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父・襲来!!!

まさかの日間ランキング1位!!驚きのあまり何度かスマホの電源つけては消してを繰返しました。

今回の話は前回までのシリアス(?)は鳴りを潜めて明るい感じになってます。

どうしてこうなった……


酷く痛む頭に手をあて項垂れた


目の前には大きな紙袋を両手で抱え込んでニコニコ微笑んでいる父………



そう!!父なのだっ!!!!


精神的かつ身体的な疲労による幻かっ!?と、二度見してしまったよ………



「わが娘、リナリアよっ!!会いにきたぞ!!!」



久しぶりに見る私の姿に感極まったのか両手を大きく広げ「さぁ、おいで!!」とばかりに目を輝かせる父。



…………私は勿論、その胸に飛び込むわけなく落下した紙袋を見詰めていた。



散乱した紙袋の中身は透明な小袋に入った色とりどりの飴らしき物や枯れた草の束、どぎついピンク色の液体が入った小瓶……



…………すさまじく嫌な予感がしてたまらない



「お父さん、これは何?」


「おぉ!!大事な物なのに落としてしまったな!!これはな、王都でしか手に入らない貴重な魔法薬の材料でな……………」


散らかった袋の中身を拾い集めながら嬉々として説明を始める父の姿に深い溜め息をはく。



―――――ここ、学園の門の前なんだけど………



学園側から多数の視線を感じるし、道を歩く

一般人からも好奇な目を向けられている。



メイド服に身を包んだ私は、早くこの場から逃げ出したくて手早く落ちていたガラクタを紙袋に突っ込み、「手荒に扱っちゃいかん!!」とかフザケたことをぬかす父の手を引き急いでその場を後にした。





―――――勘弁してくれっ!!(涙)





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



とりあえず学園前から立ち去る時に近くに居た門番に、自分が白金の魔導士の専属メイドであると告げて今日の勤務には少し遅れることをレナードに伝えてくれ、と頼んでおいた。



突然のことに目を白黒させていた門番だったが、一応深く頷いていたから大丈夫なはず!!



…………問題は目の前の人物だ



学園から比較的近くにある酒場兼食堂に父を連れ込み、テーブル席に座らせた。



「なんでお父さんが来るの。お母さんはこのこと知ってるの!?」



ちなみに貧乏生活が長いせいか私と父の口調は庶民に近い、実際に父が今着ている服装もとてもじゃないが貴族のものとは思えないし。



「それがな、母さんは隣国に仕事に行ってしまって私は置いてきぼりでな、リオンは学園の入学試験の勉強で忙しくて相手してくれんし……」



「だからってわざわざ田舎から王都にまで来るなんて何考えてんのよ……」


「それがな、落ち込んでた私を見かねたのか執事のゴードンがリナリアの元に行ってみてはどうかと勧めてくれてなっ!!」



―――――ゴードンめ、厄介払いして人に押し付けたな……!!!





娘の不機嫌な様子にも目もくれず、勝手に注文した骨付き肉にかぶりつく父。



そんなに食べると中年太りまっしぐらだぞ!!

特に母が当主代行を始めてからは、あまり動かなくなったせいか細身だった体がぽってりしてきている。


私が時々帰省したときなんかは

「勝手に何買ってんの!このブタがっっっ!!」

という罵声と共に鞭が飛び交っているのを目撃してしまった。



お上品に刺繍をして「うふふ」と微笑んでいた在りし日の母は、今や刺繍針の代わりに鞭を持ち、「うふふ」の代わりに「オーッホッホッ」と奇声にも似た高笑いを上げる。



「女王様とお呼びっっっ!!」なんて叫びを聞いた日には、不敬罪に問われかねないから大声で叫ばないでくれと懇願したほどだ。



ってか母、変わりすぎ………



ズキズキ痛む頭、プラス目眩を感じてメガネを外して俯きがちに目頭をグニグニ揉んでいたら、店員の女性がまた何かをテーブルの上に運んできた。



「お待たせしました~☆当店名物、竜の火酒です♪」



…………ちょっと待て、なに昼間っから酒頼んでんだ!?



慌てて顔を上げると目の前にはあるはずのない光景がっ!!!!???



「何故貴方がこんなところにいるんですかっ!?レナード様っ!!!!!」



グラスを持った父の隣にはいつの間にか現れたレナードが座っていて、何故か機嫌良さそうにお酌をしていた。



慌てて変装用のメガネかけ直し、あまりの予想外の事態に混乱する私を尻目に2人は和気あいあいと酒を酌み交わし、何やら盛り上がっている。




「レナードくん、これはね、貴重な魔法薬の材料でね……」


「お義父さん、こっちは偽物ですがこちらは本物ですよ。しかもなかなか市場には出回らない貴重な材料ですよ」



「はっはっはっ!!やっぱり私の物を見る目は確かだな!!いやぁレナードくんとは話が合って嬉しいよ!!」



ちょっと待て、この馬鹿オヤジ!!

偽物も混じってるのに明らかに見る目なんかないだろ!!本物があったのだって偶然の産物だ(怒)



「それにしてもリナさんのお義父さんが魔法に対して理解があって嬉しいですよ。私たち魔導士を毛嫌いしている人達は意外に多くて…」



「あぁ、ウチのリナ「お父さん」も魔法が大「お父さん!」で、女の子だっていうのに何を考えてるんだか「お父さん!!」にまでなってしまって………こら、お父さんが話してるのに何で所々で大声出すんだ!!レナードくんに失礼じゃないか…」



わざとだよ!気付けよ!!

ってか正体バレちゃうから、もう余計なことは言わないで…(涙)



「大丈夫ですよ、お義父さんが言いたいことは伝わってますから。リナさんは魔法が大『好き』で女の子なのに『立派なメイド』になったってことですよね?」



ち・が・う・よ!!



どうしてそう前向きな発想になるのよ!!



ドヤ顔のレナードに、酒に酔った父。



なんだこのワケわからない状況は……



「とりあえずお父さんはもう余計なこと喋らないで!!ってか飲み過ぎだから、もう酒をこっちに渡して!!!」


「……知ってるか娘よ、」



「……何をよ」



酒を取り上げた私に、父が真面目な顔をして問い掛けてきた。



「酒はな~酒はな~………酒は水より害はない!!」



「……????」



言ってることが意味不明。




頭の中が疑問符だらけになったけど、これも酔っ払いの戯言だと思いテキトーに聞き流すことにした。



「……水はな、洪水になれば色んな物が流され被害がある。酒はな、昔から万能の薬と言われるくらい体にいい!!!だから酒は水より害はない!!!!!」



「成る程…確かに酒を飲めばいい気分になるし、体も暖まる。」



神妙な表情で頷きながら話を聞いているレナード……



なんか騙されてるよっ!?



……これ以上レナードに変なことを吹き込まれると困る!!こうなったら最後の手段だ………!!




「お父さん、いい加減にしないとお母さんに連絡しちゃうよ?」




「っ!?」



途端に顔面蒼白になりガタガタ震え始めた父の姿に多少の罪悪感を感じたが、調子に乗るから仕方ないのだと思い直した。




「レッ、レナードくん。私は急用を思い出して至急、家に帰らなくてはいけなくなった。……こんなじゃじゃ馬な娘だがレナードくんになら任せられそうだ!!では、頼んだよ!!」



言うだけ言って紙袋を抱えて去っていく父。





―――――嵐は去った。




安堵の息を付いた私は、どこか茫然と父が去っていった方向を見ていたレナードに気付いた。



「そう言えばレナード様は何故ここに居たんですか?……もしかしてストーカー……「断じて違う!!!」」



ムキになって反論したレナードの言い分はこうだった。



いつもよりだいぶ来るのが遅かった私を心配して迎えに行こうとしたら門の前で見慣れたメイド服の人物と中年の男が見えたので後をつけた。

親しげな態度と聞こえてくる話の端々から父娘だと気付いて、テーブルに同席した、と。




いや、もう、なんというか………何も言うまい………






「もともと今日は学園の外に出掛ける予定だったから都合がよかった。リナのお義父さんにもご挨拶できたし、これで家族公認の付き合いだな。私の家のほうはまた落ち着いてから2人で行こう」




なんか話進んでますけど、私レナードといつの間にお付き合いしてたんでしょうか???



「さぁ、リナそろそろ行こうか。」


「どこへ行くんですか?」



――――着いてからのお楽しみ。



いたずらっ子みたいな表情で笑うレナードに私も笑みを誘われた。


◇◇◇◇◇◇◇◇




連れて行かれたのは街の中心部にある公園にある噴水の前だった。


私たちの他にも色んな人達が集まっていて、みんな食い入るように噴水を見ていた。



「―――ほら、始まる」



レナードの言葉と同時に噴水の周りから光りが溢れ、水の中は虹色に輝く。



噴水の水が火花のようにパチパチと光り、まるで花火が上がったようだった。



渦巻く光りの洪水――――



あまりの美しい光景に言葉を失う。



「これは街の有力者から頼まれて学園の魔導士たちが作った。人々の憩いの場である公園に彩りを添えてほしいとのことだったので苦労した。」



寄り添うように幻想的な光景を見ていたら、右手をギュッと握られた。



驚いて目を向けるとレナードの左手が私の手を包んでいた。




繋がれた手から視線を徐々に上に向けると、緊張しているのか顔は無表情だが耳だけが真っ赤に染まっていた。




振りほどこうと思えばいくらでもできるけど………



「すごく綺麗ですね」



それだけ言って繋がれた手をギュッと握り返した。


少しだけ、ほんの少しだけ、魔法が好きになった瞬間だった……




◇◇◇◇◇◇◇◇◇




後日、街にあった例の噴水に珍事件が起きた。


虹色に光っていた噴水の水が何故か酒に変わっていて、周囲には酒の匂いが充満しておりその場に居るだけで酔ってしまうということだった。



喜ぶ街の人々。



「やはりお義父さんが言っていたことは本当だった。酒は水より害はない!!」



「…………馬鹿なこと言ってないでさっさと元に戻してきてください!!(怒)」





そんなこんなで今日もわりと平和でした。





明日はどうなる?









最後まで読んでいただいてありがとうございました☆

Halloween?!さん、plekiosさん、いつも感想ありがとうございます☆

いつも感想を読み返しては励まされています♪


ちなみに『酒は水より害はない!!』これは実話で、ウチの父親の口癖です(笑)

お酒はほどほどにしましょう♪

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