にレナードには正体を明かすつもりだった。

マーサさんにもその事を告げている。


それなのに、心の準備もできていたはずだったのに、なのになぜ私の心はこんなに掻き乱されるのか………






真実は明日、舞踏会で明かされる。








――――――明日はどうなる?























感想頂きました谷沢様。

今回の話で専属メイドと部屋付きメイドの違いがわかるようになっています☆

更新が遅くなったせいで疑問なところがそのままになってしまって申し訳ありませんでした★

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